平成２２年度　卒業論文

「コブクロの歌詞の表現特性」

指導教官　　　野浪　正隆先生

小学校教員養成課程　国語専攻

国語表現ゼミナール

072416　片山　秋作

《目次》

序章　　研究動機

第一章　　研究概要

　　第一節　　研究対象

　　　　第一項　　コブクロについて

　　　　第二項　　対象楽曲について

　　第二節　　研究方法

　　　　第一項　　品詞分析の方法

　　　　第二項　　語彙分析の方法

　　　　第三項　　構成分析の方法

　　第三節　　分析のねらいと予想される結論

第二章　　歌詞作品の分析

　　第一節　　品詞分析

　　第二節　　語彙分析

　　第三節　　構成分析

第三章　　まとめと今後の課題

　　第一節　　まとめ

　　第二節　　今後の課題

　　

参考文献

終わりに

序章　　研究動機

　「桜の花びら散るたびに・・・」

　はじめてコブクロの曲を聴いたのはあるニュース番組の特集でだった。このときコブクロはメジャーデビューを控えた注目アーティストとして特集が組まれていた。そして、その中で取り上げられていたのが「桜」という曲であった。私の中にこのとき「コブクロ」というアーティスト名はほとんど残らなかったのだが、この「桜」という曲だけはなぜだか頭にずっと残っていた。

　しかし、そんな記憶もだんだんと薄れていき、私は中学生になった。ちょうどその頃に夢中になったアーティストがコブクロであり、ここであの「桜」という楽曲との再会を果たすのであった。コブクロに夢中になり始めた頃は気がつかなかったのだが、自分の中に「いいな」という印象とともにうっすらと記憶に残っていた楽曲が、今自分が夢中になっているアーティストの作品だったということがあらためて分かり、とても感動したのを覚えている。そして、感動したのとともに、自分が結局昔好きだったのと同じアーティストの曲に知らず知らずの内にまた惹かれているという事実にも同時に気がついた。このことがきっかけで、私が「コブクロ」に惹かれる理由が何かしらあるのではないかと考えるようになったのであった。

　他のアーティストの曲もたくさん聴いてきたが、やはりコブクロの楽曲には強く惹かれるものがあった。しかしそれが何なのか自分の中でもはっきりしない。周りに良さを説明しようとしても「歌詞が良い」などというぼんやりしたことしかいうことができなかった。それでもコブクロの良さというのがその楽曲の歌詞にあることは自分の中ではっきりとしてきていることであった。

　コブクロのファンサイトなどを見ると、「歌詞に人柄の良さがにじみ出ている。」「人生観があらわれている。」という言葉をよく目にする。例えば同じテーマで複数の人が文章を書いても人によって表現の仕方なり物事の捉え方が違っていたりするので、できあがったものは当然違ってくるだろう。つまり歌詞にはそのアーティスト「らしさ」というものがあらわれているということではないだろうか。

　そこで、コブクロの楽曲を詳しく調べ、「コブクロらしさ」というものが何なのかを調べたいと思い今回の研究に至った。

第一章　　研究概要

第一節　　研究対象

　　第一項　コブクロについて

　大阪の路上から飛び出したフォーク・デュオ。某会社のトップ・セールスマンだった小渕健太郎が息抜きのため週末ストリート・ライヴをしていたが、同じく路上で音楽活動をしていた黒田俊介と意気投合し98年にグループを結成。

　結成後の土曜日はミナミ，天王寺などへ出て歌うようになる。その頃２〜３曲オリジナルはあったが，路上ではほとんど歌うことはなく，「オリジナルあるんですか？」とお客様に言われたときだけ歌っていた。その時の反響に２人は驚く。ただ「○○っぽいですね」と言われないようにするためにはどうすれば良いのか？必死で考えた。オリジナルをメインに活動するようになり，お客様も増え出す。

　小渕，１９９９年１月には，約４年間つとめた会社を，音楽をやっていきたいという理由で辞める。次第にライブスケジュールが詰まり，ストリートライブは不定期にはなったものの，時間があれば，路上にでて，ひっかけ橋や天王寺でファンを確実に増やしつづけた。その他，ラジオにも出演。大阪だけでなく，近畿全域でその勢力を伸ばしていく。

　――そして01年、シングル「YELL〜エール〜」にてメジャー・デビュー。その力強い旋律／言葉は多くの人々に感動を与え、04年の「永遠にともに」が結婚式ソングとしてロング・ヒットを記録すると、ここから怒涛の快進撃が始まった。05年にはドラマ『瑠璃の島』主題歌「ここにしか咲かない花」が爆発的にヒット、さらに同年彼らがデビュー前からあたためていた曲「桜」を満を持して発表したところ国民的ヒットを記録、日本を代表するトップ・アーティストとしての地位を確立した。

　　ちなみに，「こぶくろ」とは「桜」を作った時の歌詞カードに「こぶちとくろだで『コブクロ』でええか」と書いていたのがそのまま今も続いている。

　また、身長168cmの小渕健太郎と193cmの黒田俊介は『業界一身長差のあるユニット』としても有名であり、黒田俊介はあの布袋寅泰を越え“最も背の高いアーティスト”としても知られている。

（以上、コブクロオフィシャルサイト「KOBUKURO．COM」とyahoo!ミュージックのアーティスト情報より引用）

　　第二項　　対象楽曲について

　

　今回はコブクロが他アーティストに提供している楽曲は含めず、コブクロ名義で発表している（インディーズ・メジャーともに）全118曲を分析の対象とする。また、同一曲だが、アレンジが異なることにより、タイトル表記が変わっているものは同一曲として一曲とカウントすることにした。さらに、2010年11月17日に発表された「流星」という楽曲は分析対象に含まないものとする。曲目は以下に示す。

	曲名	収録	作詞	作曲	発売日
1	ストリートのテーマ	「Saturday 8:pm」	小渕健太郎	小渕健太郎	19990721
2	ボクノイバショ	「Saturday 8:pm」	小渕健太郎	小渕健太郎	19990721
3	遠くで・・	「Saturday 8:pm」	小渕健太郎	小渕健太郎	19990721
4	虹の真下	「Saturday 8:pm」	小渕健太郎	小渕健太郎	19990721
5	夢唄	「Saturday 8:pm」	小渕健太郎	小渕健太郎	19990721
6	２人	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
7	Bye Bye Oh! Dear My Lover	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
8	DOOR	「Root of my mind」	黒田俊介	黒田俊介	20000304
9	LOVE	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
10	桜	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
11	赤い糸	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
12	轍-わだち-	「Root of my mind」	小渕健太郎	小渕健太郎	20000304
13	ＭｏｏｎＬｉｇｈｔＰａｒｔｙ！	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
14	そばにいれるなら	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
15	遠回り	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
16	光	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
17	坂道	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
18	心に笑みを	「ANSWER」	黒田俊介	黒田俊介	20001219
19	神風	「ANSWER」	小渕健太郎	小渕健太郎	20001219
20	Bell	「YELL-エール-/Bell」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010322
21	YELL-エール-	「YELL-エール-/Bell」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010322
22	ＡＮＳＷＥＲ	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
23	ｍｅｍｏｒｙ	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
24	ｍｉｓｓ　ｙｏｕ	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
25	Ｒｉｎｇ	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
26	コンパス	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
27	そばにおいで	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
28	朝顔	「Roadmade」	小渕健太郎	小渕健太郎	20010829
29	YOU	「YOU/miss you」	小渕健太郎	小渕健太郎	20011121
30	海に降る雪	「YOU/miss you」	小渕健太郎	小渕健太郎	20011121
31	そしてまた恋をする	「風｣	小渕健太郎	小渕健太郎	20020214
32	風	「風｣	小渕健太郎	小渕健太郎	20020214
33	ゆらゆら	「願いの詩/太陽」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020710
34	願いの詩	「願いの詩/太陽」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020710
35	太陽	「願いの詩/太陽」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020710
36	GRAPEFRUITS DAYS	「grapefruits」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020828
37	overflow	「grapefruits」	黒田俊介	黒田俊介	20020828
38	アンブレラ	「grapefruits」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020828
39	小渕君の犬のうた	「grapefruits」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020828
40	新しい場所	「grapefruits」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020828
41	彼女	「grapefruits」	小渕健太郎	小渕健太郎	20020828
42	翼よあれが巴里の灯だ	「grapefruits」	黒田俊介	黒田俊介	20020828
43	The Big Man's Blues	「雪の降らない街」	黒田俊介	黒田俊介	20021113
44	雪の降らない街	「雪の降らない街」	小渕健太郎	小渕健太郎	20021113
45	愛する人よ	「宝島」	小渕健太郎	小渕健太郎	20030409
46	宝島	「宝島」	小渕健太郎	小渕健太郎	20030409
47	blue blue	「blue blue」	小渕健太郎	小渕健太郎	20030827
48	潮騒ドライブ	「blue blue」	小渕健太郎	小渕健太郎	20030827
49	Holy Snowy Night	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
50	INVISIBLE　MAN	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
51	STRAIGHT	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
52	まーだだよ	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
53	昨日の日のワルツ	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
54	手紙	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
55	真実の口	「STRAIGHT」	小渕健太郎	小渕健太郎	20031106
56	背番号1	「STRAIGHT」	黒田俊介	黒田俊介	20031106
57	忘れてはいけないもの	「DOOR」	小渕健太郎	小渕健太郎	20040512
58	Million Films	「永遠にともに/Million Films」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041014
59	ここから	「永遠にともに/Million Films」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041014
60	永遠にともに	「永遠にともに/Million Films」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041014
61	HUMMING LIFE	「MUSIC MAN SHIP」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041103
62	Rising	「MUSIC MAN SHIP」	黒田俊介	黒田俊介	20041103
63	エピローグ	「MUSIC MAN SHIP」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041103
64	この指とまれ！	「MUSIC MAN SHIP」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041103
65	光の誓いが聴こえた日	「MUSIC MAN SHIP」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041103
66	東京の冬	「MUSIC MAN SHIP」	小渕健太郎	小渕健太郎	20041103
67	ここにしか咲かない花	「ここにしか咲かない花」	小渕健太郎	小渕健太郎	20050511
68	六等星	「ここにしか咲かない花」	小渕健太郎	小渕健太郎	20050511
69	Starting Line	「桜」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051102
70	今と未来を繋ぐもの	「桜」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051102
71	Flag	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
72	LOVER'S SURF	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
73	NOTE	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
74	Pierrot	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
75	Saturday	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
76	待夢磨心-タイムマシン-	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
77	大樹の影	「NAMELESS WORLD」	黒田俊介	黒田俊介	20051221
78	同じ窓から見てた空	「NAMELESS WORLD」	小渕健太郎	小渕健太郎	20051221
79	あなたへと続く道	「君という名の翼」	小渕健太郎	小渕健太郎	20060726
80	君という名の翼	「君という名の翼」	小渕健太郎	小渕健太郎	20060726
81	未来への帰り道	「ALL SINGLES BEST」	小渕健太郎	小渕健太郎	20060927
82	彼方へ	「蕾」	小渕健太郎	小渕健太郎	20070321
83	風見鶏	「蕾」	小渕健太郎	小渕健太郎	20070321
84	蕾	「蕾」	小渕健太郎	小渕健太郎	20070321
85	君色	「蒼く 優しく」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071107
86	蒼く 優しく	「蒼く 優しく」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071107
87	Diary	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
88	Fragile mind	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
89	WHITE DAYS	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
90	コイン	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
91	どんな空でも	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
92	月光	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
93	水面の蝶	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
94	風の中を	「5296」	小渕健太郎	小渕健太郎	20071219
95	ベテルギウス	「時の足音」	小渕健太郎	小渕健太郎	20081029
96	時の足音	「時の足音」	小渕健太郎	小渕健太郎	20081029
97	Summer rain	「虹」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090415
98	ルルル	「虹」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090415
99	虹	「虹」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090415
100	FREEDOM TRAIN	「STAY」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090715
101	STAY	「STAY」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090715
102	君といたいのに	「STAY」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090715
103	Sunday kitchen	「CALLING」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090805
104	To calling of love	「CALLING」	黒田俊介	黒田俊介	20090805
105	サヨナラ HERO	「CALLING」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090805
106	天使達の歌	「CALLING」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090805
107	恋心	「CALLING」	小渕健太郎	小渕健太郎	20090805
108	日本列島観察日記	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
109	ココロの羽	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
110	向かい風	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
111	涙雨	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
112	夜空	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
113	雨も風も	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎
114	Lost Ambitious	未発売	黒田俊介	黒田俊介
115	Happy Birthday	未発売	小渕健太郎	小渕健太郎

第二節　　研究方法

　

　今回、コブクロの歌詞表現の特徴を調べるにあたって、「心理描写が多い」、「好んで使用している語句がある」という、私がコブクロの楽曲の歌詞に対して持っていた印象が正しいのかどうかを調べることができ、さらに、主観で歌詞を解釈していくのではなく、いかに客観的にその特徴を明らかにしていくかということを考え、１．「品詞分析」、２．「語彙分析」、３．「構成分析」という三つの分析観点をたてた。また、コブクロだけでなく他のアーティストの楽曲も同様に調べ、比較することでコブクロの特徴を抽出していくことを考えた。他のアーティストについては、「アーティスト自らが作詞作曲をしている」「コブクロとスタイルが似ている（男性デュオ）」「女性の楽曲も含む」という条件をできるだけ満たすように、自身の思いつくままに16のアーティストを選び出した。また、比較する際の情報量を統一するのが難しかったため、各アーティストの楽曲のセールストップ10をオリコンによって調べ対象とすることとした。ただし、その中には歌詞の全てが英語の曲があるため、その場合はその楽曲は扱わないこととした。比較アーティストとセールストップ10の楽曲の一覧は以下に示す。

	コブクロ	ゆず	19	スキマスイッチ	レミオロメン	Mr.Children	スピッツ	いきものがかり	SMAP
1	蕾	飛べない鳥	あの紙ヒコーキ くもり空わって	全力少年	粉雪	Tomorrow never knows	ロビンソン	ありがとう	世界に一つだけの花
2	桜	嗚呼、青春の日々	すべてへ	ボクノート	太陽の下	名もなき詩	チェリー	YELL/じょいふる	夜空ノムコウ
3	ここにしか咲かない花	いつか	果てのない道	ガラナ	3月9日	イノセントワールド	空も飛べるはず	ブルーバード	らいおんハート
4	時の足音	からっぽ	水、陸、そら、無限大	奏（かなで）	茜空	シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜	涙がキラリ☆	キミがいる	ＳＨＡＫＥ
5	YELL〜エール〜	栄光の架橋	足跡	マリンスノウ	蒼の世界	【es】〜Theme of es〜	渚	帰りたくなったよ	青いイナズマ
6	蒼く 優しく	センチメンタル	背景ロマン	雨待ち風	南風	花〜Memento-Mori〜	スカーレット	SAKURA	俺たちに明日はある
7	永遠にともに/Million Films	心のままに	たいせつなひと	ゴールデンタイムラバー	もっと遠くへ/オーケストラ	CROSS ROAD	夢じゃない	ふたり	セロリ
8	君という名の翼	夏色	蒲公英-たんぽぽ-	冬の口笛	Wonderful & Beautiful	everybody goes-秩序のない現代にドロップキック	遥か	HANABI	ダイナマイト
9	虹	サヨナラバス	あの青をこえて	アカツキの詩	RUN/蛍	Everything（It's you）	運命の人	ホタルノヒカリ	がんばりましょう
10	STAY	３カウント		虹のレシピ	Starting Over	終わりなき旅	スターゲイザー	気まぐれロマンティック	たぶんオーライ
	CHAGE & ASKA	Kiroro	Dreams Come True	中島みゆき	松任谷由実	サザンオールスターズ	aiko	絢香
1	SAY YES	長い間	LOVE LOVE LOVE	空と君のあいだに	真夏の夜の夢	TSUNAMI	ボーイフレンド	三日月
2	YAH YAH YAH	未来へ	決戦は金曜日	地上の星/ヘッドライト・テールライト	Hello,my friend	エロティカ・セブン	初恋	I believe
3	めぐり逢い	Best Friend	サンキュ．	浅い眠り	春よ、来い	涙のキッス	カブトムシ	Jewery day
4	HEART	冬のうた	go for it!	旅人のうた	守ってあげたい	愛の言霊〜Spiritual Message	花火	CLAP & LOVE/Why
5	if	最後のKiss	WINTER SONG	銀の竜の背に乗って	輪舞曲	あなただけを〜Summer Heartbreak〜	キラキラ	Real voice
6	僕はこの瞳で嘘をつく	青のじゅもん	Eyes to me	命の別名	まちぶせ	シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA	おやすみなさい	夢を味方に/恋焦がれて見た夢
7	Sons and Daughters	好きな人	朝がまた来る	あした	ANNIVERSARY	HOTEL PACIFIC	ロージー	おかえり
8	no no darlin'	ひまわり	晴れたらいいね	時代	最後の嘘	涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜	アンドロメダ	手をつなごう/愛を歌おう
9	Something There	逢いたい	ROMANCE	誕生	ダンデライオン	いとしのエリー	桜の時	みんな空の下
10	太陽と埃の中で	愛さない	すき	ジェラシー・ジェラシー	Millennium	クリスマス・ラブ（涙のあとには白い雪が降る）	蝶々結び	melody〜SOUNDS REAL〜

　　第一項　　品詞分析の方法

　歌詞に出てくる全ての言葉を品詞に分類しどのような品詞が多く使われているのか、また、その使われ方に特徴があるのかどうかを調べる。ここで集計の対象とする品詞は「動詞」、「形容詞」、「副詞」、「名詞」、「感嘆詞」の５つとする。それでは次に細かい方法について示していく。

�@コブクロの全楽曲の集計結果と、コブクロのセールストップ10の楽曲の集計結果、各アーティストの楽曲の集計結果を調べて比較する。

�A集計結果をクラスター分析（＊）にかけ、特徴を意味づけしていく。

�Bコブクロの全楽曲に対して、１曲ごとに品詞の使用率を出し、集計結果を比較する。

�C集計結果をクラスター分析（＊）にかけ、特徴を意味づけしていく。

�D品詞の使用率によって「体言型」と「用言型」に分類していく。

　

以上の方法で品詞の使用率を分析していく。

（＊）クラスター分析について

　データ解析手法の1つ。教師なしデータ分類手法、つまり与えられたデータを外的基準なしに自動的に分類する手法。似ているものを集めて分類して、その中から意味のあるものを発見しようというデータマイニングの手法のひとつ。

　　第二項　　語彙分析の方法

　歌詞に出てくる全ての言葉を語句に区切って集計し、それを基本語彙とそうでないものに分類し、コブクロと各アーティストとを比較する。

�@コブクロの全楽曲に使われている語句を集計する。

→上位に上がっている語句は、コブクロの楽曲の歌詞においてよく使用されている語句であることが分かる。

�Aそのよく使われている語句がコブクロでなくてもよく使う語句であるのかコブクロ特有の語句であるのかを考えるために、コブクロ以外のアーティストの楽曲の語句を集計し、比較する。

�Bさらに、両者の集計結果から基本語彙（よく使う語句）以外の語を抽出し、コブクロとその他のアーティストと比較をする。

�C使用されている語句の中で頻度が高い語句は、どのような語句とともに使われているのかという語句どうしの「共起」について調べていく。

　　第三項　　構成分析の方法

　この分析方法は、野浪正隆の提唱する『物語文の構成分析試案』（以下試案）にしたがって分析を進めていくこととする。　野浪は試案の中で以下のように述べている。

　小説・物語の三要素として「背景・人物・事件」が、知られている。「どんな時・所を設定しようか、どんな人物を設定しようか、どんな事件を起こそうか」と表現主体は、発想し、ストーリーを作っていくのだろう。<中略>小説・物語文において主題と密接に関る要素は、主人公の心理である。心理に作用し、心理が作用する要素は、主人公の行動と、主人公の心理を「内界」とした場合の「外界」である。（「外界」では、言葉がこなれないので「状況」といいかえよう）
　この、「状況・心理・行動」という枠組みで、先の三要素をとらえなおしてみる。

背景＝ 状況（ただし、主人公・視点人物以外の人物の心理・行動を含む）

人物＝ 心理・行動（ただし、主人公あるいは視点人物の）

事件＝ 状況×（心理・行動）

新三要素の「状況」は、「背景」と「主人公・視点人物以外の人物の心理・行動」を含む。さらに風景や事物など、主人公・視点人物以外のものやことをすべて含む。「人物」は、主人公・視点人物の心理・行動だけを含む。主人公・視点人物以外の人物は、「状況」に含まれる。つまり、新三要素では、主人公・視点人物の「心理」を取り立てることになる。「事件」は、「状況」と「心理」・「行動」との関係としてとらえることができる。

