08ko-125 第125章 タンパク質の構造
 タンパク質は英語でproteinといいます。この語源は,ギリシャ語のproteiosで,第一の性質という意味のようです。昔から大切なものという認識があったのでしょうか。
  
思えているかな?
1.2つの分子から,双方の官能基の間で,水のような簡単な分子が取れて新しい共有結合を形成して1つの分子が生じる反応を何といいますか?
縮合
2.-CO-NH-を何結合といいますか?
アミド結合
 さて,タンパク質は,アミノ酸がたくさん結合してできたものです。しかし,その結合は,糖の結合と同様,比較的容易に切れたり,結合したりできるものでなくてはなりません。糖は,2個のヒドロキシル基-OHから水が取れてグリコシド結合-O-ができていましたね。タンパク質は,アミノ基-NHとカルボキシル基-COOHから水が取れたアミド結合(ペプチド結合)-CO-NH-が関係します。
 この章の学習内容は,次の通りです。
(1)ペプチド結合
(2)タンパク質の構造
(3)いろいろなタンパク質
 それでは,ペプチド結合から勉強しましょう。
  

第125章 タンパク質の構造
(1)ペプチド結合

 一般の有機化合物中の -CO-NH- → アミド結合
 アミノ酸どうしの -CO-NH- → 
ペプチド結合
 ペプチド結合をもつ化合物 → ペプチド
 2個のアミノ酸が縮合したペプチド → ジペプチド
 3個のアミノ酸が縮合したペプチド → トリペプチド
 多数のアミノ酸が縮合したペプチド → ポリペプチド

 アミノ酸がペプチド結合によってつながり,鎖状の高分子化合物ができます。これがタンパク質ですね。しかし,天然のタンパク質をつくっているアミノ酸は,すべてL型でしたね。L型のアミノ酸がつながっていくと,どのようなかたちになるのでしょう。MOPACを使って分子モデルをつくってみましょう。
 最初はL-アラニンをつないでみましょう。

L-アラニンポリペプチド

 なんだか,ねじれた感じがしませんか。
 次は,L-フェニルアラニンをつないでみましょう。

L-フェニルアラニンオリゴペプチド

 これだと,らせん構造がはっきりしますね。
 最後に,実際にあるトリペプチドをつくってみましょう。
グルタチオン

 グルタチオンとは,L-グルタミン酸HOOCCH(NH)CHCHCOOH,L-システインHOOCCH(NH)CHSH,グリシンHOOCCHNHがつながったトリペプチドで,生体内における酸化還元に重要な役割を果たしています。グルタチオンをG-SHと表しますと,酸化型グルタチオンはG-S-S-Gの形になります。 
 このように,構成アミノ酸の配列によって,ペプチドの種類が決まります。 

(2)タンパク質の構造
 数十個から数千個のアミノ酸がペプチド結合によって鎖状につながっている
 1955年 サンガー インスリンのアミノ酸配列を決定

<アミノ酸配列>
 タンパク質の種類によって一定

<α-ヘリックス>
 C−C結合が1つの方向に回転 → 
らせん構造
 3.6個で一周
 同一鎖間の水素結合>C=O…H−N<

<β-シート>
 となりの鎖間で
水素結合

<立体構造の要因>
 α-ヘリックス,β-シート,構成アミノ酸のR-の大きさ,官能基
(-COOH,-NH,-SH,-OH)の水素結合,
 ジスルフィド結合-S-S-
 分子全体の複雑な立体構造
 水素結合やジスルフィド結合は,ペプチド結合よりも弱い
→ 
変性
 タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序をタンパク質の一次構造といいます。また,α-ヘリックスやβ-シートなどのような部分的な立体構造をタンパク質の二次構造といいます。さらに,分子内原子の三次元的な構造をタンパク質の三次構造といいます。
 タンパク質を酸で加水分解すると,いろいろなアミノ酸を生じます。また,アミノ酸だけではなく,糖類や色素,核酸,脂質,リン酸なども生じることがあります。
 

(3)いろいろなタンパク質
 単純タンパク質…加水分解するとアミノ酸だけを生じる
 (例)アルブミン(卵白),グロブリン(血清)
 複合タンパク質…加水分解すると,アミノ酸の他に,糖,色素,核酸,などを生じるもの
 (例)カゼイン…乳汁に含まれるリン酸を含むタンパク質→接着剤や乳化剤
    ヘモグロビン…色素を含むタンパク質
→酸素運搬

 タンパク質の構造は複雑ですが,コンピュータの発達によって,多くのタンパク質の構造が解明されています。
  
 それでは,この章の学習内容を確認しましょう。
確認しよう
1.2個のアミノ酸分子が-COOHと-NHの部分で縮合し,水分子がとれて生成したものを何といいますか?
2.アミノ酸分子どうしでできたアミド結合を何といいますか?
3.タンパク質を構成しているポリペプチドは,らせん構造をとることが多く,らせんの1巻は,平均3.6個のアミノ酸単位が入ります。このらせん構造を何と呼んでいますか?
4.タンパク質の立体構造に関係する結合には,どのようなものがありますか?


1.ジペプチド
2.ペプチド結合
3.α-ヘリックス
4.水素結合やジスルフィド結合