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表紙だよ

森 実



■プロフィール
◆氏名

森 実 (もり みのる)

◆肩書き

教授

◆部屋番号
C5−106
◆電話番号
0729-78-3817
◆FAX
0729-78-3817
◆E-mailアドレス

◆mmforest@mtc.biglobe.ne.jp
◆minoru@ikoma.cc.osaka-kyoiku.ac.jp

◆研究のテーマや興味

 1984年に着任して以来、本学で同和教育や部落問題の授業を担当しています。おもな関心は、部落問題をはじめ、さまざまな社会的・政治的な課題を個々人が自らの問題として考えるようになるプロセスにあります。学生時代以来、部落問題や障害者問題、被爆二世の問題、女性差別などで、差別と自分との関わりを考えてきました。その延長線上に最近関心を持ち、考えようとしているのは、次の5つです。2002年度より、国際人権論や人権教育論の授業も担当することになりました。

1.同和教育
 同和教育の実践は数多くの財産を持ち、世界に発信できる内容も豊かに蓄えています。それを整理し、わかりやすく表現できないかというのが最大の問題意識です。もちろん、それをさらに発展させられないだろうかとも考えています。
 これは、学生時代に他の友人たちと一緒に書いた『「同和」教育論ノート』(元木健・村越末男編、1980年、解放出版社)以来、一貫した問題意識です。その後、1987年に出した『同和教育の理論』(中尾健次と共編、1987年、東信堂)では、内的葛藤論という枠組みを提案しました。ほとんどの人間の意識には、「差別はいけない」と差別を否定する意識と、「差別もやむをえない(差別するのが快感だ)」という差別を肯定する意識が同居している。これにうまく働きかけ、発展させることによって、さまざまな課題を自分に引きつけて捉え、行動力を培っていくことができる。このような考え方です。
 この問題意識を発展させて、1993年に出した『「教室の人権教育」何が実践課題か』(1993年、明治図書)では、説教型・生い立ち共感型・冒険新型という三つを析出し、内的葛藤論に基づく生い立ち共感型教育の整理と冒険心型教育を提唱しました。今後の方向性として、冒険心を培うような実践の必要性と可能性を述べました。また、同じ1993年には、『知っていますか? 同和教育1問1答』を執筆させていただきました。この仕事は、他の方に原稿をチェックしてもらいながらの作業となり、深まりのある活動となりました。
 一方で1983年以後、部落の子どもたちの学力問題を検討するため、部落や部落の子どもたちが通う学校への参与観察調査を進めてきました。その延長線上に、1985年には大阪府内8400人を対象とする学力生活実態調査を行いました。
2.人権教育
 私自身は、同和教育が終始問題意識の中心でしたが、関わった仕事のタイトルという意味では、人権教育を名称とするものが多くありました。私が同和教育運動と出会ってきた一つの時代を象徴しているのかもしれません。たとえば、三重県で使われている『人権教育読本せいかつ』(解放教育研究所編、1987−1989年、明治図書)の編集があります。他の人たちとともに、小・中学校9年間の読本を発行するのに、1985年頃から1990年頃までかかりました。とても面白い仕事でした。その後の人権教育をめぐる動きを先取りしていた面があったといまでも思います。
 国際連合が1995年から2004年までを「人権教育のための国連10年」と定めて活動を進めています。人権教育に関心を寄せる人たちが国際的なメイリングリストをつくり、情報を交換しあっています。政府が同和教育を人権教育へと再編すると言い始めて、同和教育に取り組んできた人たちからは、危惧も表明されています。私自身も、人権教育の推進が同和教育の発展にもつながるように期待したいところです。この方面では、『知っていますか? 人権教育1問1答』(解放出版社)という本を2000年11月に発行しました。皆さんの感じている疑問に少しでも答える本になっていれば幸いです。
 日本社会で「人権」というと、どこか身近に感じにくいといわれます。アジア太平洋人権情報センター編集発行の『人権教育への提案−義理・人情から人権へ』(2001年)では、権力関係と義理・人情という概念を手がかりに、なぜそうなっているのか、生活に定着するようになるにはなにが必要か、といったことを考えました。
3.参加型学習
 Participatory Methodology、Participatory Learning、Active Learningといった英語が参加型学習と訳されてきました。私自身は国際的な成人教育などの研究集会に参加して、そこでとられている方法論のことをParticipatory Methodologyと学んだのが出発点です。そこで学んだ参加型とは、要するに、会議の運営に関する考え方と方法論のことだったのです。
 たとえば、3日程度の研究集会があったら、まず最初には来賓あいさつなど堅苦しいことはしない。お互い4人ぐらいの少人数に分かれて自己紹介をしあう。お互いの関心事を出し合って、ふさわしい人を知っていたら紹介してあげる。また、紹介しあった内容を模造紙に書いて張り出し、みんなで見て回って、お互いの関心を知り合う。こんな風に始めれば、研究集会が人と人とをつなぐ場所として発展していきます。
 このように、参加型の研究集会とは、人と人とがつながり、問題意識を発展させていけるような研究集会のことです。研究集会のあり方だけではなく、運動のあり方全体がお互いの問題意識や体験を出し合いながら広がっていくようなものになっていくことをねらった概念です。
 参加型学習を通していろいろな人との結びつきは、開発教育や環境教育、国際教育や地球市民教育の領域へと広がりました。特に地球市民教育センターへの関わりは、私にとって大きな意味を持ちました。参加型学習については、『いま人権教育が変わる−国連人権教育10年の可能性』(人権ブックレット49)や『参加型学習がひらく未来−「人権教育10年」と同和教育』(人権ブックレット54)などで論じています。
4.識字・日本語学習
 1985年以来、地元の識字学級に通っています。たまたま関わるようになったのですが、いまから考えると識字に関わる経験は、とても大きな財産を私に与えてくれました。まず、暮らしの中での財産に加えて、研究や教育に関わっては、世界の識字運動、参加型学習、人権教育、後で述べる子ども買春問題への関わり、などなど、いずれをとってもわたしにとっての1990年代は、識字との関わりを抜きに語れません。
 1990年に「国際識字年」があり、その後「国際識字の10年」の活動が進められました。この過程で、部落の識字運動だけではなく、夜間中学校の運動、障害者の識字運動、外国からの帰国者・渡日者との日本語学習など、隣接する識字・日本語活動に接するようになりました。この方面での成果は、大阪市地域日本語教育推進委員会編『多文化・多民族共生社会における地域識字・日本語学習活動』(大阪市教育委員会社会教育課、2000年)に示されています。
 「国際識字年推進大阪連絡会」には、1989年の発足から関わってきました。2002年5月をもって同連絡会は「識字・日本語連絡会」と名称を変更し、21世紀のさらなる展開をめざしています。私は、同連絡会の副代表をしています。
5.エクパットキャンペーン
 エクパットというのは、もともとEnd Child Prostitution in Asian Tourism、つまり「アジア観光の中で生じている子ども買春を終わらせよう」という意味の頭文字ECPATからきています。1991年にフィリピンに出かけたことがきっかけとなってこのキャンペーンに関わるようになりました。現在では、エクパットジャパン関西という団体に参加しています。私が関わるようになったいきさつや現在の課題については、『約束を果たすために』(エクパットジャパン関西編集発行、2000年)に書いています。市販はしていませんので、関心がある方は、下記のエクパット関西事務所までご連絡下さい。1390円(郵送料込み)でお送りさせていただきます。
 2001年12月17−20日に、横浜で日本政府・ユニセフ・国際エクパットの共催により「第2回子どもの商業的性搾取に反対する世界会議」が開かれました。会議後、日本の法律改正に関わる動きも活発化しています。この動きにもご注目下さい。