　野浪正隆　『物語文の構成分析試案』

　

　このように示された「状況・心理・行動」という三要素の枠組みに加えて今回は「状態」という項目も加えた四要素の枠組みを用いてコブクロの楽曲を分析していくこととする。以下に分析例を示す。

「Million Films」　作詞・作曲　小渕健太郎

	Million Films	状況	心理	行動	状態
1	信号待ち 買い物袋ぶら下げた二人の手	○			○
2	僕に内緒のまま 選ばれた夕飯のレシピ	○
3	夕暮れ時 自転車に追い越されながら	○
4	茜に染まる 外苑沿いのレンガ道	○
5	しばらく黙りこくってた僕に不機嫌そうな君	○			○
6	違うよ君に寄り添ってるメロディを		○
7	五線紙みたいにぶら下がった電線の上並べてるんだ		○
8	100万枚撮りのフィルムでも撮りきれない程の		○
9	想い出を君と二人 未来へと焼きつけていけたら良いな		○
10	そばにいれるこの瞬間を切り取ればいつだって		○
11	いくつだって溢れる様に		○
12	生まれてくる LOVE SONG		○
13	悪気もなく 見てた古い君のアルバム			○
14	最後のページ一つ膨らんだポケット	○
15	今更ヤキモチもないだろう? と		○
16	胸騒ぎ抑えて抜き出せば			○
17	やたらゴツ目な彼の腕に	○
18	おどけてつかまるその瞳が	○
19	やけに切なく胸にくるんだ		○
20	ぶつかり合う度また心が破れたり		○
21	ほつれたりするのはもう一度		○
22	新しい結び目を作るためさ		○
23	そこに涙がしみ込んだなら		○
24	もう二度とほどける事の無い		○
25	強さを持った絆に変わるだろう		○
26	竜胆の花が雨に揺れる	○
27	透明の雨傘も包み込む	○
28	秋の調べ優しく	○
29	100万枚撮りのフィルムでも		○
30	撮りきれない程の想い出のひと欠片を		○
31	ありふれた今日の何処かに見つけだそう		○
32	そこに涙が解け合う事を君の笑い声ひびく事を		○
33	心にそっと祈りながら今も		○
34	溢れ出してる		○
35	また新しい LOVE SONG		○

　このような分析を全曲に対して行っていく。そしてさらに、以下の手順で分析を深めていく。

�@１曲ごとと全曲に対しての使用率を集計する。

�Aコブクロと各アーティストを比較し、コブクロというアーティストの特徴を探る。

�B１曲ごとに出した使用率をクラスター分析にかけ、作品（楽曲）ごとの特徴を探る。

�Cコブクロの各楽曲を時期ごとにわけ、時期の変化によって描写の傾向に変化がないのかを探る。

第三節　　分析のねらいと予想される結論

　「品詞分析」においては、各品詞の使用率がアーティストによって異なると考えたため設定した。また、それぞれの品詞の使用率が高いのか低いのかをアーティストごとに比較することで明らかにし、コブクロがどのような使い方の特徴を持っているのかということを明らかにしたかった。また、どの品詞が多く使われているかによって、その文章全体の性質が変わってくるのではないだろうか。以下に参考文献の引用を示す。

谷崎氏と志賀氏の文章の相違は、両氏が文章に課する役割の相違から来ていると考えられる。谷崎氏においては事件又は事物の叙述が、あくまでも言語を主体として、言語が主役となって語られている。これに反して、志賀氏においては事件あるいは事物は言葉によって語られていても、この場合言葉はただ媒介をするだけで、主になるものは事物そのもの、事件そのものである。言葉は事件を暗示するに止まり、すべて事件自体が直接の形で表現される。したがって言葉の役割だけから言えば、後者の言語使用はいちじるしく象徴的になる。言語は事件を出すための刺激なのであるから。谷崎氏の文章ではこれに反してあくまでも言葉がすべての権力を握っている。彼は言葉によって事件の推移を語る。物がいわば直接に読者を打つのではなくて、言葉の魔力によって、言葉から発散する一種の感じが、事件や事物を評価する上の大きな助けをなす。＜中略＞言葉によってかもし出される「緊張体系」が、事件のかもし出す緊張体系をおおいつくしている。志賀氏においてはそういうことはない。志賀氏にあっては言葉は極度に節約され―この節約から一種の言語的緊張体系が生れるが、これは別の問題になる―事件そのものを前面におし出すための顕著な役割をすることになる。

　これを次のように説明してもよい。谷崎氏の方は、言語が前面に出てきている。というかぎりにおいて、自己の緊張体系を社会的な形で、ロゴス的な表現形式とってゆくのであるが、志賀氏の方は、その文章の志向が社会的達意の方へ向わずに「物」の方へ向っている。前者は叙述をいかに社会化するか。という方向に向い、後者は叙述をいかに物に忠実にするか、という方向に向う。前者は自分のもっている緊張体系を社会的にわからせることに努力し、後者はそれよりもむしろ言葉と物との一致（コンコルダンス）を要求する。

『文章心理学』　波多野完治　　pp.117〜118

この体言型の文章と、用言型の文章とがやはり「事物への方向」と、「社会への方向」という心性の基本方向の一つの現れであることはただちに推定できよう。一方は事物を指示して、事物の直観そのものから、一種の緊張体系を呼びおこそうとする。これに反して、用言型の文章では体言と共に、その体言の様相状態をできるだけ「言語的」に叙述する。人にわからせるには、言葉をつくして、用意周到に叙述する必要がある。物をあらゆる角度からながめ、物のありさまをすべて言語によって説明しつくす必要がある。それでないと、人は作家の知ってもらいたいと思ったところを見のがしてしまうかもしれない。そこで言葉がくどくなり説明が多くなる。そうして、説明の主体は限られているのであるから、名詞は少く、名詞についての様相の言葉（即ち用言）が多くなるわけである。志賀氏の文章はこれとは反対に、事物そのものに即しようとする。事物をわからせようとするよりも読者が事物の中へとびこむことを要求する。言葉は暗示と手だすけに止まり、そのこまごました説明はすべて読者の想像にまかせられる。

『文章心理学』　波多野完治　　p.144

この参考文献は小説についての品詞分析であったが、現代の歌詞にこれを当てはめながらそれぞれ分類していきたい。

　私は以前からコブクロの楽曲は細かい心理描写や比喩的な状況描写が多いと感じていた。特に心理描写が多いと、その心理状態を述べる際に形容詞を多く用いるのではないだろうか。また、比喩が多いということは名詞の使用率が高いということがいえるだろう。（直喩にしろ隠喩にしろ、その例えの部分には必ず名詞があるから。）よってこの分析からコブクロの形容詞と名詞の使用率が他のアーティストと比べて高くなっているのではないかと予想した。

　「語彙分析」においては、使っている語句にアーティストの癖や好みが出ているのではないかと考えたため設定した。そこからコブクロらしさを明らかにできないだろうかと考えた。

　予想としては、コブクロの歌詞には「花」、「蕾」、「種」やこれらに関連する言葉が多く使われているのではないかということがまず挙げられる。これらの言葉にたとえて何かを表現するというのが多いように感じていたからだ。

　また、他にも「君」という言葉と「未来」という言葉が多く使われているのではないかということも挙げられる。その楽曲のストーリーの中において、「君」＝「未来」、つまりこれからを予感させる、イメージさせるものであるとして使っているのと感じていた。これらの頻度や関係性を見るためにもこの分析項目をたてた。

　「構成分析」においては、歌詞の叙述方法ではなく、叙述内容を明らかにしたいために設定した。

また、この分析を行うことで時期ごとの叙述内容の変化も探ることができるのではないかと考えられる。

　予想としては、コブクロは心理描写を多く使っているのではないかということが考えられる。状況を述べて世界を作っていくのではなく、独白、いわゆるモノローグ的な歌詞の内容が多いと感じていた。また、恋愛の歌が多く、相手に対する気持ちを述べている歌も多い。このことから、心理描写の割合がかなり高くなるのではと考えた。

第二章　　歌詞作品の分析

　　

第一節　　品詞分析

第一章第二節第一項で示した品詞分析の方法により品詞を集計した結果を以下に示す。

	名詞	動詞	形容詞	形容動詞	副詞	感動詞	total
コブクロ全曲	39%	47%	7%	3%	3%	1%	100%
コブクロ	44%	38%	7%	2%	9%	0%	100%
ジューク（１９）	38%	44%	8%	3%	6%	1%	100%
aiko	39%	39%	9%	3%	8%	1%	100%
CHAGE&ASKA	46%	40%	6%	2%	6%	0%	100%
Dreams Come True	41%	41%	5%	3%	8%	1%	100%
Kiroro	32%	41%	7%	3%	15%	3%	100%
Mr.Children	44%	39%	6%	5%	6%	0%	100%
ＳＭＡＰ	39%	39%	6%	4%	11%	1%	100%
いきものがかり	37%	45%	8%	2%	7%	1%	100%
サザンオールスターズ	58%	28%	6%	2%	5%	1%	100%
スキマスイッチ	41%	42%	6%	3%	7%	1%	100%
スピッツ	43%	40%	8%	3%	6%	0%	100%
ゆず	37%	39%	6%	4%	11%	2%	100%
レミオロメン	44%	38%	6%	4%	7%	0%	100%
絢香	38%	43%	8%	4%	6%	1%	100%
松任谷由実	41%	40%	6%	3%	9%	2%	100%
中島みゆき	46%	40%	7%	1%	6%	1%	100%

　この表を見ると、名詞を使用する割合が最大なのはサザンオールスターズの58％で、割合が最小なのはKiroroで32％である。動詞を使用する割合が最大なのはコブクロ（全曲）の47％で、割合が最小なのはサザンオールスターズで28％である。形容詞を使用する割合が最大なのはaikoの9％で、割合が最小なのはDreams Come Trueで5％である。形容動詞を使用する割合が最大なのはMr.Childrenの5％で、割合が最小なのは中島みゆきで1％である。副詞を使用する割合が最大なのはKiroroの15％で、割合が最小なのはコブクロ（全曲）で3％である。感動詞を使用する割合が最大なのはKiroroの3％で、割合が最小なのはコブクロ、CHAGE&ASKA、Mr.Children、スピッツ、レミオロメンで0％である。

　このように細かい差異は見られたものの、コブクロに関しては目だった特徴が見られないと感じたため、これらの数値をクラスター分析にかけ、コブクロがどのようなグループに属するのかを考えていく。クラスター分析の結果を以下に示す。

クラスター間平均									：変数別最大ｸﾗｽﾀｰ
									：変数別最小ｸﾗｽﾀｰ
		第1ｸﾗｽﾀｰ		第2ｸﾗｽﾀｰ		第3ｸﾗｽﾀｰ		第4ｸﾗｽﾀｰ		第5ｸﾗｽﾀｰ
名詞		0.380		0.443		0.397		0.316		0.584
動詞		0.448		0.391		0.401		0.411		0.276
形容詞		0.077		0.068		0.065		0.070		0.059
形容動詞		0.029		0.028		0.033		0.029		0.025
副詞		0.055		0.066		0.090		0.145		0.046
感動詞		0.012		0.005		0.014		0.029		0.011
群内項目	1	コブクロ全曲	2	コブクロ	4	aiko	7	Kiroro	11	サザンオールスターズ
	3	ジューク（１９）	5	CHAGE&ASKA	6	Dreams Come True
	10	いきものがかり	8	Mr.Children	9	ＳＭＡＰ
	16	絢香	13	スピッツ	12	スキマスイッチ
			15	レミオロメン	14	ゆず
			18	中島みゆき	17	松任谷由実

　これは、５つのグループに分類したときの結果である。以上をもとにそれぞれのグループがどのように分類されているのかを考えていく。

○第１クラスター

　このグループには、コブクロ（全曲）、１９、いきものがかり、絢香が含まれている。これらのアーティストは動詞と形容詞を使用する割合が最大の値をとっていることがわかる。

○第２クラスター

　このグループには、コブクロ（トップ１０）、CHAGE&ASKA、Mr.Children、スピッツ、レミオロメン、中島みゆき、が含まれている。このグループの特徴としては感動詞を用いる割合が一番低いということがまずわかる。そして、それ以外は目立った特徴のない平均的な値をとっている。つまりこのグループは他のグループと比較して、全体的に極端な値を示さない平均的なグループであることが分かる。

○第３クラスター

　このグループにはaiko、Dreams Come True、SMAP、スキマスイッチ、ゆず、松任谷由実が属している。特徴としては形容詞の使用率が一番高いグループであるということが分かる。また最大の値はとらないが、副詞を使用する割合も高い値を示している。

○第４クラスター

　このグループにはKiroroしか属していない。特徴としては名詞の使用率が一番低く、副詞と感動詞の使用率一番高いグループであることが分かる。中でも感動詞の使用率は他のグループが1%前後という割合に比べておよそ3%と高いことが分かる。また、副詞の使用率も他のグループの10％未満であるのに比べ15%と高い割合を示していることが分かる。

○第５クラスター

　このグループにはサザンオールスターズしか属していない。特徴としては動詞、形容詞、形容動詞、副詞、感動詞の使用率が一番低く、名詞の使用率が一番高いグループであるということが分かる。中でも名詞の使用率は他のグループが40％前後の割合であることに比べて、およそ60％で半数を超えている特に高い値をとっていることが見てとれる。

ここで、コブクロの全曲の平均とセールスのトップ１０の平均が違うグループに属しているということは、コブクロのすべての楽曲の中でも特にセールストップ１０の楽曲は、品詞の使い方が異なっている楽曲であるということがわかる。

	名詞	動詞	形容詞	形容動詞	副詞	感動詞	total
コブクロ全曲	39%	47%	7%	3%	3%	1%	100%
コブクロ	44%	38%	7%	2%	9%	0%	100%

この表を見ると、コブクロの全曲の品詞の使用率の平均とセールストップ１０の品詞の使用率が大きく異なっているのは名詞、動詞、副詞であり、全曲平均では　名詞の使用率＜動詞の使用率　

になる。さらに動詞の割合は他のアーティストと比較した際に最大の値を示す。トップ１０の平均は　名詞の使用率＞動詞の使用率　となり、全曲と比べると比率がほぼ逆転している。また、コブクロの全曲は副詞の使用率が他のアーティストと比べても最小の割合であるのに対し、トップ１０はその３倍の値を示しているということがわかる。

　次に、コブクロはどのアーティスト似た値を示すのかを見ていくと、クラスター分析の結果と樹形図から、コブクロの全曲は、１９、いきものがかり、絢香と似た傾向を示すことがわかる。コブクロのセールストップ１０は、CHAGE&ASKA、Mr.Children、スピッツ、レミオロメン、中島みゆきと似た傾向を示す。樹形図を見ると、その中でも特にMr.Children、レミオロメンに似た傾向を示していることがわかる。

　以上をまとめると以下のようになる。

＜まとめ＞

・コブクロは全曲平均とセールストップ１０では品詞の使い方に差がある。特に名詞、動詞、副詞の使い方に差が見られる。

・コブクロと似た品詞の使い方をするアーティストは、全曲平均では１９、いきものがかり、絢香であり、セールストップ１０ではMr.Childrenとレミオロメンである。

　次に、各グループの品詞の使用度の割合を、「体言」と「用言」に分けて考えていく。このとき、感動詞はどちらにも含まれないものとする。一覧を以下に示す。

	体言	用言	total
コブクロ全曲	39%	61%	100%
コブクロ	44%	56%	100%
ジューク（１９）	39%	61%	100%
aiko	40%	60%	100%
CHAGE&ASKA	46%	54%	100%
Dreams Come True	42%	58%	100%
Kiroro	33%	67%	100%
Mr.Children	44%	56%	100%
ＳＭＡＰ	40%	60%	100%
いきものがかり	37%	63%	100%
サザンオールスターズ	59%	41%	100%
スキマスイッチ	41%	59%	100%
スピッツ	43%	57%	100%
ゆず	38%	62%	100%
レミオロメン	44%	56%	100%
絢香	38%	62%	100%
松任谷由実	41%	59%	100%
中島みゆき	46%	54%	100%

この表を見ると、体言を使用する割合が最大なのはサザンオールスターズの５９％で、割合が最小なのはKiroroで33％である。次に、用言を使用する割合が最大なのはKiroroの67％で、割合が最小なのはサザンオールスターズで41％である。

　この表をもとに、各アーティストを「用言型」と「体言型」に分けていく。分ける際に、用言の割合＞体言の割合ならば「用言型」、用言の割合＜体言の割合ならば「体言型」とすると、体言と用言の使用率が１対１を基準にしなければならず、それが平均的な値かどうかを確認できないため、今回は全アーティストの体言と用言の使用率の平均を基準とし、そこから体言の割合が高ければ「体言型」、用言の割合が高ければ「用言型」とすることにした。

それでは分類した結果を以下に示す。

アーティスト	体言	用言	total	型
Kiroro	33%	67%	100%	用言型
いきものがかり	37%	63%	100%	用言型
ゆず	38%	62%	100%	用言型
絢香	38%	62%	100%	用言型
ジューク（１９）	39%	61%	100%	用言型
コブクロ全曲	39%	61%	100%	用言型
ＳＭＡＰ	40%	60%	100%	用言型
aiko	40%	60%	100%	用言型
スキマスイッチ	41%	59%	100%	用言型
平均	41%	59%	100%	平均型
松任谷由実	41%	59%	100%	体言型
Dreams Come True	42%	58%	100%	体言型
スピッツ	43%	57%	100%	体言型
Mr.Children	44%	56%	100%	体言型
コブクロ（トップ１０）	44%	56%	100%	体言型
レミオロメン	44%	56%	100%	体言型
CHAGE&ASKA	46%	54%	100%	体言型
中島みゆき	46%	54%	100%	体言型
サザンオールスターズ	59%	41%	100%	体言型

　次に体言の割合が最も高いサザンオールスターズと、用言の割合が最も高いKiroroのそれぞれの楽曲がどのような品詞の分類になっているのかを具体的に楽曲を例にして見ていく。まずは「用言型」のKiroroの「Best Friend」という楽曲を見ていく。品詞の分類と出現回数は以下に示す。

＜歌詞＞

Best Friend

唄　Kiroro

作詞　玉城千春

作曲　玉城千春

もう大丈夫心配ないと 泣きそうな私の側で

いつも変わらない笑顔で ささやいてくれた

まだ まだ まだ やれるよ だっていつでも輝いてる

時には急ぎすぎて 見失う事もあるよ 仕方ない

ずっと見守っているからって笑顔で

いつものように抱きしめた

あなたの笑顔に 何度助けられただろう

ありがとう ありがとう Best Friend

＜以下略＞

＜分類結果＞

「Best Friend」　Kiroro
名詞		動詞		形容詞		形容動詞		副詞
笑顔	7	見守る	3	仕方	2	幸せ	1	時には	2
最高	1	助ける	3	Best	5	大丈夫	1	ずっと	6
仲間	1	抱きしめる	3	ない	1			まだ	6
唄	1	急ぐ	2					いつも	4
側	1	見失う	2					きっと	1
力	1	変わる	2					こんなに	1
プレゼント	1	感じる	1					もう	1
心配	1	輝く	1
いつ	2	泣く	1
すべて	1	ある	2
たくさん	1	いる	2
今	1	やれる	2
時間	1	ささやく	1
瞬間	1	やりとげる	1
Friend	5
	26		26		8		2		21
体言	26							用言	57
						体言	31%	用言	69%

　これを見ると、やはり名詞の割合が少なく、繰り返して使用している名詞は３つあることがわかる。そして、用言の割合が高くなっている要因として、動詞と副詞の使用率が高いということが考えられる。

　次に「体言型」のサザンオールスターズの「愛の言霊」という楽曲を見ていく。楽曲の歌詞、品詞の分類と出現回数は以下に示す。

＜歌詞＞

愛の言霊〜Spiritual Message〜

唄　サザンオールスターズ

作詞　桑田佳祐

作曲　桑田佳祐

生まれく叙情詩とは 蒼き星の挿話

夏の旋律とは 愛の言霊

生まれく叙情詩とは 蒼き星の挿話

夏の旋律とは 愛の言霊

宴はヤーレンソーラン

呑めど What Cha Cha

閻魔堂は 闇や 宵や宵や

新盆にゃ丸い丸い月も酔っちゃって

由比ヶ浜 鍵屋 たまや

童っぱラッパ 忘れ得ぬ父よ母よ

浮き世の侘しさよ

童っぱラッパ 名も無い花のために

カゴメやカゴメ 時間よ止まれ

エンヤコーラ!!

