大阪教育大学 国語教育講座 野浪研究室 ←戻る counter
平成22年度  卒業論文

小説におけるクライマックスの表現論的特徴

大阪教育大学 教育学部
中学校教員養成課程 国語専攻
国語表現ゼミナール
学籍番号 072102 辻恵美
指導教官 野浪正隆先生

目次

はじめに
第一節 研究動機
第二節 研究目的
第一章 課題解明の方法
第一節 研究対象
第二節 クライマックスについて
第三節 サスペンスについて
第四節 研究方法について
第二章 作品分析
(1)『カラフル』森絵都
(2)『クローズド・ノート』雫井脩介
(3)『西の魔女が死んだ』梨木香歩
(4)『ふたたび』矢城潤
(5)『変身』東野圭吾『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎
(6)『ランウェイ☆ビート』原田マハ
(7)『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎
第三章 考察
第一節 クライマックスを構成する要素の分類
第二節 クライマックスの型
終わりに
まとめと今後の課題
参考文献一覧
資料

はじめに

第一節 研究動機

 私は小説を読むのが好きである。その為、卒業論文では、教科書の物語文や説明文ではなく、普段私が一番文章として接している小説を扱いたいと思っていた。小説を読んでいると、感動したり驚いたりする。視覚的・聴覚的な演出が効果的に使われている映画やドラマとは違い、小説は文字だけであるにも関わらず、どうしてこんなにも読者の心を揺さぶるものができるのだろうと不思議に思っていた。そこで読者を感動させる表現や話の構成のされ方に興味を持ち、それらを調べたいと考えた。しかし、あまりにテーマが漠然としすぎた為、今回は読者に感動や興奮を与えることが多いであろう「クライマックス」に絞り研究を進めていくこととした。
 また、「クライマックス」という言葉は、よく使われる言葉であるが、いざ「クライマックスとは何なのか」と言われると、上手く答えられないことに気づいた。作品の一番の盛り上がり部分であることは間違いないだろうが、その盛り上がりは一体どのような要素でできているかがわからなかった。そこで、どのような要素が重なることによって、読者に感動や興奮を与えるクライマックスを構成するのかを研究するに至った。

第二節 研究目的

 小説におけるクライマックスの表現論的特長を、どのような要素がどのように組み合わさっているのかという観点から明らかにすることを目的とする。
 また、クライマックスについての研究方法、中篇・長編の小説を扱う場合の分析方法を示したい。

第一章 課題解明の方法

第一節 研究対象

 小説を研究対象にすることにし、どの小説を研究材料として扱うか悩んだ。

 「書き出し」によって読者は固有の小説世界にいざなわれ、最後の「結び」に至って小説世界が終わる。小説のすべては、「書き出し」の展開に他ならない。「書き出し」から「結び」に向けて、登場人物が錯綜し、事件が起こり、危機がおとずれ、さらに転じてクライマックスをむかえる。これが小説の「山」であり、小説のテーマが端的に露呈するところでもある。もちろん、これは典型的な小説の構成について言ったもので、事件らしい事件のない小説、クライマックスらしいクライマックスのない小説も、ないではない。
『小説の方法』高城修三Taki Shuzo 1998年6月20日 株式会社 昭和堂p.119 l.16-p.120 l.4
 上記のように、クライマックスらしいクライマックスが見られない小説もある。
そこで、映画や舞台化された原作小説を研究材料として扱うことにした。私自身が、映画化や舞台化された原作小説を読むのが好きで、それが今回の研究動機にも少なからず影響しているからであるということに加え、映画化や舞台化されたものだとクライマックスがないということはないのではないかと考えたからである。「映画化や舞台化された原作小説」の中からは、無作為に選んだ。選んだ研究対象は以下の7作品である。

(1)『カラフル』森絵都 平成19年9月10日 株式会社文藝春秋
(2)『クローズド・ノート』雫井脩介 平成20年6月25日 株式会社角川書店
(3)『西の魔女が死んだ』梨木香歩 平成13年8月1日 株式会社新潮社
(4)『ふたたび』矢城潤 平成22年7月20日 株式会社宝島社
(5)『変身』東野圭吾 平成6年6月15日 株式会社講談社
(6)『ランウェイ☆ビート』原田マハ 平成22年11月19日 株式会社宝島社
(7)『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎 平成18年2月20日 祥伝社

 第二章の作品分析で、各作品のあらすじを書いている。さらに詳しい内容については、資料として、最後に載せた。

第二節 クライマックスについて

 研究をするにあたって、小説の中でのクライマックスとは何なのかを、先行文献をもとに整理しておく。
 まず、物語の構成としてよく聞かれる「起承転結」というものがある。

起=物語の発端
 主人公が、あるきっかけを受け、何かの目的を持ち、行動を起こす部分。
承=物語の展開
 様々な困難やピンチと取り組みながら、主人公が目的達成のために進んでいく。物語の中で、最もウェートの重い部分。
転=クライマックス
 目的が半ば達成される(あるいは失敗に終わる)部分。すんなり達成(終結)させたのでは、クライマックスにならない。読者の予想を良い意味で裏切るのが作家の腕の見せどころ。
結=物語の結び
 目的の達成、あるいは失敗が、主人公に何をもたらしたのか?環境の変化は?主人公の心情は?など読者にとって納得のいくラストシーンを考える必要がある。このラストにも意外性があれば、なお良い。

 起承転結が、起承転転転結でも良い。要するに、物語の転換点を少なくとも三か所、できるなら、可能な限り多く設けることが要求される。

『作家デビュー完全必勝講座 若桜木流奥義書』若桜木
2002年2月28日株式会社文芸社p.28-29

 クライマックスは、起承転結の中で「転」の部分に属していると述べられている。若桜木氏は「転」すなはち「クライマックス」が小説の中に複数存在していても良いことを述べている。これは小説を読んでいても感じることである。小説の中には、盛り上がりの部分が複数存在し、その中でも最も大きな盛り上がりが小説のクライマックス、それ以前の盛り上がりは小クライマックスであると考えた。
 また、クライマックスを小説の中での「頂点」という言葉で表された説明も多く見られる。

Climax(クライマックス)
 最高度の緊張の一点。漸進的な高まりの頂点。伝統的なプロット(plot)構造において、クライマックスは、上昇行動(rising action)の極みを成す。
『物語論辞典』ジェラルド・プリンス著 遠藤健一訳
松柏社 1991年5月20日p.27

 さらに、クライマックスを頂点としたプロットの図として、フライタークのピラミッドというものがある。

Freytag's pyramid(フライタークのピラミッド)
ゲスタフ・フライタークの悲劇の構造の図解。フライタークのピラミッドは、物語のプロット(plot)の諸相を記述するのに、しばしば用いられてきた。
『物語論辞典』ジェラルド・プリンス著 遠藤健一訳
松柏社 1991年5月20日p.74

 この図は、山が高ければ高いほど、頂点が右寄りなほど、緊張と興奮は高いとされている。小説の中での盛り上がりの頂点がクライマックスであり、そのクライマックスが小説の終わりに近ければ近いほど盛り上がりの度合いが高いということである。また、その頂点に達するまでに小クライマックスが存在する。図に示すと以下のようになる。

クライマックスを形成するためには、クライマックス前には緊張や興奮を高めるものが、クライマックス後には緊張が下降していくものが必要となることがわかる。この2つがあることによって、山形が形成され、頂点が生まれる。

第三節 サスペンスについて

 ミステリー小説では、「冒頭に死体を転がせ」という言葉がよく言われる。
 これは、死体が転がった冒頭を読んだ読者が、「なぜここに死体があるのか」、胸を刺されているのだとすれば「一体誰にどうして殺されたのか」という疑問や懸念を抱き、話に興味を持つからであると考えられる。このような「宙ぶらりん、どっちつかず、未決、未定、不安、気がかり」な読者の心理状況を、野浪氏はサスペンデッド状態と呼んでおり、読者をサスペンデッド状態にする文章中の仕組みをサスペンスと呼んでいる。(野浪正隆「文章中におけるサスペンスについて(1)−サスペンスとしての比喩−」『学大国文』第三十六号(1993年 大阪教育大学国語国文学研究室))
 サスペンデッド状態になるということは、読者が緊張感を持つことになり、緊張の頂点であるクライマックスへの働きは大きいと考えられる。
 また、サスペンスと同様によく耳にする表現上の仕組みとして、「伏線」というものにも着目した。小説を読んでいると、伏線だと思うものに対しても疑問を抱くことがある。

 まず、クライマックスについて、『物語論辞典』ジェネラル・プリンス著 遠藤健一訳で調べると以下のように記述されている。

Suspence(サスペンス)
行動(とりわけ肯定的な登場人物の関与する行動)の成り行きあるいは結果に関して、懸念を惹起する部分的な不確定性から生ずる感情あるいは精神状態。例えば、ある結末が可能なのに実際にはその結末に落ち着くことになるかどうかはっきりしていない場合とか、ある結果が自明なのにその結果が何時どのように起こるのかが分からない場合などに、サスペンスが生ずる。 サスペンスは予表(foreshadowing)に依拠することがしばしばであるが、解釈論的コード(hermeneutic code)によって構造化されている主題化、罠、宙吊りにされている解答などに依拠することがより一般的である。
p.191

 上記は、野浪氏の言うサスペンデッド状態を述べていると考えられる。
 サスペンスが依拠するものとして、予表というものが挙げられている。

Foreshadowing(予表)
状況・事象をあらかじめ暗示する技法や工夫。例えば、登場人物が子供の時分に優れた色彩感覚を示し、長じて有名な画家になるとすれば、最初の事象は二番目の事象を予表していると言える。
p.68

 これは、伏線に近い意味なのではないかと考えた。
 また、以下のような言語もある。

Advance mention(布石)
先ず言及され、(だいぶ)後になって初めてその意味が明確になる物語の部分。最初に示された時にはその重要性が認識されない物語の「種子」。例えば、ある登場人物が小説の第一章でそれとなく導入され二十章に至って初めて決定的な役割を演じ始めるとか、居間のありきたりな長椅子がさりげなく言及されしばらく経って重要な秘密がその長椅子に隠されていたことが明らかになるとか、たんなる窓の隙間が一年も過ぎてから予測もつかなかった結末を招くことになるとか、など。
p.6

 以上のことを踏まえ、今回の研究を進める上で、サスペンスと伏線について定義し直した。

・サスペンス
主に人物の行動によって、読者に直接的な疑問を抱かせる表現。
例)そのとき、背後で誰かの気配がした。→誰の気配なのか?
ゆかは突然血相を変えてドアからどこかへ飛び出して行った。
→ゆかはどうしたのか?どこに行ったのか?
・伏線
上記の予表・布石に当たるものを2つの区別をつけずに、「伏線」とする。
つまり、読者に違和感を持たせるが直接的な疑問を抱かないもの、または読者が違和感を持たずに読み進め後になってから関係があったのだと気づく表現。
例)上記の予表・布石の例にあたる。
サスペンスは、「サスペンスは予表(foreshadowing)に依拠することがしばしばである」と記されているように、伏線が示されたことによって、同時にサスペンスが発生することもある。
作品を分析する上で、上記の「サスペンス」と「伏線」以外に、「問題」という観点を入れて分析することとした。
・問題
主に「主人公(登場人物)の悩み、葛藤」を指すこととする。

第四節 研究方法について

 研究対象をサスペンス、伏線、問題の発生と解消を軸に、図化することによって、研究対象の構造を視覚化する。クライマックスはその構造の中で、サスペンス、問題、伏線やその他の要素とどのように関係しているのかを読み取る。そして、作品の内容から、クライマックスを形成する為に緊張を高めているもの、クライマックス後に物語を収束させる為に緊張を下降させているものなど、クライマックスを構成するのに必要な要素を読み取る。

※図の読み取り方について

 サスペンス、伏線、問題の発生と解消を軸に、図化したものは以下のように色分けや記号分けを行った。
 また、図は、上から下に向かってが物語の流れである。つまり、上が物語の初めの方、下が物語の終わりの方で、左右は図化の問題で関係の近いサスペンスや伏線、問題が並ぶようにした。

<図の色分けと記号分け> 黒字・サスペンス発生
赤字・問題発生
黄緑・伏線
水色・サスペンス、問題、伏線の解消
棒線・同じ解消に繋がっている伏線、サスペンスや問題の深刻化 など
矢印・解消に繋がっている
点線・別のサスペンス、問題、伏線と関わりが生まれている など
橙色・サスペンス、問題、伏線には書かれていない事件や、主要な出来事 など
橙色の右隣り・ページ数や小説の中の章
星・クライマックス

第二章 作品分析

作品分析図

(1)『カラフル』森絵都

<あらすじ>

 前世のあやまちによって輪廻のサイクルから外れたぼくの魂の前に天使のプラプラが現れて、抽選に当たり再挑戦のチャンスを得た。前世のあやまちを思い出すことが再挑戦の内容であり、ぼくは自殺を図った真の体を借りて下界で再挑戦をする。真には家族の問題や友達、恋愛の問題があったが、真の誤解であったことを知ったり、話すことによって問題が解決していく。そして、ぼくは真として家族たちの愛を受けていることに罪悪感や孤独を感じ、プラプラからあと24時間以内に前世のあやまちを思い出せば真を家族に返すと言われ、必死であやまちのヒントを探す。真にとって大事な場所であった美術室で、真の記憶に記録されていない(=真が気にも留めていなかった)晶子がきっかけでぼくはあやまちを思い出す。それは、ぼくは自殺を図った真であり、あやまちとは自殺のことだった。全てを思い出したぼく=真は、プラプラに感謝の気持ちを述べて下界へ戻っていく。

