中学、高等学校理科教員のための科学機器研修会・ご案内

テキスト ボックス: 主催: 大阪教育大学(文科省SPP事業)
連携教育委員会: 大阪府教育委員会、兵庫県教育委員会
日時: 平成17年12月3日(土)
12時30分から17時まで
集合場所: 大阪教育大学柏原キャンパス・
教養学科第二会議室(B3棟1F)
近鉄大阪線・大阪教育大前駅下車
1.	地図はこちら
参加料: 無料
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


趣旨: 本学には普段、中学校、高等学校では使わない科学機器や実験装置があります。

   これらの装置を使って中高の先生方の知識をブラッシュ・アップしていただくとともに、

   大学の教員と中高の先生方の意見交換を図ることにより理科教育に対する現代的な

   課題の解決に共同して取り組む機会を作っていきたいと思います。

 

 

 

研修方法: 1時間の全体講習会の後、1テーマ1.5時間の少人数講習を連続して2回開きます。

 

研修希望の先生方は、下の17のテーマの中から二つを選び、お申込下さい。

 

申込方法: mailto:asaka@cc.osaka-kyoiku.ac.jp までご希望の研修テーマ番号をお知らせ下さい。 

 

1テーマ4、5名までで、先着順とさせて頂きます。

 

 

 


プログラム

★全体講演 「手作り分光器の製作とスペクトルの観察」12:30〜13:30)     任田康夫

 科学機器は年々複雑化していますが、理科教員にとって、その原理を理解することこそ何よりも

重要です。そこで、最新の科学機器類を体験する前に、簡単な分光器を自作し、その感度と精度が

反比例することを体感してして頂きます。また、簡単な手作り分光分析から得られる多様な知見に

ついて分かりやすく解説します。

 

★選択研修(前半13:45〜15:15、後半15:30〜17:00、下記の17テーマより2つを選択)

選択研修テーマ: 

(物理及び物理化学分野)

1 ナノサイエンス入門・有機薄膜の吸収スペクトルと膜厚測定

 

辻岡 強

 

 膜厚が数十nmの有機色素薄膜は、最新の携帯電話用有機ELディスプレイや高密度記憶媒体などに

 

使われています。この研修では、有機薄膜の吸収スペクトルと膜厚を、分光光度計及び干渉顕微鏡に

 

よる多重反射干渉法によりそれぞれ測定し、薄膜の光学特性に関する理解を深めます。

(このテーマは装置の都合により本年度実施不能となりました。あしからずご了承下さい(10月12日))

 

 

 

2 サイクリック・ボルタンメトリーによる金属錯体の酸化還元特性

 

横井邦彦

 

 以前はこの様な解析に、滴下水銀電極が使われていました。近年の科学の進歩により、有害な水銀を

 

使わない、かつ、高感度の分析法が発展しました。本講ではグラッシーカーボン電極を作用電極とした

 

最新のサイクリック・ボルタンメトリーについて説明します。

 

 

3 FT−IRの原理と温暖化ガスの測定

 

任田康夫

 

 赤外吸収スペクトルは分子の振動に関する情報を与えます。この原理を説明するとともに、

 

地球温暖化の原因となっているのは大気中の二酸化炭素を始めとする温暖化ガスの

 

赤外線吸収とはどのようなものか、IR(赤外線吸収)スペクトルを実際に測定することにより説明します。

 

また、薄膜や固体試料の測定方法についても説明します。

 

 

4 単結晶X線解析装置による分子の構造解析

 

久保埜公二

 

 結晶性粉末のX線回折によっても分子構造に関する情報が得られますが、単結晶のX線回折からは

 

その数千倍の情報が取り出せ、複雑な分子構造まで決定できます。この研修では表記の装置の

 

原理と実際の解析方法について分かりやすく解説します。

 

 

5 粉末X線回析測定による結晶性物質の分析法

 

神鳥和彦

 

 結晶性固体粉末のX線回析により、その物質の原子配列の3次元的情報が得られます。この方法は

 

物質の非破壊的な分析方法としてたいへん優れています。本方法の原理と測定によって得られる

 

情報の読み方について説明します。

 

 

(化学分野)

6 MRI診断技術を用いて有機化合物の構造を知る             西脇永敏

 

