物質量がマスターできると,化学反応の量的関係について考えることができます。しかし,その前に必要なものがあります。それは化学反応式が正しくかけるということです。この章は,化学反応式と化学反応の量的関係についての勉強です。 この章の学習内容は,次の通りです。 (1)化学反応式 (2)イオン反応式 (3)モル濃度 (4)化学変化の量的関係 では,化学反応式からはじめましょう。中学校のときに,簡単な化学反応式を勉強しましたね。化学反応式にはどのようなきまりがありましたか。
|
|
係数が簡単に決められない化学反応式があります。そのようなときには,係数を未知数とし,両辺の各原子数に関する連立方程式をつくり,その値を求める未定係数法という方法を使います。例えば,アセチレンC2H2を完全に燃やすと,二酸化炭素CO2と水H2Oができます。この化学反応式を考えてみましょう。
|
|
濃度というと%濃度を思い出しますね。しかし,この濃度は溶媒の質量と溶液の質量の関係を表したものです。化学では,物質の質量より粒子の数を知りたいことが多いのです。そこで,モル濃度です。 |
|
モル濃度で表される水溶液をつくるときは,メスフラスコを使います。メスフラスコの使い方を説明しましょう。1.00mol/Lの塩化ナトリウム水溶液をつくるには,1Lのメスフラスコを使うと便利です。塩化ナトリウム1molは58.5gですから,58.5gの塩化ナトリウムを溶かして,水溶液を1Lにすればよいのです。ただし,メスフラスコの中で塩化ナトリウムを溶かしてはいけません。溶解熱により容量が変化するかもしれないからです。ビーカーの中で塩化ナトリウムを水に溶かして,メスフラスコに移します。もっちろん何度もビーカーを水で洗う必要があります。洗液もメスフラスコに移します。最後に水を加え,液面を標線と一致させます。しかし,ここで終わりではありません。水溶液の濃度を均一にするため,よく振ることが必要です。活栓をして,口を下にしたり上にしたり繰り返します。 それでは,最後に化学反応の量的関係について考えることにしましょう。化学反応式は2つのことを意味しています。 |
|
次の章では,実験で量的関係について調べてみます。炭酸カルシウムCaCO3に塩酸HClを加えると,二酸化炭素CO2が発生しますね。 この反応を,ビーカーの中で行うと,生成した二酸化炭素が逃げますから,その分質量が減少します。もし,質量の減少分を発生した二酸化炭素の質量と仮定すると,炭酸カルシウム,塩酸,二酸化炭素の量的関係がわかるはずですね。さて,どうなるでしょうか。 それでは,この章の学習内容の確認です。
|
答
1.化学反応式または反応式
2. 2C2H2+5O2→4CO2+2H2O
3.イオン反応式
4.Cu2++Zn→Cu+Zn2+
5.塩酸1Lの質量は,1000×1.1=1100〔g〕です。1100gの塩酸には,塩化水素は1100×20/100=220〔g〕の塩化水素が溶けています。220gの塩化水素は,塩化水素のモル質量が36.5g/molですから,220/36.5=6.02…〔mol〕ですから,約6.0mol/Lとなります。