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万葉植物と万葉集歌

あしび    うめ    かたかご    からたち    すみれ   
すもも    せり    つばき    もも    やまぶき   
よもぎ   
あふち    あやめ    うけら    うのはな    かきつばた   
すゑつむはな    たで    ねぶ    はまゆふ    ふぢ   
まこも    みる    むぐら    わすれぐさ   
あかね    あさがほ    あし    おもひぐさ    からあゐ   
くず    つきくさ    つた    つばな    なでしこ   
ぬばたま    はぎ    ふぢばかま    まゆみ    をぎ   
をばな    をみなへし   
やまたちばな   
その他 かしは    かつら    さかき    しひ   

あ行 か行 さ行 た行 な行
 
は行 ま行 や行 わ行

あ行

 
◇あかね

    茜草あかね)さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
(二〇・額田王)
 
◇あさがほ

    萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
(一五三八・山上憶良)
 
◇あし

    若の浦の潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさしてたづ)鳴き渡る
 (九一九・山部赤人)
 
◇あしび

    池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を袖にこきれな
(四五一二・大伴家持)
 
◇あふち

    妹が見しあふち)の花は散りぬべしわが泣く涙いまだ)なくに
 (七九八・山上憶良)
 
◇あやめ

    ほととぎすいとふ時なしあやめぐさかづら)にせむ日こゆ鳴き渡れ
(四〇三五・田辺福麻呂)
 
◇うけら

    恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の色に)なゆめ
(三三七六・東歌)
 
◇うのはな

    うぐひすの通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ
(一九八八・作者未詳)
 
◇うめ

    春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ
 (八一八・山上憶良)
 
◇おもひぐさ

    道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらになにか思はむ
(二二七〇・作者未詳)

か行

 
◇かきつばた

    かきつはたきぬ)に摺りつけますらをのきそひ狩りする月は来にけり
(三九二一・大伴家持)
 
◇かしは

    印南野いなみの)の赤ら柏は時はあれど君を))ふ時はさねなし
(四三〇一・安宿王)
 
◇かたかご

    もののふの八十娘女やそをとめ)らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花
(四一四三・大伴家持)
 
◇かつら

    目には見て手には取らえぬ月の内のかつら)のごとき妹をいかにせむ
(六三二・湯原王)
 
◇からあゐ

    秋さらば移しもせむとわがまきし韓藍の花を誰か摘みけむ
(一三六二・作者未詳)
 
◇からたち

    からたちのうばら刈り)け倉建てむくそ遠くまれ櫛造る刀自
 (三八三二・忌部首)
 
◇くず

    大崎の荒磯ありそ)の渡りはふ葛の行方もなくや恋ひ渡りなむ
(三〇七二・作者未詳)

さ行

 
◇さかき

    奥山の賢木の枝に白香しらか)つけ木綿取りつけて
(三七九・大伴坂上郎女)
 
◇しひ

    家にあれば)に盛るいひ)を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る
 (一四二・有間皇子)
 
◇すみれ

    春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける
(一四二四・山部赤人)
 
◇すもも

    わが園のすもも)の花か庭に散るはだれのいまだ残りたるかも
(四一四〇・大伴家持)
 
◇すゑつむはな

    よそのみに見つつ恋ひなむ紅の末摘む花の色に出でずとも
(一九九三・作者未詳)
 
◇せり

    大夫ますらを)と思へるものを大刀)きてかにはの田居にせりそ摘みける
(四四五六・薛妙観)

た行

 
◇たで

    わがやどの穂たで)古幹ふるから)摘み)ほし実になるまでに 君をし待たむ
(二七五九・作者未詳)
 
◇つきくさ

    月草に衣そ染むる君がためまだら)の衣摺らむと思ひて
(一二五五・作者未詳)
 
◇つた

    さ寝し夜はいくだもあらずはふつたの別れし来れば
(一三五・柿本人麻呂)
 
◇つばき

    あしひきの八つ)の椿つらつらに見ともあかめや植ゑてける君
(四四八一・大伴家持)
 
◇つばな

    茅花つばな)抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり)が恋ふらくは
(一四四九・大伴田村毛大嬢)

な行

 
◇なでしこ

    なでしこは秋咲くものを君が家の雪のいはほ)に咲けりけるかも
(四二三一・久米広縄)
 
◇ぬばたま

    ぬばたまの夜のふけぬれば久木おふる清き河原に千鳥しば鳴く
 (九二五・山部赤人)
 
◇ねぶ

    我妹子が形見の合歓木ねぶ)は花のみに咲きてけだしく実にならじかも
(一四六三・大伴家持)

は行

 
◇はぎ

    朝霧のたなびく田居に鳴く雁を留め得むかもわがやどの萩
(四二二四・光明皇后)
 
◇はまゆふ

    み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へどただに逢はぬかも
(四九六・柿本人麻呂)
 
◇ふぢ

    春へ咲く藤のうら葉のうら安にさ)る夜そなき)ろをし)へば
(三五〇四・作者未詳)
 
◇ふぢばかま

    萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
(一五三八・山上憶良)

ま行

 
◇まこも

    まこも)刈る大野川原の水隠みごも)りに恋ひ)し妹が紐解くあれ)
(二七〇三・作者未詳)
 
◇まゆみ

    南淵の細川山に立つまゆみ)弓束ゆづか)巻くまで人に知らえじ
(一三三〇・作者未詳)
 
◇みる

    綿わた)もなき布肩衣の海松みる)のごとわわけさがれる襤褸かかふ)のみ
(八九二・山上憶良)
 
◇むぐら

    むぐら)ふ賤しきやども大君のまさむと知らば玉敷かましを
 (四二七〇・橘諸兄)
 
◇もも

    春の苑くれなゐにほふ桃の花した照る道にいで立つ娘子おとめ)
(四一三九・大伴家持)

や行

 
◇やまたちばな

    あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
(六六九・春日王)
 
◇やまぶき

    山吹のにほへる妹がはねず色の赤裳の姿いめ)に見えつつ
(二七八六・作者未詳)
 
◇よもぎ

    あやめ草蓬よもぎ)かづらきさか)みづき遊び)ぐれど
(四一一六・大伴家持)

わ行

 
◇わすれぐさ

    忘れ草わがひもにつく香具山の古りにし里を忘れむがため
 (三三四・大伴旅人)
 
◇をぎ

    葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の吹き来るなへに雁鳴き渡る
(二一三四・作者未詳)
 
◇をばな

    高円の尾花吹き越す秋風にひも解き開けなただならずとも
(四二九五・大伴池主)
 
◇をみなへし

    秋の田の穂向き見がてりわが背子がふさ手折りけるをみなへしかも
(三九四三・大伴家持)

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Last update: 02/11/10 13:51