平成16年7月6日更新

 

算数科

一人一人が確かに学ぶ、算数に感じる学習



1.研究テーマについて
 本年度の研究テーマを「一人一人が確かに学ぶ、算数に感じる学習」とした。
(1)一人一人が確かに学ぶ
 算数科学習における「一人一人が確かに学ぶ」とは、どの子どももが算数科学習で育てたい態度・能力・理解を身につけ、発揮することである。
 これまでの学習形態では、一人一人の考え方を大切にし、それを全体で発表し合う中で一人一人が多様な考え方などを身に付けることを重視してきた。しかし、実際には、子どもが多様な考え方を身に付けていなかったり、一人一人が自分なりの考え方をもてていなかったりする。これは、学習を進めるための時間の不十分さ、考え方を発表する機会の不十分さ、考え方を導き出すために必要な知識や技能の不十分さ、などが原因と考える。そこで、一人一人の学習の時間の確保、子どもが考え方を発表する機会の増加、考え方を導き出すために必要な知識や技能の確実な習熟を目指して、算数科の学習形態の改善を図ることにした。
(2)算数に感じる学習
 「算数に感じる学習」とは、一人一人の子どもの算数に関わる知的な情操を育てることをねらいとした学習のことである。
 子どもが算数のよさに感じることがなければ、子どもは算数を学ぼうとはしない。子どもが算数を学ぶためには、「おもしろいなあ」「不思議だなあ」「楽しいなあ」「きれいだなあ」「もっとやりたいなあ」など、子どもの気持ちを大切にしなければならないのである。そこで、子どもが算数のよさに感じるまでの情意の流れをもとにした問題解決の流れを算数科学習の基本的な流れとして考えている。
2.算数科で育てたい子どもの姿
(1)算数科における学ぶ力
 算数科で育てたい態度・能力・認識を次のように考えている。
○態度:数・量・図形に関わる事象に自ら働きかけ、算数的活動にひたり楽しみ、数理的に処理することのよさや算数を日常で活用できることのよさを実感する。
○能力:筋道立てて考え、自他の見方や考え方を関係づけてよりよい見方や考え方を追究する。算数に関わる基礎的な技能を身に付ける。
○認識:算数に関わる基礎的な知識、よりよい見方や考え方を身に付ける。
(2)算数科で育てたい子どもの姿の想定
 私たちは、算数科学習を通して、育てたい子どもの姿を次のように想定している。
【算数科の学習で育てたい子どもの姿】
数・量・図形に関わる事象に自ら働きかけ、算数的活動にひたり楽しみ、算数についての基礎的な知識や技能を身に付けながら筋道立てて考え、自他の見方や考え方を関係づけてよりよい見方や考え方を追究し、数理的に処理することのよさや算数を日常で活用できることのよさを実感する。