☆緊張を高めるもの

☆クライマックス

☆クライマックス後の物語の収束

(2)『クローズド・ノート』雫井脩介

<あらすじ>

 香恵は部屋のクローゼットに前の住人が置き忘れたらしいノートを見つける。それは、小学校の先生である伊吹の日記や子供たちからのメッセージカードだった。読み進めるにつれて、伊吹に憧れと共感を抱く。同時に、バイト先である文具店に来たイラストレーターの石飛に恋をする。親友・葉奈の彼氏である鹿島からのアプローチやそれによる葉奈との気まずい空気などの問題が起こるが、石飛がやはり好きだと思い問題は解決していく。日記に書かれた伊吹の隆に対してのアプローチを参考にしながら、石飛に積極的になる香恵。遂に伊吹に会いに行こうと思い小学校を訪ねると伊吹は日記が止まった日に死んでいた。ショックを受ける香恵が石飛の個展に行き、絵のサインを見て石飛=伊吹の恋人・隆であることに気付く。紛失した伊吹の顔が描かれた絵を香恵は探し出し、絵の中の伊吹との対面に香恵は涙し笑顔になる。石飛に個展を開いたことに対する祝いの言葉を述べる際に、香恵はノートに書かれてあった、言葉を贈る。それは、死んだことによって届かなかった伊吹から隆へのお誕生日祝いの言葉であった。

☆緊張を高めていくもの

☆クライマックス

☆クライマックス後の物語の収束

 主人公・香恵が、伊吹の隆への手紙を伝え終え、場面は気さくな雰囲気のパーティーの時間になっている。絵を捨てた犯人であろう、星美に対しても眼をうるませていたことから香恵は許す気持ちになる。隆に頼まれていたマンドリンを演奏しようとすると、マンドリンを忘れてきたことに気付くが、香恵のこのようなおっちょこちょいな性格は物語の中で何度も出てきた表現であり、周りの人も香恵も笑い、もう一度見上げた絵の中の伊吹も微笑んでいる。

(3)『ふたたび』矢城潤一

<あらすじ>

 引きこもりの大翔の家に、かつてハンセン病で55年間隔離生活を送っていた父・建男の父である健三郎がやってくる。健三郎に付添いを頼まれ、建男を産んですぐ死んだ恋人・百合子の墓参りに大翔は行くが、百合子の名はなかった。健三郎は会いたい一心で、百合子の行方を調べ始める。大翔は部屋の窓からゴミ捨ての様子を見て恋をしたゴミ子と、偶然に図書館で出会い、共に百合子について調べる。ゴミ子の元恋人でストーカーの男との問題もありながら、大翔はゴミ子との仲を深める。調べていくうちに、百合子は生きていて沖縄で健三郎のバンド仲間だった由紀夫と結婚していることがわかった。百合子に会おうとすることをやめた健三郎だったが、百合子が死にそうだと言う知らせを受け、大翔と共に沖縄へ行く。ついたとき百合子は死んでしまっていて間に合わなかった。由紀夫から真実を聞き、百合子は由紀夫とは結婚せず健三郎のことを想い続けていた。建男も百合子に捨てられたと思っていたが、そうではなかった。百合子の葬儀が終わり、大翔は引きこもりの象徴であった窓の黒紙を剥がす決心をし、ゴミ子とも結婚しようと話す。

☆緊張を高めていくもの

☆クライマックス

 クライマックスは、直前で発生したサスペンスの解消になっている。主人公たちがずっと探していた百合子との再会が、百合子が死んでしまったことによって果たせない場面である。主人公・大翔、百合子を想い続けていた健三郎をはじめ、ゴミ子、建男、由紀夫たちがおり、建男、由紀夫、健三郎は泣いている。

☆クライマックス後の物語の収束

(4)『ランウェイ☆ビート』原田マハ

<あらすじ>

 おしゃれに興味のないメイの前におしゃれな転校生・ビートが現れ、恋をする。ビートはクラスのいじめられっ子のワンダをかっこよく変身させ、誰にでもポテンシャルがあると話す。学校が廃校の危機になるが、ビートたちは学園祭でファッションショーをし、廃校の危機を免れる。しかし、クラスの女王さまであるモデルのミキが、学校の廃校とビートの将来を潰すことを脅しにアパレルの大手WMのキャラクターにさせられる。WMの安良岡社長とデザイナー・パクは、ビートの父の会社を窮地に追いやった人たちだった。ビートの恋する相手・きららの死や、安良岡たちによる潰しなどの困難を乗り越え、ミキを助けるため、ビートたちのブランド『ランウェイ☆ビート』のため、東京コレクションで安良岡たちの客をかっさらい、ショーを行った。そのショーを見た安良岡はビート父を認め直し和解、パクもビートたちと服作りをしたデザイナーのミナモと抱き合うなど問題が解決する。ショーの数日後、廃校の危機の際、実は寄付をしてくれた笹倉散華の勧めで留学するビートを追いかけるメイ。しかし、ビートは留学を断っており、追いかけてきたメイはビートに告白され、メイの恋も叶う。

☆緊張を高めていくもの

☆クライマックス

 クライマックスは、主人公・メイの問題の解消の伏線や、主要人物たちの問題の解決の助けとなる部分である。ファッションショーである東京コレクションの最後で、ランウェイに登場人物たちが勢ぞろいし、主人公・メイはぐしゃぐしゃに泣き、大成功に終わるという場面である。東京コレクションは、登場人物たちが開催と成功を目指していたものであり、敵対する人物と決着をつけるためのものであった。

クライマックス後の物語の収束

 敵対する人物たちが負けを認め、和解する。それと同時に、敵対する人物であったパクとミナモの恋も円満に収束し、ミキも安良岡からの脅迫から事実上解放される。物語の冒頭と、クライマックス、物語の終わりの視点であるメイは登場人物の中でも主人公の役割をしている。そのメイのビートに対する恋の問題も最後に解消し、大団円となっている。

☆その他の要素

(5)『西の魔女が死んだ』梨木香歩

<あらすじ>

 友人関係が上手くいかず中学校に行くことやめたまいは、ママのママで外国人であるおばあちゃん(=西の魔女)の家で一カ月余りを過ごす。まいはおばあちゃんから魔女修行を教えてもらう。その中で大事なことは、「自分で決める」ことだった。まいはおばあちゃんに死ぬとどうなるのかについて話すと、おばあちゃんは死んだら魂が身体から離れた証拠をまいに見せると約束する。ジャム作り、洗濯、畑作りなどをして過ごすまい。しかし、ずっと嫌悪感を抱いていたゲンジのことを死んでしまえばいいと言ってしまったことで、おばあちゃんに頬を叩かれ、しこりができる。まいが転校することになり、おばあちゃんの家を離れる日も、二人のいつもの言葉のやりとりであった「おばあちゃん大好き」「アイ・ノウ」も言えずに別れてしまう。2年がたちおばあちゃんが倒れたと知らせを受け、ママと一緒に車で向かうまい。そしておばあちゃんの死を目の当たりにし、後悔の念を抱く。その時、ガラスに「タマシイ、ダッシュツ、イセイコウ」の文字を見つけ、まいは泣きながら大声で「おばあちゃん大好き」と叫ぶ。するとおばあちゃんの「アイ・ノウ」が聞こえた。

☆緊張を高めているもの

☆クライマックス

 クライマックスは途中で発生した伏線とそれに伴うサスペンス、直前に発生したサスペンスの解消である。主人公と重要な人物であるお婆ちゃん(西の魔女)との約束が果たされる場面であり、約束が果たされたことによって、両者の間のわだかまりも解ける。(お婆ちゃんは死んでしまっているので、主人公・まいの中で解けるとも言える)。

☆クライマックス後の物語の収束

 クライマックスと話の収束はほぼ同時に行われ、これはクライマックスである頂点が図の中でかなり右寄りなことを示す。お婆ちゃんのメッセージを見て泣いたまいは、お婆ちゃんとのわだかまりが消えると同時にお婆ちゃんの死を実感する。そして、「お婆ちゃん大好き」と叫ぶと、物語の中で何度か登場し、まいとお婆ちゃんとの間での決まり事のような「アイ・ノウ」というお婆ちゃんの声を聞く。(「アイ・ノウ」はマイが聞こえたような気がするということ)。これは、まいが別れのときにお婆ちゃんに「大好き」と言えなかったという問題の解消にもなっている。

(6)『変身』東野圭吾

<あらすじ>

 純一は立ち寄った不動産屋で、銃で頭を撃たれて世界初の脳移植をされる。しかし、手術後少しずつ性格や感性が変わっていく。怠惰な人間を許せなくなり、人をすぐに殺してしまいそうになったり、恋人の恵を愛せなくなり、好きだった絵も描けなくなっていく。ドナーの正体に疑惑を持った純一が調べると、ドナーの正体は純一の頭を撃った犯人である京極だった。次第に京極に乗っ取られていく純一。犬、手術を行った堂元の助手である橘を殺害し、遂に恵までも殺しそうになる。しかし、激しい頭痛に襲われ、恵の首にかけた手が勝手に離れる。純一のもとの人格は消えたのではなく意識下に潜んでいた。恵に愛したことを忘れないと告げ、堂元のもとに行き、移植脳を取り除いてくれるよう頼む。堂元に断られた純一は自分で頭を撃ち抜き、植物人間の状態となる。恵は純一の描いた絵を売って純一の延命費にあてていたが、一枚だけ手元に残していた絵は、純一がもとの感性を少し取り戻していたときに描いた最後の恵の絵で、恵のソバカスが丹念に描かれたものだった。

☆緊張を高めているもの

☆クライマックス

 クライマックスは物語の中盤で発生した伏線と、直前に発生したサスペンスの解消である。また、脳移植によって人格が変わってしまった主人公・純一が、もとの人格に一瞬戻り、恵に愛していた気持ちを伝え、自分を取り戻す決意をする場面である。また、純一が一瞬もとの人格に戻ったきっかけは、脳移植前から付き合っていた恵の首を絞めて殺しそうになることである。それまでも、恵が実家に帰る時の見送りや殺そうと思った時に頭痛がするなど、恵に関することによって純一のもとの人格が出てきているような伏線があり、クライマックスはそれらの解消ともなっている。

☆クライマックス後の物語の収束

(7)『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

<あらすじ>

 嘘を見抜く成瀬、天才スリ師久遠、演説の達人響野、精確な体内時計を持つ雪子、と変わった特技を持つ4人の銀行強盗。ある日、強盗した金を逃走中の現金輸送車ジャックに横取りされてしまう。しかし、それは元夫で借金を作る地道を助けてしまったために息子を人質にされた雪子が仕組んだことだった。成瀬は、地道を仲間に引き込んで再度銀行強盗を行うと言い出す。強行な成瀬に仲間は不安を感じるが、地道を仲間に引き入れるのは嘘で、地道には内緒で強盗を行うというのが成瀬の案だった。しかし強盗当日、地道は盗聴器を仕掛けていたため、地道の借金元である神崎に計画は筒抜けだった。神崎に車の中で銃を突きつけられる雪子。雪子の迎えの車が来ないため、銀行内に成瀬たちは立てこもったようだった。警察やテレビ局に囲まれる銀行。雪子の車に警察官が近付いてき、車を降りない神崎と雪子に向かって発砲する。するとそれはクラッカーで、警察官は変装した成瀬たちであり、神崎は変わった車の中に閉じ込められる。銀行は訓練の日で警察とテレビ局が来ていたのだった。数日後、成瀬たちはもとのように銀行強盗に向かう。

☆緊張を高めるもの

☆クライマックス

☆クライマックス後の物語の収束

☆その他

 前半で発生したサスペンスのほとんどは、図の中間部にあるひとつの地点で解消していたのに対し、前半で発生した伏線については、後半で生かされている。一見、物語は2つに分かれているように見えるが、前半に出てきたものがクライマックスに生かされている仕組みになっている。

第三章 考察

第一節 クライマックスを構成する要素の分類

各作品の分析から、クライマックスを構成している要素を以下のように分類した。

≪対人物要素≫

絶対的人物の存在の揺らぎ(『陽気なギャングが地球を回す』『ランウェイ☆ビート』)
対立、敵対する人物の存在(『陽気なギャングが地球を回す』『ランウェイ☆ビート』)
愛情に関する人物の存在(『西の魔女が死んだ』『ふたたび』『変身』『クローズド・ノート』)

≪状況要素≫

時間の制約(『陽気なギャングが地球を回す』『ふたたび』)
目標・目的の存在、達成(『ランウェイ☆ビート』『ふたたび』『西の魔女が死んだ』『カラフル』)
登場人物がそろう(『ランウェイ☆ビート』『ふたたび』)

≪生死要素≫

人の死(『ランウェイ☆ビート』『クローズド・ノート』『ふたたび』『西の魔女が死んだ』)
主人公や主要人物の命の危機(『陽気なギャングが地球を回す』『変身』)

≪心情、行動要素≫

焦り(『陽気なギャングが地球を回す』『カラフル』『ふたたび』)
急ぐ動作(『カラフル』『ふたたび』)
泣く(『西の魔女が死んだ』『ランウェイ☆ビート』『クローズド・ノート』『ふたたび』『変身』)
決意(『変身』)
愛情(『クローズド・ノート』『変身』『ランウェイ☆ビート』『西の魔女が死んだ』『ふたたび』)

 上記に挙げたものは、緊張や興奮を高めるもの、クライマックスの場面そのものを盛り上げ、印象を残すものである。これらは、クライマックスを構成する要素として重要な位置を占める条件であると考えた。

 作品分析を通して、条件としてあまり重要性はないが、冒頭がクライマックスに関わっている場合が多かった。

≪冒頭との関係性≫

 作品の分析を通し、クライマックスと冒頭との関係性が複数見られた。

  『陽気なギャングが地球を回す』では、冒頭に登場した伏線がクライマックスで生かされている。『ランウェイ☆ビート』では、複数の視点で語られる形になっているが、クライマックスでは、冒頭の人物の視点で語られている。『カラフル』と『クローズド・ノート』では、冒頭からのサスペンスの解消が同時にクライマックスとなっている。『西の魔女が死んだ』では、主に過去の回想に入り物語が進んでいるが、冒頭の時間軸(現在)に戻りクライマックスをむかえている。

  「小説のすべては、『書き出し』の展開に他ならない」とあったように、冒頭の重要性が露わになる結果だった。クライマックスとの関係性が複数見られたのは、クライマックスが物語の中で最も緊張や興奮が高まり、印象に残る場面であり、重要性が高いことが関係しているのではないだろうか。