 MRI診断技術は医療現場で幅広く使われていますが、これは核磁気共鳴装置(NMR)の技術を応用

したものです。ここではNMRの原理を簡単に説明し、それにより有機化合物の構造がどのように決定

されるかを、実際に測定をしながら、わかりやすく解説していきます。

 なお、使用するFT−NMRは超伝導マグネットを使用した400MHzの装置です。

 

 

7

磁場型質量分析装置による分子量測定

谷 敬太

 

 

 現在、有機化合物の質量測定で最も信頼性の高い方法は磁場型質量分析計によってなされて

 

います。本学に設置されている装置を使い、受講生に実際の測定を見せながら、この機器の原理、

 

および得られる情報について解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8

CHN元素分析の測定原理と実際

安積 典子

 

 高校の教科書の元素分析の説明は、資料から発生した水と二酸化炭素の質量を測定すると説明して

 

います。しかし、ここ数十年、研究現場での元素分析は、燃焼ガスの組成を、気体の熱伝導度の差から

 

求めています。このような新しい元素分析の実際について機器を用いて説明します。

 

 9

高速液体クロマトグラフィーによる光学活性化合物の分析

堀 一繁

 

 

 光学異性体は鏡像異性体とも言われていますが、ほとんどの物理的、化学的性質が完全に同じで、

 

その分離が困難とされています。しかし、近年、充填剤に光学活性物質を使った高速液体クロマト

 

グラフィーでは、それらの分離が可能となってきました。また、光学活性物質の旋光度を

 

 

自動旋光度計を用いて測定してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10

分光器を使った生体色素のpKaの測定

石橋 文秀

 

 物質の酸性度を測る有効な手段として、可視・紫外吸収スペクトルを用いる方法があります。この

 

実験により、受講者が物質と光との基本的な相互作用である物質濃度と吸光度との関係、および、

 

平衡の基本概念である質量作用の法則を体験的に理解することを目標としています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11

アゾ色素の合成と色調に及ぼす置換基効果

織田 博則

 

 現在、合成色素はその堅牢性や機能性で天然色素に取って換わる重要なものとなっています。

 

本研修では基本的な酸性染料であるオレンジTおよびUの合成を行い、分光学的に

 

その性質を検討します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(生物分野)

 

 

 

 

 

 

 

 

12

走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた生物試料の観察

出野 卓也

 

 光学顕微鏡は中高の教育現場に広く普及しているがSEMはあまり知られていません。そこで、

 

このための試料の調整法(金属蒸着)と観察を行い、光学顕微鏡では得られない、SEM特有の

 

 

情報について、受講生に知見を広げていただくようにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13

FISH法による遺伝子の可視化

向井 康比己

 

 特定の遺伝子(DNA)上に標識物質(ハプテン)で標識し、それに対する

 

 

蛍光色素標識抗体を用いて可視化する技術がFISH法です。

 

 

最新の多色FISH法について紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

14 分光光度計を用いたたんぱく質濃度の測定              鵜沢武俊

 生体内でタンパク質は反応を進める触媒、細胞構造の維持、情報の伝達など生体の機能の中で

重要な役割を果たしています。この研修では、代表的なタンパク質濃度の測定法を用いて、試料中の

タンパク質の濃度を分光光度計を用いて測定することを行います。

 

15 植物プランクトンのクロロフィルaの定量(分光光度計,蛍光光度計) 広谷博史

 植物プランクトン量は水環境の富栄養化状態の目安となるものです。この研修では水試料の

植物プランクトン量を測定し,水環境の評価方法について理解を深めます。

 

(地学分野)

16 光る泥だんごに含まれる粘土鉱物のX線分析                       山口弘

 「光る泥だんご」は幼稚園児が作り方を見出し、その魅惑的な光沢が多くの人の注目を集めたもの

です。本講師の山口は粉末X線回析装置を使いその謎を解き明かした。粉末X線回析装置の原理と

使用法を説明するのに最適の教材であるので、ここに取り上げます。

 

 

 

17 小型天体望遠鏡の仕組みと操作法                   定金晃三

 現在の中学、高校には必ず、小型望遠鏡が設置されていますが、これを適切に操作して、観測したい

天体を自信を持って観測できる教員はほとんどいないのが現状です。研修は日中に行いますが、望遠鏡

の基本操作について、望む方角にある天体(物体)の観測の方法について具体的に指導します。

 

 

科学機器共同利用センタートップに戻る

 

大阪教育大学トップページに戻る