2学期は平野地区の担当です。


養護学校   幼稚園   小学校   中学校   高等学校平野校舎


附属養護学校の取り組み
 今年度の附属養護学校でのネットワークを使った取り組、研究には主に次のようなものがあげられます。

・「知的障害を支援する、パーソナルコンピュータの活用に関する研究(知的障害者のコミュニケーションの拡大を目指して)」平成11年度松下視聴覚教育研究助成
・「インターネットを使ったコラボレーションによる創作ダンスー踊るこらぼー」Eスクエアプロジェクト平成11年度学校企画
どの取り組みも、現在進行中ですが、今回は「踊るこらぼ」について簡単に報告させ
ていただきます。

「踊るこらぼ」の取り組みについて

1、期間  1999年4月〜3月
2、場所  本校、及びネットワーク上「こらぼ」の会議室
3、対象  大阪教育大学教育学部附属養護学校 中学部17名 高等部21名
       大阪教育大学教育学部附属天王寺中学校
         3年生選択教科技術履修生18名
4、対象教科 
    本校「運動」週1時間 サークル活動月2回 生活単元学習「ふようまつり」
    中学校 選択教科「技術」週1回土曜日1、2限目 3、4限目
5、ねらい
  ・活動を通じてノーマライゼーションの考えを共に深め合う。
  ・コラボレーションの教育的意義を明らかにする。
  ・養護学校の行事「ふようまつり」での演技種目を
   附属天王寺中学校の生徒とネットワークを使ってコラボレーションし完成させる。
6、指導方法
 ・ 附属養護動き作り開始 4/19, 26  5/10, 17, 24  6/7, 8, 14  9/27  10/4
                         

月曜日「運動」の授業
 ・ ビデオやホームページを利用して相手校の様子を調べる。中学生は障害を受けている子の基本的な理解のために調べ学習を自校で行なうここで各自マインドマップを書く。5/15(土)
 ・ 養護学校を訪問1回目。中学生は学校見学後、養護学校のこらぼ交流教育担当者と意見質問等を交換する。以後ネットワーク上の「こらぼ質問箱」にておこなう。
(障害を受けている子の基本的な理解のために。)中学生パソコンサークルに参加。養護学校生が中学生にメールの送受信の方法とお絵書きソフトキッドピックスを教える。6/5、19(土)
 ・ それぞれの学校でテーマに沿って考える。思いついたら、どんどんメール等で提案して行く、伝達方法の技術面は、教師が一部援助する。生徒は、アイデア(衣装、大道具等)各自の興味あるところからok11「こらぼ」の部屋に出していく。
 ・ 表現担当の教師が援助しながら、それぞれのアイデアをやり取りしてまとめていく。
 ・ アイデアがまとまってきたところから。実際に養護学校の生徒が表現していくビデオを送るかテレビ会議で送る。
 ・ 衣装、大道具など、メディア上でのアイデアをまとめ中学生が作成する。
   テレビ会議、メール等を使って制作の様子や意見交換する、 
 ・ 仕上げの段階に中学生も参加して養護学校で作品を完成させる。10/2(土)
 ・ 「ふようまつり」にて発表する。    10/17(日)
 ・ 感想の交換、テレビ会議メール。
 ・ 中学生に再度マインドマップ。養護学校生にマインドマップまたは感想文。
   *生徒から生じた疑問は、各担当者がメール等で受けサポートする。

以上のような計画で実施いたしました。
メールの交換では、友達について語り合うことができました。本校の生徒が友達について、こんな考えをもっていたのかと、感心することもありました。詳しい内容や結果については、今年度末におこなわれる11校プロジェクト成果発表会にて報告させていただきます。


◆平野小学校の取り組み
 今年度より、5年2組と6年2組の学級教室、及び図書室に新しいパソコンが1台ずつ導入されました。学級教室では、休み時間に児童が自由に利用してよいことにしています。これまでは、児童が利用できるパソコンは、パソコンルームにある20台のみでした。それが、わざわざパソコンルームに行かなくても、学級教室でパソコンが利用できるとあって、子どもたちは大喜びでした。ただし、「何をしても自由」というわけにはいきません。利用にあたって、学年の児童で話し合いました。そして、利用上の約束として、次のようなことを決めました。
・インターネットでの情報検索とメディアキッズをするときに利用する。
・意図的に不適切なホームページへ行かない。
 この2つの約束で、教室での利用が始まりました。休み時間になると、数人の児童がパソコンの前に集まります。特にもめることもなく、譲り合って利用しています。
普段は自分が興味を持っている分野で、スポーツや芸能関係のホームページを見ることが多いですが、学習に関連するページを自主的に探す姿もよく見られます。本校の6年は「OK11News第1号」にもあるように、オーストラリアのマニングハムパーク小学校と交流しています。その中で、日本のことを紹介するための資料検索に利用したり、オーストラリアについて調べたりもしています。
 教室にパソコンがやってきて、教師も児童も、生活空間にパソコンがあることの便利さを実感しています。全教室へのパソコンの設置を願っています。


