大峰山 大普賢岳   1999.10.2日(土)
 
 秋の気配が濃くなってきました。登りの汗の量が少なくなってきました。こんなところでも季節を思います。
 和佐又の薄(すすき)が秋風に波打っておりました。紅葉にはまだ早いものの、ちらほらと色づいた小枝を見ました。りんどうの紫が山の清涼をひきたてていました。呼吸するたびに、身体が清浄になる一日になりました。
 
6:00 枚方市香里ヶ丘出発。天候晴天。女房と二人。R170、R165、大和高田バイパス、R309、吉野川を左右にみつつR169を辿る。新伯母峰トンネルを抜けた和佐又口で右折。林道を上る。大きなトラックとすれ違う。ぐんぐんと高度が高くなる。朝日の陽光に紅葉はじめた木々の葉に目がいく。大台ヶ原が眼前に広がってくる。
 
9:15 和佐又ヒュッテ登山出発。駐車料500円。トチノキ食堂にて登山届け。既に10組ほどの用紙が提出されている。ここは高原の雰囲気。薄の波が傾斜にそって波うっている。
 
9:35 和佐又山分岐。緩い坂の樹林帯を抜けて至る。
 
10:15 指弾の窟。軽い上りの尾根道を楽しみつつ至る。子犬二匹が人なつこっく出迎え。一匹は白く一匹は白に茶が顔に混じっている犬である。ミルクキャラメル半かけ、そして水を手にためて与える。あとをついてくる。なんだか犬を連れた猟師のような気分である。彼らはどうやって生活しているのだろうか。もういいよという気持ちで引き離そうと試みる。でもついてくる。かしこそうな顔としぐさである。鉄のはしごまで同行。後ろでせつない声を聞く。見捨てていくようで悲しい。
 
0:35 鷲の窟通過。朝日窟、笙の窟を経て至る。お不動様を祭る。巌の中にしみ出た水を水滴となって落ちている。水の尊さを思う。この一滴でぎりぎり生死を分けることがあるのだろう。しばし水滴の音を聞いている。古びた奥駆け修行の札を見る。
 
10:45 日本岳分岐。鞍部である。直立のような道を上って至る。針葉樹の大きな倒木がある。分岐から左へ。道は狭くなる。りんどうが多くなる。尾根道に鉄梯子が続き這いのぼる。
 
11:00 石の鼻。日本岳、弥山など白骨のような色の枯れ木ごしに展望する。道はいよいよ狭くなり、片面に谷が裂けている。注意して歩く。
 
11:15 小普賢岳の肩を通過。ここから急な下り。大普賢岳と小普賢岳との鞍部。ここは両側の谷から風が吹き抜けくる。見上げれば、大普賢岳の南斜面が迫る。苔むした岩の深緑が明るい。
 
12:00 奥駆けの道。山上ヶ岳への分岐。深い谷ごしに山上ヶ岳を見る。分岐点は不思議な雰囲気が漂う。人生の岐路と重ね合わせるのか。
12:07 大普賢岳頂上。小広く、好展望。6人の先客が食事も準備中。ラーメン、いなりにて昼食。コーヒーを楽しみつつ四方の山の確認。ここにも白い犬がいた。親犬である。いなり一かけらと水を分ける。
 
12:50 下山開始。犬がついてくる。小普賢岳との鞍部まで供をする。ミルクキャラメル一個で礼をする。不器用に口の中でかみ砕く。老人と子どもの登りに付いてまた登るよし。登りと同じ道を辿って帰る。
 
14:00 鷲の窟通過。小普賢岳、日本岳は見送る。
14:45 和佐又ヒュッテ到着。分岐の少し上に鹿の泥浴びの跡があった。初老の方に山の話しを拝聴しながら下りる。和佐又山には行かず。子犬の茶の混じった片方がヒュッテ前の草原で出迎てくれた。安心したがもう一匹はどこにいるのか。見渡したが姿はない。犬に心が残るが、澄んだ秋の日をたんと歩いた一日となった。紅葉にはまだ早い。 
 
19:20 枚方の家に到着。R165は穴虫から渋滞。
 
 
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