大学院音楽教育専攻とは

 

大学院教育学研究科音楽教育専攻について

音楽教育専攻について、組織、特徴、修了生の進路の3つの視点から迫ります。

カリキュラムの特徴と開講科目一覧

独自のカリキュラムをご紹介します。

音楽教育のスーパー・プロフェッショナルを育てる

平成20年度からインターンシップ制度について紹介します。

最近の修士論文のテーマと修士演奏演目

平成20年度の修士論文のテーマと実技系コースの修士演奏演目をご紹介します。

 

 1 組織

 学部の上に大学院があります。大学院は、音楽教育の研究をさらに深めることを目的とする「音楽教育専攻」となります。その中に、声楽、器楽、作曲、音楽学、音楽科教育学という5つのコースがあります。受験生は音楽教育の研究をする上でどこに足場を置くのかということから、一つのコースを希望そて受験します。ただし受験科目はどのコースの受験科目を選んでも構いません。自分の得意な科目を選べます。合格者の定員はコースごとに決まっているのではなく、全体として12名(定員)です。

 2 特徴

 試験の特徴としては、どのコースでも音楽教育についての関心が注目されます。そこが音楽大学の大学院と異なるところでしょう。たとえば、器楽コースでピアノ演奏を深めることは、演奏家になるためではなく、ピアノ演奏に取り組むことを通して、音楽表現とはどういうことなのかを身をもって考えることです。それは子どもを指導するときの目標や内容や方法や教材を創出することにつながります。
 したがって演奏・作曲コースの院生も、終了の演奏・作品を公開発表の場をもつと同時に、修士論文は音楽教育についての論文を書きます。現実に、ピアノ講師の就職試験に当たっても、本大学院の修了生はピアノ演奏に卓越しているだけでなく、論文を書いているということが注目されています。指導をする立場にたつときに、やはり教育についての見識を持っていることが求められる時代になってきています。

 3 修了生の進路

 修了後は、教師になる人が多いです。最近とくに中・高学校の教員採用試験における面接では、大学院修了程度の専門性があると受け答えが充実することがあり、競争率の高い区域でも合格していっています。また、他方では修士論文でのテーマをさらに掘り下げて研究したいという院生もおり、他大学の博士課程に進む場合もあります。教師になった人も授業実践をしながらそれを対象として研究し、修了後も論文を書いて研究を続けていく院生が多いのが特徴です。そこから教員養成大学の教員になった人も何人か出てきています。

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大学院音楽教育専攻のカリキュラムの特徴

 音楽教育専攻は、学校教育をはじめとする、音楽の教育に関わる場でのリーダー的人材の育成を目的としています。そのため、大学で音楽や音楽教育の勉学を積んだ人、あるいは一度社会に出て音楽教育の経験を積んだ人が、さらにその勉学・研究を深めたり、あらたな視点から探究したりすることができるようなカリキュラムを設けています。カリキュラムは、各コースの独自の内容と、音楽教育専攻としてコースの枠を超えた内容との両面を学ぶため、以下のような《専門科目》および《専攻共通科目》の2本柱により構成されています。

《専門科目》

 専門科目は、各コース固有の研究内容を探究するものです。
 声楽、器楽、作曲の各コースについては2年間にわたり、院生個々人の研究テーマに沿って継続的に研究できるように、演奏研究、作曲研究、指揮法研究が各々I~IVとして配され、さらに応用的・発展的・理論的な探究ができる科目を置いています。
 音楽学、音楽科教育学の両コースについては、院生個々人の研究テーマに沿った研究ができる内容と、各コースの研究対象を幅広く捉えることのできる内容により構成しています。
 また、音楽教育専攻という立場から、「音楽教育原論I・II」「音楽教育学演習I・II」の音楽教育関係科目が必修であり、全員が共に音楽教育について学び考える場となっています。

《専攻共通科目》

 専攻共通科目は、コースを超えて学び合うもので、以下の2種があります。
①音楽表現関係科目(音楽表現過程論、音楽表現内容論、音楽表現総合演習)
 音楽表現の諸相に接近するもので、表現についてその内容と表現
を生み出す過程を探究したり、またコースを超えた、あるいは音楽以外の表現媒体も射程に入れた表現の演習を試み、その成果を定期演奏会などで発表します。
②修士論文作成関係科目(課題研究I・II)
 院生個々の修士論文のテーマに即して指導を行います。