生まれく叙情詩とは 蒼き星の挿話

夏の旋律とは 愛の言霊

生まれく叙情詩とは 蒼き星の挿話

夏の旋律とは 愛の言霊

＜以下略＞

＜分類結果＞

「愛の言霊」　サザンオールスターズ
名詞				動詞		形容詞		形容動詞		副詞
叙情詩	14	多く	1	見る	2	蒼い	14	愚か	1	なぜ	1
挿話	14	Message	3	生まれる	2	丸い	2
言霊	13	たま	1	遊ぶ	2	無い	1
生まれ	12	星	17	繰り返す	1	侘しい	1
旋律	12	愛	13	見つめる	1	うい	1
ラッパ	4	童	4	告げる	1
運命	1	光	3	止まる	1
黄泉	1	闇	2	酔う	1
祭り	1	縁	2	聴こえる	1
新盆	1	人	2	呑める	1
蝉しぐれ	1	唄	1	犯す	1
戦禍	1	宴	1	舞う	1
浮き世	1	花	1	忘れる	1
浪漫	1	月	1	滅びる	1
囃子	1	幸	1	来る	1
閻魔	1	国	1	涙ぐむ	1
由比ヶ浜	1	魂	1	ある	1
カゴメ	2	罪	1	する	1
鍵屋	1	世	1
釈迦堂	1	先	1
湘南	1	鳶	1
夏	12	父	1
宵	4	風	1
前	2	母	1
過去	1	夢	1
今	1	名	1
時間	1	涙	1
			171		21		19		1		1
		体言	171							用言	42
								体言	80%	用言	20%

　繰り返し使用している名詞が１０個あり、多いもので１４回出現している。先ほどのKiroroの楽曲と比べると明らかに多い値であるということが言えるだろう。そして、用言は体言の４分の１しか出現していないことがわかる。

ここで、先ほどの表を見るとコブクロの全曲の平均と、セールスのトップ１０が違う型に分類されていることがわかる。このことについて詳しく見ていくために、コブクロの楽曲１曲ずつに対して型の分類を行っていく。ここで、前出の集計表は品詞をカウントする際にアルファベットや、語句としてきちんと区切られなかった単語が「未知語」として集計されるというノイズが発生していたため、今回コブクロの全楽曲に対して集計する際はその「未知語」を品詞に分類していき、ノイズを減らした状態で集計する。

未知語を含む集計結果の例を以下に示す。

○通常の集計結果

例　「Pierrot」　コブクロ

「Pierrot」　コブクロ
名詞				動詞		形容詞		形容動詞		副詞		未知語
一つ	2	陰	1	知る	4	青い	3	真っ白	2	もう一度	1	friend	18
冬空	2	雲	1	染まる	3	近い	1	意地悪	1	ボーッ	1	am	9
友達	2	空	1	居る	2	無い	1	気まぐれ	1	もう	2	And	9
恋人	2	隙	1	確かめる	1	良い	1	正直	1	ぎゅっと	1	Are	9
クリスマス	1	肩	1	教える	1	ない	2			さ	1	boy	9
サヨナラ	1	手	1	決まる	1	欲しい	1			ずっと	1	girl	9
ストール	1	人	1	着る	1					ちょっと	1	I	9
タイプ	1	雪	1	眺める	1							my	9
ツボ	1	直	1	盗む	1							you	9
ピエロ	1	謎	1	抱きしめる	1							your	9
マフラー	1	風	1	落ちる	1							ネェ	2
横目	1	服	1	離れる	1							!	1
感じ	1	キス	3	する	6							Pierrot	1
逆さま	1	メイク	1	いる	2							ファミレス	1
景色	1	逆転	1	いける	1							ユル	1
好み	1	質問	1	くる	1
最後	1	説明	1	さらう	1
視線	1	バレ	1	すぎる	1
周り	1	いつか	2	それる	1
天地	1	こないだ	1	だく	1
不意打ち	1	夏	1	つく	1
下	3	今日	1	つなぐ	1
月	2	ただ	2	ほどく	1
様	2

このように未知語として分類されているが、出現回数が多いものがあるのでこれらを品詞に分類しなおす。

改めて分類した例を以下に示す。

未知語
friend	→	名詞
am	→	動詞
And	→	×
Are	→	動詞
boy	→	名詞
girl	→	名詞
I	→	名詞
my	→	名詞
you	→	名詞
your	→	名詞
ネェ	→	×
!	→	×
Pierrot	→	名詞
ファミレス	→	名詞
ユル	→	名詞

このようにして分類、集計し、その際の全楽曲の体言と用言の使用率の平均を基準とし、「体言型」と「用言型」に分類していく。

それでは集計結果を以下に示す。

	タイトル	体言	用言	total	型
1	2人	26%	74%	100%	用言型
59	ルルル	28%	72%	100%	用言型
62	永遠にともに	28%	72%	100%	用言型
60	愛する人よ	30%	70%	100%	用言型
16	Lost Ambitious	31%	69%	100%	用言型
57	まーだだよ	34%	66%	100%	用言型
58	ゆらゆら	34%	66%	100%	用言型
56	ボクノイバショ	34%	66%	100%	用言型
87	蒼く 優しく	35%	65%	100%	用言型
45	ココロの羽	36%	64%	100%	用言型
5	Bye Bye Oh! Dear My Lover	37%	63%	100%	用言型
70	月光	37%	63%	100%	用言型
7	DOOR	37%	63%	100%	用言型
38	YOU	37%	63%	100%	用言型
9	Fragile mind	38%	62%	100%	用言型
17	LOVE	40%	60%	100%	用言型
78	手紙	40%	60%	100%	用言型
14	HUMMING LIFE	40%	60%	100%	用言型
63	遠くで・・	40%	60%	100%	用言型
30	STAY	41%	59%	100%	用言型
90	大樹の影	41%	59%	100%	用言型
93	轍-わだち-	41%	59%	100%	用言型
39	あなたへと続く道	41%	59%	100%	用言型
96	同じ窓から見てた空	41%	59%	100%	用言型
55	ベテルギウス	41%	59%	100%	用言型
75	昨日の日のワルツ	42%	58%	100%	用言型
41	エピローグ	42%	58%	100%	用言型
79	小渕君の犬のうた	42%	58%	100%	用言型
85	赤い糸	42%	58%	100%	用言型
89	待夢磨心-タイムマシン-	42%	58%	100%	用言型
109	夢唄	42%	58%	100%	用言型
115	蕾	42%	58%	100%	用言型
26	Ring	42%	58%	100%	用言型
61	雨も風も	43%	58%	100%	用言型
71	光	43%	58%	100%	用言型
40	アンブレラ	43%	57%	100%	用言型
64	遠まわり	44%	56%	100%	用言型
74	今と未来を繋ぐもの	44%	56%	100%	用言型
101	彼女	44%	56%	100%	用言型
34	The Big Man's Blues	45%	55%	100%	用言型
42	コイン	45%	55%	100%	用言型
103	風	45%	55%	100%	用言型
2	ANSWER	45%	55%	100%	用言型
22	Moon Light Party	45%	55%	100%	用言型
21	miss you	45%	55%	100%	用言型
113	恋心	45%	55%	100%	用言型
73	向かい風	45%	55%	100%	用言型
110	夜空	45%	55%	100%	用言型
18	LOVER'S SURF	46%	54%	100%	用言型
35	To calling of love	46%	54%	100%	用言型
108	未来への帰り道	46%	54%	100%	用言型
88	太陽	46%	54%	100%	用言型
77	時の足音	46%	54%	100%	用言型
95	東京の冬	46%	54%	100%	用言型
13	Holy Snowy Night	46%	54%	100%	用言型
15	INVISIBLE MAN	46%	54%	100%	用言型
12	Happy Birthday!	46%	54%	100%	用言型
106	宝島	46%	54%	100%	用言型
	平均	47%	53%	100%	平均
19	memory	47%	53%	100%	体言型
72	光の誓いが聴こえた日	47%	53%	100%	体言型
49	コンパス	47%	53%	100%	体言型
54	どんな空でも	47%	53%	100%	体言型
94	天使達の歌	48%	52%	100%	体言型
43	ここから	48%	52%	100%	体言型
68	君といたいのに	48%	52%	100%	体言型
33	Sunday kitchen	48%	52%	100%	体言型
36	WHITE DAYS	48%	52%	100%	体言型
24	Overflow	48%	52%	100%	体言型
83	神風	48%	52%	100%	体言型
29	Starting Line	48%	52%	100%	体言型
81	新しい場所	49%	51%	100%	体言型
23	NOTE	49%	51%	100%	体言型
82	真実の口	49%	51%	100%	体言型
105	風見鶏	49%	51%	100%	体言型
69	君色	49%	51%	100%	体言型
107	忘れてはいけないもの	49%	51%	100%	体言型
91	朝顔	49%	51%	100%	体言型
51	そしてまた恋をする	50%	50%	100%	体言型
114	六等星	50%	50%	100%	体言型
37	YELL -エール-	50%	50%	100%	体言型
76	桜	50%	50%	100%	体言型
111	翼よあれが巴里の灯だ	51%	49%	100%	体言型
44	ここにしか咲かない花	51%	49%	100%	体言型
50	サヨナラ HERO	51%	49%	100%	体言型
80	心に笑みを	51%	49%	100%	体言型
92	潮騒ドライブ	51%	49%	100%	体言型
102	彼方へ	52%	48%	100%	体言型
48	坂道	52%	48%	100%	体言型
84	水面の蝶	52%	48%	100%	体言型
6	Diary	52%	48%	100%	体言型
3	Bell	52%	48%	100%	体言型
65	海に降る雪	52%	48%	100%	体言型
46	この指とまれ!	52%	48%	100%	体言型
28	Saturday	52%	48%	100%	体言型
100	背番号1	53%	47%	100%	体言型
67	君という名の翼	53%	47%	100%	体言型
86	雪の降らない街	53%	47%	100%	体言型
112	涙雨	53%	47%	100%	体言型
66	願いの詩	54%	46%	100%	体言型
47	ストリートのテーマ	54%	46%	100%	体言型
98	虹の真下	54%	46%	100%	体言型
4	blue blue	54%	46%	100%	体言型
32	Summer rain	54%	46%	100%	体言型
8	Flag	54%	46%	100%	体言型
20	Million Films	55%	45%	100%	体言型
97	虹	55%	45%	100%	体言型
11	GRAPEFRUITS DAYS	56%	44%	100%	体言型
104	風の中を	56%	44%	100%	体言型
27	Rising	58%	42%	100%	体言型
99	日本列島観察日記	58%	42%	100%	体言型
31	STRAIGHT	58%	42%	100%	体言型
52	そばにいれるなら…	59%	41%	100%	体言型
53	そばにおいで	59%	41%	100%	体言型
25	Pierrot	70%	30%	100%	体言型
10	FREEDOM TRAIN	72%	28%	100%	体言型

　結果として、平均の割合が体言47%、用言が53％となった。それでは、各型で特徴的な値を示した楽曲を具体的に見ていく。

「用言型」の例

＜歌詞＞

2人

歌手　コブクロ

作詞　小渕健太郎

作曲　小渕健太郎

あの頃まだ まわりじゃ誰一人 彼女がいなくて

放課後 帰り道がちがうだけで ひやかされた

それゆえに恋の悩みはつのる

仲間に言っても ナナメに首かしげるだけのこたえ

たよりない…

手探りの 恋だから 時々は 泣かせたり笑われもしたけど

このままずっと時の波に さらわれず ともに歩こう

よりそいずっと肩をならべ このままずっとずっとずっと

＜以下略＞

＜分類結果＞

「２人」　コブクロ
名詞		動詞		副詞		形容詞
手探り	2	歩く	4	時々	1	こわい	1
スキ	1	言う	2	ずっと	39	たより	1
帰り道	1	並ぶ	2	ともに	3
仲間	1	変わる	2	まだ	3
悩み	1	愛す	1	ほほ	1
放課後	1	泣く	1
眠り	1	戸惑う	1
夕焼け	1	失う	1
キス	1	笑う	1
ナナメ	1	数える	1
いつ	1	馴れ合う	1
この先	1	流す	1
今	1	さらう	2
秋	1	する	2
ときめき	1	よりそう	2
まわり	1	いる	1
肩	4	およぐ	1
時	2	かしげる	1
波	2	くちる	1
恋	2	こたえる	1
雲	1	ためらう	1
空	1	ちがう	1
首	1	つく	1
夢	1	つのる	1
		ならぶ	1
		ひやかす	1
		ひる	1
		みる	1
	31		37		47		2
体言	31					用言	86
				体言	26%	用言	74%

「体言型」の例

＜歌詞＞

Pierrot

歌手　コブクロ

作詞　小渕健太郎

作曲　小渕健太郎

Are you my girl friend? And am I your boy friend?

そりゃ好みのタイプ　着る服だってメイクだってツボさ

君の視線が　それた隙を盗んでは

横目にボーッ…と眺めてたりして　周りにバレてなきゃいいけど…

友達にしちゃ近すぎて　恋人にしちゃ何も無さすぎるよネェ　僕等

ただ　一つだけ説明がつかないのは

こないだつないだ手と　不意打ちのキス

天地逆転　あの日はずっと　逆さまの景色に君が居た

Are you my girl friend? And am I your boy friend?

雲も青く染まる　夏空の下

Are you my girl friend? And am I your boy friend?

君の真っ白なストールが　風にさらわれたのさ

＜以下略＞

＜分類結果＞

「Pierrot」　コブクロ
名詞				動詞		形容詞		形容動詞		副詞
一つ	2	手	1	知る	4	青い	3	真っ白	2	もう一度	1
冬空	2	人	1	染まる	3	近い	1	意地悪	1	ボーッ	1
友達	2	雪	1	居る	2	無い	1	気まぐれ	1	もう	2
恋人	2	直	1	確かめる	1	良い	1	正直	1	ぎゅっと	1
クリスマス	1	謎	1	教える	1	ない	2			さ	1
サヨナラ	1	風	1	決まる	1	欲しい	1			ずっと	1
ストール	1	服	1	着る	1					ちょっと	1
タイプ	1	キス	3	眺める	1
ツボ	1	メイク	1	盗む	1
ピエロ	1	逆転	1	抱きしめる	1
マフラー	1	質問	1	落ちる	1
横目	1	説明	1	離れる	1
感じ	1	バレ	1	する	6
逆さま	1	いつか	2	いる	2
景色	1	こないだ	1	いける	1
好み	1	夏	1	くる	1
最後	1	今日	1	さらう	1
視線	1	friend	18	すぎる	1
周り	1	boy	9	それる	1
天地	1	girl	9	だく	1
不意打ち	1	I	9	つく	1
下	3	my	9	つなぐ	1
月	2	you	9	ほどく	1
様	2	your	9
陰	1	Pierrot	1
雲	1	ファミレス	1
空	1	ユル	1
隙	1	ただ	2
肩	1
			134		35		9		5		8
		体言	134							用言	57
								体言	70%	用言	30%

これらの２曲を体言について見ていくと、以下のようになる。

「2人」

手探りの 恋だから 時々は 泣かせたり笑われもしたけど

このままずっと時の波に さらわれず ともに歩こう

よりそいずっと肩をならべ このままずっとずっとずっと

「Pierrot」

Are you my girl friend? And am I your boy friend?

雲も青く染まる　夏空の下

Are you my girl friend? And am I your boy friend?

君の真っ白なストールが　風にさらわれたのさ

このように、一部分の抜粋の比較ではあるが、この2曲を比べると「2人」では名詞が少なく、「Pierrot」では名詞が多くなっていることがわかる。この違いについて考えていくと、「2人」では状況を述べることよりも心理描写が多くなっているのではないだろうか。「ずっと」、「歩こう」などの心理を表現するときそこに必ず名詞を用いなくても描写できる。そのため、心理描写が増えると名詞の使用頻度が下がっていくと考えられる。逆に、「Pierrot」ではそこにある状況を、名詞を並べることによって述べるということを中心にしているように感じる。その名詞を形容している語句はあまり用いず、端的に名詞のみで事物そのものを描写していくパターンをとっているのではないだろうか。先の第一章第二節第一項で示した引用の志賀氏と谷崎氏の文章の相違をふまえて考えると、そのような描き方は読み手（聞き手）にその事物の中に入り込むことを要求してくる。あまり具体的にかつ言語的に説明をしないため、想像を広げる余地がある。つまり、このような描かれ方をしている歌詞は、読み手（聞き手）の捉え方の幅が広い歌詞といえるのではないだろうか。このような｢体言型｣の楽曲は、聞き手によってその歌詞の捉え方や感じ方の差が大きくなると考えられる。一方、その場面場面での心理を自分ではない誰かに伝えるということを考えると、その方法としてできるだけその心理の様相を説明的に伝えるということが考えられる。直接表現することで、主体である体言に対する用言の割合が高くなっていく。そして、直接伝えようとするということは、その分読み手（聞き手）がそこに共感を覚えやすいということではないだろうか。つまり、このような｢用言型｣の楽曲は、そこに描かれている心情に何かしらの合致を見出した聞き手が強く受け入れられるといえるのではないだろうか。このように、「体言型」と「用言型」はその歌詞の読み手（聞き手）による受け入れられ方に差があると考えられる。

　ここで、コブクロの全曲の品詞の使用率の平均が「用言型」で、コブクロのセールストップ１０の品詞の使用率の平均が「体言型」に分類されたということは、コブクロの曲の多くは聞き手に共感を促すものであるが、その中でも売れている曲というのは聞き手の想像、捉え方にゆだねられるような楽曲であると言い換えることができるのではないだろうか。

　　第二節　　語彙分析

＜上位語について＞

まずコブクロの全楽曲の中でどのような語句の使用頻度が高いのかを調べる。すべての歌詞を語句単位で区切り、使用頻度を集計しその上位１５０語を以下に示す。

コブクロ全曲　出現率上位150語
抽出語	出現数
今	142	共に	36	歌う	19	音	14
心	126	少し	36	顔	19	確か	14
風	78	言う	35	喜び	19	月	14
夢	76	愛	34	照らす	19	見つける	14
道	75	胸	33	色	19	事	14
見る	72	届く	33	吹く	19	振り返る	14
今日	70	悲しみ	33	星	19	想い出	14
手	68	会う	31	青い	19	走り出す	14
無い	66	海	31	言える	18	太陽	14
光	64	待つ	30	呼ぶ	18	追いかける	14
涙	64	夜	30	背中	18	答え	14
恋	62	花	29	明日	18	眠る	14
目	61	日々	29	もう一度	17	名前	14
空	58	優しい	29	越える	17	落ちる	14
人	58	行く	27	果て	17	良い	14
いつ	57	時代	27	居る	17	メロディー	13
見える	56	咲く	26	肩	17	奥	13
遠い	54	生きる	25	姿	17	刻む	13
言葉	52	忘れる	25	違う	16	指	13
声	51	愛する	24	出る	16	失う	13
消える	50	歌	23	先	16	終わる	13
自分	49	泣く	23	想う	16	聴こえる	13
未来	49	流れる	23	大人	16	白い	13
場所	48	感じる	22	抱く	16	迷う	13
歩く	48	最後	22	戻る	16	一緒	12
笑う	47	春	22	影	15	教える	12
街	46	全て	22	願い	15	近づく	12
前	45	会える	21	気持ち	15	思い	12
想い	44	輝く	21	季節	15	思う	12
気付く	42	好き	21	向こう	15	時間	12
探す	42	時	21	時々	15
知る	42	走る	21	長い	15
強い	41	朝	21	浮かぶ	15
一つ	40	瞳	21	壁	15
雨	40	閉じる	21	離れる	15
笑顔	40	夢見る	21	流す	15
いつか	39	冬	20	愛す	14
信じる	38	描く	20	握る	14
夏	37	唄う	19	一番	14
変わる	37	雲	19	溢れる	14

　これを見ると、「今」と「心」という上位２つ語句の出現頻度が１００回を超えていることがわかる。１５０位の語句の出現頻度が１２回であることを考えると上位はかなり高い頻度で使用されていることがわかる。

