食物アレルギー


  1. 食物アレルギーの原因
  2. アレルギー物質を含む食品に関する表示について
  3. 小学校教員の食物アレルギー児への対応と現状

参考WEB:
アレルギー・リウマチ情報センター
アナフィラキシーってなあに(ファイザー株式会社 提供)
食品安全委員会
学校保健ポータルサイト(公益財団法人日本学校保健会)
認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)アレルギー支援ネットワーク

食情報の新しいサイトの【食生活の基本】にも食物アレルギーに関するWEBページがあります。参考にしてください。
食物アレルギーは、健康にかかわることで素人判断するものではありません。WEBの知識だけに終始することなく、実際に専門医の話を聞いたり、
アレルギー教室に参加したりして同じ食物アレルギーを持つ人たちと情報を共有しあいましょう。その方がずっと体にとって有用です。
なんといっても自分の体は一つしかないのですから。


食物アレルギーの原因:たんぱく質を知ろう

○食物アレルギーの原因は食物に含まれているたんぱく質

たんぱく質って何だったっけ? ・・・・

たんぱく質は体を構成している重要な成分(栄養素)のひとつ。

プロテイン(Protein)と同じもの。スポーツなどの「サプリメント」としてもよく利用されています。食品では、肉類や魚類、乳・乳製品、卵類などに多く含まれています。

10歳から11歳の子どもで1日50g程度のたんぱく質が摂取推奨量になっています。(日本人の食事摂取基準2015より)

筋肉たんぱく質が足りないとスタミナ不足や免疫力・集中力の低下が起こりやすい。

たんぱく質の含有量:普通牛乳100mlで約3.3g  ゆで卵1個(Lサイズ60g)で7.7gくらい。ブリのてりやき1切れ(100g)だと約26g。
鶏もも肉(若鶏、皮なし、焼いたもの)100gで25.4g。もも肉は1枚200gくらいだから、約半分で100g程度。

=一般的な食物アレルゲンの特徴=
たんぱく質はアミノ酸から構成されている

20種のアミノ酸がヒモのような一次構造をとり、立体構造(四次構造)を形成する。

アミノ酸が両性なので、等電点がある。

■酵素やヘモグロビン、筋肉(アクチンとミオシン)、コラーゲン、爪や髪の毛(ケラチン)など、たんぱく質の形態や機能は多彩である。

■ 洋服に血液などのたんぱく質がついたら、たんぱく質が両性なので弱アルカリ性の石鹸を使い、水で洗えば落ちる。

たんぱく質は高分子 150くらいから数千のアミノ酸が連なる

髪の毛のように水に溶解しないものもある。

分子の大きさの違いを利用して透析ができる。

たんぱく質は変性する また、加熱やかくはん、脱水、凍結、酸・アルカリ、界面活性剤、有機溶媒などで変性する。

加熱変性 → ゆでる、焼く、(煮凝り、かまぼこ、焼き肉、ゆで卵など)
表面変性 → 撹拌、泡立て(メレンゲ、アイスクリームなど)
脱水 → スキムミルク、干物など 
凍結変性 → 高野豆腐など 
酸変性 → ヨーグルト、しめさばなど 
アルカリ変性 → ピータンなど  
金属塩による変性 → 豆腐など

たんぱく質は微生物のエサになる

日本では(仏教で肉食禁忌の風習があったので)大豆の発酵食品が多い

消化には安定なものやそうでもないものがある

大豆 → 豆腐、豆乳、油揚げ、しょうゆなど 
酒類 → 日本酒、ビールなど 
茶葉 → 紅茶、ウーロン茶など 
カタクチイワシ →調味料(いしる、しょっつる)、ナンプラーなど

微量に入る調味料でアナフィラキシーを起こす可能性もあるのですが、醤油などに含まれるたんぱく質量は少なく、
発酵により変性している可能性が高いので実際には大丈夫、という場合が多いです。

偏食と食物アレルギー:

偏食はでアレルギーとは違います。食べた後に、蕁麻疹がでたりせき込んだり、口の中がおかしくなったりしたかな?医者にアレルギーですって、言われた?

