体育科 
評価がはたらく「身体と対話する授業」の改善

 

 

1.体育科で育まれる子どもの学び
 

  体育科の学習で子どもが学ぶものとは、何でしょうか。

 その答えは、実際の授業の中で課題となる運動を確かに学んでいる子どもの姿に現れているでしょう。
  

 

 そこで、授業の中で運動を確かに学んでいると感じられる子どもの姿を追究していくと、大きく以下のような姿があると思われました。

《確かに学ぶ子どもの姿》
 ・活動への意欲にあふれている。
 ・子ども同士に互いの動きを感じ合いながら、互いの動きを高めていこうとするつながりがある。(めざす動きの感じを軸として)
 →運動に対し、本気で学ぼうとする姿勢がある         【学ぶ態度】の十分な高まり

 ・友だちの動きを見て、友だちのアドバイスを聞き、わかったことを生かそうとする。
 ・活動する中で自分なりに何度も試していき、気づいたことを生かしている(動きを工夫いている)。
 ・友だちの動きを感じ取り、自分の動きと比べてわかったことをアドバイスしている。
 →自分の体から感じたことをもとに、動きに生かしていく「身体との対話」がある
                                     
【思考・判断】の十分な高まり

 ・動きが変わっていく(高まっていく)姿、わかってできている姿。
 ・以前の自分と違う自分の動きを実感し、手ごたえを感じる姿。
 →身体との対話による確かな動きの高まりがある       【技能】の十分な高まり

 

 

  私たちは、育科の学習で子どもが学ぶものとは、

      子どもが自分の体で感じるものを手がかりにして運動をとらえる「身体との対話」である

と考えています。

  様々な運動を通し、身体との対話を活性化させ、学んでいくことで、身体の有り様を感じ取る力、自ら運動をとらえ学び取る力を

身につけ、その結果、子どもの学びに支えられた確かな技能が身につくと考えているのです。

 

 

 

2.子どもの学びをどう支えるか


 では、どうすることでより確かに子どもの学びを支えていくことができるのでしょうか。

当たり前のことではありますが、指導者が何も手をうたず、活動を子どもの自然な力にまかせていては、上記のような確かに学ぶ子どもの姿

(身体との対話が活性化した姿)は現れてはきません。指導者が子どもの身体との対話を促進していく支援が必要となるのです。


 指導者は、子ども一人ひとりの身体との対話を促進するための 、具体的な手立てを持っておかねばならないのです。

 今、目の前にいる子が次の段階に成長していくように支援するには、まず、その子が今どんな状態であるのかを正しくとらえることが必要でしょう。

 そして、そのためには、今の様子だけでなく、それまでその子どもが学んできた道筋を正しくとらえることが必要となるのです。

 子どもの学びをどう支えることができるかは、指導者が子どもをどう理解し、評価するかにあると言えるのではないでしょうか。

 

    ↓

       子どもの学びを支えるために、行ってきたものをおおまかに以下に示しています。

     実際に行うことで、成果があったものですが、今年度、さらに追究していきたいと考えています。
 


(1)子どもをどう評価するか
   これまでの学習の中での3観点別評価結果、個人内評価結果よりこれまでのその子学びの様子をとらえ、子どもの「今」を理解する。

(2)子どもをどう理解するか
   今、目の前にいる子どもの姿がこれまでとどう変わったのか、あるいは変わっていないか、それはなぜか(どこに要因があるのか)をとらえ、その  子の身体で起こっている学びを評価する。

(3)身体との対話を促進する実際の具体的な手立て、方法
  実践の中で有効であった手立てや方法、及び有効であるだろう手段を思索し、実践の中で検証していきたい。
  

   《これまで有効であった手立て、方法》
 

    例1: 「身体と対話する力」の実態から学習計画と評価計画を共に想定し、単元全体の子どもの学びの姿をイメージとしてもった上で

        子どもとの身体と対話する。
 

    例2: 観点別評価のバランスでの子どものとらえや評価結果を生かしたグルーピング
 

    例3: 学習カードと実際に見てわかった姿の両者からカードに記す方法

 

 

 

3.研究テーマについて

 以上のことをふまえ、本年度の体育科研究テーマを〜評価がはたらく「身体と対話する授業」の改善〜と設定しました。

 

(1) 「評価がはたらく」とは…
 

 体育科の学習において「評価がはたらく」のは、教師が子どもに対して支援を行った結果、子どもの思考、動き、学ぶ姿勢がよりより方へと

変容していく状態のことであると考えます。このような支援を行うためには、前述したように、教師が子ども一人一人の姿を正しく評価し、子どもが

運動を学び、つかみとっていく道筋をしっかりととらえていることが必要となるでしょう。そして、正しく子どもをとらえ、評価したことを手がかりに、

適切な支援を子どもに返すことで、子どもはより身体との対話を深め、運動を学びとっていくことを楽しむようになると考えています。

 

 

(2)評価がはたらく「身体と対話する授業」とは…

   課題となる運動特有の動きの感じを子どもたちが自らの身体で感じ、とらえようとする「身体との対話」を促進している授業

 

(3)「身体と対話する」授業の改善をめざして…

 昨年度までの実践における課題や成果から、今年度のテーマの実現を目指し、以下の点について取り組んでいきたいと考えています。

 @ 正しい運動理解(運動の側からの理解)
  
 ・どのようにすれば十分に動きを高めることができるのかということについて、指導者が指導するに足る知識をもつ。

 A子どもの身体との対話にもとづく運動理解(子どもの側からの理解)
   ・子どもが身体との対話にもとづく運動理解をする道筋(学びの道筋)を明らかにする。

* @の理解があった上で子どもの身体との対話をみとることで、Aの理解をすることができる。この2つの理解があって、子どもを正しく評価し、理解  することができ、一人一人に応じた支援ができるものと考える。
  ↓
  
 ・思考・判断の深まりにより技能が高まっていく単元、カリキュラムの構成。
   ・思考・判断と技能の深まりの道筋を想定した上での場設定や授業づくり。

   ・学習計画と評価計画を共に想定し、単元全体の子どもの学びの姿をもっておく。
   ・思考・判断の深まりによる発展的課題まで見通し、どの子も常に身体との対話を促進できるように活動を展開する。(十分満足の子に対しても   支援を充分行う)

 B評価がはたらく支援の実現
  ・子ども自身が最大限に身体の対話を促進できるようなグルーピングの追究。
  ・運動特有の動きの感じ指導者自らとらえておく。
  ・子どもの姿から評価したものをいつ、どのように、どういった言葉で働き返すのが最も身体との対話を促進することができるのかを探っていく。
  ・身体との対話から生まれた子どものことば、交流したことで動きが一斉に広がった内容などを残していく。(どの子の身体にも響くものを共有して   いく)
  ・既に行った単元を終えた時点での見直し→次の単元に生かす。