08ko-030 第29章 環境と化学U
 今までの章で学んだことをもとにして,環境ホルモンについて考えてみることにしましょう。
 一時,新聞やテレビで環境ホルモンやダイオキシンについて,大々的に報道されました。しかし,最近環境ホルモンということばはあまり聞かれなくなりました。あれはいったい何だったのでしょうか?       
        
 この章の学習内容は,次の通りです。
(1)有機化合物
(2)脂肪族炭化水素
(3)芳香族化合物
(4)環境ホルモン
思えているかな?
1.有機化合物は,どのような元素を含んでいますか?
炭素元素
2.炭素原子の価電子は何個ですか?
4個
3.それらの価電子は,不対電子ですか,非共有電子対ですか?
すべて不対電子
 したがって,炭素原子どうしが結合エネルギーの大きい共有結合で次々に結合し,鎖状や環状の種々の構造の化合物をつくります。また,有機化合物は,多くが分子からできており,融点や沸点が比較的低いものが多いです。さらに,水よりも石油やアルコールなどの有機溶媒に溶けやすいですね。  

第30章 環境と化学U
(1) 有機化合物
 ・炭素を含む化合物
  ただし,CO,CO,KCNなどのシアン化物,CaCOなどの炭酸塩は無機物
 ・構成元素の種類は少ないが,化合物の種類はlきわめて多い
 ・多くは分子でできた物質である
 ・水よりも有機溶媒に溶けやすい
 
 分子が鎖状構造のものを脂肪族とよんでいます。一方,分子が環状構造のものを脂環式とよんでいます。また,ベンゼン環をもつものを芳香族とよんでいます。
 私たちが毎日使っている都市ガスの主成分はメタンCHです。
  

(2) 脂肪族炭化水素
 分子が鎖状構造の炭化水素
 (例)メタンCH
,エタンC,エチレンC,アセチレンCなど


メタン

エタン

エチレン

アセチレン
 脂肪族化合物には,炭素と水素以外に酸素を含むものがあります。たとえば,アルコール,エーテル,アルデヒド,ケトン,カルボン酸などです。
メタノール エタノール ジエチルエーテル
アセトアルデヒド アセトン 酢酸

 次に,ベンゼン環をもつ化合物を紹介しましょう。 

(3) 芳香族化合物
 ベンゼン環をもつもの
 (例)ベンゼンC,トルエンCCH,フェノールCOH,
    アニリンCNHなど


ベンゼン

トルエン

フェノール

アニリン
 環境ホルモンとは,いったいどのような物質をさすのでしょうか。公式には「内分泌かく乱物質」と言います。生体内ホルモンの合成,分泌,体内輸送,結合,作用あるいは分解に介入することによって生体の恒常性の維持,生殖,発達あるいは行動に影響を与える外来物質と定義されているいるようです。少し,難しいですね。つまり,私たちの内分泌系を乱し,私たちの子孫にまで悪い影響を及ぼす有害物質と言うことです。具体的にはダイオキシンが有名ですが,ダイオキシンという物質はありません。正確にはダイオキシン類と言います。ダイオキシン類にはポリクロロジベンゾ--ダイオキシン類(PCDD)とポリクロロジベンゾフラン(PCDF)があります。PCDDには75種類,PCDFには135種類の物質が存在します。

(4) 環境ホルモン
 内分泌かく乱物質
 環境中から取り込まれた物質が生体内の内分泌系のはたらきを乱し,生殖や発育などに影響を与えるように作用
 (例)ダイオキシン類

    ポリクロロジベンゾ--ダイオキシン類(PCDD)…75種類
    ポリクロロジベンゾフラン(PCDF)…135種類


ポリクロロジベンゾ--ダイオキシン類
PCDD
ポリクロロジベンゾフラン類
PCDF
 これらのダイオキシン類で最も強い毒性を示すのは,炭素の2,3,7,8の位置に4個の塩素がついたPCDDです。これは,2,3,7,8-テトラクロロダイオキシン(TCDD)とよばれており,これまで人間がつくりだした化合物の中でも最も少ない量で毒性を示すと言われています。
 
 それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
確認しよう
1.有機化合物とはどのようなものですか?
2.分子が鎖状構造の炭化水素を何といいますか?
3.ベンゼン環をもつ化合物を何といいますか?
4.環境ホルモンを正確言うと?


1.炭素を含む化合物。ただし,CO,CO,KCNなどのシアン化物,CaCOなどの炭酸塩は無機物。
2.脂肪族炭化水素
3.芳香族炭化水素
4.内分泌かく乱物質