幼児の生活に根づくコンピュータ     附属幼稚園   赤崎節子

 「幼児の保育環境として、情報教育のあり方を考える」を研究テーマに3年間の研究をひとまず終え、本園の紀要11、12、13としてまとめをした。この研究を通して、幼児が平素の環境とかかわる中での「情報」を再発見・再認識するとともに、保育環境の一つとしてのコンピュータを取り入れるにあたっての当初の懸念は、実態を見つめる中で少しずつ解消し、納得できるものとなっていった。また、教師が試行錯誤しながらもコンピュータを仕事に取り入れていったことも大きな収穫かもしれない。
 その後研究テーマが変わっても、生活環境の一つとしてのコンピュータの存在は以前と変わらず、幼児は登園するや興味のある子どもが自然にコンピュータにかかわっていく。参観者からも「いいですね、生活の中にパソコンが自然に溶け込んでいますね。」「一人の子どもがパソコンばかりしているのではなくて、いろいろな遊びもしていますね。」「そばにいる子ども同士で教え合いをしながら人とのかかわりも十分生まれていますね 。」との声があがり、コンピュータが生活に根付いてきていることを物語っている。
 最近の生活から2つの姿を簡単に述べてみる。


 (1)生活の積み重ねの中で
 昨年度の5歳児は進級すると、絵をかくソフトを使って自分の目印となるマイシールをつくった。道具の一つ「スタンプ」の図柄の色や形を少し変えることを楽しむ子どももいれば、全くつくり変えていく子どももいた。そしてできた図柄をそのまま保存しておき、いつでもだれでもそれを使って遊べるようにしてあった。
 今年度になって5歳児は、その図柄の中から、自分のイメージに近いものを選び出し、また少し手を加えて自分のオリジナルシールをつくっていく姿が多く見られた。また道具「鉛筆」を使いマウスを巧みに動かして生まれた曲線が、次第になめらかになっている様子から、取り組みの積み重ねをしみじみと感じたことであった。


 (2)新しい遊びが生まれる時
 ソフトの一つに、軽快なリズムとともにフライパンからキャラクターが起き上がり踊り出すというものがある。その静まりから音とともに起き上がるその瞬間が、何とも子どもの心をとらえるようである。
 ある食後、それを開き繰り返しその場面をクリックしては、「キャッキャッ」との声があがっていた。それに合わせ体を動かし始める子どもが現われた。教師は「いま」と見計らい、身近にあった小積み木でフライパンづくりに誘いかけてみた。次々参加者が増え、丸いフライパンが完成した。そしてその中でコンピュータの画面の動きと音にじっと注目しながら同じ動きを楽しんだり、さらに音に乗りながら自分なりの動きをつくっていく様子がみられた。自然と身体表現、自己表現をしていく意義のある一時となった。今後も研究テーマは変わっても、日々の生活の中での「情報」やコンピュータがあるならではの新たな遊びを探っていきたいと思う。

    そろそろおとがなるかな・・・・          「ジャーン、ランランラララ」


電子メールを活用したドイツとの協同的学習

−中学校2年生 総合的な学習の時間−

大阪教育大学教育学部附属平野中学校

   社会科 井寄芳春

iyori@cc.osaka-kyoiku.ac.jp

http://hirachu.cc.osaka-kyoiku.ac.jp

キーワード: 中学校,総合的な学習の時間,電子メール,学校間交流、

コミュニケーション能力、異文化理解

総合的な学習における電子メール利用の意図

 本校では平成4〜6年度に文部省の研究開発指定を受けた。その内容は,中学生の段階に即した新しい選択履修のあり方について実践的に研究するものである。「選択履修」の領域で個性の尊重と自己教育力の育成をどのように図るかが主なねらいである。