食べ慣れなかったり、一度食べてイマイチだったりすることはあると思いますが、まあ、偶然かもしれません。食べ物の味には個体差があるのですから。調理の仕方や出回る季節で味が違うってこともあります。ホントです。

みんなで食べれば美味しいものもあるかも!前はイマイチだったけど、今度はめっちゃ美味しいかも!!こういうところで遠慮は無用です。いろいろ食べて、たくさん食べて、自分の身体と味覚を作っていきましょう。 いろいろな食品の味を覚えて楽しむことは食文化を理解するうえでも大事なことです。小さいうちは肉や野菜、魚介、果物など基礎的な食品の味を覚えてください。

たまには嫌いなものもあるけれど、年間で1000を超える食品がスーパーなどに並ぶんですから、全然平気。また今度、試してみてね。大人になれば、また好きになることだってあるみたいですよ。

■ あぶらはアレルゲン?

アレルギーの原因になる物質(たんぱく質)をアレルゲンといいます。
また、アレルギー症状がでなくなって食べられるようになることを寛解(かんかい)するといいます。

あぶらはたんぱく質ではないのでそもそもアレルゲンではないのですが、油脂に含まれる微量な搾りかすがダメな人もいますので、ごまアレルギーならゴマ油も禁止される場合があります。
ごまはアナフィラキシーを起こしやすい食品ですから、微量のアレルゲン混入も難しいということです。
でも、食物アレルギーが出るのに最低どれくらいのアレルゲンが必要なのか、は、ヒトによって違います。もちろん体調にもよりますし、その後運動したかどうか、にもよるでしょう。

一回アナフィラキシーのような症状を起こしたことがあっても、もしかすると、偶然かもしれません。食物アレルギーの専門医に相談してみてください。
毎年アレルゲンかどうかを確認することも重要です。食べられるようになっているかもしれませんよね?!食べられるなら、それはそれでOK

他にも微量に混入している場合があるので、微量で反応する人は気を付けてください。

 どんな加工食品がアレルゲン?

【小麦】
例えば「焼き麩」は小麦粉のグルテンですから、小麦アレルギーを持つ人には難しい食品です。小麦粉を用いた加工食品はたくさんあります。

パンやケーキ等の洋菓子、麺類に始まり、天ぷらやフライの衣、饅頭をはじめとする和菓子や餃子、肉まん、
お好み焼きやたこ焼き、カップ麺、ハンバーグやかまぼこ、練り製品、ハムやソーセージ、チキンナゲット・・・。

食べてはいけないものを探すとげんなりするから、げんなりしないものを探してそっちを覚える方がストレスもかかりにくいと思います。

小麦粉を使っていないものは、まず、ご飯(白飯)。それから野菜や果物。豆腐や納豆、海苔なんかも大丈夫。肉や魚介類もいいですね。
わらび餅もOK。でんぷんですからね。ココアも牛乳も大丈夫。春雨やビーフンもいいと思います。卵も小麦粉が入っていません。
洋菓子が食べたいな、と思えば、米粉でクッキーを作ってもいいかも。うん、加工食品じゃなくて、手作りしたら食べられる物は多そう。
手作りのものがたくさん食べられるって、小麦アレルギーってある意味うらやましいなあ。とっても素敵じゃないですか。