　それでは、次にコブクロ以外のアーティストの歌詞をすべてまとめて同様に集計し、比較していくことにする。比較の方法は、まず「コブクロ全曲」と「コブクロ以外全曲」それぞれの上位１５０語を集計し、それぞれの総語数に対する割合を出す。ここで、出現回数ではなく割合で比較するのは、それぞれの総語数が違うことで同じ出現回数でも総語数が多いとそれだけ出現回数が多くなる確立が上がるからである。そのため、総語数に対する割合で比較する。そして、上位１５０語どうしを照らし合わせ、トータルで何種類の語句があるのかを調べる。「コブクロ全曲」と「コブクロ以外全曲」ぞれぞれの上位１５０語で同じ語がカウントされている可能性が高く、トータルの語句の種類が単純に１５０＋１５０で３００語にはならないと考えられるからである。次に、語句の一覧が出ると、その語句それぞれの「コブクロ全曲」と「コブクロ以外全曲」の割合を出し、「コブクロ全曲」から「コブクロ以外全曲」の割合を引き算する。その計算結果の値が正の数になれば、それは出現頻度が高い語句の中で、コブクロが多く使用している語句であるといえる。

　それでは集計、比較の結果を以下に示す。

＜コブクロ以外のアーティストの上位１５０語一覧＞

上位１５０語一覧
コブクロ以外
抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数
夢	130	自分	51	抱きしめる	38	言える	26	越える	20	寄せる	17
心	128	夜	51	雨	37	聞く	26	時代	20	帰る	17
空	127	いつか	50	花	37	揺れる	26	迷う	20	気づく	17
愛	121	声	50	見える	37	ジェラシー	25	見つける	19	求める	17
今	117	前	50	少し	36	呼ぶ	25	向こう	19	駆ける	17
手	87	泣く	49	優しい	36	守る	25	降る	19	乗る	17
胸	86	遠い	48	見つめる	35	悲しい	25	事	19	触れる	17
見る	82	好き	48	蒼い	35	歌う	24	耳	19	進む	17
人	81	消える	48	全て	34	気持ち	24	終わる	19	走る	17
笑う	80	知る	48	変わる	34	追う	24	素直	19	離れる	17
風	80	抱く	47	輝く	33	流れる	24	答え	19	力	17
涙	76	日々	45	目	33	感じる	23	波	19	話	17
恋	73	強い	43	すべて	32	白い	23	描く	19	運命	16
言葉	70	いつ	42	春	32	悲しみ	23	落ちる	19	影	16
愛す	62	歩く	42	想う	32	音	22	意味	18	下	16
行く	60	笑顔	41	届く	31	君	22	歌	18	会う	16
言う	58	想い	41	来る	30	時間	22	海	18	願い	16
信じる	58	探す	41	街	29	太陽	22	持つ	18	季節	16
生きる	58	世界	40	幸せ	29	逢う	21	青い	18	教える	16
明日	58	待つ	40	伝える	29	嘘	21	大切	18	高い	16
星	54	未来	40	一緒	28	咲く	21	朝	18	吹く	16
夏	53	思う	39	最後	27	場所	21	違う	17	舞う	16
今日	52	瞳	39	生まれる	27	続く	21	奥	17	無い	16
忘れる	52	いい	38	飛ぶ	27	誰か	21	花火	17	離す	16
光	51	道	38	顔	26	冷たい	21	覚える	17	流す	16
										総語数	19214

＜比較表＞

正の値を示す語句

比較表
	コブクロ	以外	差		コブクロ	以外	差		コブクロ	以外	差
今	126%	61%	65%	果て	15%	0%	15%	言葉	46%	36%	10%
無い	58%	8%	50%	肩	15%	0%	15%	人	51%	42%	9%
道	66%	20%	47%	姿	15%	0%	15%	朝	19%	9%	9%
心	112%	67%	45%	居る	15%	0%	15%	いつか	35%	26%	9%
気付く	37%	0%	37%	もう一度	15%	0%	15%	吹く	17%	8%	9%
目	54%	17%	37%	手	60%	45%	15%	流れる	20%	12%	8%
一つ	35%	0%	35%	戻る	14%	0%	14%	描く	18%	10%	8%
今日	62%	27%	35%	出る	14%	0%	14%	感じる	19%	12%	8%
共に	32%	0%	32%	大人	14%	0%	14%	青い	17%	9%	7%
場所	43%	11%	32%	先	14%	0%	14%	優しい	26%	19%	7%
見える	50%	19%	30%	笑顔	35%	21%	14%	花	26%	19%	6%
光	57%	27%	30%	強い	36%	22%	14%	待つ	27%	21%	6%
いつ	51%	22%	29%	前	40%	26%	14%	最後	19%	14%	5%
風	69%	42%	27%	時代	24%	10%	14%	違う	14%	9%	5%
街	41%	15%	26%	壁	13%	0%	13%	夏	33%	28%	5%
遠い	48%	25%	23%	長い	13%	0%	13%	流す	13%	8%	5%
未来	43%	21%	23%	浮かぶ	13%	0%	13%	影	13%	8%	5%
愛する	21%	0%	21%	時々	13%	0%	13%	願い	13%	8%	5%
見る	64%	43%	21%	少し	32%	19%	13%	季節	13%	8%	5%
歩く	43%	22%	21%	届く	29%	16%	13%	越える	15%	10%	5%
消える	44%	25%	19%	月	12%	0%	12%	離れる	13%	9%	4%
声	45%	26%	19%	追いかける	12%	0%	12%	歌う	17%	12%	4%
会う	27%	8%	19%	眠る	12%	0%	12%	信じる	34%	30%	3%
時	19%	0%	19%	走り出す	12%	0%	12%	向こう	13%	10%	3%
閉じる	19%	0%	19%	想い出	12%	0%	12%	顔	17%	14%	3%
夢見る	19%	0%	19%	握る	12%	0%	12%	呼ぶ	16%	13%	3%
会える	19%	0%	19%	振り返る	12%	0%	12%	春	19%	17%	3%
海	27%	9%	18%	一番	12%	0%	12%	奥	12%	9%	3%
冬	18%	0%	18%	名前	12%	0%	12%	事	12%	10%	3%
想い	39%	21%	18%	良い	12%	0%	12%	見つける	12%	10%	3%
悲しみ	29%	12%	17%	溢れる	12%	0%	12%	落ちる	12%	10%	3%
涙	57%	40%	17%	確か	12%	0%	12%	答え	12%	10%	3%
恋	55%	38%	17%	知る	37%	25%	12%	言える	16%	14%	2%
自分	43%	27%	17%	咲く	23%	11%	12%	教える	11%	8%	2%
色	17%	0%	17%	失う	12%	0%	12%	日々	26%	23%	2%
雲	17%	0%	17%	刻む	12%	0%	12%	全て	19%	18%	2%
照らす	17%	0%	17%	メロディー	12%	0%	12%	終わる	12%	10%	2%
喜び	17%	0%	17%	指	12%	0%	12%	輝く	19%	17%	1%
唄う	17%	0%	17%	聴こえる	12%	0%	12%	迷う	12%	10%	1%
雨	35%	19%	16%	歌	20%	9%	11%	音	12%	11%	1%
背中	16%	0%	16%	近づく	11%	0%	11%	太陽	12%	11%	1%
探す	37%	21%	16%	思い	11%	0%	11%	言う	31%	30%	1%
変わる	33%	18%	15%	走る	19%	9%	10%	気持ち	13%	12%	1%

０以下の値を示す語句

	コブクロ	以外	差		コブクロ	以外	差		コブクロ	以外	差
夜	27%	27%	0%	気づく	0%	9%	-9%	追う	0%	12%	-12%
笑う	42%	42%	0%	求める	0%	9%	-9%	ジェラシー	0%	13%	-13%
夢	67%	68%	0%	触れる	0%	9%	-9%	守る	0%	13%	-13%
白い	12%	12%	0%	話	0%	9%	-9%	悲しい	0%	13%	-13%
時間	11%	11%	-1%	覚える	0%	9%	-9%	聞く	0%	14%	-14%
瞳	19%	20%	-2%	花火	0%	9%	-9%	揺れる	0%	14%	-14%
想う	14%	17%	-2%	寄せる	0%	9%	-9%	生まれる	0%	14%	-14%
一緒	11%	15%	-4%	大切	0%	9%	-9%	飛ぶ	0%	14%	-14%
忘れる	22%	27%	-5%	意味	0%	9%	-9%	明日	16%	30%	-14%
泣く	20%	26%	-5%	持つ	0%	9%	-9%	空	51%	66%	-15%
好き	19%	25%	-6%	思う	11%	20%	-10%	幸せ	0%	15%	-15%
行く	24%	31%	-7%	耳	0%	10%	-10%	伝える	0%	15%	-15%
生きる	22%	30%	-8%	降る	0%	10%	-10%	胸	29%	45%	-16%
離す	0%	8%	-8%	波	0%	10%	-10%	来る	0%	16%	-16%
運命	0%	8%	-8%	素直	0%	10%	-10%	すべて	0%	17%	-17%
舞う	0%	8%	-8%	抱く	14%	24%	-10%	見つめる	0%	18%	-18%
下	0%	8%	-8%	続く	0%	11%	-11%	蒼い	0%	18%	-18%
高い	0%	8%	-8%	誰か	0%	11%	-11%	抱きしめる	0%	20%	-20%
乗る	0%	9%	-9%	逢う	0%	11%	-11%	いい	0%	20%	-20%
帰る	0%	9%	-9%	冷たい	0%	11%	-11%	愛す	12%	32%	-20%
駆ける	0%	9%	-9%	嘘	0%	11%	-11%	世界	0%	21%	-21%
力	0%	9%	-9%	星	17%	28%	-11%	愛	30%	63%	-33%
進む	0%	9%	-9%	君	0%	11%	-11%	総語数	10000%	10000%	0%

総語数に対する出現回数の割合で表す際の値が非常に小さい値を示したため、「出現回数/総語数×１００」の値にし、割合を表示している。この結果から、比較表の左列にある語句が全曲の語句の中でもコブクロにおいて出現頻度の高い語句であり、その数は１０１語ということがわかる。特に、「今」、「無い」という語はコブクロが特によく使用した語句であることがわかる。右列にある語句は、コブクロの楽曲において出現頻度が上位１５０語にはいる語句の中でも、使用する割合でいうと他のアーティストと比べると低いという語句であり、その数は４９語ある。その中でも特に割合が低いのは「愛」という言葉である。

結果をまとめると以下のようになる。

＜まとめ＞

・今回分析した楽曲の中で使われている語句の中で、コブクロが特によく使用する語句は、１５０語中１０１語あり、その中でも最もコブクロがよく使用していた語句は「今」と「無い」である。残りの４９語は、コブクロの使用頻度よりも他のアーティストの使用率の方が高い語句である。

＜特徴のある語句について＞

　それではここで、このように出現頻度が上位に現れ、その中でもコブクロが使用する割合が高い語句というのがコブクロ特有の語句であるかどうかを考えていく。確かに今回比較したアーティストとコブクロの、すべての楽曲においてはコブクロが“よく使う”語句であるということは言えるが、もっと大きいくくりで考えるとそれは“誰でもよく使う”語句であって、コブクロ“特有”の語句であるとはまだ言いにくいと考えられる。つまり、その“誰でもよく使う”語句というのを先ほどの上位の語句から除けば、それはコブクロの“特有の”語句と言ってよいのではないだろうか。

　それを明らかにしていくためにまず、“誰でもよく使う”語句というのを設定していく必要がある。そこで、国立国語研究所が編集した教育基本語彙データベースの「基本語彙」というものを用いて考えていきたい。これは小学校から中学校までの児童が理解できる程度の語句、あるいは外国人が日本語を学習する際の基本となる語句を集めたものである。使用頻度の上位に現れる語の中でこの基本語彙以外のものを改めて抽出する。するとそこに現れた語というのは特にそのアーティストが特徴的かつ高い頻度で使用する語句であると考えられる。

　では、実際に集計していくのだがその方法として、まずは今回分析対象としたすべての楽曲（コブクロ全曲＋コブクロ以外全曲）をまとめる。そしてその集計されたすべての語句の中から出現頻度の高い上位１５０語を抽出する。その中から先ほどの「基本語彙」を除いた語句がコブクロを含めた各アーティストの楽曲の中でどれくらいの頻度で現れているのかを調べていく。それでは集計結果を以下に示す。

すべての楽曲（コブクロ全曲＋比較アーティスト全曲）　上位１５０語
抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数	抽出語	回数
今	259	いつか	89	悲しみ	56	蒼い	38	願い	31
心	254	未来	89	輝く	54	走る	38	季節	31
夢	206	行く	87	春	54	伝える	38	君	31
空	185	想い	85	一つ	51	越える	37	照らす	31
風	158	強い	84	思う	51	共に	37	流す	31
愛	155	生きる	83	世界	51	幸せ	37	奥	30
手	155	探す	83	抱きしめる	50	青い	37	喜び	30
見る	154	無い	82	海	49	音	36	耳	30
涙	140	笑顔	81	最後	49	太陽	36	冬	30
人	139	夜	81	いい	48	白い	36	背中	30
恋	135	雨	77	想う	48	揺れる	36	閉じる	30
笑う	127	忘れる	77	会う	47	吹く	35	時	29
言葉	122	愛す	76	咲く	47	聞く	35	出る	29
今日	122	明日	76	時代	47	向こう	34	波	29
胸	119	街	75	流れる	47	時間	34	悲しい	29
光	115	日々	74	感じる	45	守る	34	夢見る	29
道	113	星	73	顔	45	違う	33	教える	28
遠い	102	泣く	72	言える	44	会える	33	降る	28
声	101	少し	72	歌う	43	見つける	33	先	28
自分	100	変わる	71	呼ぶ	43	事	33	大切	28
いつ	99	待つ	70	見つめる	42	続く	33	帰る	27
消える	98	好き	69	歌	41	誰か	33	近づく	27
信じる	96	場所	69	来る	41	答え	33	肩	27
前	95	花	66	一緒	40	迷う	33	持つ	27
目	94	優しい	65	すべて	39	落ちる	33	意味	26
見える	93	届く	64	気持ち	39	もう一度	32	一番	26
言う	93	抱く	63	朝	39	雲	32	寄せる	26
夏	90	瞳	60	飛ぶ	39	終わる	32	長い	26
知る	90	気付く	56	描く	39	離れる	32	眠る	26
歩く	90	全て	56	生まれる	38	影	31	名前	26

＜上記の一覧表の語句から基本語彙を除いたもの＞

基本語彙以外
抽出語	回数
想い	85	言える	44	誰か	33
愛す	76	見つめる	42	もう一度	32
日々	74	蒼い	38	夢見る	29
抱きしめる	50	会える	33	近づく	27
想う	48	見つける	33

＜各アーティストの基本語彙以外の語句の出現割合＞

	言える	日々	抱きしめる	見つける	近づく	誰か	見つめる	蒼い	愛す	夢見る	会える	想い	想う	もう一度
コブクロ	0%	44%	13%	25%	25%	13%	0%	19%	0%	0%	19%	56%	0%	38%
ジューク	10%	40%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	10%	20%	0%	0%	10%	0%
aiko	34%	8%	25%	34%	0%	0%	34%	0%	8%	17%	0%	42%	25%	0%
CHAGE & ASKA	0%	0%	0%	0%	0%	7%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%
Dreams Come True	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%
Kiroro	64%	0%	43%	21%	0%	11%	0%	0%	181%	0%	0%	0%	43%	0%
Mr.Children	0%	15%	15%	0%	0%	7%	0%	0%	58%	0%	15%	22%	29%	7%
SMAP	0%	8%	17%	0%	0%	8%	0%	0%	8%	0%	17%	0%	0%	0%
いきものがかり	6%	38%	69%	13%	0%	25%	19%	126%	0%	6%	0%	107%	6%	6%
サザンオールスターズ	6%	0%	19%	0%	0%	25%	37%	87%	37%	6%	0%	6%	0%	37%
スキマスイッチ	0%	8%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	0%	54%	0%	8%
スピッツ	23%	47%	35%	35%	0%	0%	82%	0%	35%	12%	0%	0%	0%	12%
ゆず	10%	88%	0%	29%	0%	0%	10%	0%	0%	10%	0%	19%	58%	0%
レミオロメン	0%	37%	7%	29%	22%	7%	7%	7%	7%	0%	7%	22%	15%	22%
絢香	0%	62%	39%	8%	8%	0%	23%	0%	39%	0%	15%	23%	23%	8%
松任谷由実	11%	23%	11%	0%	0%	0%	11%	0%	23%	0%	46%	0%	46%	23%
中島みゆき	35%	18%	9%	0%	9%	18%	0%	0%	9%	0%	9%	0%	0%	0%
コブクロ全曲	16%	26%	11%	12%	11%	11%	6%	3%	12%	19%	19%	39%	14%	15%
コブ以外	14%	23%	20%	10%	8%	11%	18%	18%	32%	4%	6%	21%	17%	8%

・各アーティストを比較するため、語句の出現回数ではなく総語数に対する出現回数の割合で表している。また、その際の値が非常に小さい値を示したため、「出現回数/総語数×１００」の値にし、割合を表示している。

・各語句に対して最大の割合を示している部分を、色を変えて表示している。

　これを見ると、コブクロ全曲においてどの語句でも最大の値をとっていないことから、「コブクロの特徴的な語句」というのは見当たらないということがいえる。逆に、これと比べるといきものがかりは最大の値をとる語句が４つ（抱きしめる・誰か・蒼い・想い）あることから、特徴的な語句の中でも「いきものがかりの特徴的な語句」というのを多くもつことがわかる。しかし、ここで、コブクロのセールストップ１０の集計結果を見ると、「近づく」と「もう一度」という語句の出現割合が最大の値をとっていることがわかる。これらの語句はコブクロのセールストップ１０の楽曲というくくりの中では「コブクロの特徴的な語句」であるといえるだろう。

　それではこの２つの語句がどの楽曲でどのように使用されているのかを見ていく。

○「近づく」という語句を使用した楽曲→　「虹」

「虹」

閉じた傘の先っぽで　曇り空なぞったアーチ

このくすんだ世界に　誰か素敵な色を足してくれないか?

雨上がりの街に　飛び交う　希望の粒子を

吸い込んだ　春の日差しが集めた　七色のイオン

もうすぐ君は　旅立ちの時　その心　締め付ける

不安や迷いを解く　光のような言葉　僕は　見つけられるのかな?

