機械研究室(C4-207)

メンバー一覧

スタッフ
今中 誠 教授 (教員総覧へ)
M2
神崎 文哉, 祖川拓也
4回生
松村拓

研究テーマ

1.接着継手の強度評価

接着剤というと文房具としての「のり」のイメージがある。そのため、一般に多少とも強度が必要な部材の接合に際して、例えば、木材では、くぎや木ねじによって、金属材料ではボルトや溶接によって接合され、接着剤の使用はためらわれる。しかし、最近、軽量化の要求が強い航空機や自動 車において、複合材料や薄肉鋼板等、従来の溶接やリベットやボルト締結では接合困難な材料の使用が増えつつあり、これら材料の接合法として強度の高い構造用接着剤が注目されている。また、接着接合法には、他の接合方法と比べて、

  1. 接合が容易である。
  2. ボルトやリベットと比べて接合部の軽量化が図れる。
  3. 振動等を低減できる。
  4. 接合部の機密性が高い。
  5. 溶接やろう付け等の溶融接合と比べ熱ひずみが小さいことから高精度化が図れる。
等の長所を持つことから、接着剤の高強度化に伴ってその応用範囲は拡大しつつある。

接着剤を使用して機械構造物を設計・製作するためには接 合部の強度の予測が必要となりますが、現状では溶接継手のように体系化された強度推定法は確立されていない。強度推定法の確立には、接着接合部の強度特性や接着部の応力やひずみの測定・解析等の接着接合部の強度評価に関する研究結果の積み重ねが必要であるがこのような研究はまだ少数である。

当研究室では、接着接合部の強度評価について、繰返し荷 重の負荷が可能な疲労試験機ならびに万能材料試験機を使用して、現在、主に次のような研究を行っています。

  1. 接着継手の疲労強度評価
  2. 接着継手の破壊じん性評価
  3. 接着部の剛性率や降伏応力等の機械的性質の測定

(1) 接着継手の疲労試験の様子


(2) 接着継手の破壊じん性試験の様子


(3) 接着継手のねじり試験の様子

2.接着接合を応用した教材の開発

児童・生徒の行うものづくりにおいて、接合 作業が問題になる場合が多い。特に、金属材料の接合には、ボルトやリベット締結もしくは、はんだ付けのやろう付け等の作業が要求され、他の作業と比較して困難である。

さて、最近、高強度の構造用接着剤が金属材料や複合材料等の強度部材の接合にも使用されている。接着接合法は接合に特殊な装置を必要とせず、危険も少ない。したがって、最近の高強度・接着剤の使用により接合作業が簡素化され、児童・生徒の行うものづくりの範囲を拡大できるものと考える。

そこで、本研究室では、児童・生徒の接着を応用したものづくり教材の開発を行っている。


ぽんぽん船の制作例

接着構造によるカート

フレームの形状の自由度が,従来の溶接構造 に比 べて大幅にアップ。アルミニウム合金を使用しているので,車体重量が,軽量化されている。


カートの制作例(動画)

夏休み親子接着教室

 当研究室では、平成12年度より毎年夏休みに日本接着学会と共同で「夏休み親子接着教室」を行っております。特に、平成14年度は親子合わせてのべ100名以上の参加者があり、短時間でしたがその様子がNHKの地方ニュースで 放映されました。


夏休み親子接着教室の様子

修士論文

平成23年度

堀田 亮介
ゴム変成接着剤により接着された重ね合わせ接着継手の疲労き裂の発生・進展挙動

平成21年度

浅野 浩志
ゴム変成エポキシ系接着剤のモードI荷重下における疲労き裂進展挙動

平成20年度

池田 啓亮
析出型および微粒子分散型ゴム変成エポキシ系接着剤の破壊挙動の比較

平成19年度

石川 理佳
顕微ラマン分光法による金属/エポキシ樹脂接合体のひずみ分布測定
高岸 真和
モpード?荷重下におけるゴム変形エポキシ系接着剤の破壊じん性値に及ぼすゴム含有率の影響

卒業論文

平成23年度

神崎 文哉
両面あて板付き突き合わせ接着継手におけるあて板長さ及び板厚さの継手強度に及ぼす影響
祖川 拓也
二重重ね合わせ接着継手におけるラップ長さ及び板厚さの継手強度に及ぼす影響

平成21年度

安藤 啓右
フィラー含有率がエポキシ系接着剤のせん断強度に及ぼす影響
堀田 亮介
ゴム変形が接着継手モードI荷重下の破壊じん性に及ぼす影響 -フィラー含有の接着剤についての検討-

平成20年度

住田 淳一
高い凝集破壊率の得られる破壊じん性試験条件の探察

平成19年度

関家 武志
ねじり試験によるゴム変性接着剤のせん断強度に及ぼすゴム濃度の影響