ここで加工食品がアレルゲンかどうかを見分けるコツを伝授しましょう。それは・・・成分表示(原材料名)をみること

普段、成分表示をみてますか?期限表示ばっかり・・・じゃダメなのです。特定原材料の表示だけ、もだめ。原材料表示をきちんとチェックしてください。

【大豆加工食品】
ゆばや豆腐、豆乳、納豆は大豆加工食品。油揚げや厚揚げ、いなりずしの揚げ、きな粉、なんかも大豆加工食品。
昔からの伝統的加工食品は小売りされていることも多いので、成分表示がないことも。
そんな時は、遠慮なく、お店の人に「これは○○を使ってるの?」「○○アレルギーなんだけど、これは食べられますか?」って聞いてみましょう。
せっかくの伝統食品が食べられないってのもちと残念ですが、ま、しばらくは我慢・我慢。

聞くのは面倒かな、って思ったら、食品成分表などでこっそりおぼえちゃいましょう。
食品成分表はオールカラーだけど、1000円しないんですよ。他にたくさん書かれていてとてもお買い得です。インターネットでもいいですね。

アレルゲンについて

特定原材料7品目  省令で決められているもので食品表示義務があるもの

  アレルゲン 特徴 注意
卵 卵(鶏卵)

卵白にアレルゲンが多く、頻度も高い。

加熱するとたんぱく質が変性するのでアレルギーになりにくい場合もある。

乳幼児に多く、寛解しやすいアレルギーでもある。

かまぼこや練り物(さつま揚げ・はんぺんなど)に卵白が使われることがあるので原材料名を確認する。

マヨネーズやフライ、プリン、カスタードクリーム、アイスクリーム、ソーセージなども注意する。

ハンバーグのつなぎや餃子のタネのつなぎのようにわかりにくいものに関しては問い合わせるか原材料名を確認する。もしくは、自分で卵を使わずに手作りする。

ウズラ卵は食べられる場合がある。肉や魚介をしっかり食べてたんぱく質不足にならないよう配慮。

ケーキ 小麦

即時型アナフィラキシーや、運動誘発型アナフィラキシーを起こしやすい。

小麦がダメでも大麦やハト麦は大丈夫な場合がある。

ご飯をしっかり食べることで栄養面の不足はない。食べられるものを覚える。

パンはグルテンの性質を利用して作られる。米粉(ご飯)パンでも小麦グルテンが入っていることがある。原材料名を確認すること。

小麦粉は多くの食品に用いられる。かならず成分表示(原材料名)を確認する。ホワイトルウやカレールウのように、一見小麦粉が入っているとは思いつかないような食物も要注意。

食後に運動する場合は十分注意してください。

牛乳

乳(牛乳・乳製品)

カゼインがアレルゲン

アレルゲンが加熱や発酵に強い。

カルシウムの不足にならないよう注意する必要がある。

卵と同じく、乳幼児で発症しやすいが寛解もしやすい。

肉類や海藻類などでカルシウムを積極的に接収する。

チーズやヨーグルトのように乳製品は牛乳よりも少量の摂取で発症することがある。乳製品とは分かりにくいものもあるので食品成分表示を確認すること。(例:バター、動物性生クリーム、アイスクリーム、ホワイトルウ、プリンなど)チーズは「隠し味」としていろいろな食品に入っている場合がある。

乳化剤や乳酸菌飲料、乳糖は「乳」と関係がないので食べられる。植物性の生クリームもOK。

微量でアレルギーを起こす場合は、牛乳をふいて洗った雑巾や牛乳の飛沫でも反応する。

日本ソバ そば

即時型アナフィラキシーを起こしやすい。微量でもアレルギーになるので要注意。

寛解しにくく、成人になってもそばアレルギーが残る場合がある。

重症の場合が多いので、そばの花やそばの枕、蕎麦をゆでたなべや菜箸などにも注意する。

そばぼうろやそば茶、クレープ、そばまんじゅう、そば粉入りパンなど麺としての蕎麦だけでないことに注意。

成分表示を常に確認する。

落花生(ピーナッツ)

重症になりやすく、海外ではメジャーなアレルゲンになっている。

他のナッツ類でもアレルギーを起こす場合がある。

 