  また、クライマックスを形成する重要な要素として挙げたもの以外で、意外性にも着目した。

≪意外性≫

 『陽気なギャングが地球を回す』では、全く物語と関係ないようだった冒頭での登場人物たちの出来事がクライマックスで生かされていることや、二段階の騙しが行われている主人公たちの計画に意外性を感じ驚かされる仕組みになっている。また、『ランウェイ☆ビート』では、多くの登場人物がいるが、今は敵対している人物同士が実は過去の良きライバルであったり恋の相手であったりと、人物同士の関係に意外性を持たせている。 意外性というのは、読者の予想を裏切ることであったり、予想もしていなかったことが発生することであり、物語を盛り上げる役割がある。

  さらにクライマックス後の物語の収束を形成する要素として見られたものを挙げる。

 「クライマックスについて」でも述べたように、クライマックスは前後があってこそ生まれる。クライマックスそのものへの関係性は薄いが、クライマックスという頂点を作るには重要な要素だと考えられる。

≪お決まりの行為≫

 物語の中に何度も登場する言葉や動作などであるお決まりの行為は、物語を盛り上げるためや、物語の収束に見られた。『ランウェイ☆ビート』では、ドアの下から言葉を書いたノートの切れ端を入れることで部屋に閉じこもってしまっている人物を助ける行為が三度行われる。『陽気なギャングが地球を回す』、『西の魔女が死んだ』では、強盗を始める際の「ロマンはどこだ」、主人公・まいとお婆ちゃんの「おばあちゃん大好き」「アイ・ノウ」というやりとりの言葉が物語の収束でも登場している。『クローズド・ノート』では物語の中で何度も登場した主人公・香恵のおっちょこちょいな性格が物語の収束で登場している。『ふたたび』では、行為ではないが、物語の中で何度も登場した「サボテン」が、主人公の引きこもりという問題からの脱却の象徴として物語の収束でも生かされている。

  お決まりの行為が、物語の収束で登場することが多いことがわかるが、これは読者に安心感を与えるからだと考えられる。緊張の頂点から、緊張が和らぐ表現である。これと同じ役割として日常への回帰も見られる。

≪日常への回帰≫

  上記で述べたように日常への回帰も読者に安心感を与え、緊張が和らぐ表現であると言える。『陽気なギャングが地球を回す』では、主人公たちが普段のように銀行強盗を行う様子が書かれている。『カラフル』では完全に回帰していないが、主人公が日常の生活に戻る様子が書かれている。

≪読者への説明≫

  『陽気なギャングが地球を回す』では成瀬たちのたてた計画の全貌が、『ふたたび』では百合子と由紀夫の関係や建男の心情などについてが、登場人物たちの会話によって読者に説明される形になっている。『カラフル』では、主人公の語りによって、自殺する以前の真について説明が為されている。 これによって、サスペンスが解消されたり、今までの物語への理解や納得がされるため、緊張が下降し、物語が収束されるのだと考えられる。

≪問題の解消≫

  上記に述べた以外の物語の収束の仕方として、登場人物の問題の解消もよく見られる表現であった。『ランウェイ☆ビート』では、対立していた人物同士の和解や、主人公の恋が実るなどする。『ふたたび』でも、主人公の引きこもりの問題が解消し、ゴミ子との恋も上手くいく。『西の魔女が死んだ』では、クライマックスをはさんでだが、主人公の不登校の問題、敵対視していたゲンジに対する問題の解消、おばあちゃんとのしこりの解消などが立て続けにある。『クローズド・ノート』でも対立していた香恵と星美の間が和らぐ表現が見られる。これはすべてが丸く収まっていく大団円と呼ばれるものである。

第二節 クライマックスの型

  研究対象として扱った7作品のクライマックスは、どの要素(主に重要性が高いとした要素)が組み合わさったどのようなクライマックスの型なのか、名付けを行った。

『カラフル』森絵都

状況要素時間の制約 目標・目的の存在、達成
心情、行動要素急ぐ動作
冒頭との関係性冒頭から引っ張られてきたサスペンスの解消
日常への回帰
読者への説明

 時間の制約による急ぐ行為が緊張を高め、目的や目標の達成(または失敗)がクライマックスとなっていることから、
マラソン型とした。


『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

対人物要素絶対人物の存在の揺らぎ 対立、敵対する人物の存在
状況要素時間の制約
生死要素主人公や主要人物の命の危機
心情、行動要素焦り
冒頭との関係性冒頭の伏線が生かされている
意外性伏線
お決まりの行為物語の収束
日常への回帰
読者への説明

 命の危機にさらされながら対立、敵対する人物との関わりを持つ場面がクライマックスとなっていることから、
対立、戦闘型とした。



『ランウェイ☆ビート』原田マハ

対人物要素絶対的人物の存在の揺らぎ 対立、敵対する人物の存在
状況要素目標、目的の存在、達成 登場人物がそろう
生死要素人の死
心情、行動要素泣く 愛情
冒頭との関係性視点
意外性人物関係
お決まりの行為物語の盛り上げ
問題の解消対立した人物同士の和解 恋が実る

  目標・目的があり、その中で対立、敵対する人物との関わり、愛情に関する人物との関わり、登場人物がそろうことによって様々な人間関係が一度に見えている場面であることから、
劇場舞台型とした。

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

対人物関係愛情に関する人物の存在
状況要素目標・目的の存在、達成
生死要素人の死
心情、行動要素泣く 愛情
冒頭との関係性時間軸
お決まりの行為
問題の解消

 愛情に関する人の一方が死んでしまったことが大きな要素となっているクライマックスのため、
愛情死別型とした。


『ふたたび』矢城潤

対人物関係愛情に関する人物の存在
状況要素目標・目的の存在、達成 登場人物がそろう
生死要素人の死
心情、行動要素焦り 急ぐ動作 泣く 愛情
お決まりの行為
読者への説明
問題の解消

 愛情に関する人の一方が死んでしまったことが大きな要素となっているクライマックスのため、
愛情死別型とした。



『クローズド・ノート』雫井脩介

対人物要素愛情に関する人物の存在
生死要素人の死
心情、行動要素泣く 愛情
冒頭との関係性冒頭から引っ張られたサスペンスの解消
お決まりの行為
問題の解消

 愛情に関する人の一方が死んでしまったことが大きな要素となっているクライマックスのため、
愛情死別型とした。


『西の魔女が死んだ』と『ふたたび』、『クローズド・ノート』は主要な要素が近く、同じ型だと言える。

『変身』東野圭吾

対人物要素愛情に関する人物の存在
生死要素主人公や主要人物の命の危機
心情、行動要素泣く 決意 愛情
問題の解消要素の中で挙げた物語の収束の仕方はしていない。
人の死、主人公以外の視点、悲壮な結果の中の少しの幸福、によって収束している。

  愛情に関する人物に命の危機があり、その中で決意を行う場面がクライマックスとなっているため、戦場に向かう兵士をイメージし、
決意出陣型とした。


  以上に挙がったもの以外にも、 ミステリー小説などで見られると思われる、目的・目標の達成や失敗の際に、意外性のある解明型などがあると考えられる。

状況要素目標・目的の存在、達成
意外性

終わりに

まとめと今後の課題

  クライマックスを形成する要素を調べて、クライマックスとは、緊張を高めるものと、緊張を下げて物語を収束させていく両方、つまり、前後があるからこそ成り立つものであることがよくわかった。クライマックスの場面だけを抜き出してもクライマックスにはならない。緊張を高める要素には、対人物要素、状況要素、生死要素、感情・行動要素があると挙げた。これらが主要な要素である。生死要素も状況要素と言えるが、今回扱った作品以外にも、生死に関わるクライマックスが多く見られるため、生死要素として確立させた。それだけ生死要素が読者の緊張や感動、共感を得やすいということなのだと考えられる。また、状況要素の時間の制約、感情・行動要素の焦り、急ぐ動作、泣く、などは緊迫感を生むため、緊張を上げる要素として出たものである。さらに、サスペンスや伏線、問題が絡んでいることによって、解消されるまでの緊張が加わったり、安堵感が生まれて物語の収束となったりする。クライマックスの型については、今回7作品中3作品が愛情死別型となった。この愛情は、恋愛感情や家族の愛情、または友人に対する愛情など様々な愛情を一括して愛情死別型とした。この型が多くなったのは、愛と死というものが普遍的なテーマであるからではないだろうか。クライマックスの型に、主要な要素以外のものが組み合わさることによって、作品独自のクライマックスが生まれている。

  今回の研究では、論者が緊張を高めていると考えられるものを挙げ、要素を分類していった。作品数をもっと増やすことによって分類をさらに細分化することが可能なことや、第三者に結果をもう一度検証できるような形でアンケートを行うことによって、より精密度の高い結果を得ることができたと考えられる。長編・中編の小説を扱うことによって、一作品ごとの図化や分析に時間がかかった。しかし、物語の全体を一目で把握しやすい形の図化を今回行ったことによって、今後長い物語を扱う際にこの図化を利用できたらと思う。

  最後になりましたが、ご指導してくださった野浪正隆先生、本当にありがとうございました。なかなかテーマが決まらず、決まってからも小さなことで悩んでなかなか進まなかった私に多くの助言とご指導をして下さり、とても感謝しております。提出2週間程前の、先生の「頑張りや」の言葉が心に染みました。また、国語教育講座の諸先生方、卒論中間発表でのご指導ありがとうございました。そして、共に研究室で頑張り、癒しを与えてくれた国語表現ゼミナールのみんな、ありがとうございました。

