この章では,酸化還元反応について調べる実験を紹介します。その前に,酸化剤と還元剤について復習しておきましょう。
次に,ヨウ化物イオンI−が酸化されてヨウ素分子I2になると,もちろん色の変化があります。しかし,それだけではなく,ヨウ素デンプン反応によってヨウ素分子を確認することができますね。 また,色の変化がなくても,酸化されると気体が発生するものもあります。シュウ酸(COOH)2が酸化されると二酸化炭素CO2が発生します。過酸化水素H2O2が酸化されると酸素O2を発生します。しかし,気体の発生は少量であり,急激なため注意しなければいけません。 |
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実験結果を確認しましょう。 1-2では,加熱後炎から遠ざけたときは,銅Cuは空気中の酸素と反応して黒色の酸化銅(II)CuOに変化しました。また,1の試験管に入れたときは,黒色の酸化銅(II)CuOが水素H2に還元され,赤色の銅Cuに戻りました。そのとき,試験管内の水素は酸化されて水H2Oになりますから,試験管の内部がくもりましたね。 |
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実験結果を確認しましょう。 2-1では,溶液の色が無色から褐色に変化しました。ヨウ化物イオンI−がヨウ素分子I2に変化したからです。つまりヨウ素と塩素では,塩素の方が酸化剤として強いことがわかります。ハロゲンの単体の酸化剤としての強さは,
2-2では,溶液の色が褐色から青色に変化しました。ヨウ素デンプン反応ですね。 |
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実験結果を確認しましょう。 3-2では,+極が過酸化水素H2O2水,−極がヨウ化カリウムKI水溶液になりました。また,ヨウ化カリウム水溶液に浸した炭素棒の周囲が青色に変化しました。ヨウ化物イオンI−がヨウ素分子I2に変化し,ヨウ素デンプン反応を示したからですね。すなわち,過酸化水素は酸化剤として,ヨウ化物イオンは還元剤としてはたらいています。
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実験結果を確認しましょう。 4-1では,気泡が生じ,水溶液が赤紫色から無色に変化しました。シュウ酸(COOH)2が還元剤としてはたらき,二酸化炭素CO2を発生します。また,過マンガン酸イオンMnO4−が2価のマンガンイオンMn2+に変化したから無色になったのですね。2価のマンガンイオンMn2+は淡赤色ですが,うすいために無色に見えるのです。 4-2では,水溶液が赤橙色から緑色に変化しました。二クロム酸イオンCr2O72−が3価のクロムイオンCr3+に変化したからですね。 5では,水溶液の色が赤紫色から無色に変化しました。過マンガン酸イオンMNO4−が2価のマンガンイオンMn2+に変化したからです。滴下した過酸化水素水の体積をビュレットを使って正確に求めると,きちんとした量的関係が検討できますね。そのような滴定を酸化還元滴定といいます。 それでは,考察です。 |
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この章の実験のポイントは,次の通りです。
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