気体を発生させて水上置換で捕集するとき,捕集した気体の圧力は大気圧に等しいでしょうか。この章では,混合気体の圧力について考えてみましょう。
この章の学習内容は,次の通りです。 (1)分圧の法則 (2)分圧とモル分率 (3)混合気体の分子量 最初に実験を紹介しましょう。この実験では,気体Aと気体Bはともに空気ですが,違う種類の気体と考えてください。 |
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pA,pB,pの間には,どのような関係があるでしょうか。結果の確認をしてみましょう。 大気圧766mmHgのとき,pA=656〔mmHg〕,p=830〔mmHg〕になりました。p−pA=174〔mmHg〕になりますね。また,pB=766×100/450=174〔mmHg〕です。すなわち,p−pA=pBの関係が成立します。 さて,ドイルトンを覚えていますね。倍数比例や原子説で有名な化学者です。分圧の法則も,彼が発見したものです。先ほどの実験で,全圧と分圧の関係がわかりますね。 |
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ひじょうにすっきりとした法則ですね。ところで,アボガドロの法則を覚えていますね。
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空気の主な成分気体は窒素と酸素です。窒素の分子量は28.0,酸素の分子量は32.0ですね。では,空気の分子量というものを考えることはできないでしょうか。すなわち,混合気体を,ただ1種類の仮想の分子からなる単一の気体として取り扱うことはできないかということです。 |
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水素や酸素など,水に溶けにくい気体は水上置換で捕集しますね。そして,その捕集された気体の圧力は,水圧の影響を考えなければ大気圧と等しいと考えてきました。これは正しいでしょうか。 気体を捕集している容器には水分子(水蒸気)が存在しますね。その温度における飽和蒸気圧がその水分子による圧力です。したがって,捕集した気体の圧力と水の飽和蒸気圧の和が大気圧になるのです。27℃における水蒸気圧は36hPaですから,大気圧を1013hPaとすると,約3.6%の圧力になるのです。決して無視できませんね。 それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
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答
1.全圧
2.分圧
3.混合気体の全圧は,各成分気体の分圧の和に等しい。
4.分圧の法則
5.分圧は,各成分気体のモル分率に比例する。
6.28.8