大和の国 二上山   雌岳474m 雄岳517m 2000.4.23(日)
 
 
春のうららかな一日。大和国の二上山に登った。下山し太子温泉で汗を流し、さっぱりしたところで当麻寺に参詣した。二上山の山桜、当麻寺の八重桜、ああ桜は美しい。昨年の夏に汗だくで登ったときは、低い山なのになんと手強いのかと思った。今回は新緑のなかを楽しんで歩くことができた。
 
枚方市香里ヶ丘出発(10:50)。なんやからとしているうちに遅く出発。広島市在住の友人H.M君、女房の三人。荷物は平等に振り分ける。
 
渋滞なしのR170を走って、大和川、石川の川べりを抜けて国分。なんのことはない車で通勤するときの道順である。鼻歌を歌っていたって間違うことはない。R25に合流する手前で太子町へ伸びる府道27号へ。分岐して南河内グリーンロード。この道はいい。葡萄畑が一面に広がる。竹内街道とかさなるR166が離合もままならない狭い道で危ないのに比べると快適である。しかし、歴史を歩くなら竹内街道である。
 
 万葉の森の駐車場は満車。路上駐車も多い。飲料水を買いに奈良県境を越えて当麻町に行く。再び万葉の森。釣り堀の上の駐車場に一台分のスペースが幸いにあった(12:35)。パンジーの花でマンヨウノモリの文字がつくられている。農産物の直売所をちょっとのぞく。水洗のWCあり。歩き出す。万葉集の歌を書いた標識がある。この標識は道の脇にいくつもあって、ちょっと万葉の雰囲気に浸れる。「岳のぼり抽選会」のカードをもらう。石仏を拝すると緩い上りになる。舗装道を歩いて山桜の下をくぐる。両側には紫のかれんな小さな花。アヒルのつがいと鯉の池の横を過ぎる。茶粥をふるまう人たちがいてはる。今日は一般の人にふるまっているとか。茶粥を焚くお釜。小さな茶碗でおかいさんをすする人たち。食べたかったが登る前から満腹では・・・・。
 
高松塚の石棺を切り出したという石切場を見学。また少し行くと、石清水が鮮烈な水音を立てて落ちる。銀色の柄杓が陽光にきらりと光る。馬の背へ続く舗装道と岩屋との分岐を岩屋へ。千年杉の倒木。大杉が倒れている。年輪が分かるように輪切りになっている部分がある。その横に若木が植えられていた。この千年杉もこれくらいから育ったのなだなと思うとはるかな時の流れがどっと我が身に流れ込むような感覚が襲った。この奥に中将姫の岩屋がある。中を覗くと仏様がいらっしゃる。井戸のようなものが見える。
竹内峠と当麻寺方面と雌岳との分岐。石柱が立っいる。大正5年の銘あり。つづら折りの細道を上がっていく。木立の木陰は涼しいが、日よけがなく直射日光が当たる道は暑い。風が身をつつんで吹きすぎる。藪のなかからホトトギスの声が漏れてくる。眺望が開ける。幼い子ども、小学生、年輩の一団、さまざまな人たちとすれ違う。老若に親しまれていることを知る。
 
 
雌岳頂上(13:20)。頂上は大にぎわいである。子どもたちの楽しげな歓声に満ちている。おいしそうにお弁当を食べている。大和盆地、大阪平野を眺める。大和三山が間近に見える。遠き日本の国のふるさとである。岳のぼり抽選会のくじをひく。ハズレだ。でも空気を入れ膨らませるビニール製の刀をくれた。H.M君は8等で水鉄砲、連れ合いは6等でキティーちゃんの手帳をもらった。めったにハズレのないくじのようだ。それにハズレた。くじ運がいいのやら悪いのやら。H.M君はこの水鉄砲で授業中に居眠りや私語をする学生さんを打つんだと言う。彼が新聞に載る日も近いはずだ。ぬいぐるみのキリンさんと記念撮影。なんの記念?。わずかに散り残る桜の道を馬の背に下る(13:35)。重層的な桜の道である。盛りに来たい。WCあり。売店には山菜弁当、力餅が売られていた。二上山の地質の説明板を読む。2000年前に大噴火をしたとあった。この穏やかな山容の山が活火山だったとは。雄岳への道をとる。再び上りである。大きな石があったり、ごつごつした岩肌の道である。荒々しい感じがする。しばらく上ると雌岳が正面に現れる。頂上のにぎわいが遠くに見える。なんだか妖精たちのお祭りのようだ。桜の花の散り後のけぶるような紫。
ぱっと視界が開けると雄岳頂上(13:50−14:30)。まばらな人影。ここは葛木二上神社の境内である。美化保存協力券(200円)を購入。登山者の急増で境内が荒廃したという。境内の神々を拝する。次いで大津皇子の御陵に参する。木陰にて昼食。握り飯、串カツ(夕食の残り)、ラーメン。食後にコーヒーとマドレーヌを楽しみながらよもやま話。名残を惜しみながら下山開始。雌岳を巻いて舗装道を下る。散り残りの桜の花びらがときおり舞う。今年の春を送るように。
途中で分岐して鹿谷(ろくたん)寺跡への道をとる。岩肌の露出する急な道であるが、眺めがよい。岩尾根を削ってつくられた十三重の石塔、仏像を彫った岩壁はいにしえの雰囲気に満ちている。万葉の森の駐車場(15:15)。大和の春を全身で感じることのできた二上山の山歩きとなった。
 
 
近くの天然温泉である太子温泉でゆっくりと湯につかる(1300円)。露天風呂で新緑を見ながらくつろぐ。よい湯である。さっぱりしたところで、古刹の当麻寺を散策する。門前の駐車料金500円。八重桜が白塀に映える。本堂・金堂・講堂の拝観料500円。国宝の曼陀羅を拝する。ここでもいにしへの諸仏に出会うことがかなった。今年の四月に亡くなった父と一人で暮らしはじめた母のことを仏様によくよくお願いした。心配せんでもよろしいとにっこりとほほえんでくださったような気がした。 ゆっくりと境内を散策する。ぼたんの花が咲いている。伽藍の屋根瓦の連なりが美しい。土塀越しに東塔がのぞく。夕映えの二上山にはっと息をのむ。門前の茶店で吉野葛と抹茶
 
近鉄国分駅で広島に帰るH.M君と別れる。楽しんでくれたことを祈る。季節はめぐる。めぐる季節それぞれを仕事も含めて楽しんでいこうと思うようになった。違った感覚が自分のなかに芽吹く。
 
 
 
 
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