3.「一人一人が確かに学ぶ」ための視点
 「一人一人が確かに学ぶ」ためには、算数科で育てたい態度・能力・認識を一人一人がどう身に付けているのかが重要なポイントとなる。そこで、私たちは、価値のある態度・能力・認識の身に付け方を次のように考えた。
(1)感じたことやつぶやきの理由を明確にする。
 例えば、子どもが「あれ?」と感じるのは、子どもがもっている認識とは違った事象と出合った時である。そこで、「あれ?」と感じている児童に対して「どうしてそう思ったの?」と問いかけることで、「だってね…」と、その子どもが何に問題意識をもっているのかが明確になる。子どもが感じていることやつぶやいていることの裏側には必ずそう感じる理由があり、それを明確にすることで子どもは自ら学ぼうとし、子どもが確かに学ぶことに結びつくものと考える。
(2)問題の解決に向けて、既習の知識や技能を用いて、根拠をもって筋道立てて考える。
 例えば、「10はいくつといくつ?」を見つけ出す時、「だって7+3=10だから」という理由で見つけた場合と、「10個のおはじきを○○○○○○○|●●●と分けられるから7と3」という理由で見つけた場合ではどうだろう。他の子どもに対して説明したときにより多くの子どもに考え方が伝わりやすいのはどちらであろうか。明らかなのは、全ての子どもがもっているであろう知識や技能を用いて考えている考え方である。そこで、問題の解決に向けて、既習の知識や技能を用いて、根拠をもって筋道立てて考える考え方を身に付けていることが大切であると考える。
(3)方法を正しく理解して技能を身に付ける。
 例えば、12×3=36の計算の仕方を身に付ける時、かけ算の筆算の方法を丸暗記して身に付ける場合と、「12は10と2があるから、12×3の計算は10を3倍して2も3倍することになるんだなあ」と、かけ算の意味を理解した上で筆算を身に付ける場合とを比べてみるとどうであろう。正しい意味理解をすれば、例え方法を忘れたとしてもその方法を自分で作り出せるのではないだろうか。そこで、技能の習熟には、使い方の正しい理解をすることが欠かせないものと考える。
(4)根拠のある考え方に納得して理解する。
 例えば、小数のわり算で、「わる数が1より小さい時、商はわられる数より大きくなるということ」学習するとき、「それはそうなるからだ」と覚える場合と、「28÷0.2」で考えてみたら28?の水を0.2?ずつ分けてると考えたらいいから、140本の瓶が必要になるよ」と考える場合とでは、どうであろうか。根拠をもって考えているのは明らかに後者である。そこで、子どもは、根拠のある考え方に納得して初めて理解するものと考える。

4.「一人一人が確かに学ぶ、算数に感じる学習」を実現するための手だて
(1)個・少人数グループ編成・全体の学習形態
 一人一人が確かに学ぶためには、時間の確保、子どもが考え方を発表する機会の増加、考え方を導き出すために必要な知識や技能の確実な習熟が欠かせない。そこで、子どもが問題解決を進める過程において、これまでの個の学習、全体での学習に加えて、少人数グループ編成による学習を取り入れることにした。
 少人数グループ編成とは、友だちと関わり合い、適度に話し合うことが可能な人数で集団を形成するということであり、その人数は、友だちと関わり合う最低限の人数である2名から、話し合う機会が比較的多くなりやすい5名程度までと考えている。
 この少人数グループ編成は、一人一人が友だちと関わることが今まで以上に密となる。また、自らが考え方を発表する機会も多くなる。こうすることにより、どの子どももが算数科学習で育てたい態度・能力・理解を身につけ、発揮することができ、確かに学ぶことができるものと考えた。
 個の学習、少人数グループ編成による学習、全体での学習における特徴を次のように考えている。

形態 個の学習 少人数グループ編成による学習 全体での学習

特徴 ・話し合うことができない
・多様な考えを生み出すには多くの時間と労力が必要
・自由度の高い活動

・知識や技能を身に付けるためには、書物や教師との関わりが必要

・個と教師の関わりによる学習

・教師による個別の支援 ・自ら話すことのできる機会が多い
・複数の考え方に触れることができる

・比較的多様な活動が行える
・子ども同士で知識や技能を身に付け合うことが可能

・個と個、個と教師の関わりのある学習

・子ども同士による個別の支援が可能 ・自ら話すことのできる機会が少ない
・複数の考え方に触れることができる

・活動を多様に行うことが困難
・知識や技能を身に付けるためには、友だちとの交流の場が必要

・個と個、個と教師、全体と教師の関わりによる学習
・交流もしくは別時間での個別の支援

(2)少人数グループ編成による学習のメリットをどう生かすか
@1時間の学習の流れで生かす
 個の学習を支え、全体の学習へと結ぶパイプとして考える。
A1単元の学習の流れに生かす
 例えば、平行や垂直を見つける活動などの算数的活動、コンパスの使い方を定着するなどの技能の習熟、単元末のまとめの練習を教え合いながら行うなどの内容に関わる理解など、1単元を通した中での活用を考える
B低・中・高学年の子どもの育ちで生かす
 低学年は日常の生活班によるグループ+教師が意図して編成したグループ
 中学年は日常の生活班によるグループ+教師の意図、子どもの意志をもとに
 高学年は日常の生活班によるグループ+自らの意志をもとにして編成したグループで学習を進める。

 

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