この章では,フェノールや安息香酸の性質を調べ,安息香酸を合成する実験を紹介します。 安息香酸は,天然には,天然樹脂の安息香に遊離酸やエステルとして含まれているようです。
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実験結果を確認しましょう。
塩化鉄(III)水溶液を加えると,青紫色を呈します。この反応を塩化鉄反応といいます。Fe3+にフェノールが配位して錯イオンをつくっているのです。 フェノールに水酸化ナトリウム水溶液を加えると,塩(ナトリウムフェノキシドC6H5-ONa)になって溶けます。これに塩酸を加えると,油状に分離します。弱酸(フェノール)の塩に強酸(HCl)を加えると,強酸の塩(NaCl)ができて,弱酸(フェノール)が遊離します。 フェノールに臭素水を加えると,白色綿状の沈殿物(2,4,6−トリブロモフェノール)が生成します。 次は,安息香酸の性質です。 |
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実験結果を確認しましょう。 安息香酸の溶解度は小さく,結晶が溶け残ります。水溶液のpHは約4です。 水酸化ナトリウム水溶液を加えると,安息香酸は溶けて,無色透明の溶液になります。また,これに塩酸を加えると,もとの安息香酸にもどり,白色綿状の結晶が析出します。 次は,酸としての強さの比較です。
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実験結果を確認しましょう。 6では変化がありません。したがって,フェノールは炭酸より弱い酸であることがわかります。7ではCO2を発生しながら溶けますから,安息香酸の方が酸性が強いことがわかります。
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実験結果を確認しましょう。 8では,溶液の色が赤紫色から褐色に変化しましたね。赤紫色は過マンガン酸イオンMnO4−で,マンガン原子の酸化数は+7ですね。褐色では酸化マンガン(IV)に変わっていますから,マンガン原子の酸化数は+4に減少しています。 12では,白色綿状の安息香酸の結晶が析出しましたね。 それでは,考察です。 |
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この章の実験のポントは,次の通りです。
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