(Find your rainbow)

遠ければ遠いほど　鮮やかな虹の色

心の果てに　描いた夢は　今も　夢のまま

(Find your rainbow)

近づけば近づくほど　見えなくなってゆくけれど

消えたんじゃない　光の中に　君は　今　包まれているから

＜以下略＞

○「もう一度」という語句を使用した楽曲→　「STAY」、「Million Films」、「ここにしか咲かない花」、「君という名の翼」、「蕾」

「STAY」 愛すべき　人と出会い　全てを失って 砂漠のような心に　咲く花を　愛と呼ぶ 信じ合う　それだけで　道が生まれてゆく 寄り添いあい　傷つけ合い　そんな日々ほど愛しい 苦しかったからこそ　笑い合えたね 何も守れないこの腕で　抱きしめた もう二度と会えないはずのあなたが　僕の名前を呼んでる 振り返る場所も無い　聴こえたのは きっと　僕の心の中だけ いつも心の中だけ あの日から　今日までに　僕が無くしたもの 全部あなたの中にあるから　並べながら　この道を あなたが歩いてきてくれたら　僕は 一つづつ　取り戻しながら　あの頃の 僕になって　もう一度　あなたと生きてみたい 変わり果てた　この街のような　心を砂漠に戻して ＜以下略＞

「Million Films」 信号待ち　買い物袋ぶら下げた二人の手 僕に内緒のまま　選ばれた夕飯のレシピ 夕暮れ時　自転車に追い越されながら 茜に染まる　外苑沿いのレンガ道 しばらく黙りこくってた僕に　不機嫌そうな君 違うよ　君に寄り添ってるメロディを 五線紙みたいに　ぶら下がった 電線の上　並べてるんだ 100万枚撮りのフィルムでも 撮りきれない程の　想い出を 君と二人 未来へと　焼きつけていけたら良いな そばにいれる　この瞬間を 切り取ればいつだって　いくつだって 溢れる様に　生まれてくる LOVE SONG ＜中略＞ ぶつかり合う度　また心が破れたり ほつれたりするのは もう一度　新しい結び目を作るためさ そこに涙が　しみ込んだなら もう二度と　ほどける事の無い 強さを持った　絆に変わるだろう ＜以下略＞

「ここにしか咲かない花」 何も無い場所だけれど　ここにしか咲かない花がある 心にくくりつけた荷物を　静かに降ろせる場所 空の色映し出した　瑠璃色の海　遥かから聞こえる あなたの笑い声は　よく聴けば　波の音でした 寂しさ隠せずにいるなら　一人になればいい 囁くほどの声で呼んでいるのは　いつも同じ名前 あの優しかった場所は　今でも　変わらずに　僕を待ってくれていますか? 最後まで笑顔で(笑顔で)　何度も振り返り(手を振り) 遠ざかる姿に　唇　噛み締めた 今はこみ上げる　寂寞(せきばく)の思いに 潤んだ世界を拭ってくれる　指先を待っている ＜中略＞ 雨上がりの道は　泥濘(ぬか)るむけれど 今ここに　生きている証を刻むよ どうかこの涙を(この涙を)　しおれかけの花に(心に) 喜びの彼方で　もう一度　咲けるように 願いは海風に吹かれて　大空へ やがて小さな虹をわたるよ　いつの日か　その足で ＜以下略＞

「君という名の翼」 しわくちゃの写真には　まぶしかった時間と 寄り添う僕等が痛い程　鮮やかに　焼き付けられていて はぐれたのはきっと　どちらのせいでもなくて 気がつけば君は僕の　中に住みはじめた 勝ち負けだけじゃない何かを　教えてくれたレースがある 一緒に走った　冷たい夏の雨 青いしぶきに重なる残像　水際に浮かべた感情 喜びや悲しみの傷さえ　包み込んだ　約束の光 あきれる程　真っ直ぐに　走り抜けた季節を 探してまだ　僕は生きてる 間違いだらけの　あの日々に　落とした涙と答えを 胸いっぱいにかき集めて　もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ 君という名の翼で ＜中略＞ 間違いだらけのあの日々に　落とした涙と答えを 胸いっぱいにかき集めて　はぐれない様にと抱きしめた もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ 君という名の翼で 僕等がいた　あの空へ

「蕾」

涙　こぼしても　汗にまみれた笑顔の中じゃ

誰も気付いてはくれない

だから　あなたの涙を僕は知らない

絶やす事無く　僕の心に　灯されていた

優しい明かりは　あなたがくれた　理由なき愛のあかし

柔らかな日だまりが包む　背中に　ポツリ　話しかけながら

いつかこんな日が来る事も

きっと　きっと　きっと　わかってたはずなのに

消えそうに　咲きそうな　蕾が　今年も僕を待ってる

掌じゃ　掴めない　風に踊る花びら

立ち止まる肩にヒラリ

上手に乗せて　笑って見せた　あなたを思い出す　一人

＜中略＞

散り際に　もう一度　開く花びらは　あなたのように

聴こえない　頑張れを　握った両手に　何度もくれた

消えそうに　咲きそうな　蕾が　今年も僕を待ってる

今もまだ　掴めない　あなたと描いた夢

立ち止まる　僕のそばで

優しく開く　笑顔のような　蕾を探してる　空に

　ここで、「もう一度」という語句が出現する楽曲が複数存在したのでその使われ方に注目していく。

�@「STAY」

僕になって　もう一度　あなたと生きてみたい

�A「Million Films」

もう一度　新しい結び目を作るためさ

�B「ここにしか咲かない花」

喜びの彼方で　もう一度　咲けるように

�C「君という名の翼」

胸いっぱいにかき集めて　もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ

この�@〜�Cの「もう一度」は、これからさきの状況、まだ発生していない状況に対して使用している。そのため、�@や�Cのようにもう一度〜したいという願望を示すときに使用される。（�Cは「もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ（行きたい）」という言葉が省略されていると考えると、もう一度〜したいという「願望」を表していると考えられる。）

�D「蕾」

散り際に　もう一度　開く花びらは　あなたのように

　この「もう一度」は先ほどの�@〜�Cとは違い実際にその状態が繰り返されている様子を表している。

　このように同じ語句でもその使用のされ方は異なっているということがわかる。

それでは次に、先ほどの基本語彙以外の語句の出現の仕方を利用してクラスター分析にかけグルーピングを行い、コブクロと似た語句の出現の仕方をするアーティストを探っていく。

　クラスター分析の結果を以下に示す。

クラスター間平均											：検体別最大ｸﾗｽﾀｰ
											：検体別最小ｸﾗｽﾀｰ
		第1ｸﾗｽﾀｰ		第2ｸﾗｽﾀｰ		第3ｸﾗｽﾀｰ		第4ｸﾗｽﾀｰ		第5ｸﾗｽﾀｰ		第6ｸﾗｽﾀｰ
言える		0.086		0.639		0.063		0.062		0.233		0.097
日々		0.223		0.000		0.378		0.000		0.467		0.875
抱きしめる		0.118		0.426		0.694		0.187		0.350		0.000
見つける		0.084		0.213		0.126		0.000		0.350		0.292
近づく		0.059		0.000		0.000		0.000		0.000		0.000
誰か		0.059		0.106		0.252		0.249		0.000		0.000
見つめる		0.071		0.000		0.189		0.373		0.817		0.097
蒼い		0.034		0.000		1.261		0.871		0.000		0.000
愛す		0.148		1.810		0.000		0.373		0.350		0.000
夢見る		0.043		0.000		0.063		0.062		0.117		0.097
会える		0.109		0.000		0.000		0.000		0.000		0.000
想い		0.200		0.000		1.072		0.062		0.000		0.195
想う		0.128		0.426		0.063		0.000		0.000		0.584
もう一度		0.092		0.000		0.063		0.373		0.117		0.000
群内項目	1	コブクロ	6	Kiroro	9	いきものがかり	10	サザンオールスターズ	12	スピッツ	13	ゆず
	2	ジューク
	3	aiko
	4	CHAGE & ASKA
	5	Dreams Come True
	7	Mr.Children
	8	SMAP
	11	スキマスイッチ
	14	レミオロメン
	15	絢香
	16	松任谷由実
	17	中島みゆき
	18	コブクロ全曲
	19	コブ以外

　これは、６つのクラスターに分けたときの結果である。第２〜６クラスターはそれぞれ１アーティストしか含まれておらず、そのクラスターの特徴は先ほどの各アーティストの基本語彙以外の語句の出現割合の表の特徴と変わらないので説明は省略する。第１クラスターにコブクロ全曲とコブクロのトップ１０がともに含まれている。ここで、樹形図を見るとコブクロの全曲はコブクロ以外のアーティストの全曲と近い位置にあり、似た傾向を示していることがわかる。しかし、これはどちらも全曲を集計しているのでその結果の数値が他と比べて非常に大きくなったため似た傾向を示したと考えられる。そこで、樹形図上で次に近い位置にあるアーティストはレミオロメンである。このレミオロメンの位置はコブクロのセールストップ１０とも近い位置にある。このことから基本語彙以外の語句の使用の仕方がコブクロと似た傾向をしめすアーティストはレミオロメンであるといえるだろう。

　それではこれまでのまとめを以下に示す。

＜まとめ＞

・「近づく」、「もう一度」はコブクロ（のセールストップ１０）の「特徴的な語句」である。

・基本語彙以外の語句の使い方でコブクロと似た傾向を示すのはレミオロメンである。

　ここで先ほどの基本語彙以外の語句について考えると、すべての楽曲に対しての出現頻度上位１５０語の中から抽出していた。そのため「全アーティストの中のコブクロの位置」というのは明らかにできても、純粋にコブクロの楽曲に対する基本語彙以外を抽出できていない。そこで、次にコブクロの楽曲のみを対象として基本語彙以外を抽出していきたい。それでは、コブクロの全楽曲の語句の中で出現頻度が上位１５０語の語句から基本語彙を除いたものを以下に示す。

	基本語彙以外
	抽出語	出現数
1	想い	44
2	日々	29
3	会える	21
4	夢見る	21
5	言える	18
6	もう一度	17
7	果て	17
8	想う	16
9	時々	15
10	愛す	14
11	見つける	14
12	想い出	14
13	走り出す	14
14	追いかける	14
15	聴こえる	13
16	近づく	12
17	思い	12

このように１５０語のうち１７語が基本語彙以外であるということがわかった。先ほどの「近づく」、「もう一度」の２つの語句も抽出されていることがわかる。これらは先ほどのように比較していないため「コブクロの特有の語」とまでは言えないが、コブクロの語句の中でも特徴のある語句であると考えられる。

それではこれらの語句がどの楽曲に使用されているのかを見ていく。一覧を以下に示す。

各楽曲における基本語彙以外の使用一覧
	曲名	特徴的な語句		曲名	特徴的な語句
1	２人	時々、愛す	44	ここにしか咲かない花	もう一度、思い、想い、想い出
2	ＡＮＳＷＥＲ	もう一度、走り出す、夢見る	45	ココロの羽	想う、夢見る
3	Bell	走り出す、想い	46	この指とまれ！	もう一度
4	blue blue	時々	47	コンパス	近づく、夢見る
5	Bye Bye Oh! Dear My Lover	もう一度、想い出	48	サヨナラ HERO
6	Diary	見つける、想う、時々、果て	49	ストリートのテーマ
7	DOOR	日々、夢見る、追いかける	50	そしてまた恋をする	近づく、想い出
8	Flag	夢見る、思い	51	そばにいれるなら	会える、想う
9	Fragile mind	果て、想い	52	そばにおいで
10	FREEDOM TRAIN		53	どんな空でも
11	GRAPEFRUITS DAYS		54	ベテルギウス	言える
12	Happy Birthday		55	ボクノイバショ	言える、時々、会える
13	Holy Snowy Night		56	まーだだよ	見つける
14	HUMMING LIFE	日々、見つける、愛す	57	ゆらゆら
15	INVISIBLE　MAN	日々	58	ルルル
16	Lost Ambitious	夢見る	59	愛する人よ
17	LOVE	想い、愛す	60	雨も風も	時々、夢見る
18	LOVER'S SURF	もう一度、追いかける、果て、愛す、思い	61	永遠にともに	日々、想い出
19	ｍｅｍｏｒｙ	愛す、時々	62	遠くで・・	想い、会える
20	Million Films	もう一度、想い出	63	遠回り	言える、思い
21	miss you	もう一度、愛す、想う	64	海に降る雪
22	ＭｏｏｎＬｉｇｈｔＰａｒｔｙ！	果て	65	願いの詩	夢見る、想い
23	NOTE	日々、時々、想い	66	君という名の翼	もう一度、日々、追いかける
24	overflow	果て	67	君といたいのに	言える、思い、想い
25	Pierrot	もう一度	68	君色	果て
26	Ｒｉｎｇ		69	月光	言える
27	Rising	想い、日々	70	光	想い、果て
28	Saturday	想い	71	光の誓いが聴こえた日	聴こえる
29	Starting Line	日々、想い	72	向かい風	近づく、走り出す、言える、想い出
30	STAY	もう一度、日々、会える、聴こえる、想い	73	今と未来を繋ぐもの	見つける
31	STRAIGHT	日々	74	坂道	想い
32	Summer rain	走り出す、想い出	75	昨日の日のワルツ	見つける
33	Sunday kitchen	聴こえる	76	桜	会える、思い、追いかける
34	The Big Man's Blues		77	時の足音	想い
35	To calling of love	想い、愛す	78	手紙	追いかける、日々、時々、想い
36	WHITE DAYS	日々	79	小渕君の犬のうた	走り出す
37	YELL-エール-	走り出す、想い、思い	80	心に笑みを	思い、想い
38	YOU	想い、想う、言える	81	新しい場所	もう一度、見つける、夢見る
39	あなたへと続く道	聴こえる	82	真実の口	想い
40	アンブレラ	近づく	83	神風	追いかける
41	エピローグ	もう一度、愛す	84	水面の蝶	想い、愛す
42	コイン	会える	85	赤い糸	想い出、愛す、会える
43	ここから	思い	86	雪の降らない街	想う

	曲名	特徴的な語句		曲名	特徴的な語句
87	蒼く 優しく	追いかける、見つける、聴こえる	102	彼方へ	近づく、果て、日々
88	太陽	追いかける、言える	103	風	想い、想う
89	待夢磨心-タイムマシン-	会える、日々、想い	104	風の中を	愛す、日々
90	大樹の影	日々、思い、追いかける、夢見る	105	風見鶏	もう一度、想い、想う、果て、聴こえる
91	朝顔	時々、会える、想う	106	宝島	時々、見つける
92	潮騒ドライブ	時々、会える、想い出	107	忘れてはいけないもの	聴こえる、見つける
93	轍-わだち-	見つける	108	未来への帰り道	想い、思い、言える
94	天使達の歌	会える、聴こえる、言える、想い出、果て	109	夢唄	夢見る、想い、時々、走り出す
95	東京の冬	時々、日々、会える	110	夜空	言える、想い
96	同じ窓から見てた空		111	翼よあれが巴里の灯だ	夢見る
97	虹	近づく、見つける、日々、果て、想い出、想い	112	涙雨
98	虹の真下	想い、追いかける	113	恋心	想い、思い出、会える
99	日本列島観察日記	愛す	114	六等星	もう一度
100	背番号1		115	蕾	もう一度、聴こえる
101	彼女	走り出す、果て、愛す

　このように、全１１５曲のうち９４曲に特徴的な語句が使用されていた。ここから考えると残りの２１曲は基本的な語彙だけで構成されているといえるだろう。

＜まとめ＞

・コブクロの全楽曲のうち特徴的な語を用いない楽曲は２１曲で、全体の１８％である。

＜語句の共起＞

　次に、今までの集計から使用頻度の高かった語句がどのような語句とともに使用されているのか、つまりその語句の共起している語句について考えていく。まず、コブクロの全楽曲出現する語句の中から、その頻度が高いものを上位２０語まで集計する。次にそれらの語句とともに使用されている確率の高い語句を探す。このときの共起の範囲は１曲全体単位の中での共起率が高いものではなく、１文単位での共起率が高いものを抽出する。

それではコブクロの語句の出現頻度が上位にきた語句と、その語句に共起している語句を以下に示す。

コブクロ全曲の上位語	出現回数	共起する語句
今	142	まだ、する、ない、見える
心	126	ない、ぬ、気付く、変わる
風	78	知る、笑う、時代
夢	76	見る、空、海
道	75	歩く、時
見る	72	×
今日	70	ない、歌
手	68	ほら、光、消える
無い	66	場所、ある、涙、笑顔
光	64	×
涙	64	×
恋	62	胸、想い、言葉
目	61	前、悲しみ、閉じる
空	58	×
人	58	愛する
いつ	57	探す、忘れる
見える	56	×
遠い	54	街、you
言葉	52	×
声	51	好き、きっと

「見る」、「光」、「涙」、「空」、「見える」、「言葉」は他の上位語と共起していたので「×」とした。

　この共起している語句が実際どの楽曲にどのように使用されているのかを見ていく。ここでは特に出現回数の多い「今」と「心」という語句について見ていくことにする。「今」という語句と共起する語句は「まだ」、「する」、「ない」、「見える」という語句だが１文にこれらが共起している楽曲はなかったため、ごくの数を減らし、該当する楽曲が現れるまで検索すると、「まだ」、「ない」、「見える」という３つの語句が共起していた。次に、「心」という語句と共起する語句も同様に数を減らすと、「心―変わる」が共起する楽曲と、「心―気付く」が共起する楽曲があった。

これらが共起していた楽曲の該当部分を以下に示す。

○「今、まだ、ない」がともに使われている楽曲

「風の中を」

今はまだ見えない　道へと変わるよ

○「心、変わる」がともに使われている楽曲

「Bell」

あなたの心が変わってないのなら駅で待ってます。」

「月光」

でもその心だけは　でもその心だけは　何色にでも変われるだろう

○「心、気付く」がともに使われている楽曲

「未来への帰り道」

何が大切なのか　心が気付いているなら　また出会えるから

「君という名の翼」

夕凪が水面に　並べた羊雲のように　斑の心じゃ君の　声にも気付かない

「願いの詩」

やっと気付いた心の傷あと　そっと隠しながら

「WHITE DAYS」

か弱き心が　閉じ込めてる　SOSに気付いて　ただ耳を澄ませばいい

　このように、語句が共起する範囲を１文単位にすると該当する楽曲がかなり減少してしまうので、共起の範囲を１文単位から１曲単位まで広げて再集計してみることにする。そして、上位２０の語句と共起している語句をまとめて「　　」で表し、どの曲にどの語句の共起のグループが該当するのかを調べる。その際、「声」という語句の共起に関しては「声、好き、きっと」をまとめて含む楽曲がなかったため、「声―好き」というグループと「声―きっと」というグループにわけて考えていくこととする。

それでは、結果の一覧を以下に示す。

上位２０語と共起する語句を含む楽曲
	曲名	共起		曲名	共起		曲名	共起
1	２人		41	エピローグ		81	新しい場所
2	ＡＮＳＷＥＲ	「心」、「今日」	42	コイン		82	真実の口
3	Bell		43	ここから		83	神風
4	blue blue		44	ここにしか咲かない花	「心」、「無い」	84	水面の蝶
5	Bye Bye Oh! Dear My Lover		45	ココロの羽		85	赤い糸	「道」
6	Diary	「風」	46	この指とまれ！	「人」	86	雪の降らない街
7	DOOR		47	コンパス	「夢」	87	蒼く 優しく	「今」
8	Flag		48	サヨナラ HERO		88	太陽
9	Fragile mind		49	ストリートのテーマ		89	待夢磨心-タイムマシン-
10	FREEDOM TRAIN		50	そしてまた恋をする	「心」	90	大樹の影
11	GRAPEFRUITS DAYS		51	そばにいれるなら	「声―好き」	91	朝顔
12	Happy Birthday		52	そばにおいで		92	潮騒ドライブ
13	Holy Snowy Night		53	どんな空でも	「人」	93	轍-わだち-
14	HUMMING LIFE	「今日」	54	ベテルギウス	「目」	94	天使達の歌	「今日」、「遠い」
15	INVISIBLE　MAN		55	ボクノイバショ	「今」	95	東京の冬
16	Lost Ambitious		56	まーだだよ		96	同じ窓から見てた空	「遠い」
17	LOVE	「今日」	57	ゆらゆら		97	虹	「目」、「いつ」
18	LOVER'S SURF		58	ルルル		98	虹の真下
19	ｍｅｍｏｒｙ		59	愛する人よ	「人」	99	日本列島観察日記
20	Million Films		60	雨も風も		100	背番号1
21	miss you	「遠い」	61	永遠にともに	「いつ」	101	彼女
22	ＭｏｏｎＬｉｇｈｔＰａｒｔｙ！		62	遠くで・・		102	彼方へ
23	NOTE	「恋」	63	遠回り	「声―好き」	103	風
24	overflow		64	海に降る雪	「手」	104	風の中を	「今」
25	Pierrot		65	願いの詩	「人」	105	風見鶏	「声―きっと」
26	Ｒｉｎｇ		66	君という名の翼	「声―きっと」	106	宝島	「声―きっと」
27	Rising		67	君といたいのに		107	忘れてはいけないもの	「今日」、「声―きっと」
28	Saturday	「手」	68	君色	「声―好き」	108	未来への帰り道	「心」
29	Starting Line		69	月光	「心」、「人」	109	夢唄	「人」
30	STAY		70	光	「目」	110	夜空
31	STRAIGHT		71	光の誓いが聴こえた日	「今日」	111	翼よあれが巴里の灯だ	「夢」、「風」
32	Summer rain		72	向かい風		112	涙雨
33	Sunday kitchen		73	今と未来を繋ぐもの		113	恋心	「声―好き」
34	The Big Man's Blues		74	坂道		114	六等星
35	To calling of love	「手」	75	昨日の日のワルツ		115	蕾
36	WHITE DAYS	「夢」、「無い」	76	桜
37	YELL-エール-		77	時の足音	「道」
38	YOU		78	手紙
39	あなたへと続く道		79	小渕君の犬のうた
40	アンブレラ		80	心に笑みを

４１曲が上位２０語のうちのいずれかの語句を含み、さらに、その語句と強く共起する語句も含んでいるということがわかった。次に、上位の語句と強く共起する語句を含む楽曲を探すのではなく、上位語どうしが共起して使われている楽曲がないかどうかを考えていきたい。先ほどの分析では上位語が強く共起する語句が何かを明らかにしたが、次の分析では、上位語どうしはどこまで共起しているのかを明らかにしていきたい。よって、基本語彙以外の語句どうし、特にその中でも上位の語句がどのように共起しているかを見ていく。同様に、上位語どうしの共起関係も見ていく。

