体位変換時の側臥位の向きの違いおよび体位保持時間が生体に及ぼす影響

-腋高温と皮膚血流量の側面から-

専修名: 健康生理学研究                               学籍番号: 999732

氏 名: 米倉 摩弥                                指導教官: 東 眞美

キーワード(和文): 側臥位,  腋窩温,  圧反射

キーワード(英文): Pressure Reflexes, Axially Tempemtur, Lateralposition

要旨

 看護業務としては日常的な検温は、患者の変化を見逃さないためにも重要な行為である。

腋窩検温法の注意点としては一般的な“側臥位で臥床している時は、圧反射の影響により上側の腋窩温が高くなるため、上側で測定する”という事について、側臥位の保持時間と向きの違いから検討した。

研究方法

 【対象】健康な女性7名。BMI20.5 ±0.9
 【実験方法】(a)側臥位を75分間保持後仰臥位で75分間臥床・・・左右の側臥位の向きにより『右仰75パターン』『左仰75パターン』とし、コントロール群として仰臥位をとり続けるのを『仰仰75パターン』とした。(b)同一側臥位と仰臥位を30分毎に繰り返し150分間臥床・・・『右仰30パターン』『左仰30パターン』とした。どちらも実験開始前10分間の安静臥床をした。【測定項目】両側の腋窩温、寝床内温度を5分毎、両側上腕内側の皮膚温、両側上腕内側の皮膚血流量をMac Labで収録し5分毎の平均を算出した。

研究結果

 『仰仰75パターン』では、腋窩温は臥床開始後150分間を通して6名が右側が高く経過し全期間を通して左右差が認められた。皮膚温は右側が高い被験者は半数で後半左右差が小さくなる傾向がみられた。皮膚血流量は150分間を通してほぼ左右差なく大きな変化もなく経過した。『右仰75パターン』では、腋窩温は右側臥位保持時、全員上側の左側が高く経過し、仰臥位になると左右差が小さくなる傾向がみられた。皮膚温は右側臥位保持時6名が左側が高いが、仰臥位になると一時的に差はなくなった。皮膚血流量は右側臥位保持時は5名の被験者が左側が多く、仰臥位に体位変換すると左右差は小さくなる傾向を示した。『左仰75パターン』では、腋窩温は左側臥位保持時、全員が右側が高く経過し、仰臥位になると左右差が小さくなる傾向がみられた。皮膚温は左側臥位保持時は6名が右側が高く、仰臥位になると左右差は小さくなった。皮膚血流量は左側臥位保持時、これまでとは反対に左側が多い被験者が4名みられ、仰臥位に体位変換すると左右差が小さくなる者と反対に広がる者とにわかれた。『右仰30パターン』『左仰30パターン』においては一貫した傾向が認められなかった。

まとめ

 1)圧反射の影響は腋窩温・皮膚温・皮膚血流量に出現する。2)圧反射の影響は、75分間側臥位で臥床した場合にはみられるが、30分間の臥床ではみられない。3)右側臥位を保持した場合と左側臥位を保持した場合で圧反射の出現に相違がある。