この章では,アルコールとエーテルについて学びましょう。お酒やみりんにはアルコールの一種であるエタノールが含まれています。アルコールとはエタノールのことだと思っている人はいませんか。エタノール以外にもいろいろなアルコールがあります。 この章の学習内容は,次の通りです。 (1)アルコール (2)アルコールの性質 (3)エーテル それでは,アルコールからはじめましょう。アルコールは炭化水素の水素原子をヒドロキシ基−OHで置換した形の化合物ですが,ヒドロキシ基などのようにその化合物の性質を特徴づける基を官能基といいます。官能基は英語でfunctional groupといいますが,functionが「働き」という意味ですから官能基とは誤訳であるという意見があります。「反応基」の意味であるというのです。あなたはどう思いますか? 分子中にヒドロキシ基が1個のものを1価アルコールといいます。n 個であればn 価アルコールです。また,ヒドロキシ基の結合している炭素原子に,他の炭素原子が何個結合しているかによって,第一級アルコール,第二級アルコール,第三級アルコールに分類されます。 |
|
ブタノールの構造異性体には,1-ブタノール,2-ブタノール,2-メチル-1-プロパノール,2-メチル-2-プロパノールがあります。1-ブタノール,2-メチル-1-プロパノールは第一級アルコールです。2-ブタノールは第二級アルコールです。2-メチル-2-プロパノールは第三級アルコールです。 ペンタノールの構造異性体には,1-ペンタノール,2-ペンタノール,3-ペンタノール,2-メチル-1-ブタノール(活性アミルアルコール),2-メチル-2-ブタノール,3-メチル-1-ブタノール(イソアミルアルコール),3-メチル-2-ブタノール,2,2-ジメチル-1-プロパノール,があります。 次は,アルコールの性質について考えてみます。
|
|
アルコールに適当な酸化剤を加えて酸化すると,第一級アルコールはアルデヒドになります。たとえば,エタノールCH3CH2OHを酸化するとアセトアルデヒドCH3CHOになります。このアセトアルデヒドをさらに酸化すると酢酸CH3COOHになりますが,詳しいことは,アルデヒドのところで説明しましょう。第二級アルコールを酸化するとケトンになります。たとえば2-プロパノールCH3CH(OH)CH3を酸化するとアセトンCH3COCH3になります。また,第三級アルコールは酸化されにくいことも覚えておきましょう。 次はエーテルです。酸素原子に2個の炭化水素基が結合した形の化合物です。
|
|
エタノールに濃硫酸を加えて加熱すると,温度によって生成物が違うのです。少しややこしいですが,縮合の方が脱離より低い温度(少ないエネルギー)で起こる,すなわち起こりやすいことを理解しておけば大丈夫だと思います。とくに縮合は,この後何度も出てきます。 ところで,炭素数の等しいアルコールとエーテルを比較すると,沸点の違いに気がつくと思います。エタノールの沸点は78℃ですが,ジメチルエーテルの沸点は−25℃です。この違いを説明できますか。アルコール分子どうしは水素結合で結ばれています。これに対してエーテルは分子の極性が小さいので,分子間の引き合いが小さいのです。 それでは,今日の学習内容の確認です。
|
答
1.ヒドロキシ基(−OH)
2.高い
3.ナトリウムアルコキシド(ナトリウムアルコラート)と水素
4.アルデヒド
5.ケトン
6.ジエチルエーテル
7.エチレン