(問題) 次の集合は可算集合であるかどうかを確かめよ。
(1) 実数全体の集合 R
(2) 素数全体の集合 P
(3) 無理数全体の集合 I
(考察) 自然数全体と濃度が等しい集合を可算集合といいます。 Z, Q は可算集合です。
また、事実としては R は可算集合ではありません。 まずは、このことを確認しましょう。
そのことを用いて (3) を示します。
(2) は「可算集合の部分集合は有限集合か可算集合である。」 を用います。 素数が無限に存在することも確認します。
(解答例) (1) R は可算集合ではない。 (証明)
(2) 素数全体の集合 P は可算集合である。
素数全体の集合は N の部分集合です。 N は可算集合で、「可算集合の部分集合は有限集合か可算集合」です。
素数は無限に存在するので、P は可算集合となります。
(3) 無理数全体の集合 I は可算集合ではない。
有理数全体の集合 Q は可算集合であり、 Q ∪ I =R です。 もし、I が可算集合ならば、可算集合の和集合も可算集合なので、 Q ∪ I =R も可算集合となり、(1) に矛盾します。
(確認) 「素数が無限に存在する。」を背理法を用いて示します。
素数が有限個しか存在しないと仮定し、 p1,...,pn をすべての素数とします。
このとき、それらの和に 1 を加えた数を m とします。 m = p1...pn + 1
m の 1 より大きい最小の約数を q とすれば、 最小性より q は素数となります, が p1, ... ,pn は すべての素数なので、 q は ある pi と一致 し、 p1...pn を割り切ります。 よって、1 = m - p1...pn を割り切ることになります。 q は 1より大きな数なので、矛盾がおこります。
(問題) 素数全体の集合 P と 無理数全体の集合 I の濃度を比較せよ。
(解答例) 素数全体の集合 P と 無理数全体の集合 I の濃度を比較します。
上で示したように、素数全体の集合 P は可算集合です。
無理数全体の集合 I は可算集合ではありません。 よって、 | P | ≠ | I | です。
一方, 写像   f : P → I   (p → √p )   は単射なので、 | P | ≦ | I | です。 よって、| P | < | I | を得ます。