参考文献一覧

資料

研究対象の内容

『カラフル』森絵都

プロローグ
あやまちを犯して死んだぼくの魂が天使から生まれ変わる再挑戦ができる抽選に当たったと告げられる
天使の容貌
ぼくの前世の記憶はなくただ下界にはもどりたくないという意識だけがある
天使が抽選を断れないこと、待ち受けているのは楽園ではないことを言う
天使の名前(プラプラ)と役職(ガイド)
プラプラが話した再挑戦の要点
(ぼくは下界で他人の体を借りる、ステイ先は前世のあやまちの大きさで決まる、前世の記憶をとりもどしてあやまちの大きさを自覚すると輪廻のサイクルに復帰できる)
ぼく・プラプラから借りる体は服薬自殺をはかった「小林真」だと言われる
1
臨終して生き返った小林真としてデビュー(ステイ先の家族との対面、喜ぶ両親とにらんでくる兄)
ぼくは病院で母、兄の満、父の様子から真を心から思っている本物のファミリーだと実感する
(遠慮がちな母、無口で「受験、大変だね」と言うとにらみつけた兄、思いの丈を語る父)
真が退院する(主治医から「君はたしかにいちど死んだ・二度と死ぬなよ」と言われる)
ぼく・ごちそうを用意してくれた家族に感動し自分の前世のあやまちは小さいものだったのだと思う
ぼく・真の部屋の場所がわからず止まっているとプラプラが現れて案内される
プラプラは下界ではスーツを着る、敬語を使わないなど変わる
ぼく・プラプラからホストファミリーの正体を聞く(父は利己的、母は不倫)
プラプラが真の自殺の引き金になった出来事を記録から話す
(初恋のひろかが中年のおやじとラブホ、母親がフラメンコ講師とラブホ、父親の会社の社長や上司が検挙されて満と真は父親が落ち込んでいないか心配するが父親は自分が昇進できて喜ぶ)
ぼく・プラプラから兄の満のこと(無神経で意地悪)と真が背の低さを気にしていたことを聞く
ぼく・ホストファミリーの真実を知ってばからしくなる、プラプラから真は中三で受験生だと聞く
2
ぼく・母のご飯を残す、父の言葉を無視、兄を無視するが以前の真がそうだったようで不審がらない
ぼく・学校に行くことにするが真には友達がいないことに気付く
ぼく・プラプラから中年のおやじとラブホに行ったひろかだけが真に話しかけていたことを聞く
ぼく・学校に行く気をなくすがプラプラから花札(唯一の娯楽)の相手をしてやらないと言われ渋々行く
ぼく・出席を普通の声で返事すると、声が明るいと言われクラスメイトから不気味がられ観察される
真の変化に何かがあるとチビ女が言ってくるが、真のガイドブックにチビ女の記憶がない
ぼく・真が熱心に通っていた美術室に行きひろかと会う
ぼく・ひろかの絵の話に賛成できず、チビ女の意見に賛成してしまう
3
チビ女(佐野唱子)がぼくにまとわりつく
ぼく・美術室に通う(家に帰りたくない、ひろかが気になる、絵を描く楽しみ)
ぼく・中間試験が悪く担任の沢田から呼び出され、勉強をしなくていい私立の単願を受けることにする
ぼく・沢田と自殺はもうしないことを話し、沢田が担任だったのは真の幸運だったかもしれないと思う
ぼく・母親に私学の単願を受ける報告、母親に対してひどい言葉をかける
ぼく・家での荒れた心をひろかのことを思って鎮める(ラブホを真の勘違いだと思いたがる)
ぼく・プラプラから再挑戦へのやる気のなさを説教される
ぼく・プラプラに言い返し、生まれ変わっても生まれつく世界は変わらず当たり外れがあることを言う
ぼく・一から他人との関係を作ってくことに不安や恐怖を抱いていることに気付きプラプラと苦笑する
4
真として慣れ始めていたぼくにプラプラが気をぬくなと警告する
ぼく・父から満が医学部を受験するため、公立も受験してくれないかと頼まれる
ぼく・母親に自殺の原因が受験であることを否定し、不倫のことについて言ってしまう
怒るぼくにプラプラが「真は内気でおとなしい」や「前世のぼくは凶悪犯」など決めつけるなと言う
ぼく・プラプラに止められるがひろかを本気でもっと知りたいと思いひろかの家へのガイドを頼む
5
ぼく・中年おやじとラブホに入るひろかを誘拐する
ぼく・ドーナツ屋でひろかから中年おやじは「愛人」でありお金をもらっていることを言われる
ひろかは「今だからこそ価値のある体で今の自分にこそ価値のあるものを手に入れる」ことを堂々と言う
ぼく・中年おやじのもとに行くひろかを止められないが、内心ほっとする
6
ぼく・高熱でふらふらになり公園のベンチに座る
プラプラはぼくが誘惑に負けなかったことを褒め、賢さや臆病さが君を救うと言う
再挑戦の期間は1年が目安
ぼく・公園で暴行にあい財布を取られる
ぼく・スニーカーを取られ反撃するがあっけなくやられる(なつかしいような血のにおいが口に広がる)
満が助け、吐くぼくの背中をさする
7
ぼくの夢(ひろかと中年おやじ、足にスニーカーがない、真じゃないとわかる唱子、母とフラメンコ講師)
ぼく・演歌が聞こえて目を覚ますと実際に父が演歌を歌っている
ぼく・五日間寝たきり(看病する母、あの公園付近は治安が悪い、満からきつい言葉、警察の事情聴取)
五日目に唱子が真の家に来て、真が変わったのはひろかに恋したせいだと話す
ぼく・唱子に真は決めつけられていただけで本当は「ふつうの男」だったことを話す
ぼく・否定する唱子にせまり、唱子は逃げて帰る
プラプラがぼくを怒り、前世のあやまちは色恋ものでないことを言う
ぼく・母親から手紙を渡される
8
母の手紙
(自分は平凡であり自分に適した何かと出会うために習い事を続けてフラメンコとその講師に出会った、真の非凡さを誇りに思っている、唱子に言ったように自分にもぶつけて欲しい)
ぼく・母の手紙を読んでもとりかえしがつかないと悔しくなる(唇をかみしめて血が出る)
ぼく・父を「利己的」と言うと、母はむきになって反論がぼくは話を聞かない
9
ぼく・安い靴屋を教えてもらい早乙女と親しくなる(クラスの好奇の目も減る)
ぼく・早乙女と受験勉強を始め、とりかえしのつかないことだらけだと感じる
ぼく・ステイ先では暗い日々(満が嫌味、公立落ちたら高校浪人になることを言う)
ぼく・受験勉強やひろか、唱子と会いづらいせいで美術室に通わず絵を描いていない
ぼく・父から日曜日に清流での釣り、スケッチに誘われる
10
ぼく・日曜日の朝落ち着かずプラプラに呼びかけても出てこない
(3週間会っておらず、下界の人たちとの変化に不安「ぼくをどこにつれていこうとしてるんだ?」)
ぼくは風景画を描き、父は釣りをするが1匹も釣れない
ぼく・父の母に対する気持ちを言われる(またとないパートナー、チャレンジ精神、バイタリティー)
父が自分のことを真に語る
(父は上司に裏切られ失業・犯罪をする社長を止めようとしてデスクを窓際に移されても出社し続けた・出世して喜んでいたのはまたまともな仕事ができるようになったから)
ぼく・真はとりかえしのつかない誤解を残したまま永遠に死に続けるのだとわかる(孤独を感じる)
11
ぼく・父から過去や社長、上司へのうらみは「真が生き返った日にすべて吹き飛んだ」と聞く
ぼく・父から満のことを聞く(真が生き返ってから医者になりたいと言った、真を私立に行かせてやれ)
満は真の自殺以来、身長のことでからかわなかった
ぼく・満に今年の受験をやめた理由、医者を目指した理由について父から聞いたことを尋ねる(満・否定)
ぼく・満に「十四年間、目が離せなかった弟が自殺した気分を考えろ」と言われる
ぼく・父や満の話を本物の真が聞けないくやしさやホストファミリーをだましている罪悪感で泣く
プラプラが久々に出てくる
12
ぼくの中にあった小林家のイメージの色合いが変わる(いろんな色を秘めている)
ぼく・父と満への気持ちは変化するが母への嫌悪感は残っている
受験についての話し合いをしなくてはならない時期になる
ぼく・三者懇談の紙を渡された時に沢田から真の母とはもう話したと言われる
ぼく・美術室で真とぼくの青い絵を黒で塗りつぶそうとするひろかと会う
ぼく・泣くひろか(自分はへんで狂っている)をなだめる(みんなへんで狂っていて、それがふつう)
「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。」(明確にタイトルが出てくる)
ぼく・ひろかにぜんぜんふつうだと強く言い、死ぬのだけはやめたほうがいいと小声で言う
ひろか・いつもの調子に戻って帰る
ぼく・美術部の顧問の天野先生から「お母さんにたのまれていたアレだ」と封筒を渡される
13
ぼく・封筒に入っていたのは美術を専門的に学べる私立学校の資料で家族から勧められる
ぼく・家族3人の視線を受け、すべてが遅すぎたのではなく真が早まりすぎたのだと真に胸の奥で叫ぶ
ぼく・私立を断る(早乙女の存在)
ぼく・中学でのつまづきやふつうの高校生活をおくりたいことを話す
ぼく・真の代わりであることにこれでいいのかと疑問がわく
新しく指人形を始めたがっている母
ぼく・母への理解と嫌悪感をなくすことはもっと時間があればできるかもしれないと思いある決断をする
ぼく・父も女癖が悪かったことを母から聞く
ぼく・プラプラに家族に本物の真を返す為には二十四時間以内に前世のあやまちを思い出すよう言われる
プラプラがぼくにあやまちを思い出すヒントはいたるところにあると言う
14
ぼく・ヒントを見つけるために念入りに家の中や通学路、授業中の物事を見る
ぼく・早乙女の「ふたりで合格」という言葉にしんみりする
ぼく・早乙女に明日いきなりもとの真に戻っていても見守ってほしいと頼む
早乙女がぼくに幼い頃の話をして明日は今日に続きじゃないと言い、長い目で見てやると言う
ぼく・放課後,学校でヒントを探しまわり、美術室を最後に残す(雷が鳴り雨が降り始める)
落雷の轟音で美術室から悲鳴が聞こえ、ぼくが入ると唱子がいる
ぼくが家までついて帰ると言っても強情に返事をしない唱子
唱子がぼくに対する考えや気持ちを話す
唱子はいじめられていたが泣かず,同じようにいじめられても泣かない真を仲間と思った
唱子は真を目指し自分の世界を手に入れるために美術室に入部した
真からあっちの世界が消えてこっちの世界の子になっていてショックでさびしかった
ぼく・唱子に謝り、真や唱子、ひろかだけでなくだれもが平等に傷ものだと思う
ぼく・「もとの姿に戻っただけ・おめでとう」と唱子に言われおかしな感覚を感じる
ぼく・唱子に描く絵は変わらないと言われた瞬間、ヒントはいたるところにあったと気づく
ぼく・唱子が小林真を救ったと思い、唱子に待ってろと言って屋上まで駆け上る
15
ぼく・屋上でプラプラを待っていると予想通り白いふりふりの傘でプラプラが現れる
ぼくが「ぼくは、自殺した小林真の魂だ」とあやまちを言うとプラプラが「ピンポーン!」とさけんだ
16
自殺以前の十余年間の真の記憶
絵が上手く人気があった小学校中学年まで
絵に対して周りが冷め自分の価値を見失い身長も伸び悩む小学校高学年
喋ると「しらけるんだよなぁ」と言われるようになりいじめられる中一(救いは家族と美術部)
中二でいじめはおさまるがクラスで浮き陰気な絵が増え,中三で原因不明の嘔吐が始まる
明るい絵を描くことにする(暗くて深い海底から海上をめざして進む馬)
ひろか、母、父のことで打ちのめされ自然な心持ちで自殺するが天使が現れる
ぼく・プラプラから再挑戦の成功、再挑戦は自殺者のテスト期間(魂の仮運転)だったことを言われる
ぼく・もういちど生きられることに内心感謝するが素直にプラプラに表現できない
ぼく・プラプラにまた下界でうまくやっていけるかどうか自信がないと言う
プラプラはぼくに長めのホームステイだと思うこと、再挑戦の四カ月を思い出すことを助言する
ぼく・プラプラに帰りを促されカラフルなあの世界でみんなと生きていこうと思う
ぼく・最後のガイドをするプラプラに感謝をぐずぐず述べるとさっさと帰れ(下界モード)と怒られる
ぼく・切なそうにかげるプラプラの目を見て満足する
ぼく・プラプラの指示を聞き、ぼくの世界にもどるため一歩足を踏み出す

『クローズド・ノート』雫井脩介

プロローグ
三月二十三日の日記(お別れ会について・伊吹先生の生徒への気持ち)
「太陽の子通信」最終回三月二十四日配布分(一年間の思い出など)
日記(隆の誕生日について・内容がわからない隆への手紙)
1
香恵のマンションを見上げる隆
香恵が隆に好印象を持つ
香恵の部屋で葉奈とやりとり(二人の性格、香恵が先生を目指していた時もあったこと)
クローゼットの中の伊吹の日記の存在
2
香恵のアルバイト先である今井文具堂について
香恵が父親に万年筆を買ってもらう
アルバイトを始めるきっかけ
加奈子さんから万年筆フェアのお手伝いを誘う
オリジナル万年筆
上手く売れない香恵と売るのが上手い加奈子
万年筆を売るコツ(万年筆に魂を込める)
アパートで出会った無精ひげの男性(隆)に万年筆を香恵が見立てる
無精ひげの男性(隆)が再び万年筆売り場にやって来る
鹿島さんが今井文具堂に来て香恵を食事に誘う
葉菜と香恵との電話
息吹のノートを思い出す
隆がオリジナル万年筆「スイーツ」とその試作品を購入する
3
夏休みが明けてアルバイトに入る回数が減る
マンドリンの定期演奏会で花束をもらう相手がいない
人恋しい(葉奈との連絡が減る・高校の友達と会話できず)
伊吹ノートと一緒に入っていたカードを読む(伊吹が先生であること・人となりがわかる)
葉奈との電話(鹿島のことを気にしている様子の元気のない葉奈)
伊吹のノートを読む(始業式前日と始業式当日、家族と太陽の子)
4
伊吹先生の4〜5月(アピール、忘れ物には厳しく、心の力、同じ意見、長所を見つける)
不登校になった君代の母と伊吹先生との手紙のやりとり
伊吹の手紙を読み、涙を流す香恵
5
隆のことを気にする香恵
香恵が鹿島に告白される
気分転換に伊吹ノートを読む(喘息)
日記に隆との再会が出てくる
伊吹先生のお盆
隆からのメール
隆とグレバリでご飯を食べる
隆が香恵の部屋にあがる
マンドリンで「ともしび」を弾くと隆が少し泣く
「ともしび」からイメージさせた絵の為のモデルを香恵がする
演奏会と花束のことについて隆に告げる
6
演奏会(鹿島の姿は見えるが隆の姿は見えない)
隆が現れず花束ももらえず落ち込む香恵
鹿島から大きな花束を渡される
香恵が心の隙間に鹿島が入り込んでくるのを少し感じる
葉奈から鹿島を諦めることと鹿島のことを真剣に考えて欲しいことを電話で言われる
7
学園祭で本気で餅をつく香恵
美人な女性と歩く隆を見つける
鹿島が学園祭に来るがあまり嫌ではない香恵
隆からの電話(演奏会の謝罪・デジカメのプリント)
可奈子さんから隆も花束を持って来ていてくれたことを知る
伊吹ノートを久々に読む(隆との関係でやきもきする伊吹)
鹿島ではなく隆がいいことを実感する香恵
写真を渡しに隆の部屋に行く
星美から嫌味を言われる
個展のパーティーで「ともしび」を弾く約束を隆とする
鹿島に付き合うことはできないことを告げる
8
伊吹の隆への気持ちに共感する香恵
葉奈から電話がありわだかまりが解け鹿島と元鞘におさまったことを知る
伊吹の日記を見て香恵は隆にお弁当を作ることにする
隆の部屋で一緒にお弁当を食べる(香恵がモデルになった絵を隠す隆→伊吹の絵だから)
伊吹が隆に気持ちをわかりやすく見せる(物語を見せる)ことで隆からの反応が良くなる
伊吹の恋が実ったことに幸せな気分になる香恵
9
友達から部活を辞めて欲しくないと言われ仲間の良さを感じる香恵
隆に積極的に自分のラブストーリーを伝える香恵(思っている人がいることを匂わせる隆)
可奈子に励まされる香恵
冒頭の伊吹の日記と「太陽の子通信」と隆への手紙の書き出し(「隆へ…」)の短縮
伊吹のノートを読み終え伊吹に会いたい気持ちが生まれる香恵
日記を読み終えた翌日に伊吹先生に会いに行く決意をする香恵
若草小学校に行き伊吹が亡くなったことを知る
伊吹の生徒だった絵里と君代に会う
喪失感に襲われ別の女性の肩に手をまわす鹿島に感情を爆発させてしまう
10
心の張りを失い「ともしび」や隆への気持ちが弱くなる香恵
絵のサイン「Ryu」を見て伊吹の日記の「隆」をふと思い出す香恵
伊吹の日記の「隆」と香恵が好きな「隆(石飛)」が同一人物だと気付く
隆のなくなった絵を探し出し絵の中の伊吹を見る香恵
絵を捨てたと思われる星美のことは内緒にして隆・香恵それぞれが伊吹の存在に浸る
パーティーで祝いの言葉が続き星美がプロの演奏家を連れて来る(香恵への嫌がらせ)
隆への祝いの言葉の代わりに伊吹ノートに書かれていた隆への手紙の言葉を贈る
隆が伊吹にとも香恵にともとれるお礼を言う
香恵が「ともしび」を弾くことになりマンドリンを忘れたことに気付く
伊吹の笑顔をもう一度見る