エクパットジャパン関西のホームページ
  http://homepage3.nifty.com/ecpat/

◆主な研究業績
<著書>
『「教室の人権教育」何が実践課題か』明治図書、1993年
 従来の人権教育から説教型・生い立ち共感型・冒険新型という三つを析出し、内的葛藤論に基づく生い立ち共感型教育の整理と冒険心型教育を提唱。

『いま人権教育が変わる−国連人権教育10年の可能性』解放出版社、1995年
 国連が前年に提唱した「人権教育のための国連10年」(1995-2005年)を紹介するとともに、参加型学習の意義を分析。

『参加型学習がひらく未来−「人権教育10年」と同和教育』解放出版社、1998年
参加型学習を「参加型民主主義をめざす教育思想とそれに裏付けられた教育方法」と定義し、同和教育と人権教育の関係、カリキュラム論、プログラム開発論、ファシリテイター論などを述べる。

<分担執筆>
元木健・村越末男編 1980年
『「同和」教育論ノート』解放出版社
 大阪大学における同和教育論の受講生とともに、同和教育の歴史・原則・方法論・課題などを整理。(元木健・村越末男編:得永直樹、藤本憲一、他18人著)。「戦後『同和』教育の歴史」(42-88頁)、「アメリカ合衆国における人種差別と教育」(315-335頁)を担当。