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「音楽科教育実践総合プログラム」の概要

本音楽教育専攻では、2009年度より「音楽科教育実践総合プログラム」を始めました。それは、学校教育全般の実践的な場面に適切に対応できるような、総合的な音楽実践力と教育実践力を併せ持った教員を養成することを目指すものです。

<プログラムの特徴>

  • 演奏実践に関しては、複数の種類にわたる音楽実技の授業科目を受講することができます。(1回生 音楽表現総合演習I・II)
  • 教育実践に関しては、インターンシップを核として教育の現場と結びついた教科教育の科目を受講することができます。(1回生 音楽科教育総合実践学演習I・II、2回生 音楽科教育総合実践学演習III・IV)
  • 修士論文はインターンシップに基づく実践研究を内容とします。

<実践研究の範囲>

音楽の授業を核として、幅広い学校教育の範囲を実践研究の対象とします。
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<質問>

Q. 「音楽科教育実践総合プログラム」を選択する場合、特別な入学試験を受けるのですか?

A. 特別な試験はありません。通常のように自分の得意な受験科目で受験します。入学後のガイダンスにより、まずコースを選択し、そのうえで「音楽科教育実践総合プログラム」を希望する場合はそのプログラムにそって履修をすることになります。


Q. 「音楽科教育実践総合プログラム」は「音楽科教育学コース」とどう違うのですか?

A. 「音楽科教育学コース」は、音楽科の授業を中心とする音楽教育の範囲で音楽教育実践学を深く研究します。「音楽科教育実践総合プログラム」では、音楽科の授業を中心として、学校教育課程全般、学級・学校運営について幅広く実践的に研究します。

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平成20年度 修士論文テーマ

《声楽コース》

  • 演奏表現の技能を高める技術指導のあり方 ー実践から見る指導法の考察ー
  • 「歌いつがれるうた」に関する考察 ー「日本の歌百選」の分析をもとにー
  • 小学校音楽科のヴォーカル・アンサンブルにおける個と個の関わり

《器楽コース》

  • 自己表現を目指す音楽授業におけるボディパーカッションの有効性 ー生成の原理に着目してー
  • イメージ形成の過程から見る図形楽譜の教育的意義

《音楽学コース》

  • 吹奏楽の歴史と現在 ー指導の現場からー

《音楽科教育学コース》

  • 幼少連携における幼稚園での「表現領域(音楽)」の指導のあり方

ー連携公園の実践の分析を通してー

  • 音楽の学習意欲を高める指導法の開発 ー教材のデジタル化に着目してー
  • 義務教育9年間を見通した音楽科における指導のあり方

ー学習指導要領および小中一貫校での実践の分析を通してー

平成20年度 修士演奏曲目

《声楽コース》

  • 高みから吹く風のように(N. リムスキー=コルサコフ)
  • 私は悲しい恋をした(S. ラフマニノフ)
  • 夢(S. ラフマニノフ)
  • あなたがそばにいたら(J. S. バッハ)
  • 河にて(A. コープランド)
  • 万霊節(R. シュトラウス)
  • 牧歌(I. ストラヴィンスキー)
  • 夏の歌い手交代(G. マーラー)
  • なにも(R. シュトラウス)
  • もはや心に感じられない(J. パイジェッロ)
  • わたしのばら(R. シューマン)
  • ツェツィーリエ(R. シュトラウス)
  • 桐の花(中田喜直)
  • 歌劇『フィガロの結婚』より「恋人よ早くここへ」(W. A. モーツァルト)
  • 歌劇『清教徒』より「あなたの優しい声が」(V. ベッリーニ)
  • サリーガーデンのほとりで(B. ブリテン)
  • 『女の愛と生涯 作品42』(R. シューマン)

《器楽コース》

  • スペイン狂詩曲(F. リスト)
  • ピアノソナタ BB.88(B. バルトーク)

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