いままでに,物質は原子,分子,イオンなどの粒子からできていることを学びました。この章からは原子,分子,イオンなどの粒子の質量をどのように扱えばよいか考えていきましょう。原子や分子はとても小さい粒子ですから,1個や10個を天秤にのせても質量はわかりませんね。そこで工夫が必要なのです。化学の量関係を考えるには,とても大切なところです。がんばってマスターしてください。 この章の学習内容は次の通りです。 (1)原子量 (2)分子量 (3)式量
実は,以前は酸素原子を基準にしていました。ところが,物理の世界では質量数16の酸素原子を16としていたのに対して,化学の世界では質量数16,17,18を含む酸素元素を16としていたのです。この違い変わりますか。化学の方がややアバウトな感じがしますが,ある意味では実質的ということもできます。しかし,物理と化学で原子量が微妙に違うというのは不都合なことです。そこで,1961年IUPAC(国際純正応用化学連合原子量委員会)が質量数12の炭素原子を12とする新しい原子量の定義を決めたのです。その理由は,物理と化学の原子量の修正を最も少なくするためであるといわれています。この現在の基準による原子量と以前の化学的原子量の比は0.999957に過ぎません。 |
|
ここで,有効数字について,説明しておきましょう。有効数字とは,意味のある数字です。たとえば,測定値では,最小目盛りの1/10まで読むことになっていますが,19.0という測定値では,測定値の最終桁の+−5/10が誤差(真の値と測定値の差)の範囲となります。したがって,真の値をx とすると,18.5<=x <19.5となります。 このとき,x を示す測定値として19.0は意味のある数字であり,有効数字といいます。 足し算の有効数字の考え方は,一般に測定値の末尾の四捨五入などで処理し,位取りの高いものに末尾をあわせて計算します。またかけ算では,答の桁数は,四捨五入により桁数の最も少ない数値にあわせます。 質量数12の炭素原子の質量を12と決めると,分子の相対質量も決まりますね。 |
|
では,分子以外の化合物はどうなるのでしょうか。 組成元素の原子や原子団を,最も簡単な個数比で示した式を組成式といいます。また,元素記号の右上にイオンの価数と電気の種類をかき添えた式をイオン式といいます。 |
|
次の章では,銅の原子量を求める実験を紹介しましょう。高校生になって初めての化学実験ですね。お楽しみに。 それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
|
答
1.質量数12の炭素原子
2.CO2=12×1+16×4=44
3.CaCO3=40+12+16×3=100