中尾健次・森 実共編、中野陸夫監修 1987年
『同和教育の理論』東信堂
 同和教育の歴史、人権意識の形成、強化における同和教育、同和教育の地域的形成、同和教育の課題をまとめる。「人権意識の形成と教育の課題」(78-119頁)を担当。

長尾彰夫・池田寛編 1990年
『学校文化』東信堂
 欧米における学校論を参考に、日本における学校文化を分析。「社会的立場の自覚と学校」(193-218頁)を担当。

部落解放・人権研究所編 1990年
『大阪発解放教育の展望』解放出版社
 大阪における部落解放をめざす教育をふりかえり、現在における課題を整理。「解放教育におけるカリキュラム創造の課題」(58-81頁)を担当。

<学術論文>
「部落における識字活動を組織化する視点」 1990年10月
日本社会教育学会編
『現代的人権と社会教育−日本の社会教育第34集』 東洋館出版 79-88頁。
 部落における識字活動の性格を「補償」と「解放」という側面から捉え、両者の統合を通じて活動が発展していくことを整理。

「リテラシー研究の動向と課題」 1991年9月
日本社会教育学会編
『国際識字年と日本の識字問題−日本の社会教育第35集』 東洋館出版 38-48頁。
 世界におけるリテラシー研究を幅広く整理し、日本における識字研究の課題を示唆。

「解放教育の展望をめぐって」 1994年6月
部落解放研究所紀要
『部落解放研究』 第98号 119-132頁
 いわゆる福祉国家論からNPOに依拠しつつ進められる社会や教育の在り方への変化を整理し、今後の解放教育のあり方を提言。

「多民族社会<大阪>における識字調査の課題」 1995年9月
日本社会教育学会編
『多文化・民族共生社会と生涯学習−日本の社会教育第39集』 東洋館出版 192-201頁。
 1990年以来、大阪で取り組まれてきた部落の識字・夜間中学・渡日外国人の日本語学習などの交流と、その中から生まれてきた識字調査の結果報告とともに今後の具体的方向性を示唆。

「ワークショップ−ネットワーキング時代の学習論」(花立都世司と共同執筆)
1997年10月
日本社会教育学会編
『ボランティア・ネットワーキング−日本の社会教育第41集』 東洋館出版 47-63頁。
 参加型学習やワークショップと呼ばれる学習活動のスタイルについて、その意義をなどを整理。

<調査報告>
学力総合実態調査実行委員会編 1986年
『学力と生活の向上をめざして−1985年被差別部落の子どもの学力総合実態調査報告』
 部落差別に関わる低学力問題の解明と克服の視点を追究するべく、大阪府内の約6800人の小・中・高校生を対象に、学習理解度と生活実態や意識をクロスさせた調査。部落の子どもたちの学習理解度が、改装要因とは独自な部落差別の影響に左右されていることを示すとともに、自学自習に焦点を合わせた教育実践の必要性を提唱。(第1編第2章、第3編第1章を担当)

「部落問題に関する大阪教育大学生の意識調査報告」(大阪教育大学教育学部付属教育実践研究指導センター『大阪教育大学教育実践研究』創刊号、1992年、1-93頁所収)
 内的葛藤論を基本的仮説として、大阪教育大学の学生約840人を対象に行った調査報告。自分に差別意識を感じることがあるか、内的葛藤を見つめようとするか、といった項目を基礎に回答者をグループ分けし、回答の傾向を分析した。まとめとして、今後の部落問題学習のあり方として、次の6点を提案している。�―⊃Δ箏觝Г世韻任覆�もっと身近なところに引きつけて学習する。�∈絞未班郎い琉�循環をていねいに押さえる。��戦後の運動と結びつけて同和事業の意義を整理する。�た祐屬龍軌蕾椎柔�に対する信頼をはぐくむ。�ゼ匆餽渋い箘媼厩渋い粒惱�を位置づける。�ζ眦�葛藤の自覚状況に応じて学習をくむ。

定住外国人問題研究会編 1994年
『定住外国人に関する意識調査』(大阪府企画調整部国際室人権平和室発刊)
 定住外国人の、家庭・民族的アイデンティティ・教育歴・教育達成・職業などをインタビュー調査によって分析。1世から3・4世へと世代が下るにつれて、アイデンティティが多様になり、それを踏まえた教育などの政策が求められていることを提言。(「�原軌蘆�成−識字と学力をめぐって」を担当)

◆学歴
1984年 大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学
◆職歴
1984年より本学に赴任 現在に至る


Copyright (C) 2002 Center for Applied Research in Education
HTML written by Michiyo Hamada