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

P.9
西の魔女が死んだ
まいが授業中に事務のおねえさんに呼ばれる(まい・シリアスとワクワク)
まいのママが校門に車で迎えに来る
まいは西の魔女が倒れたと聞き衝撃を受ける
雨の中向かう車の中でママが泣く
車の中でまいは西の魔女とすごした一ヶ月余りのことを思い出す
p.14
まい・学校へ行かないことをママに宣言する
まい・ママがパパに「扱いにくい子」「生きにくいタイプの子」と話しているのを聞く
まいとおばあちゃんの関係(秘密の合言葉「アイ・ノウ」・喜びと不安)
p.18
まい・ホームシックに備えて使い慣れたマグを持っていく(自分の家でも寂しさを感じる)
おばあちゃんとまい、ママの再会(おばあちゃんはにやりと笑う)
おばあちゃんの家の様子
ママがまいのことを話すとおばあちゃんがまいへの愛情を力強い声で言う
まい・サンルームの雑草の花を愛らしく感じる
サンドウィッチ作り
まい・荷物を出しに車へ行くと見知らぬ男(ゲンジ)に怒鳴られる
おばあちゃんがゲンジさんの説明をする(ゲンジをかばうような発言)
まいの部屋を昔のママの部屋に決める
(人に見せたくないものは誰にでもありそれを隠しにママは片付けに行ったとおばあちゃんは言う)
おばあちゃんが煙草を吸う(まいは気にならない)
おじいちゃんの写真(おじいちゃんはもう死んでいる)
まいは自分が生まれるに至ったこと(おばあちゃんが日本に来なければ…)について不思議に感じる
まいはおばあちゃんが日本に来た理由を聞く
ママが自分の荷物を段ボールに詰め終わり二階から降りてくる
ママがおばあちゃんの家を出発する(まい・言葉を交わさない)
まい・目が覚めてホームシックに襲われる
まい・おばあちゃんにホームシックを見抜かれたように感じる(ママに電話するのは最後の切り札)
まい・裏山を散歩し野いちごの群生を見つける
まい・「エスケープ」と声に出しいつかは狭い教室の世界に戻ることを思い、泣きたいような気持になる
まいとおばあちゃんは野いちごを摘む
まい・おばあちゃんがおじいちゃんを失ったつらさを思う
(まい・本当にはどういうことなのか、少しもわかっていなかったんだと、後になって思う)
おばあちゃんが初めて野いちごのルビーの絨毯を見た時(おじいちゃんからの誕生日プレゼント)
まいとおばあちゃんのジャム作り
(まい・来年もその次も手伝いにくると言うがおばあちゃんは笑って何も言わない)
p.48
ジャムの色と味
p.49
ジャムのラベル作り(まい・おばあちゃんに自慢の孫だと言われ照れる)
おばあちゃんがまいにエプロンを作る(まい・「大好き」、おばあちゃん「アイ・ノウ」)
おばあちゃんがまいに魔女を知っているか尋ね、祖父と祖母の話をする(祖母の予知能力で祖父が助かる)
おばあちゃんはまいに何が幸せかは人にとって違う、無視されるのも注目されているってことだと言う
p.59
まい・漆黒の海で泳ぐ中「西へ」と聞こえる夢を見る(おばあちゃんの祖母が祖父を助けた話と類似)
p.60
まいはおばあちゃんから植物の名前(にんにく)を教わる
まいは裏山の丘の下の場所を気に入り「わたしはここが好きだ」と呟く
まい・自分に魔女の血が流れていることでスムーズに生きられるようになるのではないかときうきする
まいは超能力を持つ為(魔女になる為)に基礎トレーニングを始めることにする
(おばあちゃん・「いちばん大切なのは意志の力。自分で決め、やり遂げる力」)
おばあちゃんがよく眠れるおまじない(たまねぎを吊るす)をまいにする
p.76
まい・生みたての卵を取りに行き「扱いにくい子」と無意識に口にする
まいはおばあちゃんの動作をいつか役に立つために注意深く見守る(心の底から好きになり始めていた)
まい・ゴミ置き場で女の裸が表紙の本を見つけ、犬に吠えられ、ゲンジに対して嫌悪と憤りを感じる
まい・おばあちゃんと洗濯物を足で踏んで洗う
まい・裏山のお気に入りの場所に行く
p.85
まい・おばあちゃんから好きな場所での畑作りをプレゼントされる
まい・密かに決めたことをする(皿洗いと水やり)
おばあちゃんがミントティーとセージティーを準備する
まい・おばあちゃんからクサノオウの毒を教わる
まい・おばあちゃんのようににやりとする
まい・おばあちゃんを気に入りの場所に連れて行き畑にできない代わりに植えるものを教わる
(「おばあちゃん大好き」、「アイ・ノウ」)
まい・後に法律的にもお気に入りの場所をまいの土地にしてくれたと知り、山開発から救うことになった
p.95
魔女の心得講座(「自分で決める」ことに尽きる、マグを細部まで思い描く)
まい・おばあちゃんからずっと一緒に暮らすことを提案されるが断ってしまう
おばあちゃんの妹
おばあちゃんは一つだけいつ起きるかを分かっていることがある(二年後まいにも分かる時がくる)
p.103
まいが鶏小屋に行くと鶏が何かの動物に殺されている
まい・家の掃除をする
まい・お気に入りの場所へ行こうとすると金網に薄茶色の毛の塊を見つける
お気に入りの場所で気味悪い体験をする(植物のざわめき)
p.111
まい・おばあちゃんと一緒に寝て気味悪い出来事を話す(聞きたいと願った声以外は無視するべき)
まいはおばあちゃんに死ぬとどうなるかについて尋ねる
まいはパパから聞いた話(死んだら最後の最後、自分はなくなる、皆は普通の生活)をして泣く
まいはおばあちゃんの話(死ぬというのは魂が身体から離れて自由になること)を聞く
p.121
まい・いつものように卵を採るボウルをとる
おばあちゃんがおじいちゃんにおかゆを初めて作り砂糖を入れた話をする
まい・蟹の夢の話(魂が身体を離れる時の気持ち)をおばあちゃんにする
おばあちゃんはまいに、死んだら魂が身体から離れた証拠を見せる約束をする(にやり)
p.125
ママからの電話(一週間後にパパが来ること)
まい・サンルームの雑草をヒメワスレナグサと呼ぶことに決める
ゲンジが鶏小屋の修理にやって来て、会わないようにしていたまいは喘息が始まり昼寝する
p.132
まい・何かの声を聞きたいと願うことがあるのかと思う
まい・ゲンジのところへお金を持っていく
まい・ゲンジの庭の薄茶色の毛の吹きだまりを見て鶏を襲ったのはゲンジの犬と思う
まいはおばあちゃんから直観に取りつかれてはいけないことを言われる
p.141
パパが来て、持ってきたお土産を見てまいはおばあちゃんのことをわかっていないと思う
まい・パパから三人一緒に住む話(ママは仕事をやめ、まいは転校)をされるがすぐには決められない
まいとパパとのドライブ(ママがおばあちゃんに反発、人が死んだ話を忘れて流行りのせいにするパパ)
p.153
パパがまいにおじいちゃんとの思い出を話す(石のことを教えてくれたこと、おじいちゃんが大好き)
まいはおばあちゃんに女子のグループやそれが嫌になったことについて話す
まいは自分の弱さやおばあちゃんにうまく誘導されている気がすることをおばあちゃんに言う
p.163
まいはパパに一緒に暮らし新しい学校に行くことを話す
雨になりそうとおばあちゃんが呟く
p.
まい・くわを持ったゲンジと会い急いで家に帰る
ゲンジを死んだらいいと言ったまいの頬をおばあちゃんが打つ
まいはおばあちゃんに声をかけられ晩御飯を食べる(おばあちゃんも動揺することもあるとにやりと笑う)
p.173
まいはお気に入りの場所ではなく小道の奥に行き、空中に咲く蓮の花や穴の中で銀色の花を見つける
まいはおばあちゃんから銀龍草(おじいちゃんが好きだった鉱物の精)と朴の木を教わる
まいは銀龍草(鉱物の精)がおじいちゃんからのプレゼントに思え、不思議な存在感を感じる
p.178
ママがおばあちゃんに、私は私の人生を生きる、生き方を押しつけることはできないと言う
まいはおばあちゃんの言葉が寂しく聞こえ、いたたまれなくなる
まいがおばあちゃんの家を去る
(言ってほしいのに気付くが、まいは頬を打たれた日以来「おばあちゃん、大好き」と言えずに去る)
p.181
二年たち、まいは新しい友達(ショウコ)もでき毎日学校に通う
まいはおばあちゃんのことを思うと胸が痛む
(感情の「流出」だったこと、おばあちゃんも魔女である前に人間であることなどを考える)
まいは別れ方が残酷だったのではないかと思い、今度会ったらおばあちゃんに全部話そうと決める
おばあちゃんを喜ばすためにまいはあらゆることに粘り強く取り組む(ショウコは尊敬)
まいは一度もおばあちゃんの家に行かなかった
p.184
まいは二年間の間、「あの場所(お気に入りの場所)」をほぼ忘れていたことに後ろめたくなる
先にゲンジがおばあちゃんの家にいる
ママがおばあちゃんにかけられた白い布をとる
まいは後悔で胸が締めつけられ、ママの泣き声が聞こえてくる
まいはゲンジから銀龍草を渡される(ゲンジは泣いている)
まいは水をあげていたヒメワスレナグサがキュウリ草だとゲンジから聞く(まい・嫌悪感ない)
まい・銀龍草をおじいちゃんの写真の前に飾り、ヒメワスレナグサに水をやる
汚れたガラスにおばあちゃんのメッセージを見つける(死んだら魂が身体から離れた証拠を見せる約束)
まいはおばあちゃんの愛と、死んだという事実を実感する
まいは「おばあちゃん大好き」と叫んで泣き、おばあちゃんの「アイ・ノウ」を聞く

