木曽  乗鞍岳  1999.晩夏
 
 
木曽御嶽山頂上から乗鞍岳を望む
 
 
早暁、家を出る。女房と二人。名神高速道、中央高速道をひたすら走って長野県の松本ICでR158に下りる(11:00)。中央道では木曽山脈を右手に仰ぎ、左手には南アルプスの諸峰が遠望できた。梓川の川面を見て、安曇を過ぎ、山道にかかる。くねくねとした道をひたすら登っていくと、奈川渡ダムが水をたたえて静まっている。上高地との分岐では渋滞していた。難所の安房峠を貫く、新しい平湯トンネルを抜けて平湯。乗鞍岳への小道へ入る。急坂の細い舗装道路。電光掲示板に畳平の駐車場は満杯で、待ち時間2時間とあった。乗鞍スカイラインと合流。料金所で渋滞の旨を告げられる。えいままよと登っていく。途中の景色を眺めるだけでもよしとしようと思う。
 
 
高度がぐんぐん上がる。木々が紅葉しだす。空気は清浄だ。天上をつらぬくように道が延びている。畳平に近づくと、延々と続く車の列が見えた。大黒岳、魔王岳が傍にすっくりと立っている。立木はなく草原に荒々しい岩が露呈している。高山の装い。うきうきする眺めである。畳平まで行かなくてもいいやと、2qばかり手前で、路肩の白線で囲まれた駐車スペースに停める。ここから歩こう。いい足慣らし。さっそく体操と諸準備。登山靴の紐をしめて、顔をひょいと上げると、穂高連峰の諸峰がそこにあった。あっと息をのむ。青みを帯びて鋭い。白雲が下を覆いきりっと上部が聳える。いくつもの筋が切り込まれ険しさを見せる。
 
渋滞の車の横をすいすいと追い抜く。他に歩く人も多い。乗鞍高原から乗鞍エコーラインを上がってくる車もあって混んでいるようだ。畳平は大にぎわい。山荘やら土産物やら建物が密集している。WCは100円の使用料。自然保護の資金にするとか。
 
 
鶴ヶ池の蒼い色にため息をつきつつ、富士見ヶ岳をまいて登りはじめる(12:30)。結構な人出。道は広い。汗が吹き出るが風の涼しさに苦にならない。コロナ観測所のある摩利志天岳との分岐を過ぎると下りになる。眼下に乗鞍エコーラインが草原にうねっている。ナナカマドの紅い斑点が秋を告げる。目を上げると、雪渓が灰色に細く残る。
 
肩の小屋から本格的な登りとなる(13:30)。WCあり。火山性のザレ道である。風が吹くとほこりが目に入って痛い。休み休み登っていく。覆いかぶさってくる朝日岳の急斜面を這い登る。尾根道にやっと辿り着くと、足下に権現池が神秘的に静まっている。屋根に大石をのせた頂上小屋売店から最後の急登。大岩の間を抜けていく。
 
息を切らすと剣ヶ峰の頂上だ(14:35―15:10)。大展望。乗鞍本宮と朝日権現社に参拝。神々しい雰囲気に満ちている。四方を眺めると、雲海が広がってその上におちこちの高山が顔をのぞかせる。目の前に大日岳と屏風岳。手の届きそうな感じで御嶽山。
 
 
 
ラーメンといなり寿司の昼食。定番のコーヒーを沸かす。横浜から来たというご夫婦と話す。大阪から日帰りとはと驚かれる。風は強風で冷たい。名残を惜しみつつ下山。肩の小屋で小休憩。帰りは富士見岳に寄る。駐車地点に到着(16:10)。畳平の渋滞は解消していたが車は多い。高度が下がると霧に包まれて視界が悪くなった。
 
帰途は飛騨高山を抜けてR41号を飛騨川に沿って下る。下呂でうな重の夕食。ここのはうまい。小牧ICで名神高速道に入る。途中で仮眠をとる。枚方市香里ヶ丘帰着(12:30)。乗鞍岳はすがすがしい初秋の趣きであった。
 
 
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