気化熱について


 子どもの時、お風呂あがりに「はやく体拭かないと風邪引くよ。」と、言われます。確かにぬれたままでいると、どんどん体が冷えていきます。そんな経験をした人は多いでしょう。どうして寒くなるのでしょう?その原因こそが気化熱なのです。気化熱とは液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。液体が蒸発するためには熱が必要になります。その熱は液体が接しているものからうばって蒸発します。だから、体がぬれていると、表面の水滴が体温をうばって蒸発しようとするから寒くなるのです。

気化熱を利用したおもちゃ
〜水飲み鳥〜

 気化熱を利用したおもちゃに水飲み鳥というものがあります。水飲み鳥は頭をぬらすと気化熱が生じて動くおもちゃです。気化熱を利用しているので、温度の違いや湿度の違い、風を当てることで動くスピードが変化します。下のアニメーションでは水飲み鳥が動く仕組みを説明し、2つの写真はクリックするとビデオ映像(左は普通の状態、右はうちわであおいで風を当てた状態。スピードに違いがあります。)が見れるようになっています。
mizunomi mizu1
普通の状態
mizu2
うちわであおいでいる状態

身近な気化熱の利用

打ち水
 庭や家の前にまく水のことを打ち水といいます。夏場、道に水をまくと、少しすずしくなったような気がします。それは、まいた水が蒸発しようとするときに、ガンガンに熱せられたアスファルトから熱をうばってくれるからです。昔はクーラーなどの冷房機器がなかったから、いろいろ工夫をしていたのですね。

冷蔵庫
 冷蔵庫も気化熱を利用しているのです。
 冷媒(昔はフロンが使われていたがオゾン層を破壊するということで使ってはいけないことになった。その後、代替フロンと呼ばれるハイドロフルオロカーボンが使用されるようになったが、これも地球温暖化の原因となるので代替フロンに代わる冷媒が求められている。)を冷却器というところで液体から気体に変えます。そのときに周囲から気化熱をうばうことで冷気を作り出します。気体となった冷媒は今度、圧縮機(コンプレッサー)というところに送られ、圧力をかけられることで液体に変化します。このように冷媒が冷却器と圧縮機を行ったり来たりすることで冷蔵庫は冷えているのです。


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