(問題) (m,n)-行列 A による写像 f : Cm → Cn ( v → v A ) に対して、
f が全射、単射、全単射であるための必要十分条件を求めよ。
(考察) A の行べクトルを a1,...,am とします。 v = ( v1,..., vm ) とおけば、
vA = v1 a1 + ... + vmam であり、A の行ベクトルの一次結合となります。 (その係数が v の成分です)
全射の定義 「 ∀u ∈ Cn に対して、 ∃ v ∈ Cm s.t. f(v) = u 」
単射の定義 「 ∀v ≠ v' ∈ Cm に対して、 f(v) ≠ f(v) 」
にしたがって、必要十分条件を述べましょう。 また、行列の階数を使って表してみましょう。
(解答) (1) 全射の定義 より、 「 ∀u ∈ Cn に対して、 ∃ v ∈ Cm s.t. f(v) = u 」
言い換えると、「 任意のベクトル u ∈ Cn が u = v1 a1 + ... + vm am と表せる 」ことと同値です。
したがって、 「 任意のベクトルu ∈ Cn が A の行ベクトルの一次結合として表せる 」 ことが必要十分です。
このとき、A の行ベクトルが Cn を生成するので、 『 rank A = n 』となることと同値です。
(2) 単射の定義 より 「 ∀v ≠ v' ∈ Cm に対して、 f(v) ≠ f(v') 」なので
「 0 ≠ ∀v ∈ Cm に対して、 f(v) ≠ f(0) = 0 」です。 対偶をとれば、
「 v1 a1 + ... + vmam = 0 ならば (v1, ... , vm) = v = 0 」 と同値であり、
これは A の行ベクトルが一次独立であることを意味します。  逆に、 A の行ベクトルが一次独立ならば、
f(v) = f(w) ⇔  w1 a1 + ... + vmam = w1 a1 + ... + wmam
      ⇔  (v1 - w1) a1 + ... + (vm - wm) am = 0
      ⇔  (v1 - w1) =  ...  = (vm - wm) = 0   ⇔   v = (v1, ... , vm) = ( w1, ... , wm) = w
となり 単射を得ます。 したがって、f が単射で ある必要十分条件は 「 A の 行ベクトルが一次独立である」ことです。
これは、『 rank A = m 』 であることと同値です。
(3) 全単射 は 全射 かつ 単射 なので、 「 A の行ベクトルが Cn を生成し、かつ一次独立である」 ことと同値です。
言い換えれば、 「 A の行ベクトルが Cn の基底である」ことと同値です。
また、このとき、『 rank A = m = n 』 となるので、 『 A が正則行列である』ことと同値です。