同値関係って何?。

数理科学の学生は数理科学入門(集合論)の中で学んだことですね。
「同値関係」の定義
集合 X に定義された関係 〜 が同値関係であるとは次を満たすことである。
(1) a 〜 a for all a ∈ X
(2) if a 〜 b then b 〜 a
(3) if a 〜 b and b 〜 c then a 〜 c
(1) を反射律、(2) を対称律 (3) を推移律といいます。
分かりにくい場合は「同値である」を「仲間である」に置き換えて、
次のようなイメージをして、考えてみましょう。
そのままですね。
(反射律) 全ての人は自分自身の仲間である。
(対称律) a が b の仲間ならば b は a の仲間である。
(推移律) a が b の仲間であり、b が c の仲間ならば a は c の仲間である。
分かりやすい例は、ある学校の生徒の集合において「 同じクラスである 」と いう関係を決めます。
(反射律) 全ての人は自分自身と「同じクラスである」
(対称律) A が B と「同じクラスである」ならば B は A と「同じクラスである」
(推移律) A が B と「同じクラス」であり、B が C 「同じクラス」であれば A は C と「同じクラス」である。
それぞれ成り立っていますね。
したがって、「同じクラスである」と関係は同値関係であることがわかりました。
次の関係が「同値関係である」ことを確かめましょう。
(1) m は2以上の整数とする。整数全体の集合 Z において、 関係 ≡ を「 a ≡ b ⇔ a - b = md となる整数 d が存在する。」と定義する。
(2) 集合族 X において、「対等である」という関係 〜 を 「 A 〜 B ⇔ ∃f : A → B (全単射)」と定義する。
(3) 複素数を成分とするn 次正方行列全体の集合を M において、 「相似である」という関係 〜 を
「 A 〜 B ⇔ ∃P 正則行列 such that B = P-1AP」と定義する。
(4) ベクトル空間 V の部分空間 W に対して V 上の関係 〜 を 「 x 〜 y ⇔ x - y ∈ W 」と定義する。
(5) 群 G において、「 x 〜 y ⇔ ∃a ∈ G such that x = a-1ya 」 と定義する。
(6) 群 G の部分群 H に対して、「 x 〜 y ⇔ xy-1 ∈ H 」 と定義する。
(5)(6) の証明は (3)(4) とそっくりですね。