隠し味としてピーナッツ粉末を使うことがある。

クッキーなどにのせられていたり、ピーナッツクリームを使う洋菓子もあるので注意。ダイス型になっているとわかりにくい。みえていない場合に混入の可能性がある場合は、子どもに食べざせずに毒見するのも一案。

 

えび

 

えび

えびがダメな人はカニもだめな人が多い。

成人になっても寛解しにくく、小学校高学年になって初めてアレルギーを起こ酢場合がある。

加熱には強い。

運動誘発性が起きる場合もある。

えびやかにがダメでもタコやイカはOKの場合もある。

加熱すると食べられる程度の軽症の人もいる。海老の種類(シャコやあみえびなど)によって食べられる場合もある。

海老せんのようなスナック菓子にはエビ入りがあるので注意。症状を確認すること。

かに かに

カニの刺身など、生ものはアレルギーを起こしやすい。

カニアレルギーはエビアレルギーであることも多い。

カニかまぼこに注意。カニエキスだけなら、反応しにくいと考えられるが、フレーバーなどから誘発されることもある。

居酒屋では業務用の食品を使うこともあるが、わかりにくい場合は遠慮なく聞く。

参考文献:「食物アレルギーのすべてがわかる本」海老沢元宏著、講談社(2014)

 

特定原材料に準じるものは、食品表示が推奨されているもの。不定期に追加されるので、一番新しいものを調べる必要がある。

ステーキにしたり、寿司だねにしたりして食べる貝の一種。 いか ご飯の上などにのせて食べるスジコの卵のしょうゆ漬け。コピーも出回っている。 まつたけ バナナ
あわび いか いくら まつたけ バナナ(バナナジュースも含む)
みかん きうぃ 牛肉 もも カシューナッツ
オレンジ キウイフルーツ 牛肉 もも カシューナッツ
くるみ
さけ
さば

とろろにして食べる芋の一種。ヒトによっては皮をむく時にかゆみが出る。(かゆいのはシュウ酸の結晶による場合もあります。)

ぜりー
くるみ さけ ※ニジマスは違います さば やまいも ゼラチン
とふ
ちきn
     ぴg りんご 胡麻和えや白和えなどに入っているもの。ごまクリームなどもある。
大豆 鶏肉 豚肉 りんご ごま

画像がなかったものについてはそのうち入れていきます。 リンゴなどの果物は、新鮮なものほどアレルギーを起こしやすいので、「リンゴ狩り」には注意してください。
オレンジは「うんしゅうみかん」「なつみかん」「レモン」「グレープフルーツ」が対象外です。

サバなどのいわゆる青魚の場合、魚のなかにいる寄生虫(アニサキス)がアレルゲンであることもあるようです。(アニサキスアレルギー)

 

食物アレルギーのタイプ

学校生活管理指導票(アレルギー疾患用)に登場するアレルギー関連は、【気管支ぜんそく】【アトピー性皮膚炎】【アレルギー性結膜炎】【食物アレルギー・アナフィラキシー】【アレルギー性鼻炎】の5つです。アレルギー性鼻炎は鼻アレルギーとも呼ばれますが、花粉症と同じ意味です。
食育というと、食物アレルギーばかりが脚光を集めがちですが、その他のアレルギー性疾患は養護教諭も関与します。ここで住み分けや役割分担はしなくてもいいので、どっちがどう、ということではなく、お互いに十分対処法など理解するのが望ましいと思います。

  定義 頻度 原因 症状 備考
気管支ぜんそく 発作的に咳や喘鳴を伴う呼吸困難をくり返す 小学生6.8%(H16,文科省調査) ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、jふけ、カビ、花粉など。ストレスや気候、運動、感染など。 軽い咳、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーという)、呼吸困難など

管理不要の場合がある。
宿泊行事は慣れない行動が多くて疲れやすく、発作も置きやすいので十分配慮する。ハウスダストアレルギーの場合、古いたたみや布団の上げ下ろしでもアレルギーを誘発することがある。医療機関の確認も忘れずに行う。