それではまず、基本語彙以外の上位語句どうしの共起の集計結果を以下に示す。

○基本語彙以外

基礎語以外出現回数上位どうし共起
語句	想い		想い、日々		想い、日々、会える
曲数	29曲		7曲		２曲
	Bell	→	NOTE	→	STAY
	Fragile mind		Rising		待夢磨心-タイムマシン-
	LOVE		Starting Line
	NOTE		STAY
	Rising		手紙
	Saturday		待夢磨心-タイムマシン-
	Starting Line		虹
	STAY
	To calling of love
	YELL -エール-
	YOU
	ここにしか咲かない花
	坂道
	願いの詩
	光
	時の足音
	手紙
	心に笑みを
	真実の口
	水面の蝶
	待夢磨心-タイムマシン-
	虹
	虹の真下
	風
	風見鶏
	未来への帰り道
	夢唄
	夜空
	恋心

　基本語彙以外の語句で出現回数が最も多かった「想い」という語句を含む楽曲が全部で２９曲あり、その楽曲の中で次に出現回数が多い「日々」を含む楽曲は７曲になる。そしてさらに「会える」という語句を含む楽曲を見ると２曲にまでなった。次に「夢見る」をあわせて検索すると、０曲となった。よって、基本語彙以外の語句のうちより上位にくる語句は３語まで共起関係を示し、それらの語句を含む楽曲は「STAY」と「待夢磨心-タイムマシン-」ということになる。それでは以下に楽曲での使用例をそれぞれ示す。

「STAY」 愛すべき　人と出会い　全てを失って 砂漠のような心に　咲く花を　愛と呼ぶ 信じ合う　それだけで　道が生まれてゆく 寄り添いあい　傷つけ合い　そんな日々ほど愛しい 苦しかったからこそ　笑い合えたね 何も守れないこの腕で　抱きしめた もう二度と会えないはずのあなたが　僕の名前を呼んでる 振り返る場所も無い　聴こえたのは きっと　僕の心の中だけ いつも心の中だけ ＜中略＞ 輝いてた記憶から消えてくのに　微笑みばかりが浮かぶ あの風が眠ってる　柳の下で　遥かな想いが滲む時 もう二度と会えないはずのあなたが　僕の名前を呼んでる 振り返る　場所も無い　聴こえたのはきっと 僕の心の中だけ　いつも心の中だけ この街の　何処にも　あなたは居ないけど 分かっていても　感じてたい この花が　枯れるまでは

「待夢磨心-タイムマシン-」 Guitar 握り始めてまだ間もない頃、背伸びして買いかけたオールドのモズライト。 若かったあの頃の僕に会えるのなら、言ってやりたい「そんなのいらないぞ!」って。 飽きもせずに毎日担いでいるGuitar。もっと、もっと、もっと、って フレーズを探し続けている。 歳をとった未来の僕に会えるのなら、言ってやりたい「ねぇ、まだそんなもんか?」って。 さっぱりモテない理由を探して、日々、鏡の前、右向いて左向いて孤軍奮闘。 若かったあの頃の僕に会えるのなら、言ってやりたい「あの子は見てないよ、そんなとこ。」って。 少し切なさが漂いだした額を、見て見ぬ振り半分、諦めモード半分。 歳をとった未来の僕に会えるのなら、言ってやりたい「あの子は見てるよ、そんなとこ。」って。 ＜中略＞ 幾つにも分かれた道を前に立ちすくんで、しゃがみ込んだり、振り返ったり、空見上げたり。 若かったあの頃の僕に会えるのなら、言ってやりたい「まだ何にも見えちゃいないぞ。」って。 想いを一つに歩いてきた道の上、信じた光に向かってゆっくり進んでる。 歳をとった未来の僕に会えるのなら、言ってやりたい「くたばるまで、歌ってんだぞ!!」って。 ＜以下略＞

次に、基本語彙の上位語どうしの共起の結果を以下に示す。

○基本語彙

基本語彙出現回数上位どうし共起
語句	今		今、心		今、心、風		今、心、風、夢		今、心、風、夢、道
曲数	68曲		44曲		16曲		9曲		1曲
	2人	→	Bell	→	Flag	→	Flag	→	君という名の翼
	Bell		Bye Bye Oh! Dear My Lover		memory		memory
	Bye Bye Oh! Dear My Lover		Flag		Overflow		Overflow
	Flag		Fragile mind		Rising		Summer rain
	Fragile mind		Lost Ambitious		STAY		そばにいれるなら…
	Lost Ambitious		memory		Summer rain		君という名の翼
	memory		Million Films		あなたへと続く道		手紙
	Million Films		miss you		ここにしか咲かない花		虹の真下
	miss you		Overflow		ココロの羽		蕾
	NOTE		Rising		坂道
	Overflow		Starting Line		そばにいれるなら…
	Ring		STAY		君という名の翼
	Rising		Summer rain		手紙
	Saturday		YOU		雪の降らない街
	Starting Line		あなたへと続く道		虹の真下
	STAY		アンブレラ		蕾
	STRAIGHT		ここにしか咲かない花
	Summer rain		ココロの羽
	YELL -エール-		坂道
	YOU		コンパス
	あなたへと続く道		サヨナラ HERO
	アンブレラ		そばにいれるなら…
	コイン		永遠にともに
	以下略		以下略

基本語彙で出現回数が最も多かった「今」という語句を含む楽曲が全部で６８曲あり、その楽曲の中で次に出現回数が多い「心」を含む楽曲は４４曲になる。そしてさらに「風」という語句を含む楽曲を見ると１６曲になる。次に多い「夢」を含む楽曲は９曲にまでなった。次に「道」をあわせて検索すると、１曲となった。よって、基本語彙のうち上位にくる語句は上位５語まで共起関係を示し、それらの語句を含む楽曲は「君という名の翼」ということになる。それでは以下に楽曲での使用例を示す。

「君という名の翼」

しわくちゃの写真には　まぶしかった時間と

寄り添う僕等が痛い程　鮮やかに　焼き付けられていて

はぐれたのはきっと　どちらのせいでもなくて

気がつけば君は僕の　中に住みはじめた

＜中略＞

間違いだらけの　あの日々に　落とした涙と答えを

胸いっぱいにかき集めて　もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ

君という名の翼で

夕凪が水面に　並べた羊雲のように

斑の心じゃ君の　声にも気付かない

秋風がまだ遠く夏の　終わりを待ちわびている頃

僕等の瞳に　最後の陽が落ちる

追いかけてもすれ違う感情　振り払えはしない残像

選べない道を目の前に　立ち尽くした　青春の影で

諦めても　背を向けても　誤魔化せない心の

舵は今も　君の両手に

叶わぬ夢を浮かべても　沈まない勇気の煌めき

この一瞬に賭けてみたい　最後まで　離さずに　握り続けた願いが

導く場所を目指せ

知らず知らずに　背中で聴いてた声が

今もまだ　僕を振り向かせる度　切なくて

あきれる程　真っ直ぐに　走り抜けた　季節を

探してまだ　僕は生きてる

間違いだらけのあの日々に　落とした涙と答えを

胸いっぱいにかき集めて　はぐれない様にと抱きしめた

もう一度　あの夏空　あの風の向こう側へ

君という名の翼で

僕等がいた　あの空へ

ここまでの結果をまとめると以下のようになる。

＜まとめ＞

・基本語彙以外においては、上位３語までが楽曲の中で共起関係を示し、その５語が共起して含まれていた楽曲は「君という名の翼」である。

・基本語彙においては、上位５語までが楽曲の中で共起関係を示し、その５語が共起して含まれていた楽曲は「STAY」と「待夢磨心-タイムマシン-」である。

　　第三節　　構成分析

＜アーティストごとの比較＞

　

まず、各アーティストの楽曲の描写の割合を集計し、比較することで、コブクロの特徴を明らかにしていきたい。

集計結果は以下に示す。

1	アーティスト	状況	心理	行動	状態	total
2	ジューク（19）	17%	75%	5%	3%	100%
3	aiko	14%	71%	7%	8%	100%
4	CHAGE&ASKA	12%	76%	7%	5%	100%
5	Dreams Come True	24%	63%	9%	3%	100%
6	Kiroro	33%	58%	6%	4%	100%
7	Mr.Children	28%	64%	3%	6%	100%
8	SMAP	21%	71%	2%	6%	100%
9	いきものがかり	26%	65%	7%	2%	100%
10	サザンオールスターズ	31%	57%	6%	6%	100%
11	スキマスイッチ	20%	65%	7%	9%	100%
12	スピッツ	31%	50%	9%	9%	100%
13	ゆず	37%	45%	8%	10%	100%
14	レミオロメン	34%	51%	4%	10%	100%
15	絢香	24%	64%	4%	7%	100%
16	松任谷由実	23%	64%	7%	6%	100%
17	中島みゆき	30%	63%	1%	6%	100%
18	コブクロ（トップ10）	11%	83%	2%	3%	100%
19	コブクロ（全曲）	17%	76%	4%	3%	100%
20	コブクロ以外	26%	63%	6%	6%	100%
21	全て（コブ全＋コブ以外）	22%	68%	5%	5%	100%

まず、「状況」、「心理」、「行動」、「状態」のそれぞれの項目で最大と最小の割合を見ていく。このとき最大と最小の値はコブクロ以外のアーティストの中での値とする。

・「状況」の項目では最大がゆずの37%で、最小がCHAGE&ASKAの12%である。

・「心理」の項目では最大がCHAGE&ASKAの76%で、最小がゆずの45%である。

・「行動」の項目では最大がDreams Come Trueとスピッツの9%で、最小が中島みゆきの1%である。

・「状態」の項目では最大がゆずとレミオロメンの10%で、最小がいきものがかりの2%である。

次に、この表からわかることは、コブクロの全曲の割合と、コブクロ以外のアーティストのトータルの割合を比べたときに、コブクロは心理描写の割合が高く、それ以外のアーティストは心理描写の割合が少し減り、その分状況描写の割合が高くなっているということである。この、「コブクロは心理描写の割合が高い」ということは、コブクロの特徴であるといえるだろう。

そして、コブクロの楽曲の中でもセールストップ10に入る曲は特に心理描写の割合が高くなっているということがわかる。コブクロ以外のアーティストの心理描写の平均が63%に対して20%も上回っている。さらに、心理描写の割合が高くなっている分、状況描写の割合が下がっている。他のアーティストを見ても、心理描写が増えれば状況描写が減り、状況描写が増えれば心理描写の割合が増えていることがわかる。これは、ゆずとCHAGE&ASKAの心理描写と状況描写を見れば明らかであるだろう。心理描写の最大値と状況描写の最大値を同じアーティスト（CHAGE&ASKA）が示し、逆も同じアーティスト（ゆず）が示している。このことから、歌詞の世界の描かれ方が「状況型」か「心理型」に大きく分けられるのではないだろうか。

それらについて詳しく見ていく前に、コブクロというグループの特徴を明らかにしていくため、コブクロ以外のアーティストのトータルと比較して見るのではなく、各アーティストと比較していきたい。そのため、この集計表をもとにクラスター分析にかけ、グルーピングを行うことにする。結果は以下のとおりである。

クラスター間平均									：変数別最大ｸﾗｽﾀｰ
									：変数別最小ｸﾗｽﾀｰ
		第1ｸﾗｽﾀｰ		第2ｸﾗｽﾀｰ		第3ｸﾗｽﾀｰ		第4ｸﾗｽﾀｰ		第5ｸﾗｽﾀｰ
状況		0.161		0.250		0.322		0.341		0.115
心理		0.738		0.640		0.572		0.488		0.834
行動		0.053		0.055		0.057		0.072		0.020
状態		0.048		0.055		0.050		0.099		0.032
群内項目	1	ジューク（19）	4	Dreams Come True	5	Kiroro	11	スピッツ	17	コブクロ（トップ10）
	2	Aiko	6	Mr.Children	9	サザンオールスターズ	12	ゆず
	3	CHAGE&ASKA	8	いきものがかり			13	レミオロメン
	7	SMAP	10	スキマスイッチ
	18	コブクロ（全曲）	14	絢香
			15	松任谷由実
			16	中島みゆき

これは５つのグループに分けたときの結果である。まず、それぞれのグループがどのように分けられているのかを見ていく。

○第１クラスター

このクラスターには19、aiko、CHAGE&ASKA、SMAP、コブクロ（全曲）が含まれている。このグループの特徴としては、どの数値も最大、最小の値をとっていないが、他のグループと比べたときに、心理描写の割合が高く、状況描写の割合が低くなっているということがいえる。

○第２クラスター

このクラスターにはDreams Come True、Mr.Children、いきものがかり、スキマスイッチ、絢香、松任谷由実、中島みゆきが含まれている。このグループも最大、最小の値はとっていないが第１クラスターと比べて心理描写の割合が減り、その分状況描写の割合が高くなっているグループであるということがわかる。

○第３クラスター

このクラスターにはKiroro、サザンオールスターズが含まれている。このグループも第１、第２クラスターと同様に最大、最小の値はとっていないが、第２クラスター以上に状況描写の割合が高くなり、その分心理描写の割合が低くなっているグループであるといえる。

○第４クラスター

このクラスターにはスピッツ、ゆず、レミオロメンが含まれている。このグループは心理描写の割合が最小値をとり、同時にそれ以外の描写の割合が最大値をとっている。「状況型」の楽曲が多い歌手のグループであるといえるだろう。

○第５クラスター

このクラスターにはコブクロ（トップ10）のみが含まれるグループである。このグループは第４クラスターと正反対の特徴を示し、心理描写の割合が最大値をとり、それ以外の描写の割合が最小値をとっている。

　以上のことからわかることは、まず第５クラスターにコブクロ（トップ10）のみがふくまれているということからこのクラスターの特徴がコブクロのセールストップ１０の特徴であるということである。そしてそれは心理描写の割合が他と比べて非常に高いということである。さらに、コブクロの全曲が同じグループに含まれていないということから、コブクロの全曲の描写の特徴とコブクロのセールストップ１０の描写の傾向は違うということがいえる。

　それではコブクロの全曲の描写の傾向はどうなっているのかを見ていくと、まず集計表から心理描写の割合が２番目に高いということが特徴として挙げられるだろう。つまり、コブクロは全体的に心理描写を多用する傾向があるということがいえるだろう。（その楽曲の中でもセールストップ１０はさらに高いということである。）そしてその使用傾向は19、aiko、CHAGE&ASKA、SMAPの各アーティストと似ているということがクラスター分析の結果からわかった。さらに樹形図を見てみるとそのアーティストの中でも19と使用傾向が似ているということがわかる。

樹形図ではじめに大きく二分されているのは心理描写の割合が高いかどうか（状況描写の割合が高いかどうか）という理由であると考えられる。そして心理描写を多様する傾向があるグループに19、aiko、CHAGE&ASKA、SMAP、コブクロ（全曲）、コブクロ（トップ10）が含まれその中でもコブクロ（トップ10）は目立った特徴を示し、コブクロ（全曲）と19が隣り合っていることからこの２アーティストが一番似ている傾向を示しているということがわかったのである。

＜楽曲分析＞

　A.各時期の描写の特徴

これまでコブクロと各アーティストを比較し、コブクロというアーティストの描写傾向の特徴、位置を明らかにしてきた。次にこの各描写の割合を用いて、コブクロの楽曲１曲ごとに見ていきコブクロ自身の描写の傾向に時期ごとに変化がないかどうかを見ていく。このとき各楽曲の発売時期をふまえて考えていくことにする。この発売時期を「インディーズ」「メジャーデビュー」「ヒット」という３つの時期にわける。「ヒット」というのはシングル曲が連続的に売れ始めた時期ということにして、主観ではあるが、10ｔｈシングル「永遠にともに/Million Films」以降を「ヒット」期ということにした。コブクロの全楽曲の描写の割合と、楽曲の発売時期の一覧は以下に示す。

	曲名	発売日	状況	心理	行動	状態	total
インディーズ	ストリートのテーマ	19990721	0%	100%	0%	0%	100%
	ボクノイバショ	19990721	31%	51%	3%	14%	100%
	遠くで・・	19990721	28%	58%	3%	11%	100%
	虹の真下	19990721	35%	55%	3%	6%	100%
	夢唄	19990721	24%	66%	3%	8%	100%
	２人	20000304	31%	62%	8%	0%	100%
	Bye Bye Oh! Dear My Lover	20000304	21%	62%	0%	17%	100%
	DOOR	20000304	2%	84%	0%	14%	100%
	LOVE	20000304	0%	100%	0%	0%	100%
	桜	20000304	9%	91%	0%	0%	100%
	赤い糸	20000304	17%	72%	7%	3%	100%
	轍-わだち-	20000304	0%	100%	0%	0%	100%
	ＭｏｏｎＬｉｇｈｔＰａｒｔｙ！	20001219	8%	92%	0%	0%	100%
	そばにいれるなら	20001219	3%	97%	0%	0%	100%
	遠回り	20001219	23%	57%	20%	0%	100%
	光	20001219	0%	100%	0%	0%	100%
	坂道	20001219	38%	48%	7%	7%	100%
	心に笑みを	20001219	6%	84%	3%	6%	100%
	神風	20001219	27%	50%	17%	7%	100%
デビュー	Bell	20010322	39%	39%	12%	9%	100%
	YELL-エール-	20010322	0%	100%	0%	0%	100%
	ＡＮＳＷＥＲ	20010829	0%	100%	0%	0%	100%
	ｍｅｍｏｒｙ	20010829	25%	46%	13%	17%	100%
	miss you	20010829	3%	88%	5%	3%	100%
	Ｒｉｎｇ	20010829	20%	55%	10%	15%	100%
	コンパス	20010829	6%	72%	0%	22%	100%
	そばにおいで	20010829	58%	33%	8%	0%	100%
	朝顔	20010829	31%	62%	0%	8%	100%
	YOU	20011121	0%	100%	0%	0%	100%
	海に降る雪	20011121	17%	78%	6%	0%	100%
	そしてまた恋をする	20020214	33%	63%	4%	0%	100%
	風	20020214	21%	67%	8%	4%	100%
	ゆらゆら	20020710	36%	36%	29%	0%	100%
	願いの詩	20020710	0%	100%	0%	0%	100%
	太陽	20020710	16%	68%	10%	6%	100%
	GRAPEFRUITS DAYS	20020828	30%	50%	20%	0%	100%
	overflow	20020828	34%	63%	3%	0%	100%
	アンブレラ	20020828	7%	84%	9%	0%	100%
	小渕君の犬のうた	20020828	6%	94%	0%	0%	100%
	新しい場所	20020828	8%	85%	4%	4%	100%
	彼女	20020828	38%	58%	4%	0%	100%
	翼よあれが巴里の灯だ	20020828	0%	100%	0%	0%	100%
	The Big Man's Blues	20021113	38%	54%	0%	8%	100%
	雪の降らない街	20021113	53%	31%	16%	0%	100%
	愛する人よ	20030409	7%	93%	0%	0%	100%
	宝島	20030409	0%	100%	0%	0%	100%
	blue blue	20030827	41%	45%	14%	0%	100%
	潮騒ドライブ	20030827	40%	40%	18%	2%	100%
	Holy Snowy Night	20031106	31%	50%	0%	19%	100%
	INVISIBLE　MAN	20031106	27%	59%	9%	5%	100%
	STRAIGHT	20031106	0%	100%	0%	0%	100%
	まーだだよ	20031106	17%	58%	17%	8%	100%
	昨日の日のワルツ	20031106	71%	17%	13%	0%	100%
	手紙	20031106	0%	100%	0%	0%	100%
	真実の口	20031106	13%	87%	0%	0%	100%
	背番号1	20031106	38%	52%	3%	7%	100%
	忘れてはいけないもの	20040512	0%	100%	0%	0%	100%
ヒット	Million Films	20041014	30%	59%	5%	5%	100%
	ここから	20041014	17%	83%	0%	0%	100%
	永遠にともに	20041014	0%	100%	0%	0%	100%
	HUMMING LIFE	20041103	19%	58%	3%	19%	100%
	Rising	20041103	35%	48%	0%	17%	100%
	エピローグ	20041103	0%	81%	0%	19%	100%
	この指とまれ！	20041103	0%	100%	0%	0%	100%
	光の誓いが聴こえた日	20041103	14%	81%	5%	0%	100%
	東京の冬	20041103	17%	54%	17%	13%	100%
	ここにしか咲かない花	20050511	14%	86%	0%	0%	100%
	六等星	20050511	0%	100%	0%	0%	100%
	Starting Line	20051102	0%	100%	0%	0%	100%
	今と未来を繋ぐもの	20051102	5%	95%	0%	0%	100%
	Flag	20051221	38%	58%	3%	3%	100%
	LOVER'S SURF	20051221	11%	89%	0%	0%	100%
	NOTE	20051221	12%	85%	4%	0%	100%
	Pierrot	20051221	23%	69%	9%	0%	100%
	Saturday	20051221	54%	29%	13%	4%	100%
	待夢磨心-タイムマシン-	20051221	0%	100%	0%	0%	100%
	大樹の影	20051221	0%	100%	0%	0%	100%
	同じ窓から見てた空	20051221	24%	73%	0%	2%	100%
	あなたへと続く道	20060726	18%	77%	5%	0%	100%
	君という名の翼	20060726	9%	85%	0%	6%	100%
	未来への帰り道	20060927	19%	65%	16%	0%	100%
	彼方へ	20070321	0%	95%	0%	5%	100%
	風見鶏	20070321	4%	96%	0%	0%	100%
	蕾	20070321	35%	47%	9%	9%	100%
	君色	20071107	4%	96%	0%	0%	100%
	蒼く 優しく	20071107	4%	96%	0%	0%	100%
	Diary	20071219	24%	68%	3%	6%	100%
	Fragile mind	20071219	4%	89%	4%	4%	100%
	WHITE DAYS	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
	コイン	20071219	32%	59%	6%	3%	100%
	どんな空でも	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
	月光	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
	水面の蝶	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
	風の中を	20071219	34%	66%	0%	0%	100%
	ベテルギウス	20081029	0%	100%	0%	0%	100%
	時の足音	20081029	0%	100%	0%	0%	100%
	Summer rain	20090415	35%	44%	12%	9%	100%
	ルルル	20090415	8%	92%	0%	0%	100%
	虹	20090415	13%	70%	7%	10%	100%
	FREEDOM TRAIN	20090715	6%	91%	3%	0%	100%
	STAY	20090715	0%	96%	0%	4%	100%
	君といたいのに	20090715	19%	69%	8%	4%	100%
	Sunday kitchen	20090805	36%	41%	23%	0%	100%
	To calling of love	20090805	0%	100%	0%	0%	100%
	サヨナラ HERO	20090805	17%	78%	4%	0%	100%
	天使達の歌	20090805	11%	85%	0%	4%	100%
	恋心	20090805	16%	74%	3%	6%	100%
未発表	Happy Birthday		40%	60%	0%	0%	100%
	Lost Ambitious		11%	89%	0%	0%	100%
	ココロの羽		0%	100%	0%	0%	100%
	雨も風も		0%	100%	0%	0%	100%
	向かい風		17%	78%	6%	0%	100%
	日本列島観察日記		0%	100%	0%	0%	100%
	夜空		25%	68%	0%	7%	100%
	涙雨		25%	75%	0%	0%	100%

