消える "携帯電話 chain mail" の謎
(問題)支払額が多い順に並びかえましょう。
(1)転送率 20% の 7時間後。
(2)転送率 20% の 10時間後。
(3)転送率 11% の 20時間後
(4)転送率 11% の 100時間後
(5)転送率 10% の 500時間後
(6)転送率 9% の 1000時間後
最初の送信を0回目、
10分後の転送を1回目、
20分後の転送を2回目、...、
1時間後の転送を6回目、とするならば、
n 時間後の転送は 6n 回目ということになります。
最初の転送で送られたメールの数を a0 とします。
a0 =105 です。
転送率 を m とします。( 転送率 12% は m=0.12 です。)
一回目の転送では a0× m × 10 のメールが転送されます。
k 回目の転送で送られたメールの数を ak とすれば、
k+1 回目の転送で送られたメールの数を ak × 10m です。
(公比 r = 10m の等比数列 )
したがって、n 時間後までに転送されるメールの総数は、
r ≠ 1 の時、
S6n = a1+ ... + a6n =
a1 (r6n-1)/(r-1)
= 105 r (r6n-1) /(r-1)
r = 1 の時、
S6n = a1+ ... + a6n =
a1 × 6n = 605 n です。
1億人(108)が平均的に受け取り、
「1通に付き1円」ですから、一人当たりが支払う額は、
r =10m ≠ 1 の時、
Y = r ( r6n-1 )/ 103 (r-1) 円
r =10m = 1 の時、
Y = 6n × 105 / 108 円 です。
計算しましょう。
(1)
m = 0.2, n = 7 を代入して計算すれば、
Y .=. 8.796 × 109(88億円)です。
(2)
m = 0.2, n = 10 を代入して計算すれば、
Y .=. 2.305 × 1015(2305兆円)です。
たったの3時間であっという間に膨れ上がります。
(3)
m = 0.11, n = 20 を代入して計算すれば、
Y .=. 1019.7 (1020円)です。
(4)
m = 0.11, n = 100 を代入して計算すれば、
Y .=. 7.533 × 1022
(75兆円 の 10億倍)です。
これは前回と同様に、転送率が高ければ「大変なこと」になることから、
転送率が低ければ、支払う金額も小さくなります。
しかし、それも時間が十分大きくなれば、大きく膨らんでしまいます。
すると次の 500時間後も
大変な額になるような気がしてきますね。
計算してみましょう。
(5)
m = 0.1 のときは、r = 1 となり、
上の数列 ak は定数列、したがって、
Y = 6n / 103 = 3000 / 103 = 3
一人当たりが支払う額は、平均して 3円です。
(6)
m=0.09, n=1000 を代入して計算すれば、
Y .=. 0.009.
一人当たりが支払う額は、平均して 0.009円です。
(答え)
(4)(2)(1)(3)(5)(6).
なんだか不思議なことがおこっているようです。
わかりやすく、k 回目の転送時に転送されるメールの数を見ていくことにしましょう。
最初に送信されたメールは 10万通でした。
転送率が 11%、10%、9% の場合に
それぞれ転送されるメールの数は下の表のとおりです。
| | 11% | 10% | 9% |
| 1 | 110000 | 100000 | 90000 |
| 2 | 121000 | 100000 | 81000 |
| 3 | 133100 | 100000 | 72900 |
| 4 | 146410 | 100000 | 65610 |
| 5 | 161051 | 100000 | 59049 |
| : | : | : | : |
| 10 | 259374 | 100000 | 34868 |
| : | : | : | : |
| 20 | 672750 | 100000 | 12158 |
| : | : | : | : |
| 50 | 11739100 | 100000 | 515 |
| : | : | : | : |
| 100 | 1.38 × 109 |
100000 | 3 |
k 回目の転送で送られたメールの数を ak とした数列は、
初項が正数 (100000) 、公比が r =10m の等比数列でしたから、
転送率 11% は r=1.1、
転送率 10%は r=1、
転送率 9% は r=0.9 に、それぞれ対応しています。
よって、数列 { ak } は
r > 1 ならば単調増加、r=1 ならば定数列、r < 1 ならば単調減少 と なります。
その和 S は それぞれ、発散、発散、収束します。
これは 、時間が十分の大きくとった時の
支払額が
r > 1 ならば、あっという間に何億、何兆、さらにその何億倍
と言う金額に膨れてしまいます。(発散)
r = 1 ならば 500 時間ごとに 3 円ずつ規則的に増えます。
r < 1 ならば、いつしか転送されるメールの数が0に近づいていき、
消滅してしまう と いうことに対応しています。
「チェーンメールで何億円支払った。」そんな話は聞いたことがありません。
つまり、このようなメールはいまだに存在し続けているものの、
ほとんど多くの人々には無視され、
「10人に1人よりも少ないわずかな人」だけしか
転送しないがために、時間が立つとともにいつしか消滅する
という結末をたどっているようです。
「10人に1人よりも少ないわずかな人」にならないように気をつけましょう。