アトピー性皮膚炎 かゆみのある湿疹が顔や関節などに多くでる 小学生6.3%(H16,文科省調査)軽症除く 体質+環境条件
ダニ、ペットの毛、食物、汗、プールの塩素、洗剤、シャンプーなどのほかストレスでも皮膚に悪影響がでる。
皮膚炎がでる。症状はいろいろだが、症状のコントロールは投薬で可能 室内はきれいに掃除し、換気する。
皮膚を清潔に保つ。発汗後や夏季の運動、プールなどの時には特に注意する。
アレルギー性結膜炎 目に入ったアレルゲンによりかゆみや涙目、目ヤニなどがでる 小学生3.5%(H16,文科省調査)実質10%前後 ハウスダスト、ダニ、ペットの毛のほか、花粉症と呼ばれる症状に含まれる場合がある。 目のかゆみ、異物感、めやに、充血など 目をこすったり叩いたりすると悪化するので要注意。アトピー性結膜炎や春季カタル、巨大乳頭結膜炎も含まれる。屋外活動時やプール時に要注意。
食物アレルギー・アナフィラキシー 特定の食品摂取でアレルギー反応がでる   鶏卵や乳製品が多いが甲殻類や果物(キウイ)も増えている。 蕁麻疹からアナフィラキシーショックまでいろいろ。食物アレルギー発症全体の10%がアナフィラキシーといわれる。 原因食品は明白なのでそれを除去する。給食や調理実習の際に配慮するが、食の個性のひとつとしてとらえ、特別扱いはしないのが原則である。
運動誘発性・食物依存性運動誘発アナフィラキシーに注意する。宿泊行事でも配慮が必要。
アレルギー性鼻炎 鼻からのアレルゲン混入に対してアレルギー反応がでる 小学生8.8%(H16,文科省調査)値は調査により異なる ハウスダストやダニが多いが、ペットやフケでも起きる。季節ごとに舞う花粉でも起きる。 くしゃみ、鼻水、鼻づまりがメイン 投薬により眠くなることがあるので注意する。交叉反応により野菜や果物の摂取でアレルギーを起こす場合がある。

参考文献:「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(平成20年、日本学校保健会)

口腔アレルギー(OAS:Oral Allergy Syndrome)

口腔アレルギーは、 原因物質や症状が多様でアナフィラキシーを起こす場合もあります。花粉症の原因物質(花粉アレルゲン)と食品の間で交叉反応(こうさはんのう)を示すようです。
交叉反応は、表の「シラカバ」と「リンゴ」で説明すると、シラカバ花粉に含まれているアレルゲンがバラ科のリンゴに含まれている抗原たんぱく質と構造が似ているので見分けられずにリンゴでも反応してしまう、という現象を指しています。
じゃあ、なんでリンゴ?・・・答えは植物の分類にあります。リンゴが属しているバラ科はバラ目、シラカバが属しているのは、ブナ目ブナ科。このブナ目とバラ目がともに「バラ類」に属するのです。それで、生合成経路なども類似していて、似たような構造のたんぱく質が入っているものと考えられています。 あ、「シラカバ」と「シラカンバ」は同じです。

=花粉症と交叉反応する食品の例=
花粉アレルゲンの例 交叉反応がみられる食品の例
樹木:シラカンバ、ハンノキ、ハシバミ リンゴ、イチゴ、ビワ、モモ、ナシなど(バラ科果物)、ニンジン、セロリ(セリ科植物)
ジャガイモ、トマト(ナス科植物)、クルミ、キウイ、ピーナッツ、マンゴーなど
スギ・ヒノキ トマト(ナス科植物)
イネ科植物:カモガヤ、オオガワガエリ ジャガイモ、ピーナッツ、セロリ、トマト、メロン、バナナ、オレンジ、
キク科植物:ブタクサ、ヨモギ、カモミール、 ニンジン、ズッキーニ、セロリ、パセリ、キュウリ、キウイ、クリ

