はじめに
生活科の学習は、対象と自分とのかかわり、自分自身の生き方、自分自身の在り方など、自分自身を考えることに帰着し、「自立への基礎」を支えている。
本年度は「自分自身への気づき」を軸として、子どもたちが自分自身の成長や、活動でよくなったことを自覚することができるようにし、自分自身の新たな学習を見出すことができるような活動を構成し、自分自身で豊かな生活を創造する力につなげていきたいと考えている。また、幼稚園児が自分自身の活動に対して楽しさを見出したり、喜びを感じたりすることから、「自分自身への気づき」にどのようにつなげていけばよいのか、総合的学習で考える自己評価能力につなげ、自分自身の学びを成立させていくことや生き方を考えていくことに、どのように発展させていけばよいのか探っていきたい。
1.生活科における「自分自身への気づき」
(1)本校生活科がめざすもの
本校生活科では、子どもたちの生活にかかわる問題解決の中で、「見方・考え方・感じ方・行動の仕方」を深め、対象に応答的にかかわり合い、問題解決力を身につけたり、「時間・空間」の意識、「自他」の意識を深めたりすることによって、自立への基礎が養われると考えている。
(2)自立への基礎を支える「自分自身への気づき」
生活科は、「自立への基礎」を育むことを目標とし、その自立の中の「精神的な自立」は、「学習上の自立」「生活上の自立」をもとに、自分のよさや可能性に気付き、意欲や自信をもつことによって、現在及び将来における自分自身の在り方をとらえ、一層強化していくことができることを示している。すなわち、「精神的な自立」が、自分の在り方、生き方を考えるものであり、生活科の根幹につながるものと考える。その「精神的な自立」は、生活科学習の中で、自己評価をしたり、自分自身の成長を見つけたりして、「自分自身への気づき」を深める中で育まれる。
本校では、「自分自身への気づき」を
よりよい学習、生活をしている自分自身に対する気づき
自分自身のよさや可能性、成長に対する気づき
と定義し、「自分自身への気づき」を生活科学習の中に位置づけようと考えた。
2.「自分自身への気づき」の具体
「自分自身への気づき」は、自分の活動を振り返る中で得られるものと、自分自身の成長への気付きから得られるものがある。単元の中に自分の活動を振り返るように授業を構成したり、自分自身の成長への気付きが得られるように単元を計画したりすることによって「自分自身への気づき」が深まるように考えた。
(1)自分の活動を振り返る授業構成
本校生活科の単元は、「願いをもつ(単元の目標をもつ)」「願いを達成させるために追究活動する」「振り返り、生活化し、新たな願いをもつ」の3つから構成されている。次のような問題解決の過程を経て、「自分自身への気づき」を深めていく。
@「願いをもつ」
「願いをもつ」場面では、自分の今までの学習や生活をとらえることで、自分自身について振り返るように授業を構成する。
A「願いを達成させるために追究活動する」
自分の大きな目標を達成するために、一回の授業ごとに自分が達成できそうな目標をもつようにしている。その授業の終わりに、自分の活動がどうであったのかを振り返っている。そのとき、目標を達成させるために、どのように自分が判断して、行動したのかを考えたり、友だち同士で新たに考えたことや気付いたことを話し合ったりすることによって、自分自身のよりよい考え、よりよい行動の仕方に気づくことができる。このようにして、「自分自身への気づき」を見つけていけるようにする。
B「振り返り、生活化し、新たな願いをもつ」
活動を振り返って自分の願いを達成できたと感じたとき、活動しているときの自分の気付きを整理する中で、「わかってよかった」「できることが増えた」「自分は少し賢くなった」と自分の進歩、価値を認め、自分自身のよさや可能性、成長に対する気づきとなるようにしたい。
(2)学習内容から自分の成長に気付く
自分の活動を振り返る授業構成をすることだけでなく、多くの単元の学習内容に自分の成長そのものを感じ取ることを盛り込み、「自分自身への気づき」を深めていく。
ここでいう「自分自身への気づき」は、「自分の体や心が成長してきたこと」「自分でできるようになったこと」「自分の役割が増えたこと」「さらに成長しようとする気持ちをもつことができること」などの自分自身の成長にかかわることである。また、それは自分の力だけでなく、多くの人々に支えられてきたことに気付くことが大切である。
3.「自分自身への気づき」を実現する手立て
(1)感情や気づきを言語化する場
授業では、ワークシートに、自分のしたことや感じたことを記入する。また、自分のそのときの気持ちや考えを発表する場を設けている。ことばで表すことによって、自分のしたことや感じたことが明確になり、自分の学習を自分でとらえることができる。
(2)ポートフォリオの活用
活動ごとに記入しているワークシートをファイリングしておき、常に振り返るようにしておく。そうすることによって、前時まではどうであったのかと、今までの学習の状態をとらえたり、その日の学習目標の設定を明確にしたりすることができるようになる。また、単元すべてを振り返って、自分の学習の過程を振り返ることによって、「自分自身への気づき」に結びついていく。
(3)他者とのかかわりによって得られる気づき
@子ども同士のかかわり
子ども同士のかかわりとは、友だちの学習の仕方を学んだり、友だちの気付きと自分の学習したことを比べるようにしたり、自分の学習してきたことを友だちに評価してもらって自分の学習を見直したりすることである。そのことによって、自分の学習をよりよいものにしたり、自分の気づきをとらえ直し、新たな気づきが生まれたりする中で学習を深めていく。
このように、自分と同じ思いでいる友だちに共感したり、違ったとらえ方をしている友だちの考えを認めたりして、学習が自分の独りよがりにならないように「自分自身の気づき」を深めていくことができる。
A指導者、異学年の児童、保護者、地域の人などとのかかわり
学習を自分たちだけのものであれば、活動が深まらなかったり、自分たちだけで満足したりすることがある。指導者や異学年の児童、保護者、地域の人など子どもたちとかかわりのある人たちから評価をしてもらったり、自分がはたらきかけたときに他者の反応を読み取ったりすることによって、自分の活動を考え、かかわり方をかえてみたり、新たな気づきが生まれたりする。
4 幼稚園教育と総合的学習との連続を考える
(1)幼稚園教育とのつながり
幼稚園児も自分自身が夢中になった遊びに対して楽しさを見出したり、喜びを感じたりする。そして、達成したことから「もっとしてみたい」「今度はこんな風にしてみたい」と考えるようになる。これは、園児自身が自分の活動に達成感をもつことで次の遊びに発展させている。だから、幼稚園児も自分自身の活動を振り返り、その価値に気付くことが、自分自身の生活への喜びに結びつく。
(2)総合的学習とのつながり
本校の総合的学習では、「先を見通した思考力」「自己評価能力」「環境への実践力」「人とかかわり学ぶ態度」を育てようとしている。その中の「自己評価能力」は、単元初めに自分の目標を設定したり、途中でどこまでできたのかを振り返ったり、友だち同士で評価し合ったり、自分がどれだけの力がついたのかを振り返ったり、できたことに喜びを感じ、自分のよさに気付いたりする力を指している。
生活科での自分自身への振り返りが「自己評価能力」を育てるための学習の基となっている。また、「自分自身への気づき」の自分の価値を見出したり、自分に対して自信をもったりすることが自分の学習のとらえ方として「自己評価能力」につながっていく。