 当初は教師が教科の観点から講座を開き,生徒に選択させていたが生徒の主体的な学習能力はなかなか養われない。そこで,生徒の興味・関心を最大限に生かした学習システムを構築しようと考えた。時間的制約,空間(場所)的制約,人員的制約の三つをできる限りボーダレス化し,開かれた学習の場をつくり,生徒一人ひとりの学びを支援・指導していこうと試みたのである。このような指導の蓄積を経て,本校の総合的な学習「JOIN」(以下,JOINと略す)として確立していったのである。

 ところが,実践を続けていくうちに新たな課題が生じてきた。確かに,生徒は自らテーマを設定し,意欲的,主体的に探究的,創造的に活動を展開している。しかし,個人の枠組みの中に埋没しているのではないかという疑問が出てきたのである。これでは学びが孤立化し,個人の息抜きや趣味の段階に終始してしまう。個人・自己の学びを他者との共同の中で意味や価値あるものとして立ち上げさせていくことこそが総合的な学習の時間のダイナミズムである。学習体験や学習活動のプロセスにおいて,個人の学びと社会,真の他者をつなぐための確かなしかけとしくみが要請されるのである。できる限り,多様で異質な他者と出会わせ,学びを交流し,共同して問題を探り,解決への展望を提起させることがこの学習・指導の中核にこなければならないと考える。

 このような観点からも,総合的な学習の時間における電子メールでの共同的学習は重要な意味を持つ。自分たちとは異なる文化に属する人々とのコミュニケーションは,自己の視野を拡大させるとともに,想像力をはたらかせて物事を総合的に考える力量を育てる。またグローバルな諸問題に関して多様な視点と立場から解決への糸口と道筋を吟味する力を蓄える。このような能力や態度が総合的な学習がめざす「生きる」を支えるものであると考える。

ドイツ・E メール・プロジェクト

今回の実践では,大阪教育大学・社会科教育学講座の木下百合子教授,同じく社会科教育学講座の学生・河村尚彦氏(4回生)の全面的な協力を得て,本校16名(女子5名・男子11名)の生徒(中学2年生)とドイツ・ザクセン州(ライプチヒ)のブロックハウス・ギムナジウム(校長Mr.H.Otto)の生徒24名(第9クラス・女子14名・男子10名 13歳〜15歳)による電子メールの交換(使用言語は英語)を行った。ねらいとしては次の3点である。

・自分たちとは異なる文化から積極的に学び,交流を深めようとする意志を培う。

  ・共同的に問題を探究し,共に考え,解決する能力や態度を養う。

  ・異文化間のコミュニケーションを通して多様な視点と価値について理解させる。


附属高等学校平野校舎

総合学習にむけ、保健・生物合科『生命の倫理』にせまる授業を公開

 平成11年11月6日(土)の2,3限および11月20日(土)2,3限に生命の倫理をテーマに保健と生物合科による公開授業を実施した。この授業は、脳死、脳死移植、安楽死などヒトの生や死に関する内容、および第3者の精子・卵子を使った体外受精や減数手術などヒトの誕生に関わる諸問題について深く掘り下げて探求し、「生」や「死」に関する自分自身の考えをしっかり持つとともに、これからの自己の生き方について自覚を持ち生活していくことをねらいとして実施したものである。この授業の特徴は、ディベートを方法論として用い、同じ論題で肯定・否定両方の立場を経験させたことと卒業生の脳外科医の方と産婦人科専攻の方をゲスト・ティチャーにむかえ現場からの意見をもらうことによってより学習を実感できるように仕組んだことがあげられる。

 当日は、多数の公立学校の先生方をむかえ盛会に終えることができた。また、20日の公開授業は、平成11年12月6日付けの朝日新聞の教育欄に取り上げられ、話題をよんだ。具体的な学習内容(論題)は以下の通り。

 1.「脳死」(全脳死)は、「人間の死」である。

 2.現行の脳死者からの臓器移植法は、改訂されるべきである。

 3.肉体的苦痛からの解放を目的とした「積極的安楽死法」(生徒作成の私案)は、

   立法化し認められるべきだ。

 4.第3者の卵子を用いた「体外受精」は、認められるべきだ。

 5.「減数手術」は認められるべきではない。

 

以上報告します。大阪教育大学附属高等学校平野校舎 松田 雅彦