※表にはありませんが、アボカドやイチヂク、パパイヤ、コショウでもOASが報告されています。
天然ゴム(ラテックス)のアレルギーの場合は、バナナやアボカドにもアレルギーを示すことがあります。 
※参考 資料:食物アレルギー診療ガイドライン2012(日本小児アレルギー学会)

=口腔アレルギーの症状=
■ 口(口の中、のど、唇、舌など)がかゆい・イガイガする・苦みを感じる・痛みを感じることもある
   

食物依存性運動誘発型アナフィラキシー

原因食物を摂取して2-3時間後に運動すると症状が出るアレルギーもあります。
場合によっては、小麦加水分解物が含まれた石鹸で皮膚を洗浄していたために、アレルギー体質であった場合には食物依存性運動誘発型アナフィラキシーになりやすくなっていた、という事例もあるようです。この石鹸は、現在では小麦分解物を使用していないので、少し前の石鹸、ということになります。
運動の程度は、軽いウォーキング程度でも症状がおきる場合もあるし、激しい運動でも症状がおきます。
原因食品は、小麦粉や卵の場合もあるし、エビやカニなどの場合もあります。
学校でも起きる確率は高いようです。
アナフィラキシー、というと、ソバやピーナッツが有名ですが、これらのアレルギーより、患者数の多い小麦や卵、乳製品の方がアナフィラキシーの発症数も多いといわれています。

=アレルギーに似た症状のもの=

先天的に特定の物質に対して、アレルギー反応と似たような反応(非免疫学的反応)を示すことがあります。主に酵素欠損による障害です。原因物質は多彩で、食品も原因物質になるので、混乱しやすいのですが、下記のようなものはアレルギーとは呼びません。

■ ヒスタミンによる食中毒

ヒスタミンは、上のイラストにも出てくる物質です。
体内で必須アミノ酸のヒスチジンから合成される他、食品中にも含まれています。イワシやサンマ、サバ、アジ、カツオなどはヒスチジン含有量が多いのですが、ヒスチジンが腐敗の過程でProteus morganiiや大腸菌、ウェルシュ菌などによりヒスタミンになるのです。結果的にそれらの食品にはヒスタミンが多い、ということになり、摂取によってアレルギー様症状を起こす可能性があります。ヒスタミンによる中毒は「食中毒」のカテゴリーに分類されています。
大人1人あたりで、22-320mgくらい摂取すると症状がでるようです。
摂取後10-60分でじんましんや紅疹などの症状がでますが、一般に一日で回復することが多いようです。
【ヒスタミンを多く含む食品】
・赤身魚や青身魚・・・マグロ、サバ、カツオ、アジ、サンマ、イワシなど
・甲殻類・・・エビやカニなど
・ソバ ・野菜類・・・トマト、ほうれん草、タケノコ、ナス、サトイモなど


ヒスタミンによる食中毒は腐敗の過程で起こるヒスタミンが原因なのですが、「毒」ではないので、ヒスタミン中毒になった経験があるから、というので、上記の食品を食べられないとは限りません。摂取時の体調によっても生体内の防御メカニズムの状況は変わります。体調の悪い時に、たまたま大量のヒスタミンを摂取すると発症しやすい・・・ということもあるようです。
【対策】
まずは体調をととのえましょう!「○○尽くし」のように、特定の食品を大量に摂取する場合は、特に体調に配慮した方がいいかもしれません。
次にできるだけ新鮮なものを食べるように心がけると良いと思います。

ヒスタミンによる中毒と似たものに、魚介類に含まれるトリメチルアミンによるもの、なすやトマトなどに含まれるアセチルコリンによるもの、きゅうりやいちご、メロンなどに含まれるサリチル酸化合物によるものなどがあります。

