(問題) 「任意の体はユークリッド整域である。」 正しければ証明をし、正しくなければ反例をあげよ。
(考察) 整域 S がユークリッド整域であるとは、次の (E1)(E2) を満たすような S から 整列集合 N への写像 f が存在する時をいいます。
(E1) f(0) < f(s) for 0 ≠∀s ∈ S.
(E2) For ∀a,b ∈ S (b ≠ 0), ∃q,r ∈ S such that a=bq+r and f(r) < f(b).

簡単にいうと、S の元に(E1)(E2) をみたすように値をつけられる整域です。
(E1) 0 の値が一番小さくなり、
(E2) 0でない元 b で割った余り r の値は割った b の値より小さくできる。

(例) 整数環 Z は絶対値をとる写像によって、ユークリッド整域になります。
さて、体とはどのような集合でしょうか?
「0 でない全ての元に逆元が存在する可換環」でした。
言い換えれば、「0で割る以外の割り算が自由にできる可換環(整域)」です。
「答えはそのままですね」
(解答例) (答え)は正しい。
体は整域なので、(E1)(E2) を満たす写像 f の存在を示します。
整列集合は任意。(2個以上の元を含む)
f(0) の値 は N の最大元ではなく、 f(s) の値も f(0) < f(s) を満たせば任意だとします。
( 0 の値だけ一番小さくすれば、後は自由に決めていい!)
例えば、N = {0,1} f(0)=0,f(s)=1,(0 ≠ s ∈ S) としてもかまいません。
(E1) を満たします。
a,b ∈ S で、(b ≠ 0) ならば b-1 が存在するので、 a = (ab-1)b + 0 such that f(0) < f(b)
(E2) を満たすことがわかります。
理由「体では割算ができるので、余りはいつでも0にできるから!」

次の答案は間違っています。
(答案) 体のイデアルは零イデアルと単位イデアルだけなので、 任意の体は単項イデアル整域である。 一方、ユークリッド整域は単項イデアル整域である。 したがって、任意の体はユークリッド整域である。
間違っているのはどこ?
(1) 「任意の体は単項イデアル整域である。」
(2) 「ユークリッド整域は単項イデアル整域である。」
(3) 「したがって、任意の体はユークリッド整域である。」