(問題) 4次正方行列 A に対して、 A4 が零行列でなければ、 A5 も零行列ではない。
(考察) 実数や複素数の世界においては xk ≠ 0 ならば   x ≠ 0 なので   xk+1 ≠ 0 が成り立ちます。 (k は自然数)
しかし、行列の世界では一般には成り立ちません。
(整域であるかどうかが問題ですね。)
(反例)
A =
0 1 0
0 0 1
0 0 0
   A2 =
0 0 1
0 0 0
0 0 0
   A3 =
0 0 0
0 0 0
0 0 0

ここでは、行列が「4次」であることと、「 A4 が零行列ではない 」 ことに問題のポイントがあるようです。
A の固有値がどうなっているかを考えてみましょう。
対偶「4次正方行列 A に対して、 A5 が零行列ならば、 A4 も零行列である。」 を考える方が分かりやすいかもしれません。
(解答例) A の固有値を a1,a2,a3,a4 とします。
Frobenius の定理より、A5 の固有値は (ai)5 です。 ( i=1,2,3,4 )
A5 = O であるとします。 すると (ai)5 = 0 なので、 ai = 0 ( i=1,2,3,4 ) となり、 A の固有多項式は X4 となります。
Cayley-Hamilton の定理を用いれば A4 = 0 となり仮定に反します。
さらに一般化すれば次が示せます。
n 次正方行列 A が An ≠ O をみたせば、 任意の自然数 k に対して、Ak ≠ O である。