■ 乳糖不耐症

腸内に乳糖を分解する酵素を持たないため、乳糖を分解できないことが原因で、牛乳を飲むとおなかをこわすなどの症状がでることがあります。アジアには乳糖不耐症を持つ人の割合が多いといわれています。グラタンのように、牛乳を加熱した料理なら大丈夫、という人もいますが、どんな牛乳も受け付けない、という人もいます。乳糖不耐症用の牛乳も発売されていて、すでに乳糖が分解されているせいか、ほんのり甘いです。


食物アレルギーの表示:

現在、 食物アレルギーは子ども特有のもの、ではなく、大人でもアレルギーを持つ人が少なくありません。
また、重篤な場合は微量でもアナフィラキシーショックが起こる場合もあり、複数の食品でアレルギーが出る場合は摂取可能な食品がかなり制限されます。食品表示がなければ、いちいち聞くか問い合わせなければならない、というのも面倒です。
そこで、「アレルギー表示に関する食品衛生法施行細則および乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令が平成13年に公布されました。さらに、アレルギー物質を含む食品に関する表示に関する通知も出されています。
結果として、平成13年4月から、アレルギーに関する表示が行われるようになりました。
平成22年にはえびやかにが特定原材料になりました。これらのように、アレルギー表示は時代とともに変動する可能性があります。

小学校1年の場合、学校給食で多くの食品を食べることになります。多くの食品の「名前」と「外観」、「味」を結び付けて教えるのは重要なことですが、そこで初めて食物アレルギーであることが分かる場合があります。教員は、下記の食品にアレルギー症状がでやすいことに留意し、子どもの様子をみておきましょう。なお、「好き嫌い」と「アレルギー」は違います。嫌いだから食べないのか、アレルギーだから食べないのか、よく見極めてください。

=特定原材料=
省令により表示が義務化されているもの:
症例が多く重篤な症状を引き起こす場合がある
たまご(卵)、小麦、そば、らっかせい、乳(乳製品も含む) 、えび、かに

  ※ えびやかには、平成22年6月3日までに製造、加工又は輸入されるものについては、これまでどおり推奨表示として取り扱うことがで きるが、
可能な限り表示すること。

=特定原材料に準じるもの=
通知により表示が推奨されているもの
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、
大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、ごま、カシューナッツ

※ ゼラチンは豚や牛を原材料とする場合が多く、単独で扱うか、さらに牛肉や豚肉のような表示も必要なのかに関して現在議論が行われている。
※ ハムやソーセージなどの畜肉加工品は、豚肉などが使われるうえに小麦や卵などをつなぎに用いる場合が多い。家庭科の調理実習では生肉・生魚などを使えないために加工品を用いることもすくなくないが、何が入っているのか確認したうえで使用しなければならない。

※なお、1種類の特定原材料等を原材料中に重複している場合は、表示量が膨大になることもあるので、同一食品による複数の記載は無用である。また、紛らわしい方法も禁止されている。なお、卵を「玉子」と表記するなど、わかりやすくするための代替表記は認められている。さらに、「するめ」のように原材料が明白であるものは表示しなくてよい
※ アレルギーを誘発する総タンパク量: mg/ml程度・・・確実におこる   μg/ml程度・・・個人差あり   ng/ml・・・起こらないことの方が多い(表示の必要なし)
※ 鶏肉を用いた商品では、卵を使用していなくても卵のタンパク質が検出される場合がある。この場合、最終製品に卵を使用していなければ表示の義務はない。
※ 乳製品のうち、熟成チーズでは、ヒスタミン中毒が起こる場合がある。ヨーグルトは、カゼインを酸で凝固させたり液状に砕いたりしているため牛乳より低アレルゲン化していると考えられるが、ヨーグルトでアレルギーが起こらないとは言えないため、注意が必要である。


学校での対応:

