この章から無機物質について,勉強します。まず,周期表と元素の性質の関係について復習しましょう。
18族の希ガスは,1年生のときに詳しくやりましたから,17族元素からはじめます。17族元素はハロゲンと総称されていますが,Haloはギリシャ語で「造塩」,genは「素」の意味です。NaClなどの塩をつくる素になっているという意味でしょうか。 身近なところでは,塩素が水道水の消毒に使われており,ヨウ素はうがい薬(イソジンガーグル)などに使われています。ハロゲン原子の価電子は7個でしたね。したがって,1価の陰イオンになりやすいのです。 この章の学習内容は,次の通りです。 (1)ハロゲン元素 (2)ハロゲンの単体 (3)ハロゲンの化合物 それでは,ハロゲン元素からはじめましょう。主なものは,フッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素Iです。 |
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ハロゲンの単体は,2原子分子からなり,有色・有毒です。融点・沸点は原子番号が大きいほど高くなります。有色の気体の例はそれほど多くないので,きちんと色を覚えてきましょう。フッ素は淡黄色の気体です。塩素は黄緑色の気体です。塩素は酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加えて熱するか,さらし粉に塩酸を加えて発生させます。臭素は赤褐色の液体です。ヨウ素は黒紫色の固体です。ヨウ素溶液をしていますね。デンプンの検出に使います。実は,ヨウ素は水には溶けにくいのす。ヨウ素溶液とは,ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶かしたものなのです。
ハロゲンの単体では,酸化力に差があること,漂白・殺菌作用があることが重要です。酸化力の強さは,
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ハロゲンの化合物では,ハロゲン化水素,塩素酸塩,次亜塩素酸,ハロゲン化銀などが代表的なものです。 塩酸HClは,ハロゲン化水素の一種である塩化水素の水溶液です。濃塩酸は約37%で,12mol/Lです。塩化水素は,工業的には,水素と塩素を反応させてつくります。実験室では,塩化ナトリウムNaClに濃硫酸H2SO4を加えて加熱してつくります。 このとき,硫酸水素ナトリウムNaHSO4ができることに注意して下さい。硫酸ナトリウムNa2SO4ではありませんよ。塩化水素は水に溶けやすく,下方置換法で捕集します。 フッ化水素HFは,ガラスを溶かす性質があるので,目盛りをつけるのに使われます。 塩素酸塩の一種である塩素酸カリウムKClO3は,加熱すると酸素を発生するので,実験室で酸素を発生させるときに使われます。 また次亜塩素酸塩は,酸化剤・漂白剤・殺菌剤としてよく使われます。「混ぜるな危険」と書いてあるものですね。塩素系漂白剤には,次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩が使われています。これに塩酸を含んだ洗浄剤を混ぜると塩素が発生するのです。 ハロゲン化物の塩は,一般には水に溶けやすいものが多いですが,銀塩は溶けにくいのです。但し,フッ化銀AgFは例外です。また,カルシウム塩では逆で,CaF2は水に溶けにくいのです。これは,電気陰性度の差で説明することができます。
銀塩には感光性があり,光が当たると分解して銀が析出します。この性質は,写真のフィルムや印画紙に利用されています。 |
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ハロゲンは反応性が高く,身近なところでよく使われています。塩素系漂白剤には次亜塩素酸塩などがよく使われています。これに強い酸を作用させると,塩素が大量に発生するので危険です。「混ぜるな危険」という表示に注意しましょう。 また,水に溶けにくい塩化物は,塩化銀AgClと塩化鉛PbCl2の2種類だけと覚えておきましょう。共に白色ですが,塩化鉛は熱湯に溶けるので塩化銀と区別することができます。 では,この章の学習内容の確認です。
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答
1.7個
2.臭素
3.濃塩酸
4.F2>Cl2>Br2>I2
5.塩化水素HClと次亜塩素酸HClO
6.フッ化水素酸HF
7.塩化銀;白色,臭化銀;淡黄色,ヨウ化銀黄色