『ふたたび』矢城潤一

[閉じた部屋から]
その女性はゴミ袋を持って立っている
木島大翔は徹夜明けで女性を見ている
女性が素早く道路を横断してゴミを集積場に捨てる
大翔は女性の一連の動きに引き込まれ、缶蹴りを思い出す(大翔にとって小学校当時、一番好きな遊び)大翔はゲームをクリアできずに八つ当たりしたはずみで窓の黒紙がはずれ女性を見る(三ヶ月ぶりの景色)
大翔は自分を缶蹴りの奴隷のように感じる
大翔の部屋で学生服が不安げに佇む大翔自身の影のように見える
大翔は高二の三学期の始業式から半年近く不登校
不登校当初、大翔は自分に失望し、親からの期待を理解していたため申し訳なく思う
大翔の父について(父は事故死、母は出産後死、努力で小料理屋を経営)
大翔の母について(父は生きている、家出当然)
親の期待に応えて優秀だった大翔初めての挫折は高校受験失敗(高校では帰宅部)
不登校の理由は大学受験のプレッシャーになったが大翔は思い当たる節がない
大翔に対し父は怒鳴り散らし、母は腫れ物に触るよう
言い争う両親に大翔は怒鳴った
大翔・期待していたカウンセラーに裏切られる
父も母も大翔に対し学校に行けと言わなくなる
大翔にとって両親の生き方は魅力的でない
大翔は不登校の間に不安を感じる前に思考を停止させることを獲得する
大翔・ゴミを捨てる女性の姿が浮かび安らぎを感じて眠る
大翔にとって一日をどう過ごすか考えるのが一番苦痛(意味のない一日で自己嫌悪になる悪循環)
母からのなんてことはない言葉に大翔はムッとしてしまう(窓の黒紙について)
母が大翔に「明日、お父さんがなにか話がある」と告げる
大翔のブログはネタ切れ
(プロフィール写真の人型サボテン→外はトゲトゲ中はカラカラ、自分の分身のよう、サボテン男)
[ゴミを出す女]
大翔・ゲームをクリアし小さくガッツポーズ
ゴミだし女の全体的な印象(アンバランス)
大翔はゴミ出し女のことをもっと知りたいと思う
大翔・ゴミだし女の出勤姿を見逃し、父から話があることを思い出し憂鬱になる
父の話(実はお爺ちゃんは生きている、ハンセン病だった、同居する、父も祖母の死の直前に知った)
お爺ちゃん(健三郎)は同居をずっと拒否していたが突然前向きになった
大翔は同居は絶対に嫌だと言う
大翔・ハンセン病について調べ健三郎に対する負の妄想が膨らむ
大翔・「ゴミ子観察日記」をブログで書くことにする
大翔・ゴミ子の出勤姿を初めて見てブログに打ち込む
大翔・ゴミ子にゴミだらけの押し入れに入れられる夢を見る
大翔は母からの電話にイラつくが、不登校の後ろめたさから少し解放される夏休みの近付きを感じる
[めぐる日]
大翔のゴミ子についてのブログ
大翔のブログはコメントもつくようになった
大翔によるゴミ子の生活(土日出勤、月休み、休みの日外出しない、部屋は足の踏み場もない)
おじいちゃんが一時帰省することになる
大翔・納戸から音楽に関する物が入った革の鞄を見つけ、写真に健三郎が写っているかもしれないと思う
大翔は母親の同居に賛成した理由を本心と思えない
[招かれざるもの]
大翔はゴミ子のゴミ出しの動画をアップする
大翔・ゴミ子の後ろをつけアパートの前で張り込む男を見つけストーカーかもしれないと思う
大翔は男のことはブログには書かなかった
ゴミ子動画は好評
大翔は父からおじいちゃんについて聞く(菌はない、杖がいる、少し心臓が悪いが本人は知られたくない)
ゴミ子が小走りに後ろを気にしながら帰ってくるが不審な人物がつけてくる様子はない
大翔はハンセン病の補償金について知り母が同居を受け入れた理由はお金だと思う
健三郎が家に来て、大翔は両親以外の人と久しぶりに話す
大翔は、健三郎から特異な感じを受けなかった
イラつきが続く大翔はキャップを被って外出する
大翔がコンビニで群れて遊ぶことにできない人だと感じた女性はゴミ子だった
リトルリーグで一緒だった金髪の菅山に声をかけられゴミ子を見失う
大翔は菅山が肩の故障で野球をできなくなったことを考え納得がいかない
大翔はゴミ子が男ともめているのを見て助けようするが、ゴミ子も男が逃げた方向に駆けていった
大翔はゴミ子の落した少女漫画を拾い、誰からもかかってこない携帯が役立ったことに笑いがこみ上げる
大翔はゴミ子との関わりを考えるが何もできないと思い、野球の夢を見る
[見えない関係]
大翔・ゴミ子が出勤したが気になるがカーテンで見えない
大翔は無防備に一階に降り健三郎がいてドキッとする
健三郎は何年も隔離されてきた人間には見えない
大翔・図書館の場所を聞いてきた健三郎に抗えない不思議な重さを感じ、情けなくなり腹が立つ
健三郎は図書館への地図を書いてもらい喜ぶ
大翔・健三郎から金をもらう(逆らえない)
大翔・健三郎に遺伝子の繋がりを感じるが嫌ではない
ゴミ子の動画が投稿サイトに流用されて後悔し、注意のメッセージをブログに載せる
母親の健三郎に対する差別的な言葉に対し大翔は怒る
大翔・暑さのあまりうるさいクーラーをつける
大翔のブログが反論と中傷のコメントで炎上し、ブログを閉鎖する
大翔・健三郎が畳んだ服を見て五十五年一人で生きることについて想像し怖くなる
遠くからトランペットが物悲しく響いていた
[失うこと]
大翔・健三郎に折り合いをつけ始める
健三郎が何の目的で行くのか不明だが図書館に通う
大翔の地域の花火大会がなくなる
大翔・花火について考えゴミ子が浮かぶ
健三郎がトランペットを吹いている
納戸の革の鞄は健三郎のだった
健三郎はジャズ研に属しており、写真を見て寂しそうにする
母も父も出かけ家に大翔と健三郎の二人
パソコンの調子が悪いが買い換えるお金がない
健三郎が大翔に一緒に小田原について来てくれと頼む
大翔は電車での発作を気にするが健三郎に三万円もらい行くことにする
大翔は着替えひげを剃る
父親(建男)の店
店の経営のことで父と母の言い争いが絶えない
大翔・健三郎に補償金のことをかまかける
大翔・自分たちの世代は何かが無くなっていく時代で忘れることぐらいしかできないと思う
大翔・電車で発作出ない
健三郎の顔を見ないようにする親、と凝視する子
小田原に行くのは百合子(大翔のお婆ちゃん)の墓参りのため
大翔・小田原に着き電車に乗れた達成感を味わう
地図を準備し、百合の花束を愛おしそうに抱きしめる健三郎
健三郎は百合子の墓参りは初めて
大翔・療養所でも外出できたのになぜ五十年以上経ってから墓参りに来たのか不思議に思う
野田家の墓に百合子は入っていない
ハンセン病の人の子をみごもり勘当されたのではと健三郎は言う
[探す旅]
タクシーの運転手の表情でハンセン病の差別的な扱いの一端を見る
健三郎が家には帰らず静岡の富士宮に行くと言い大翔は負ける
大翔・電車での弁当をおいしく感じ身体の感覚が蘇生していく感じがする
大翔・健三郎から「ありがとう」と言われ心に染みる
吉川辰夫に会いに行く
吉川は痴呆が始まっている
クール・ジャズ・クインテットの写真を見せると吉川は思い出すが興奮状態になる
大翔・五十五年の残酷さを感じる
写真のピアノが百合子
母親からの電話にイラつく
健三郎は泊まって横須賀のマサルに会うと言う、由紀夫の居場所はわからない
健三郎は施設にいた間一歩も外に出なかった
健三郎は建男に頼まれて家に来たと言うが、大翔は理由はそれだけでないと思う
悪い足を隠す健三郎の繊細な一面
朝、健三郎の目に涙が光っているのを見て大翔は寝たふりをする
横須賀に着き、健三郎と大翔はシャツを買う(大翔・ありがとうと言う)
ハンバーガー屋で派手シャツ老人と高校生は奇異な目で見られ大翔は少し後悔する
健三郎はマサル(渋沢勝)と再会し、二人は泣いているようだった
大翔・二人を見て羨ましく感じる(友達は作るものだった、悪口を聞いてしまい消極的になった)
健三郎は深刻な顔つきになって、大翔はマサルとどんな話をしたのか気になる
健三郎の様子からなにか重大なことを聞かされたと思う
健三郎、初めて弱音を吐く
健三郎・百合子のことを懐かしそうに話す
健三郎の言葉(俺と会わなければ百合子は幸せだった)に大翔は言い返し(そうだと俺は産まれていない)、             
                                        健三郎は謝る
母親が暖簾を慌ててしまうのに違和感を感じ怒鳴り、お金のことを言う
大翔・健三郎に怒られ何も言い返せない
お墓の場所を父親は知っているのかわからない
[途切れた糸]
大翔・自分の部屋が落ち着く
ゴミ子が帰ってこない
健三郎が夕食を食べずに眠っている
ゴミ子が夜中になっても帰ってこず負の妄想が駆け巡る
大翔・オンラインゲームをするが面白くなくなる
ゴミ子が落とした漫画を見ると過激な内容
ゴミ出しの時間にも出勤の時間にもゴミ子は現れない
健三郎が眩暈がしたため父親と母親が慌てる
建男が百合子の墓は知らないと言い、むきになるのを大翔は不思議に思う
健三郎は佳子(大翔の母)の好意を無にしないためリンゴを食べさせてもらっていた
建男は百合子のことを恨んでいたと聞き、大翔は父親の態度に納得
健三郎と百合子について(らい予防法により隔離、悲惨、百合子の妊娠出産と死)
健三郎が外に出なかったのは百合子に対する贖罪
大翔・ゴミ子を三日見ておらず、病気を心配してアパートに見に行く
新聞受けから部屋の中を見て驚く大翔
ゴミ子は引っ越していた
大翔は抜け殻のよう、何もやる気が起きない
[かげろう]
大翔・健三郎から本の返却とハンバーガーを買ってくることを頼まれる
大翔・女子中学生に追い抜かれ、歳をとった気がする
図書館で受験勉強をしている高校生を見て後ろめたく感じる
受付の女性を見て、大翔は自分の時間が停止する
その女性はゴミ子
ゴミ子は健三郎と親しく、大翔のことも聞いていた
大翔はゴミ子と一緒にお墓探しをする約束をする
大翔・気分が舞い上がりオバチャリを抜き去る
ゴミ子は健三郎のお気に入り
健三郎にゴミ子のような人を嫁にもらえと言われ一生ついていこうと決める
親以外からのメール(ゴミ子)
一緒に小田原に行く約束をする
ゴミ子は気さくで自分のことを色々話す
小田原の住職から無理やり野田家の住所を聞く
野田家の住所はマンションになっており、野田家に縁のある人もいなかった
大翔はゴミ子と出会えたようにどちらかが想っていればお墓も探し出せると思うことにする
大翔は図書館で本を読みながらゴミ子を観察する
健三郎と共に図書館へ行く
健三郎は大翔にこれからどこへでも行けると羨ましがる
大翔・ペルーの写真を見てゴミ子と行けたらどんなに刺激的かと思う
写真集に百合子らしき人が写っている
写真は六一年で百合子は死んでいるはず
確かめに行くために健三郎と大翔は横浜のジャズクラブに向かう
大翔・電車で健三郎に席を譲った女子中学生を見て、自分が始めて席を譲った時のことを思い出す
ゴミ子も合流し、何かが変わる期待感と緊張感で大翔の胸は高鳴る
[過去の真実]
横浜のジャズクラブに着く
ジャズクラブのオーナーから百合子が写っているのはムーン・パレスというクラブだと聞く
写真の人は百合子かわからなかったが、バンド名はB.F.Sだとわかる
ゴミ子が健三郎はハンセン病患者だったと知り大翔は事前に話すべきだったと後悔する
ゴミ子はハンセン病患者の療養所でボランティアをしたこともあった
大翔はゴミ子の優しさの原点を見た気がして感動する
健三郎が心臓の発作を起こし病院に運ばれる
病院にかけつけた建男が婆ちゃんのことを調べたことを責め、ゴミ子に金輪際関わらないで欲しいと言う
大翔は傷ついているゴミ子の手を握って助けようとする
大翔はゴミ子を家まで送る
ストーカー男が待ち伏せしており、大翔がゴミ子の動画を撮ったのだとゴミ子にバレる
ストーカー男はゴミ子の元カレ
大翔・ストーカー男に掴みかかるが投げ飛ばされる
[ゆくえ]
大翔・ゴミ子に連絡を取れないでいる
大翔はゴミ子の動画を見てあのやり方でしかゴミを出すことのできない理由がある気がする(悲しい顔も)
大翔はゴミ子に会いに行き謝る
ゴミ子は大翔のブログを見てラブレターに感じ許す
ストーカー男(牧野)はゴミ子の元カレで、流産し精神科に通っていた、早朝のゴミ出しも牧野のせい
大翔はゴミ子を抱きしめてキスをしようとするが拒否される
大翔・ゴミ子を守るためには変わらなくてはと思うが逃げることをやめるにはまだ何かが足りないと思う
「ドラムの安川」と「B.F.S」を手掛かりに探すがわからない、安川は生きているかすらわからない
ゴミ子から新事実判明というメールが大翔に届く
大翔は写真集『楽園』を見ながらゴミ子を待つ
大翔・ゴミ子を見ていつもと違う印象がする
ゴミ子の印象が違ったのは化粧をしていたから
新事実1つ目はB.F.Sのデータ、第四期のメンバーにリリー=百合子、健三郎のバンドにいたユキオ
新事実2つ目はリーダーの安川は現在は吉祥寺のライブハウスをしている
ゴミ子は大翔に障害(建男)があるほど関係は深まると言う
大翔・安川のライブハウスにゴミ子と行き、いい雰囲気かもと盛り上がる
大翔はバンドを見てあんな大人にならなってもいいと思う
安川からリリーは野田百合子だと聞き、お婆ちゃんは建男を産んですぐには死んでいなかったとわかる
由紀夫が親身になってボロボロな状態の百合子の世話をしていた、百合子は音に癒されていた
由紀夫と百合子は沖縄に留まって結婚したと聞き、大翔とゴミ子は複雑
[迷い道]
健三郎はゴミ子に建男がきつい言葉を浴びせたことを謝りに行こうとする
健三郎は百合子が生きていたことを知り明らかに動揺する
百合子が由紀夫と結婚したことを聞き、百合子が幸せならそれでいいと言い、ゴミ子に会いに行くのをやめる
大翔はゴミ子にメールすると、そっとしておいてあげるのがいいのかもしれないという結論になる
大翔・眠れない健三郎を見て、百合子が生きていた事実と折り合いをつけているのかもしれないと思う
翌朝、ゴミ子のところに行くという健三郎に大翔もついていくことにする
図書館に行く途中に健三郎はひまわりを買い、大翔は贈る人に合わせて花束を選ぶ心遣いに感動する
ゴミ子は実家の不幸で休んでいた
健三郎の自分のことをおいて人のことを考えることこそが強さなのかもしれないと大翔は思う
健三郎が療養所に戻る
大翔・健三郎にお前はもう大丈夫だと言われ窓の黒紙を剥がそうとするが何もできない
以前の大翔に戻ってしまったような日々、ゴミ子に連絡もつかない
村川という人から家に電話がかかってき、大翔のことを知っているようだったが誰かわからない
大翔・図書館で受験生を見て後ろめたさを感じず元気づけられ、自分のやるべき何かがある気がする
大翔・自分のためにばあちゃんを探そうと決心するとエネルギーが湧き出てくる
建男が慌てた様子で出かけて行き、大翔は電話が関係していると思い、来た道を戻る
電話の主の村川は沖縄に住んでいると聞き、大翔はなにか予感のようなものを感じる
村川は由紀夫
ゴミ子から大翔に電話があり、ゴミ子は沖縄で百合子を見つけたが病気で今日か明日がヤマ
[楽園へ]
大翔はサボテン柄のアロハシャツを掴んで部屋を出る
大翔は療養所に行き、健三郎が入所者同士で結婚しなかったのも贖罪の一環だったと思う
大翔・健三郎に罪滅ぼしは十分だと言うと、沖縄に行くと言う
健三郎はトランペットのケースを持っていく
いざ飛行機が飛び立つと初めて飛行機に乗る大翔と健三郎は不安になる
上空からの景色に大翔と健三郎は感動する(大翔、富士山を見て嬉しくなる)
大翔・沖縄でゴミ子と再会し、安堵して改めてゴミ子のことが好きだと確信する
ゴミ子は必死で何かに耐えているようで、かなり緊迫した状況なのが読み取れた
大翔・ゴミ子が運転できることが意外
夕方に建男が来て百合子に付き添っている
ゴミ子は百合子と話をしてすごく素敵な方だと思った
実家の不幸も百合子に会うために図書館を休む口実
百合子のいる家につき、健三郎は厳しい表情
振り返った建男の顔は涙でグシャグシャで、大翔は婆ちゃんが死んでしまったと悟る
由紀夫が健三郎に「少し遅かった…」と言い泣き崩れ、健三郎は頭を下げる
大翔・百合子に不思議な親近感を覚える
健三郎は必死に哀しみを耐えているようだった
百合子の最後の言葉を聞き健三郎は泣く
建男は百合子が健三郎を待っていたことなど何も知らず生きていることを黙っていた
大翔もゴミ子も泣いている
大翔・健三郎と百合子の二人の姿は印象的だった
ゴミ子が葬儀の作業を引き受けてくれ、大翔は他人のための行動力に驚く
大翔はもう少し早く会えていたらと悔しくて泣き、ゴミ子が抱きしめる
火葬場では健三郎や建男も送り出す覚悟ができているようだった、ゴミ子は嗚咽を漏らした
由紀夫と百合子は結婚しておらず、百合子は健三郎をずっと想い続けていた
由紀夫は建男は養子に出されたと百合子に嘘をついた
三年後、ボロボロの百合子と再会し由紀夫はB.F.Sに引き入れて面倒を見続けた
沖縄で元気になった百合子に由紀夫は一度だけプロポーズをしたが、百合子は健三郎を想い続けていた
由紀夫も百合子を騙したことに対する贖罪のための人生を送っていた
百合子は今更母親だとは名乗れず、建男は捨てられたと思っていた
由紀夫は建男が施設に預けられた時から見守っていた
建男は百合子が生きていて他の男と結婚しているとは言えず、大翔に教えられなかった
建男は一度沖縄に来たが由紀夫と幸せそうに暮らす百合子を見て会わずに帰ってきていた
大翔は運命の悪戯と少しの勇気がなかっただけでお互いの人生が狂ってしまったのだと思う
健三郎と由紀夫がトランペットとサックスを吹く
百合子の遺言で骨を海に撒き、大翔は健三郎を想い続けた百合子は幸せだったのではと思う
大翔はゴミ子に告白し、ゴミ子は大翔が少し大人になったかもと言う(手を握り合う)
大翔がサボテン柄のアロハシャツを着るとゴミ子は意外と似合うと言う
飛行機から沖縄を見て写真集『楽園』で見たのと同じ海が広がり、楽園だったんだと思う
大翔・東京に帰ったら窓の黒紙を剥がそうと思う
大翔がゴミ子にサボテン男の意味を言うと、「サボテンの中は実は瑞々しい」と大翔に笑顔を向けた