この集計結果をもとに、時期ごとの全体の平均の割合を出すと以下のようになる。

時期	曲数	状況	心理	行動	状態	total
インディーズ	19	16%	75%	4%	5%	100%
メジャー	38	21%	69%	6%	3%	100%
ヒット	50	14%	79%	3%	3%	100%
未発表	8	14%	85%	1%	1%	100%

　この表を見ると、未発表曲が心理の割合がかなり高いことがわかる。インディーズ期と比べると、状況が同じ割合にもかかわらず心理が高くなっている。今までの傾向だと、心理描写の割合が増えるとその分状況描写の割合が減るということがあったが、これには当てはまらないということがいえる。状況描写が減るのではなく、その分行動描写と状態描写が減り、1%というきわめて低い割合になっているということがわかる。これは他にはない特徴であるといえるだろう。しかし未発表曲は、数が８曲と少なく、また、時期に分類するのは困難なため、これを除いた３つの時期を詳しく見ていきたい。

　インディーズ期、メジャー期、ヒット期で比べていくと、心理描写の割合が最も高いのがヒット期で79%、次いでインディーズ期の75%、少し減ってメジャー期の69%となっている。インディーズ期とヒット期の状況描写の割合を比べるとインディーズ期が16%で、ヒット期が14%と似た値を示している。この二つの時期は心理描写の割合も似た値を示している。つまり、この２つの時期は似ているのではないかということが考えられる。このことをたしかめるために、この集計結果をもとにクラスター分析にかけて、どの時期が似た傾向を示しているのかを探る。クラスター分析の結果は以下に示す。

クラスター間平均					：変数別最大ｸﾗｽﾀｰ
					：変数別最小ｸﾗｽﾀｰ
		第1ｸﾗｽﾀｰ		第2ｸﾗｽﾀｰ		第3ｸﾗｽﾀｰ
状況		0.151		0.210		0.136
心理		0.773		0.695		0.846
行動		0.035		0.064		0.006
状態		0.041		0.031		0.012
群内項目	1	インディーズ	2	メジャー	4	未発表
	3	ヒット

この結果を見ると、第１クラスターにインディーズ期とヒット期が含まれていることから、このふたつの時期が似た傾向を示していることが確認できる。

　第２クラスターはメジャー期しか含まれていない。このクラスターは心理の割合が最も低く、状況と行動の割合がもっとも高いという特徴を示す。この特徴がそのままメジャー期の特徴であるといえる。

　第３クラスターは未発表曲しか含まれていない。このクラスターは心理描写の割合が最も高くそれ以外の割合が最も低いという特徴を示す。この特徴がそのまま未発表の特徴であるといえる。

　以上をふまえると、時期が変化するごとに心理描写の割合の高い楽曲から、心理描写の割合の低い楽曲をつくるようになり、また心理描写の割合の高い楽曲をつくるように変化していることがわかる。また、未発表曲が心理描写の割合が高いことをふまえて考えると、仮説ではあるが、ヒット期のコブクロの楽曲の作り方は、楽曲の傾向的にインディーズ時代の傾向に近い、いわば原点回帰をしているといえるのではないだろうか。ヒットしだしたから傾向を変えたのか、傾向を変えたからヒットしたのかは定かではないが、時期ごとの特徴を見ていくとそのようなことが考えられる。

それでは、以下にこの分析での特徴をまとめる。

＜まとめ＞

・インディーズ期は状態描写の割合が他の次期と比べて最大である。

・メジャー期は状況描写と行動描写の割合が他の次期と比べて最大である。心理描写の割合は最小である。状況描写の割合が高いことは特徴的である。

・ヒット期は心理描写の割合が他の次期と比べて最大である。状況描写の割合は最小である。

・インディーズ期とヒット期は描写内容の割合が似た傾向を示す。

B.楽曲分布

それでは次に、楽曲１つ１つをクラスター分析にかけ、どのようにグルーピングされるのかを見ていく。クラスター分析の結果は以下に示す。

�A

�@

�B

クラスター間平均					：変数別最大ｸﾗｽﾀｰ
					：変数別最小ｸﾗｽﾀｰ
		第1ｸﾗｽﾀｰ		第2ｸﾗｽﾀｰ		第3ｸﾗｽﾀｰ
状況		0.257		0.036		0.448
心理		0.626		0.942		0.376
行動		0.059		0.006		0.143
状態		0.058		0.015		0.033
群内項目	1	2人	2	ANSWER	3	Bell
	5	Bye Bye Oh! Dear My Lover	7	DOOR	4	blue blue
	6	Diary	9	Fragile mind	28	Saturday
	8	Flag	10	FREEDOM TRAIN	32	Summer rain
	11	GRAPEFRUITS DAYS	16	Lost Ambitious	33	Sunday kitchen
	12	Happy Birthday!	17	LOVE	48	坂道
	13	Holy Snowy Night	18	LOVER'S SURF	53	そばにおいで
	14	HUMMING LIFE	21	miss you	58	ゆらゆら
	15	INVISIBLE MAN	22	Moon Light Party	75	昨日の日のワルツ
	19	memory	23	NOTE	86	雪の降らない街
	20	Million Films	29	Starting Line	92	潮騒ドライブ
	24	Overflow	30	STAY	115	蕾
	25	Pierrot	31	STRAIGHT
	26	Ring	35	To calling of love
	27	Rising	36	WHITE DAYS
	34	The Big Man's Blues	37	YELL -エール-
	39	あなたへと続く道	38	YOU
	42	コイン	40	アンブレラ
	50	サヨナラ HERO	41	エピローグ
	51	そしてまた恋をする	43	ここから
	56	ボクノイバショ	44	ここにしか咲かない花
	57	まーだだよ	45	ココロの羽
	63	遠くで・・	46	この指とまれ!
	64	遠まわり	47	ストリートのテーマ
	65	海に降る雪	49	コンパス
	68	君といたいのに	52	そばにいれるなら…
	73	向かい風	54	どんな空でも
	83	神風	55	ベテルギウス
	85	赤い糸	59	ルルル
	88	太陽	60	愛する人よ
	91	朝顔	61	雨も風も
	95	東京の冬	62	永遠にともに
	96	同じ窓から見てた空	66	願いの詩
	97	虹	67	君という名の翼
	98	虹の真下	69	君色
	100	背番号1	70	月光
	101	彼女	71	光
	103	風	72	光の誓いが聴こえた日
	104	風の中を	74	今と未来を繋ぐもの
	108	未来への帰り道	76	桜
	109	夢唄	77	時の足音
	110	夜空	78	手紙
	112	涙雨	79	小渕君の犬のうた
	113	恋心	80	心に笑みを
	116	全曲平均	81	新しい場所
			82	真実の口
			84	水面の蝶
			87	蒼く 優しく
			89	待夢磨心-タイムマシン-
			90	大樹の影
			93	轍-わだち-
			94	天使達の歌
			99	日本列島観察日記
			102	彼方へ
			105	風見鶏
			106	宝島
			107	忘れてはいけないもの
			111	翼よあれが巴里の灯だ
			114	六等星

　第１クラスターは状態描写の割合が最大値をとっている。心理描写の割合がおよそ63％であり、コブクロの全曲の平均の心理描写の割合が76％なので、これと比べるとやや低い値を示していることが分かる。しかし、このクラスターにはコブクロの全曲の平均が含まれているため、３つのグループにわけたときにはこのクラスターに含まれる楽曲は、どの描写の割合も、他の２つのクラスターに属する楽曲と比べて平均の割合に近いグループであるということがわかる。このクラスターに含まれる楽曲の総数は４４曲で、３つのクラスターの中で２番目に多い曲数である。

　このグループに含まれる曲の分析の一例を以下に示す。

タイトル	状況	心理	行動	状態	total
未来への帰り道	19%	65%	16%	0%	100%

	未来への帰り道	状況	心理	行動	状態
1	いつもと違う帰り道　見上げたアパートの窓から	○		○
2	秋枯れ色の　シャボン玉一つ	○
3	転がるように漂う　独りぼっちの姿がまるで		○
4	自分みたいだって　呟き佇んだ		○	○
5	踏み切り越しの空に　壊れて消えた	○
6	あの日の胸の痛みが　優しい面影をつれて　蘇る		○
7	離れ離れになるまえに　もう少しだけ　素直になれたら		○
8	もっといっぱいの　ごめんねも　ありがとうも言えたのに		○
9	今ごろになって溢れ出す　思いが今　涙に変わるよ		○
10	ほら　心の曇りもぬぐって　言葉をつなげて		○
11	いつの間にか慣れた事の　寂しさにもただ強がって		○
12	引き出しの奥に　丸めて投げ込んだ	○
13	写真を手で戻せば　頬寄せ合った	○		○
14	くしゃくしゃ笑顔が　なぜか泣いてるように見えてきて　目を閉じた	○	○	○
15	どこかで途切れたアルバムの白いページに		○
16	いつかまた同じ場所で寄り添う　僕たちの思い出が並ぶように		○
17	足早に変わってゆく時に　流されずに　何が大切なのか		○
18	心が気付いているなら　また出会えるから		○
19	声にならない声が　のどのすき間でまた一つ			○
20	いつまでも覚えてる　本当のぬくもり　探して		○
21	離れ離れになるまえに　もう少しだけ　素直になれたら		○
22	もっといっぱいの　ごめんねも　ありがとうも言えたのに		○
23	今ごろになって溢れ出す　涙が今　言葉に変わるよ		○
24	ほら　あの日からはぐれたままの　想いを繋げて		○
25	許し合えるなら　あの時あの場所まで		○
26	歩こう　未来への　帰り道を		○

　この曲は過去（未来への帰り道）を思い出す主人公の様子が描かれており、その過去を思い出すきっかけをつくっている事物の描写が入っているため、心理描写だけでなく状況の描写の割合が上がっているのだと考えられる。

　第２クラスターは心理描写の割合が最大値をとり、それ以外の描写が最小の値をとっているクラスターであることがわかる。心理描写の割合はおよそ94％というかなり高い割合を示している。心理描写の割合が増える分自然とその他の描写の割合が低くなったのだと考えられる。このクラスターに含まれる楽曲数は５９曲で、全体の曲数（１１５曲）のうち、およそ半分がこのクラスターに属していることがわかる。コブクロの楽曲の半分は心理描写が極めて高い楽曲であるということがここからいえるであろう。また、セールスのトップ１０に含まれる楽曲は心理描写の割合の平均が83％と高く、そのトップ１０の楽曲のうち、８曲がこのクラスターに含まれていることからも、このクラスターは心理描写が高いグループであることが確認できる。

　このグループに含まれる曲の分析の一例を以下に示す。

タイトル	状況	心理	行動	状態	total
愛する人よ	7%	93%	0%	0%	100%

	愛する人よ	状況	心理	行動	状態
1	愛する人よ そこから何が見えるの?		○
2	愛する人よ どこから僕を見てるの?		○
3	小さくうなずいていつも 僕を許すんだね		○
4	愛する人よ 何を唄えば君に届くの?		○
5	ある時は 曇りはじめた僕の夢 そっと磨いてくれる		○
6	ある時は 赤く腫れた傷口に 水色の涙を流したり		○
7	今日は今日で 甘い甘いケーキを焼いてくれた	○
8	とてもとても 晴れた今日は ただの木曜日	○
9	愛する人よ そこから何が見えるの?		○
10	愛する人よ どこから僕を見てるの?		○
11	小さくうなずいていつも 僕を許すんだね		○
12	愛する人よ 何を唄えば君に届くの?		○
13	大切なものにいつも囲まれて いつも気付けなくて		○
14	言葉はまるで何もかも分かったように 片付けてしまうけれど		○
15	君の優しさ 痛いくらいまっすぐなその目には		○
16	どんな嘘も 悲しい夢も今は映らない		○
17	愛する人よ そこから何が見えるの?		○
18	愛する人よ どこから僕を見てるの?		○
19	冗談まじりで濁した あれは本当だよ		○
20	愛する人よ 何を唄えば君に届くの?		○
21	愛する人よ そこから何が見えるの?		○
22	愛する人よ どこから僕を見てるの?		○
23	小さくうなずいていつも 僕を許すんだね		○
24	愛する人よ 何を唄えば・・・		○
25	愛する人よ そこから何が見えるの?		○
26	愛する人よ どこから僕を見てるの?		○
27	小さくうなずいていつも 僕を許すんだね		○
28	愛する人よ 何を唄えば君に届くの?		○

この楽曲は恋人に対する心情を描写している歌であり、そのため心理描写の割合が高くなっている。

　第３クラスターは状況と行動描写が最大の値をとり、心理描写が最小の値をとっているクラスターであることがわかる。このクラスターで特徴的なのは、すべてのクラスターの中で唯一状況描写の割合が心理描写の割合を上回っているということである。しかし、あくまでクラスターに分類されているだけであって、実際にこのクラスターに含まれるすべての楽曲が状況描写の割合の方が高くなっているのかというと、そうではない。ここでさらに細かく見ていくと、このクラスターに含まれる楽曲のうち状況描写の割合が心理描写の割合を上回っている楽曲は、「そばにおいで」、「Saturday」、「昨日の日のワルツ」、「雪の降らない街」の４曲である。また、「Bell」、「ゆらゆら」、「潮騒ドライブ」の３曲が状況描写と心理描写の割合が等しい値を示している。このようにすべての曲が状況描写が上回っているというわけではなかったが、このクラスターに含まれる楽曲は状況描写の割合が高いということは間違いないといえる。

このグループに含まれる曲の分析の一例を以下に示す。

タイトル	状況	心理	行動	状態	total
雪の降らない街	53%	31%	16%	0%	100%

	雪の降らない街	状況	心理	行動	状態
1	「キライだよ。冬は寒いから。」と　話す君に	○
2	「今年から、冬が好きになる!」と　あげたコート			○
3	そでを通したり　床に広げたり　はしゃぐ笑顔	○
4	連れて部屋を出れば			○
5	白い冬が街に降りて来た	○
6	雪の降らない僕等の街に	○
7	二人　手と手を重ね見上げた	○		○
8	空一面の粉雪	○
9	三月の風が窓のすき間　光る頃に	○
10	少しずつ　片付けたこの部屋　広いんだね		○	○
11	二つずつの物が一つになれば		○
12	心さえも　いつか一つずつに		○
13	そっと笑いかける君の顔	○
14	今は小さなフレームの中	○
15	壁にもたれたレコードの裏	○
16	戻らない時の記憶		○
17	ざわめく夏が　色づく秋をこえて	○
18	やりきれない静けさの中で　曇る窓に君想えば…	○	○
19	白い冬が街に降りてくる	○
20	壁に並んだ二つのコート	○
21	そでが重なり　まるであの日の	○	○
22	僕とあなたの様です		○
23	いつも同じ言葉で結んだ	○
24	届くはずの無いこの手紙を	○
25	今日も机の奥にしまった			○
26	出来る事なら今すぐ		○
27	この冬空を駆け抜け		○
28	あなたに会いに行きたい		○

この曲は恋人と別れて一人になった状態を、その思い出がつまった自分の周りの物や状況を描写することで表している。物や状況によって過去を思い出す主人公の様子が描かれているため、状況の描写が中心になっていきていると考えられる。

　これらの３つのクラスターの特徴をそれぞれまとめると、第１クラスターはコブクロの全楽曲の平均が含まれていたことから、このクラスターを「平均型」とし、このクラスターに属する楽曲も「平均型」とする。次に、第２クラスターは心理描写の割合が特に高いグループであった。このことから、このクラスターを「心理型」とし、このクラスターに属する楽曲も「心理型」とする。最後に、第３クラスターは平均すると心理描写の割合を状況描写の割合が上回るというグループであった。このクラスターに含まれる楽曲はどれも状況描写の割合が高かったため、このクラスターを「状況型」とし、このクラスターに属する楽曲も「状況型」として分類する。これ以降は各クラスターを「〜形」とする。

「第１クラスター」　→　「平均型」

「第２クラスター」　→　「心理型」

「第３クラスター」　→　「状況型」

それでは次に、先ほど分類した各クラスターの中にどの時期の楽曲がどのような割合で含まれているのかを見ていく。各クラスターと時期の関係は以下に示す。

クラスター毎の個数
	インディーズ	メジャー	ヒット	未発表	総数
平均型（第１クラスター）	9	15	16	4	44
心理型（第２クラスター）	9	16	30	4	59
状況型（第３クラスター）	1	7	4	0	12
total	19	38	50	8	115

　この数値をもとにまず各クラスターの総数に対する時期ごとの割合を見ていく。割合を表したものを以下に示す。

各クラスターの総数に対する割合
	インディーズ	メジャー	ヒット	未発表	総数
平均型（第１クラスター）	20%	34%	36%	9%	100%
心理型（第２クラスター）	15%	27%	51%	7%	100%
状況型（第３クラスター）	8%	58%	33%	0%	100%
total	17%	33%	43%	7%	100%

これをグラフ化すると以下のようになる。

第１クラスターはメジャー期とヒット期の曲が多く含まれている。インディーズ期の楽曲が含まれている割合が一番高いことがわかる。

　第２クラスターはヒット期の曲がおよそ半分の割合で含まれていることがわかる。ここから、このクラスターの特徴がヒット期の特徴に近くなるということが考えられるのではないか。

　第３クラスターはメジャー期の曲がおよそ６割含まれている。また、未発表曲が全く含まれていないということも特徴の一つであるといえる。

以上の特徴をまとめると以下のようになる。

＜まとめ＞

・平均型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期≒メジャー期　である。

・心理型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期＞メジャー期　である。

・状況型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期＜メジャー期　である。

・インディーズ期は平均型が多く、状況型が少ない。

C.クラスター分析による楽曲分布を利用した時期ごとの特徴

　ここで、このクラスター分析の結果を利用して時期ごとにどのクラスターに楽曲が多く分布しているのかを考えることで、その時期の特徴を各クラスターの特徴に関連付けることができるのではないかと考えた。そこで、先ほどのクラスターごとの楽曲の個数をもとに、以下のような表をつくった。

各totalに対する割合
	インディーズ	メジャー	ヒット	未発表
第１クラスター	47%	39%	32%	50%
第２クラスター	47%	42%	60%	50%
第３クラスター	5%	18%	8%	0%
total	100%	100%	100%	100%

