「 HOTEL N 」(第3幕)の解説。
集合 A の 元と 集合 B の元を並べて得られる「 組 」全体の集合を
A と B の直積集合といい、A × B で表します。
A × B = { (a,b) | a ∈ A, b ∈ B }
A と B がともに有限集合ならば、
直積集合 A × B も 有限集合であり、
その元の個数は、A の元の個数と B の元の個数の積になります。
ここでは 自然集全体集合 N と A = { 0, 1, 2, ... , 9 } の直積集合
N × A が N 自身と対等である(すなわち可算集合である)ことを示しています。
実際に、次の写像が全単射となります。
f : N × A → N ( (n,k) → 10n - k )
まさに k 号車の n 番の客に 10n - k 号室を与える写像です。
もっと一般には、m 個の元からなる有限集合 A = { 0, 1, ... , m-1 } と
自然数の集合 N との直積 A × N もまた N 自身と対等である
(すなわち可算集合である)ことがわかります。
実際に、次の写像が全単射となります。
f : N × A → N ( (n,k) → m n - k )
が全単射になることがわかります。
最後に可算集合と可算集合の直積は、
また可算集合となるのでしょうか?
実は可算集合なのです。
g: N × N → N ( (i,j) → i+(i+j-2)(i+j-1)/2 )
が全単射になることを確認してみましょう。
有理数は自然数の分母と整数の分子を用いて
既約分数にただ一通りに表せるので、
有理数全体の集合 Q は N と Z の直積集合の部分集合であり、
可算集合となることが確かめられます。
ここまでの考察から、すべての無限集合は対等ではないか?
という気がしてきます。
もしそうなら「可算集合」などという言葉は必要なく、
単に「無限集合」といえばいいですね。
はたして、N と対等ではない無限集合は存在するのでしょうか?
すなわち
「 HOTEL N 」に泊まることができないような、
客の集まりなど存在するのでしょうか?