『変身』東野圭吾

[堂元ノート1]3.10
手術が無事成功しホストの覚醒が待ち遠しくもあり不安(ドナーが誰なのかは秘密にされている)
1
「僕」の覚醒
[堂元ノート2]3.30 覚醒について(ホスト=僕)
2
「僕」が夢の中で子どもの頃コオロギを取りに行った記憶を見る(「僕」が友達から疎まれている)
目が覚めるが自分が誰かわからない
再び子どもの頃の野球の記憶(自分の名前は「純一」、メグという女性)
頭を銃で撃たれ最新の医学で助かったことを知る
3
「僕」=成瀬純一の職業や性格
頭を打たれた経緯(不動産屋で強盗が入り小さい女の子を助けようとして打たれる)
4
純一の療養期間の橘との会話(手術の重大性や特異性を匂わせる)
5
純一の気が弱い性格(父と母のやりとり、父母が亡くなる)
脳機能回復のテスト
恋人・恵へ手紙を送る為の写真撮影
恵との出会いや付き合った経緯
[堂元ノート3]4.11テスト・写真の選択・手紙すべてが分析対象であること
6
純一・感性や好みが変わってしまった感覚や自分の顔が自分だとわからない感覚になる
純一・自分の脳の肉片を発見し今自分の脳には別の人物の脳が入っていることに勘付く
7
堂元から純一に脳移植がされたことを説明される
ドナーは交通事故で亡くなった関谷時雄二十二歳であると教えられる
8
純一・恵との再会
純一・恵から「何だか頼もしくなったみたい」と意外なことを言われる
9
純一・面会にきた同期の葛西三郎に会社を変えたい意思を表す(葛西・別人と話しているみたいだと言う)
純一・警察の倉田から事件について聞かれる
純一・警察に犯人について聞く(京極瞬介・父親と世間への復讐のための犯行・屋上で無気味に笑って自殺)
[倉田謙三のメモ 1]5.18純一に快活な印象を受ける(職場等の無口・人見知りという人物評価との違い)
10
純一・得体のしれないものに怯えている自分を感じる
恵が純一のスケッチのタッチが変わった(線が硬質になったなど)ことに気付き純一も自覚する
純一・堂元がスケッチに対して悲しげな表情を見せたことを思い出す
恵が純一に対して再度「頼もしくなった」と言う
[堂元ノート 4]6.16心理・性格テストの結果に異常があることを匂わせる
右脳が損傷した画家の症状(左半側空間無視と直接的画風のうち後者)が出ていること
11
純一・橘を魅力的な女性だと感じる
治療費を払ってくれた嵯峨(純一が助けた少女の父親で弁護士)と会う
12
純一・久しぶりに帰ってきた部屋を初めて見た気分になる
純一・自分の描いていた絵が悪く見える
恵が純一の脳が一部別の人のものであることで別人になるのではないかという不安を少し抱く(純一も)
純一・隣人の臼井からも「前よりも男らしい感じだ」と言われる
純一・恵にソバカスがなければいいのにと思ってしまう(その考えを忘れたがる)
[葉村恵の日記]6.19妄想が現実にならないように祈る(純一が別人になるという妄想であると読者にはわかる)
13
純一・脳の一部が変わっていることによって心も撃たれる前と同一なのか不安になる
純一・出勤し葛西に対して作業者たちの意欲がないことについて苦言する
純一・絵の本ではなく初めて仕事に関する本を購入する
純一・恵を見てもイメージがわかず絵が描けない
純一・隣室の音が気になり壁にコップを投げつけた自分をどうして馬鹿なことをしてしまったのかと感じる
[葉村恵の日記 2]6.21純一の味覚が変わった。神様に「ジュンを奪わないで」と祈る
14
純一・難しい仕事に取り組んだり研究報告書を提出する
純一・他人に対する評価が以前と変わる
純一・宴会で先輩・酒井に暴言を吐く。お酒が今までになく旨く感じる
15
純一・葛西から酔った時のことを聞く(全員を否定することを言い、酒井に暴力をふるったこと)
純一・班長からも「変わった」と言われる
16
純一・恵とのデートや楽しみにしていた映画が楽しく感じない
隣人・臼井に憎悪を抱き無意識に果物ナイフを握りドアを出ようとする(恵の電話で我に返る)
純一・お気に入りのビデオを見る実験をするが、どれも面白く感じず以前の自分ではなくなっていること確信する
17
純一・橘の輝きが増したように感じる
純一・堂元に変化を訴えるが否定される
純一・堂元がいない間にドナーについての電話番号や住所を写す
[堂元ノート 5]7.1純一の人格の変化は明白である。純一は変身途中である
18
純一・自分を取り戻すきっかけにカンバスに向かう(苦痛に感じる)
純一・脳や精神に関する本から「変化」という言葉に着目する
恵が純一の部屋に来る
純一の描いた絵が左半分が欠けている(10の左側空間無視の症状だと読者にはわかる)
純一・恵の話が面白く感じずいらつき握っていたコップが割れる
純一・「俺は異常だ」とわざと口に出してみて「俺」と無意識に言ったことに不安を感じる(いつもは「僕」)
純一・恵を愛する気持ちが消えていくことを自覚する
[葉村恵の日記 3]7.5純一が変わっていくことに対し焦る気持ち
19
純一・ドナーであるはずの関谷時雄の父親に会いに行くがインスピレーションを感じない
純一・時雄に関する質問を父親にするが自分の変化した性格との一致が見られない
時雄の父親と純一は「時雄の脳は生きている」と結論付ける
純一・時雄の父親からもテレパシーを感じないと言われ純一自身も何かが違うと感じる
20
純一・橘に対して魅力を感じる(外国女優に似ていると思うが誰か思い出せない)
純一・橘に人を殺しかけたこと(16)やドナーに会いに行き脳は関谷時雄ではないものの考えを告げる(橘驚く)
純一・以前した聴覚テストのようなものの難易度が変わったと若生助手に言う(若生煮え切らない表情)
心理学者・光国教授にインタビュー(テスト)(自由連想)を受ける
(自分をいじめていたガモウ・好きだった高沢征子に乱暴し自殺未遂に追い込んだバスケ部の男・メーカーと癒着し報告書を消した工場長(14,15とかぶる)の首をしめて燃やす夢のようなものを見る
新聞紙→鼠→バスケ部の男→ガモウ→工場長と燃やす)
純一・目を覚ますが夢の内容を思い出せない(ガムテープが置いてあることに疑問を持つ)
純一・手と足に粘着のあとと肘に切り傷があることに気づく(自分が暴れてガムテープで固定されたことを悟る)
[堂元ノート 6]7.7
ドナーの精神パターンが純一を支配しつつあり純一の潜在意識と『共鳴効果』を生み出している
純一の音感レベルが非常に向上していることがドナーの影響を顕著に物語っている
(読者はドナーと音感の関係はまだわからない)
21
純一・職場で孤立しているが故に班長に異動を命じられる
純一・手術前は音楽に興味がなかったがバーで男が弾くピアノの音に酔いしれる
ピアノの横でうるさく喋る男女にきれて男を燃やそうとする(ピアノを弾いていた男に止められる)
男を執拗に追いかけて燃やそうとするが警察に止められる(鼠を焼くシーンや臭いが脳裏に思い出される)
22
純一・警察の長椅子で自分は二重人格ではないことや元の人格が消えていっていることを考える
警察署に連れて行かれた純一を嵯峨道彦(助けた少女の父親)が迎えに来る(刑事と嵯峨が知り合いである)
純一・嵯峨から恵と共に食事に行くことを誘われる
純一の部屋に橘が来て「堂元の本心を調べるかわりに純一に定期検査は今まで通りに来ること」を提案する
(純一・橘の肌が綺麗だと言ったり下の名前「直子」をいい名前だと言い、橘に好意を示す)
(純一・橘が「ジャクリーン・ビセット」に似ていると思いだす)
23
純一・部屋に来た恵を橘と比較してしまい、吠える犬を「殺してしまえいい」と言う(恵は何も言わない)
実家に帰ることにした恵が純一に腕枕をされながら泣く(純一はもとの純一らしい言葉で恵を引き留めるが迷う)
純一・恵を見送りながら頭痛、吐き気、めまいに襲われる
[葉村恵の日記 4]7.14純一の変化が単なる心変わりではないことをわかりながら怖くて逃げ出した
引き返す勇気はないがあたしのジュンを救ってくださいと神様に祈る
24
純一・新しい職場で単調な作業が故に頭がからっぽになる感覚になる
純一・光国教授のインタビュー(テスト)(自由連想)を拒否する(ガムテープで縛られたことを知っていると示す)
純一・橘を嵯峨との食事会に誘う(「医者と患者という立場を離れて会ってみたい」と伝える)
[堂元ノート 7]7.21検査結果の変化の度合いが急激に大きくなる(職場の影響)
精神障害の引き金は元の脳ではなく移植脳である
自分たち(医者)の道を閉鎖してしまう危険性
25
純一・橘が部屋に来ることに初めて恋人を部屋に迎える特有の緊張を感じる
橘も研究に秘密にされていることが多すぎると不審に感じるようになる
純一・嵯峨家で典子(嵯峨の娘)の弾くピアノの音が気にかかる(典子と会った瞬間めまいで膝をつく)
純一・ピアノの音の狂いに気付き音感が良いことが発覚する(小学校の時は音など全然わからなかった)
典子が純一に「前に会ったおじちゃんじゃない」と言う
純一・ピアノを弾く典子に不公平さ(貧困を味わうことのない)を感じ首を絞めようとする意識が生まれる
純一・まためまいを起こし遠い記憶の中からからピアノの音が聞こえる
嵯峨が純一に京極瞬介(純一を撃った男)が音楽家志望であったことを話す
純一と橘に同じ考え(移植脳が京極瞬介のもの)が浮かぶ(橘は否定するが純一は筋が通っていると感じる)
26
純一・倉田刑事に会い京極のことを聞く(二卵性双生児の妹・亮子がいる、住所、音楽家を挫折し演奏のバイト)
純一・移植脳が京極のものであるという考えで全てが繋がってくる
(京極が音楽家志望だった、純一がピアノの音に異常に反応、堂元たちがドナーの身元を隠す、性格の変化の訴えを黙殺する、聴力テスト、心理学者の精神分析)
純一・京極の家に着くが京極の妹・亮子はいない(隣人の他人の不幸を喜ぶ顔にいらだつ)
純一・駅前で絵を描いている亮子に会いに行く(テレパシーのようなものを想像以上に感じる)
亮子も純一に何度も会ったことはないかなどと聞く
純一・瞬介の家に行き心の安定を感じる、亮子に京極瞬介のことを聞く
(母親の病気・母親の火葬の際に焼けていくのが見たいと言ったこと)
純一・京極のピアノを触りドナーは京極瞬介だと確信する
純一の赤い玩具のピアノを弾く姿を見て亮子が瞬介に雰囲気が似ていると言う
純一・ビールを飲みながら瞬介のことを聞く(勉強家、他人を軽蔑)、亮子に玩具のピアノをもらう
亮子が東和大学に人(堂元と若生)が訪ねてきたことを純一に言う(純一はドナーが京極だと確信)
亮子と手を繋ぎ抱きしめたい衝動に駆られる(脳波が同調、亮子も同じように感じる)
純一・京極の家を離れて精神的な安定感が消えていく
27
純一・堂元に「足跡」(生きているというのは後ろにある足跡を見て自分のものだとわからこと)の話をする
堂元がドナーが京極俊介だと認める
ドナーが京極になったのは政府関係のバックアップがあった
(世の中を運営する老人は脳の老化防止の望みを託す脳移植手術の技術を早く完成させたい)
純一・精神の治療を提案してきた堂元を殴る
[堂元ノート 8]7.23ドナーについて純一に気付かれたため計画変更
足跡の話が印象に残る
亮子との超感覚が事実なら新しい研究プロジェクトを設立する(純一を手放してはならない)
28
純一・誰とも接しないように生活をおくり日記をつけ始める
純一に会いに来た橘直子が別の研究グループに移されたことと堂元に頼るしかないことを話す
純一・橘直子に恵の話をされレストランで怒る
純一・橘直子に心配され直子を愛し始めていることを自覚する(京極の遺志かもしれないと感じる)
29
純一・玩具のピアノを捨てる勇気がない、日記を読み返して変化が加速したように感じる
純一・父親の夢(木の檻に閉じ込められそうになり父親の顔が京極になる)を見て実家に行くことを思いつく
純一・家は駐車場になっておりそこで怒って声をかけてきた同級生(ガモウ)を車のドアで何回もはさむ
純一・電話をかけ迎えに来た直子を求める欲望に溺れまいとする
(直子は私の思い出の中に純一の足跡があると言う)
30
純一・撃たれたバンバ不動産に行き社長・番場(京極の父親)に会いに行き怒りの脳波の同調を感じる(番場も)
(店を出ていく時に紙幣を破って社員に投げつけ京極が二億円を撒いた時の気分を想像する)
堂元が純一のアパートを訪ねいくつかの治療方法を考えたので研究室に来るよう説得するが純一は拒否する
純一は人を殺そうとしたのは成瀬純一である、橘直子は京極の亡霊であると言う
純一・橘直子に病院を教えてくれるように頼む
31
純一・北泉病院(精神病院)に行き兄の話として自分の症状を医者に話す
純一・医者からエディス・コンプレックス(母親を異性・父親をライバルと見、罪悪感を感じる)の可能性を話される
絵を見た医者が左半側空間無視の症状を言う
(純一・本来の右脳意識が消滅しつつあり代わりに京極の右脳が支配し始めていると納得)
純一・患者がいる病棟に入り患者の様子を見る
32
純一・アパートに戻り中で橘直子の話し声が聞こえたように感じる(直子はテレビの音と言う)
純一・橘直子に病院での医者との話を話す(直子は「裏切らない」と純一に約束する)
純一・橘直子(やや顔が青ざめる)を抱き亮子に似ていると感じ、京極の母親にも似ているのではないかと思う
脳が京極に完全に支配されてしまったかもしれないと感じる
橘直子が純一に「好きだ」と言う
純一・橘直子に京極に完全にのっとられたら日記を捨てて欲しいこと、精神病院に行くことを話す
(直子は日記の学術的価値の高さを言う・純一は怪しく光る直子の目に不吉なものを感じる)
純一・橘直子に疑惑を持つ(本の位置、机の中、電話の置き方、リダイヤルすると東和大学)が抑制に努める
純一・赤いピアノに弾き精神の平衡を保たれるがうるさくした隣人の臼井に怒る
33
純一・末期的な症状が出て危機感を感じる
末期的な症状について(裏の家の庭のうるさい犬を殺し首を切断する)
橘直子から電話がかかってきて会う約束をする(疑惑が引っかかるが直子だけが俺の味方だと思う)
34
純一・日記に拘る橘直子を不信がる
純一・直子が合鍵を欲しがるが断る(直子の失望の色に疑惑を深め、直子が一瞬本棚を見たことに気付く)
純一・外に出るふりをして直子の行動を確かめる(直子は誰かに電話している)
純一が部屋に戻ると直子はあわててバッグに何かをしまう、日記帳のあたりが少し動かされている
純一・直子のバッグにコピー機とコピーされた日記の一部を見つける
純一・直子の首を絞めて殺し死体にも性的興奮を感じる
純一・窓ガラスに映った自分の顔が死んだ魚の目をした男(撃たれた際の京極)だと思う
[葉村恵の日記 5]8.21犬が殺されたニュースを見て純一かもしれないと感じる(逃げ出した自分を責める)
35
純一の職場に倉田刑事が橘直子のことについて聞くために訪ねてくる
純一・堂元が直子と純一が二人で会っていたことについて倉田に話していない様子に疑問を感じる
[倉田謙三メモ 2]8.24成瀬純一は会う度に印象が違い最初の生真面目な印象はない
特筆すべき事項なし
36
純一・直子を殺した夜を思い起こす(死体を切断して以前恵と行った森に埋めた)
純一・証拠となる危険性を多々残したが助からなくてもいいと考える
純一・わずかに残っている成瀬純一の意識を大切にしようとアルバムや住所録を見て過去を思い出す
純一・以前にも試みたレンタルビデオショップでビデオを借りて見ようとするが会社の門に若生が待っている
純一・若生から強大なバックアップからの要望で警察には話がいっていないことを聞く
若生が純一を殺すと宣言する(若生は橘直子に惚れていた、純一・「やってくれ」)
37
橘直子の死体が見つかる(純一は堂元たちがどうするのか面白いことになったとほくそ笑む)
純一・若生から職場に電話があり「殺してやる」と言われる(純一・「やってくれ」)
純一・電話を切った直後に退職願を出す
純一・死体の身元が判明したら遠くへ言って絵を描き、描けなくなった時は自殺して京極に対して成瀬純一の最
後の抵抗をすると決めていたこと
純一がアパートに戻ると恵がいて純一についていくと言って離れない
純一・恵を殺す瞬間を思い浮かべると頭痛に襲われる、恵を信用するが迷うが恵の部屋に行くことにする
純一・恵のウィークリー・マンションに行く途中で車にひかれかける
純一・恵の部屋から見える風景の写生を第一の目標にすると決める
純一・若生に電話をかける(純一を殺す指示が出ている)
[葉村恵の日記 6]8.27今の純一はどこから見ても昔のジュンには似ていない
京極という亡霊から守る決意(一度逃げ出した、二度は許されない)
[堂元ノート 9]8.28成瀬純一を殺すことに反対、監禁すべきだった
京極亮子と純一を揃えて実験したい、亮子は純一に会えるならいいと答えた
すべての鍵はあの若者に握られた
38
恵の母親から恵に実家に警察が来たという電話がある
純一・窓からの風景を描くが右側を描く能力も消えつつあり小学生以下のレベルの絵しか描けない
純一・赤いピアノを弾くと心が静まるがピアノに心を奪われてはいけないと思う
純一が捕まらない為に事件の偽装工作が成される
[倉田謙三メモ 3]証拠や証言が少しづつ辻褄が合わないことに疑問
純一の捜査をしないなど上司たちの全く積極性がないことに疑問
嵯峨が純一の居場所を探しているのだとやってくる
[堂元ノート 10]8.29嵯峨が訪れ橘殺害と純一失踪について質問される
今までの経緯を手短に話すと嵯峨は苦悶の色(娘を救ったゆえに殺人鬼に変身した事実)を見せた
39
純一・カンバスを床に叩きつけ足で踏んだ恵の首に手をかけるが頭痛に襲われる
純一・気がつくとさっきまでと気分が違いレンズのピントが合うように意識が明確になった気がする
純一・創作欲がわき恵の裸体を描く
(激しい頭痛と無関係ではないこと、わずかに残っている成瀬純一の部分ではあること、恵の絵を描くことは成瀬純一として生きていることの証になることを考える)
40
純一・筆が進まなくなる
純一・泣いている恵(「モデルの女」という呼び方になる)にうんざりする
純一・「愛しているわ」と繰り返す女を見て仮面の下でどんな欲望が渦巻いているかわからないと思う
[葉村恵の日記 7]9.4画材屋で待ち伏せしていた嵯峨道彦に声をかけられる
嵯峨から弁護を引き受けること純一は精神異常者ではなく意識は眠ったままで京極の意識に
身体を操られていると言われる
時々会ってほしいこと・励ましの言葉を受ける
41
純一・鍵盤が壊れ人差し指が痛くなるほど赤いピアノを弾く
純一・知らない眼鏡の男が部屋に来るが無視する
純一・またピアノを弾いていると後ろから口を塞がれ意識を失われる
純一・目が覚めると両手両足を縛られ先ほどの眼鏡男たちにお酒を飲まされ「殺さなきゃならない」と言われる
純一・居場所はおんなから聞いたと言われ恵(モデルの女)に裏切られたと思う
純一・野球練習で皆からのけものにされたことに気付かずに罰として走り「馬鹿だな」と煙草屋の主人に言われた
記憶を思い出す(純一・人が人を愛するなんてことがあるはずがないと思う)
男たちがガソリンを撒き火をつける
純一・火を見て懐かしい気分になる(母親との火葬場での別れは京極で自分は鼠を焼いたことを思い出す)
鼠を焼いた記憶(純一・父親に無理矢理鼠を殺さされ死ぬところを見せられ父親を憎む)
純一・燃える部屋から出て恵を殺す決意をする
42
純一・鉄パイプで若い男から車を奪い無理矢理発車する
[葉村恵の日記 8]9.6ジュンが誰かに連れて行かれた形跡がある
部屋が見つかった理由を嵯峨が尾行されその嵯峨と会っていた自分が尾行されたのかもし
れないと思う(恵は裏切っていなかったということ)
神様にジュンにもしものことがあれば自分も死ぬと誓う
43
純一・部屋に戻り必死に信じてもらおうとする恵は芝居をしていると思い込む
純一・恵の首に手をかけると爆発的で瞬間的な頭痛に襲われ意思に反して手が動き首を離す
純一・ガラスに映った自分を見て死んだ魚の目ではなく成瀬純一の目だと感じる
純一・変化に気付いた恵に「愛したことを忘れない」と言い「自分自身を取り戻しに行く」と部屋を出ていく
[堂元ノート 11]某月某日 「あの夜のこと」として部屋を出て行った成瀬純一について書かれている
純一を見て元に戻ったと思う
冷静に話す純一からエディプスの話など何日間かの出来事を聞く
純一から廃人になる危険性や死ぬ危険性があっても移植した部分を取り除いてほしいと言われる
無意識の世界で成瀬純一は生きられること、愛してくれる女性を殺すより死ぬ方がマシなことを言われる
断り、脳のスペアはもうないと答えると純一は安心した、もうころごりだと言う
直後に銃声が先ほどの台詞の意味に気付き部屋を飛び出す
自分で頭の右側を銃で撃った純一が倒れている
償いだと思い手術を成功させ命を助けるが純一は無意識の世界に生きる人になる
脳片だけでも京極は生き続けていたということから「人の死とは何か」という宿題
恵は純一が描き残した絵(高い評価と話題性)を売り延命費に充てていた
礼を言いに来た恵から見せられた純一が最後に描いた絵は未完だがソバカスまで丹念に描かれていた