これは、各時期の楽曲総数に対して、どのクラスターに含まれる楽曲がどれくらい分布しているのか割合を出したものである。これをグラフ化したものを以下に示す。

　このグラフを見ると、どの時期もほとんどが心理型と平均型での楽曲で構成されていることがわかる。各時期の心理型と状況型の割合の合計を見ていくと、インディーズ期は94％、メジャー期は81％、ヒット期は92％、未発表の曲においては100％という値をとっている。どの時期においてもその楽曲の描写内容のほとんどは心理型か平均型であるといえる。この二つの型は、先までの分析で明らかになったように、どちらもコブクロの楽曲の中で心理描写の割合が状況描写の割合を上回るという傾向を示す型である。つまり、コブクロの楽曲は心理型、あるいは平均型という比較的心理描写を多用する描写構成をとるものが中心であり、どの時期でもそれらの楽曲が8割〜9割をしめ、時期によってその傾向は大きくは変わらないということがいえる。

　先ほどは心理型と平均型とを合わせて、コブクロの歌詞内容の描写の中心が状況描写よりも心理描写を多用する傾向が高いということを明らかにしたが、次は、それぞれの型の割合に注目していきたい。

時期ごとに心理型と平均型の比率を見ていくと、ほとんどの時期が心理型と平均型の比率がおよそ１対１になっていることがわかる。これを詳しく見ていくと、インディーズ期では、心理型、平均型がどちらも47％で、状況型が5％入っている。これがメジャー期になると、心理型と平均型の割合は変わらず、その比率はおよそ１対１なのだが、その数値が減っておよそ40％という値での１対１という比率になっている。そして、値が減ったその分状況型の割合が18％と増えている。そして、ヒット期になると心理型と平均型の割合の比率が１対１ではなくなっている。心理型が60％で、平均型がおよそ30％で、心理型と平均型の割合の比率が２対１と大きく変わっている。そして、状況型の割合は8％と大きく減っている。

これらすべてをふまえて、コブクロの時期ごとの特徴をまとめると以下のようになる。

＜まとめ＞

・どの時期も、描写内容の80〜90％は　　心理描写　＞　状況描写　　である。

・インディーズ期は描写内容のおよそ90％が　　心理描写　＞　状況描写　　である。心理型と平均型の割合の比率は１対１である。

・メジャー期は状況描写が高くなる傾向を示す。そのため　　心理描写　＞　状況描写　　という描写内容の割合がおよそ80％に減る。心理型と平均型の割合の比率は１対１である。

・ヒット期は描写内容のおよそ90％が　　心理描写　＞　状況描写　　にもどる。しかし、心理型と平均型の割合の比率は２対１となり、特に心理描写の割合が高くなる時期である。

　

　ここで、ヒット期の心理描写がなぜ高くなっているのかを考えていく。ヒット期に含まれる曲を見ると、全５０曲のうちセールストップ１０に含まれる楽曲が９曲あることがわかる。（以下の表の色つき部分。）

《ヒット期の楽曲一覧》

曲名	発売日	状況	心理	行動	状態	Total
Million Films	20041014	30%	59%	5%	5%	100%
ここから	20041014	17%	83%	0%	0%	100%
永遠にともに	20041014	0%	100%	0%	0%	100%
HUMMING LIFE	20041103	19%	58%	3%	19%	100%
Rising	20041103	35%	48%	0%	17%	100%
エピローグ	20041103	0%	81%	0%	19%	100%
この指とまれ！	20041103	0%	100%	0%	0%	100%
光の誓いが聴こえた日	20041103	14%	81%	5%	0%	100%
東京の冬	20041103	17%	54%	17%	13%	100%
ここにしか咲かない花	20050511	14%	86%	0%	0%	100%
六等星	20050511	0%	100%	0%	0%	100%
Starting Line	20051102	0%	100%	0%	0%	100%
今と未来を繋ぐもの	20051102	5%	95%	0%	0%	100%
Flag	20051221	38%	58%	3%	3%	100%
LOVER'S SURF	20051221	11%	89%	0%	0%	100%
NOTE	20051221	12%	85%	4%	0%	100%
Pierrot	20051221	23%	69%	9%	0%	100%
Saturday	20051221	54%	29%	13%	4%	100%
待夢磨心-タイムマシン-	20051221	0%	100%	0%	0%	100%
大樹の影	20051221	0%	100%	0%	0%	100%
同じ窓から見てた空	20051221	24%	73%	0%	2%	100%
あなたへと続く道	20060726	18%	77%	5%	0%	100%
君という名の翼	20060726	9%	85%	0%	6%	100%
未来への帰り道	20060927	19%	65%	16%	0%	100%
彼方へ	20070321	0%	95%	0%	5%	100%
風見鶏	20070321	4%	96%	0%	0%	100%
蕾	20070321	35%	47%	9%	9%	100%
君色	20071107	4%	96%	0%	0%	100%
蒼く 優しく	20071107	4%	96%	0%	0%	100%
Diary	20071219	24%	68%	3%	6%	100%
Fragile mind	20071219	4%	89%	4%	4%	100%
WHITE DAYS	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
コイン	20071219	32%	59%	6%	3%	100%
どんな空でも	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
月光	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
水面の蝶	20071219	0%	100%	0%	0%	100%
風の中を	20071219	34%	66%	0%	0%	100%
ベテルギウス	20081029	0%	100%	0%	0%	100%
時の足音	20081029	0%	100%	0%	0%	100%
Summer rain	20090415	35%	44%	12%	9%	100%
ルルル	20090415	8%	92%	0%	0%	100%
虹	20090415	13%	70%	7%	10%	100%
FREEDOM TRAIN	20090715	6%	91%	3%	0%	100%
STAY	20090715	0%	96%	0%	4%	100%
君といたいのに	20090715	19%	69%	8%	4%	100%
Sunday kitchen	20090805	36%	41%	23%	0%	100%
To calling of love	20090805	0%	100%	0%	0%	100%
サヨナラ HERO	20090805	17%	78%	4%	0%	100%
天使達の歌	20090805	11%	85%	0%	4%	100%
恋心	20090805	16%	74%	3%	6%	100%

これは、全体に対してどのくらい含まれるかというと、その割合は18％という値になる。そして、このコブクロのセールストップ１０の楽曲すべての描写の平均値は以下のようになっている。

アーティスト	状況	心理	行動	状態	total
コブクロ（トップ10）	11%	83%	2%	3%	100%
コブクロ（全曲）	17%	76%	4%	3%	100%

　この表からもわかるようにトップ１０の心理描写の平均値は83％と全体の平均に比べて高くなっている。このトップ１０に含まれる楽曲のうち９曲がこのヒット期に含まれるということは、ヒット期の心理描写が高くなっている一因であると考えられる。

第三章　　まとめと今後の課題

　　

第一節　　まとめ

＜品詞分析について＞

○全曲平均とセールストップ１０の楽曲平均は違った傾向を示す

　コブクロは全曲平均とセールストップ１０の楽曲の平均とでは品詞の使い方に差がある。特に名詞、動詞、副詞の使い方に差が見られる。コブクロ全曲は動詞の使用率が他アーティストと比べて最大である。動詞の使用率は名詞の使用率よりも高い。副詞は最小の割合をとる。それに対してコブクロのセールストップ１０の楽曲の平均は動詞よりも名詞を多用している。また、全曲に比べて副詞をおよそ３倍の割合で使用している。このように全曲とセールストップ１０の楽曲とでは異なった傾向を示す。

　そして、コブクロの全曲は平均すると用言型、トップ１０の楽曲は平均すると体言型になる。用言型で最も際立った値を示した楽曲は「２人」、体言型では「FREEDOM TRAIN」である。

他のアーティストと比較すると、コブクロと似た品詞の使い方をするアーティストは、全曲平均では１９、いきものがかり、絢香であり、セールストップ１０ではMr.Childrenとレミオロメンである。

＜語彙分析について＞

今回分析した楽曲の中で使われている語句の中で、コブクロが特によく使用する語句は、１５０語中１０１語あり、その中でも最もコブクロがよく使用していた語句は「今」と「無い」である。残りの４９語は、コブクロの使用頻度よりも他のアーティストの使用率の方が高い語句である。コブクロの全楽曲のうちこのような基本語彙、つまり特徴的な語を用いない楽曲は２１曲で、全体の１８％である。

基本語彙以外の語句で、出現頻度が上位にくる語句をアーティストごとに比較すると、「近づく」と「もう一度」という語句はコブクロ（のセールストップ１０）の「特徴的な語句」であるといえる。この基本語彙以外の語句の使い方でコブクロと似た傾向を示すのはレミオロメンである。

基本語彙以外においては、上位３語までが楽曲の中で共起関係を示し、その５語が共起して含まれていた楽曲は「君という名の翼」である。基本語彙においては、上位５語までが楽曲の中で共起関係を示し、その５語が共起して含まれていた楽曲は「STAY」と「待夢磨心-タイムマシン-」である。

＜構成分析について＞

○時期によって傾向が変わる

メジャー期は状況描写と行動描写の割合が他の次期と比べて最大である。心理描写の割合は最小である。状況描写の割合が高いことは特徴的である。ヒット期は心理描写の割合が他の次期と比べて最大である。状況描写の割合は最小である。インディーズ期とヒット期は描写内容の割合が似た傾向を示す。

・インディーズ期は平均型が多く、状況型が少ない。

・どの時期も、描写内容の80〜90％は　　心理描写　＞　状況描写　　である。

・インディーズ期は描写内容のおよそ90％が　　心理描写　＞　状況描写　　である。心理型と平均型の割合の比率は１対１である。

・メジャー期は状況描写が高くなる傾向を示す。そのため　　心理描写　＞　状況描写　　という描写内容の割合がおよそ80％に減る。心理型と平均型の割合の比率は１対１である。

・ヒット期は描写内容のおよそ90％が　　心理描写　＞　状況描写　　にもどる。しかし、心理型と平均型の割合の比率は２対１となり、特に心理描写の割合が高くなる時期である。

○型に含まれる時期の関係

・平均型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期≒メジャー期　である。

・心理型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期＞メジャー期　である。

・状況型は含まれる楽曲のヒット期とメジャー期の関係が　ヒット期＜メジャー期　である。

　それでは、各楽曲に対する分析をまとめたものを以下に示す。

	曲名	品詞型	描写型	特徴的な語句	上位２０語共起	基本語彙の上位語どうし共起	基本語彙以外の上位語どうし共起
1	２人	用言型	平均型	時々、愛す
2	ＡＮＳＷＥＲ	用言型	心理型	もう一度、走り出す、夢見る	「心」、「今日」
3	Bell	体言型	状況型	走り出す、想い		今、心
4	blue blue	体言型	状況型	時々
5	Bye Bye Oh! Dear My Lover	用言型	平均型	もう一度、想い出		今、心
6	Diary	体言型	平均型	見つける、想う、時々、果て	「風」
7	DOOR	用言型	心理型	日々、夢見る、追いかける
8	Flag	体言型	平均型	夢見る、思い		今、心、風、夢
9	Fragile mind	用言型	心理型	果て、想い		今、心
10	FREEDOM TRAIN	体言型	心理型
11	GRAPEFRUITS DAYS	体言型	平均型
12	Happy Birthday	用言型	平均型
13	Holy Snowy Night	用言型	平均型
14	HUMMING LIFE	用言型	平均型	日々、見つける、愛す	「今日」
15	INVISIBLE　MAN	用言型	平均型	日々
16	Lost Ambitious	用言型	心理型	夢見る		今、心
17	LOVE	用言型	心理型	想い、愛す	「今日」
18	LOVER'S SURF	用言型	心理型	もう一度、追いかける、果て、愛す、思い
19	ｍｅｍｏｒｙ	体言型	平均型	愛す、時々		今、心、風、夢
20	Million Films	体言型	平均型	もう一度、想い出		今、心
21	miss you	用言型	心理型	もう一度、愛す、想う	「遠い」	今、心
22	ＭｏｏｎＬｉｇｈｔＰａｒｔｙ！	用言型	心理型	果て
23	NOTE	体言型	心理型	日々、時々、想い	「恋」		想い、日々
24	overflow	体言型	平均型	果て		今、心、風、夢
25	Pierrot	体言型	平均型	もう一度
26	Ｒｉｎｇ	用言型	平均型
27	Rising	体言型	平均型	想い、日々		今、心、風	想い、日々
28	Saturday	体言型	状況型	想い	「手」
29	Starting Line	体言型	心理型	日々、想い		今、心	想い、日々
30	STAY	用言型	心理型	もう一度、日々、会える、聴こえる、想い		今、心、風	想い、日々、会える
31	STRAIGHT	体言型	心理型	日々
32	Summer rain	体言型	状況型	走り出す、想い出		今、心、風、夢
33	Sunday kitchen	体言型	状況型	聴こえる
34	The Big Man's Blues	用言型	平均型
35	To calling of love	用言型	心理型	想い、愛す	「手」
36	WHITE DAYS	体言型	心理型	日々	「夢」、「無い」
37	YELL-エール-	体言型	心理型	走り出す、想い、思い
38	YOU	用言型	心理型	想い、想う、言える		今、心
39	あなたへと続く道	用言型	平均型	聴こえる		今、心、風
40	アンブレラ	用言型	心理型	近づく		今、心
41	エピローグ	用言型	心理型	もう一度、愛す
42	コイン	用言型	平均型	会える
43	ここから	体言型	心理型	思い
44	ここにしか咲かない花	体言型	心理型	もう一度、思い、想い、想い出	「心」、「無い」	今、心、風
45	ココロの羽	用言型	心理型	想う、夢見る		今、心、風
46	この指とまれ！	体言型	心理型	もう一度	「人」
47	コンパス	体言型	心理型	近づく、夢見る	「夢」	今、心
48	サヨナラ HERO	体言型	平均型			今、心
49	ストリートのテーマ	体言型	心理型
50	そしてまた恋をする	体言型	平均型	近づく、想い出	「心」
51	そばにいれるなら	体言型	心理型	会える、想う	「声―好き」	今、心、風、夢
52	そばにおいで	体言型	状況型
53	どんな空でも	体言型	心理型		「人」
54	ベテルギウス	用言型	心理型	言える	「目」
55	ボクノイバショ	用言型	平均型	言える、時々、会える	「今」
56	まーだだよ	用言型	平均型	見つける
57	ゆらゆら	用言型	状況型
58	ルルル	用言型	心理型
59	愛する人よ	用言型	心理型		「人」
60	雨も風も	用言型	心理型	時々、夢見る
61	永遠にともに	用言型	心理型	日々、想い出	「いつ」	今、心
62	遠くで・・	用言型	平均型	想い、会える		今、心
63	遠回り	用言型	平均型	言える、思い	「声―好き」
64	海に降る雪	体言型	平均型		「手」
65	願いの詩	体言型	心理型	夢見る、想い	「人」
66	君という名の翼	体言型	心理型	もう一度、日々、追いかける	「声―きっと」	今、心、風、夢、道
67	君といたいのに	体言型	平均型	言える、思い、想い
68	君色	体言型	心理型	果て	「声―好き」	今、心
69	月光	用言型	心理型	言える	「心」、「人」	今、心
70	光	用言型	心理型	想い、果て	「目」
71	光の誓いが聴こえた日	体言型	心理型	聴こえる	「今日」
72	向かい風	用言型	平均型	近づく、走り出す、言える、想い出		今、心
73	今と未来を繋ぐもの	用言型	心理型	見つける
74	坂道	体言型	状況型	想い		今、心、風
75	昨日の日のワルツ	用言型	状況型	見つける
76	桜	体言型	心理型	会える、思い、追いかける
77	時の足音	用言型	心理型	想い	「道」
78	手紙	用言型	心理型	追いかける、日々、時々、想い		今、心、風、夢	想い、日々
79	小渕君の犬のうた	用言型	心理型	走り出す
80	心に笑みを	体言型	心理型	思い、想い		今、心
81	新しい場所	体言型	心理型	もう一度、見つける、夢見る
82	真実の口	体言型	心理型	想い
83	神風	体言型	平均型	追いかける
84	水面の蝶	体言型	心理型	想い、愛す
85	赤い糸	用言型	平均型	想い出、愛す、会える	「道」	今、心
86	雪の降らない街	体言型	状況型	想う		今、心、風
87	蒼く 優しく	用言型	心理型	追いかける、見つける、聴こえる	「今」	今、心
88	太陽	用言型	平均型	追いかける、言える
89	待夢磨心-タイムマシン-	用言型	心理型	会える、日々、想い			想い、日々、会える
90	大樹の影	用言型	心理型	日々、思い、追いかける、夢見る		今、心
91	朝顔	体言型	平均型	時々、会える、想う
92	潮騒ドライブ	体言型	状況型	時々、会える、想い出
93	轍-わだち-	用言型	心理型	見つける
94	天使達の歌	体言型	心理型	会える、聴こえる、言える、想い出、果て	「今日」、「遠い」	今、心
95	東京の冬	用言型	平均型	時々、日々、会える
96	同じ窓から見てた空	用言型	平均型		「遠い」	今、心
97	虹	体言型	平均型	近づく、見つける、日々、果て、想い出、想い	「目」、「いつ」	今、心	想い、日々
98	虹の真下	体言型	平均型	想い、追いかける		今、心、風、夢
99	日本列島観察日記	体言型	心理型	愛す
100	背番号1	体言型	平均型
101	彼女	用言型	平均型	走り出す、果て、愛す
102	彼方へ	体言型	心理型	近づく、果て、日々
103	風	用言型	平均型	想い、想う
104	風の中を	体言型	平均型	愛す、日々	「今」
105	風見鶏	体言型	心理型	もう一度、想い、想う、果て、聴こえる	「声―きっと」
106	宝島	用言型	心理型	時々、見つける	「声―きっと」
107	忘れてはいけないもの	体言型	心理型	聴こえる、見つける	「今日」、「声―きっと」
108	未来への帰り道	用言型	平均型	想い、思い、言える	「心」	今、心
109	夢唄	用言型	平均型	夢見る、想い、時々、走り出す	「人」	今、心
110	夜空	用言型	平均型	言える、想い
111	翼よあれが巴里の灯だ	体言型	心理型	夢見る	「夢」、「風」
112	涙雨	体言型	平均型
113	恋心	用言型	平均型	想い、思い出、会える	「声―好き」	今、心
114	六等星	体言型	心理型	もう一度		今、心
115	蕾	用言型	状況型	もう一度、聴こえる		今、心、風、夢

　第二節　今後の課題

　今回データを収集するにあたって手動では限界があるため、文章分析プログラムを使っていったのだが、機械が処理する都合上どうしてもノイズが発生してしまい、１００％正確なデータを取り扱うということはできていない。ある程度手動でできるところは手動で行いデータの精度をあげていくことが必要であると感じる。

　分析方法については、構成分析において分析項目を「状況」、「心理」、「行動」、「状態」の４つに設定したが、中には分類しにくい文もあったので、分析項目をもう少し細分化して分析していくことでより正確な分析結果がでてくるのではと感じる。また、他のアーティストとの比較だけではなくて、コブクロのなかでも作詞者で比較を行えばより分析が深まると考えられる。

≪参考文献≫

『Jポップの日本語―歌詞論』　　見崎　鉄　著　　彩流社　　２００２年発行

『文章心理学』　　波多野完治　著　　新潮社　　１９４９年発行

『野浪正隆研究室　物語文の構成分析試案』

http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/ronbun/monogatari.html

おわりに

「やっと終わった。」

　もうこの言葉以外は見当たらない。

　思えば去年の今頃は共同研究発表が終わり、卒業論文の製作など他人事のように感じていた。「光陰矢のごとし」、「時は金なり」、「後悔先に立たず」・・・先人たちのありがたいお言葉の数々が今私の胸に去来する。

　

私は高校生のころから「大学に入ったらコブクロの歌詞を研究したい。絶対にするんだ。」と心に決めていた。やっとその念願がかなったわけだが、今は「研究」などという言葉を軽々しく使っていた過去の自分を戒めたい気持ちでいっぱいである。本当にこの一年間、特に年末年始は逃げ出したい気持ちでいっぱいであった。それでもなんとかここまでやってこれた、それだけでなく、私のつたない文章集がどうにか「卒業論文」と呼べるようなものにまでなったのはひとえにご指導していただいた野浪先生のおかげである。ゼミの時間以外でも助言をいただいたり、スクリプトを組んでいただいたりと、もうこれはおんぶにだっこ状態ではないのかと思うくらい助けていただいた。

この二年間ご指導していただき、本当にありがとうございました。感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです。このゼミで身についたことをこれからに活かしていきたいと思います。