文部科学省は、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を出しています。WEBで全文ダウンロードできますので、参考にしてください。
また、自治体が独自にガイドラインを出している場合もあります。その場合はそれにしたがってください。
アレルギー疾患は食物アレルギーばかりではありません。ハウスダストやペット、紫外線、化学物質(ホルムアルデヒドなど)、昆虫などいろいろです。

アレルギーは寛解することもあるし、新たに発症することもあります。

今、クラスにアレルギーの症状を持つ子どもがいないから、ケアをしなくていい、と安易に考えずに、教室などに対応マニュアルをわかりやすいよう貼り付けておくなどの配慮をしてください。

職員室にはアレルギー情報を含めた食育情報コーナーを設置し、いろいろな情報を養護教諭や栄養教諭にも提供してもらいましょう。
もし栄養教諭不在校なら、教育委員会に相談しても良いと思います。給食便りやそれにかかわること、近くのアレルギー専門医など、雑誌の切り抜きも含めて小さなことでもいのです。
こんなことがあった・・・という「ひやりはっと事例集」でもいいですね。

自分の専門教科でもないし、それどころじゃないくらい仕事が多くて、電話は多いし、授業研究もままならない・・・なのに、そこまで手が回らない、と思った先生。そのお気持ちもわかります。

そんな時は、時間の使い方を再度確認して、毎日10分、危機管理の勉強時間を作ってもらえませんか。アレルギーの絵本を読むところから始めれば10分でもできそうです。
あるいは、週に2回、職員会議の後で、持ち回りでこんな勉強をした、こんなことがあった、こんなネタをみつけた、など、10分で良いのでみなさんに紹介する時間を作りませんか。
いつも給食で卵除去のAちゃんがいるからこんな対応をしている・・・うん、それで十分です。

小さな積み重ねが危機管理のハードルを下げていくものと思います。自然に考えられるようになれば、アレルギー対応もそんなに難しいものではありません。
軽症の子どもも重症の子どもも、アレルゲンがたくさんある子も1つしかない子も、みんな同じです。
先生おひとりが頑張らなくていいので、保護者の方も、同僚の先生も、子どもたちも、地域の方々も、みんなで一緒に助け合えるところは助け合いましょう。

まずは、みんなで頑張れるように、自分も知識を仕入れておこう、というふうに考えてアレルゲンのことやアレルギーのことを覚えてください。
きっとマニュアル以上に役に立つと思います。

表1は、本研究室が加わったプロジェクトで2009年に調査した結果の一部です。

表1 主な食物アレルギー原因食品に対する小学校教員と養護教諭の認識の相違
食品名教員(n=479)養護教諭(n=61)
そば
93.7
98.4
鶏卵
92.9
98.4
えび
83.7
91.8
牛乳
82.5
93.4
落花生
74.5
98.4
パン(小麦粉)
55.9
90.2
豆腐(大豆)
31.1
49.2
バナナ
13.6
39.3
ジャガイモ
9.4
18.0


これをみると、 教員に関しては、加工食品の認識率が低いことがわかります。 → まずは食品に興味を持って、どんな食品が何からできているか、把握しましょう!
また、バナナやジャガイモといった OASの原因食品の認識率は低いこともわかります。  → OASについてもCHECK!

食物アレルギーは、アナフィラキシーが注目されやすいのですが、軽症でも辛い子どもはいるはずです。子どもたちが遠慮なく申し出られる環境を作るよう配慮しましょう。
遠慮せずに栄養教諭に聞いてみてください。きっと何でも教えてくれると思います。

小学校によって事情は異なりますが、アレルギーは病気ではありません。保護者と養護教諭(栄養教諭)、教員の連携で子どもを守っていきましょう。

=参考文献=
わかりやすいアレルギー・免疫学講義 扇元敬司著 講談社サイエンティフィク(2007)
最新食物アレルギー 中村晋、板倉洋治編 永井書店(2002)
食品衛生学(第3版) 一色賢司編 東京化学同人(2010)
食物アレルギーハンドブック 向山徳子監修 協和企画(2006)