炭酸飲料水の入っている容器の栓を開けると,水溶液からさかんに気泡が発生しますね。もちろんこの気泡は二酸化炭素CO2です。 では,どうして栓を開けると,二酸化炭素の気泡が発生するのでしょうか。 この章の学習内容は,次の通りです。 (1)気体の溶解度 (2)ヘンリーの法則 (3)二酸化炭素の溶解
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ただし,例外もあります。
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炭酸飲料水は,高圧にして二酸化炭素を溶かしています。ところが,栓を開けると二酸化炭素の分圧が小さくなります。したがって,溶けきれなくなった二酸化炭素が気体として発生するのです。 それでは,ヘンリーの法則を確認してみましょう。使うのは注射器と二酸化炭素と水です。 1本の注射器に50mLの二酸化炭素を取り,もう1本の注射器に50mLの水を入れます。2本の注射器をつないで,二酸化炭素の入った注射器のピストンを押します。水と二酸化炭素の入った注射器をよく振ると,二酸化炭素が水に溶けて体積が減少するのが分かります。そこで,水と二酸化炭素全体の体積を調べます。水の体積は変わらないとすると,全体の体積から水の体積を引くと,溶け残った二酸化炭素の体積が分かりますね。 |
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実験結果を確認しましょう。 1では,二酸化炭素の体積と水の体積の和が60mLになりました。溶け残った二酸化炭素は10mLですから,溶けた二酸化炭素の体積は40mLとなります。もちろん圧力は大気圧に等しいですから,約1000hPaです。 2では,気体の体積と水の体積の和が89mLになりました。水の体積は50mL,空気の体積は20mLですから,水溶液から19mLの二酸化炭素が出てきたことになります。したがって,このとき水溶液中に溶けている二酸化炭素の体積は,40−19=21〔mL〕となります。また,二酸化炭素の分圧は,1000×19/39≒490〔hPa〕です。 3では,気体の体積と水の体積の和が79mLになりました。水の体積は50mL,空気の体積は20mLですから,水溶液から9mLの二酸化炭素が出てきたことになります。したがって,このとき水溶液中に溶けている二酸化炭素の体積は,21−9=12〔mL〕となります。また,二酸化炭素の分圧は,1000×9/29=310〔hPa〕です。
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後半は少し難しかったかも知れません。 それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
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答
1.小さくなる。
2.温度が高いと,溶液中に溶けている気体分子の運動が激しくなり,溶液から飛び出しやすくなる。
3.ヘンリーの法則
4.一定温度のもとで,溶解度の小さい気体が一定量の溶媒に溶けるとき,気体の溶解度は,その圧力に比例する。
5.圧力に無関係で一定になる。