『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

銀行強盗が四人いる理由
第一章
=成瀬T= 下見
久遠・「警察の制服を着た人は警察官に決まってる」(久遠は好奇心旺盛な犬のよう)
成瀬は職務質問をしている警察官を偽物だと見抜く(成瀬には嘘がわかる)
成瀬について(母親は幼い頃に家を出た、自閉症の息子がいる、元嫁は嘘をつかない人だった)
成瀬・「響野は嘘しか出てこない」
久遠が警察手帳を掏る(成瀬・掏ったところは見えなかった)
偽物の警察官が怒って久遠に拳銃を向ける
成瀬が説得し偽物の警察官は銃も偽物(クラッカー)、制服も三着ならあげられることを話す
成瀬・「人は外見に騙される」ことを例を出して久遠に話す
成瀬・下見をすべき銀行へと進む

=響野T= 割り算
響野が喫茶店で慎一(母親・雪子)に割り算はギャングの分け前を計算するためのものだと教える
雪子は結婚せずに慎一を産み、父親は慎一の物心つく前に家を出た
祥子(響野の妻、喫茶店の店員経営?)は綺麗
響野・割り算はゼロで割ってはいけないこと(盗んだ金を誰も手に入れられないと世の中が狂う)を言う
慎一・響野と祥子に「いじめらるかもしれない」と切り出す
響野ができることはあるかと尋ねるが慎一は「ゼロで割ると世界はおかしくなっちゃうんだよね」呟く

=雪子T= 時間
雪子はカローラで銀行からの逃走経路の下見をしている
雪子は精巧な体内時計を持っている(高校時代に気付きクラスの変人から変人よばわりされる)
雪子・信号のタイミングがあわず再計算している際に慎一の父親(元恋人)を思い出す
雪子の元恋人について(横浜が好き、ギャンブル好き、臆病、「地道」という苗字とは程遠い、小心者)
地道は人に頼ってばかりで雪子は人に頼らない(お互いに呆れている)
雪子の両親は冷たく雪子は期待されたことも批判されたこともない
雪子は慎一の出産にかかった時間を思い出す
地道は慎一が2歳の時に去ると借金取りがおしかけてきて雪子は慎一と共にアパートを去った
雪子は初めて盗んだ車もカローラで盗むのにかかった時間を思い出す
成瀬から支給された携帯電話が鳴る
雪子は横断歩道に知った顔があるのを見つける
電話から響野が「来週、集合」だと言う

=久遠T= 打ち合わせ
久遠、響野、成瀬が待つ喫茶店に雪子が現れる
久遠が気に入る演奏者はたいてい死んでいる
雪子が息子が身代金目当てで誘拐されたかのように慎一を心配し久遠は思わず笑ってしまう
喫茶店に現れた慎一に雪子が駆け寄る(雪子はいつもは放任主義)
雪子は皆から不思議がられる(響野「誘拐と思った?」、慎一「今日のお母さんは変だ」)
久遠は雪子のつむじを見て「宇宙人に乗っ取られたかと思った」とおどける
成瀬が用意した銀行の見取り図を使いながら行内を説明する(警察へ通報するとドア上ランプが点灯する)
成瀬は市役所勤務、久遠は水曜が休みのバイト、響野の喫茶店も水曜定休日
雪子は「派遣の契約が切れているから問題なし」と言われはっと気付く(久遠・らしくないなと思う)
成瀬と久遠は銀行員を犬の種類で分類する
今まで通りの手順(カウンターに三人が近付き銃を構えてお金を取り雪子の車で逃げる)
成瀬の予想金額を聞く雪子の顔は深刻(分け前の計算をしているようにも見える)
人の主人(行動する時の拠り所で上司、美学、一般常識、損得勘定など)をとるためには発砲も必要
久遠はドアに『ただいま作業中のため、入店できません』と貼り紙をすることを提案
現金輸送車ジャックの存在(成瀬・警備会社とつながっているのかも、俺たちの計画とかぶらないように)
響野は「求めているのはロマンで、現金輸送車ジャックはロマンが果たすべき爽快感がない」と話す
久遠は「(銀行強盗は)サーカスと同じショウ」と言う
祥子が雪子の顔を窺いながら「お金を独り占めしようと思わないの?」と聞く
成瀬は祥子が「ただ気になっただけ」で質問したのではないと嘘を見抜いている
ギャングの裏切りと『冒頭に登場した拳銃は映画の後半で必ず発砲される』というルール
雪子は裏切り者の話を聞き肩を落としている
響野は強盗の最中に演説を行うことになっている
帰ろうとする雪子を響野が呼び止めると叱られた子供のように萎縮する
雪子は田中(鍵を作ったり盗聴したりする)が作った擬装用のナンバープレートを受け取る
響野は田中から買ったフラッシュレスカメラ(暗闇でもフラッシュが光らない)を返品したがる
祥子は巻き戻せないビデオデッキより使えないと言う
久遠がカメラを「下見の時に使えるかもしれない」と言うが買う気はない
「雪子が逃げるように出て行った」と響野が笑う
雪子の子供のころの七夕の願いごとは『一度驚いてみたい』
久遠は雪子が驚くのは強盗で失敗した時だろうかと思う
慎一がいじめられる予定だと聞き久遠は雪子の妙な様子をそのせいかもしれないと思う
銀行強盗対策訓練が成瀬たちの強盗の二週間後に行われるという情報
響野の飼っている犬の話になり響野は「ロマンより犬だ!」と大声を出し久遠はあきれる

=成瀬U= 火星
雪子の車を盗むのは鮮やか
「久遠は何でもわかる、タダシ(成瀬の自閉症の息子)を一番理解しているかもしれない」と成瀬が言う
久遠は火星に行って一番動揺しないのはいつも手探りでコミュニケーションを取るタダシだと言う
響野の演説は強盗により受けた損害の代償
(強盗の手順を)「楽勝」と言った雪子の声が震えていることに成瀬が気付く
響野が「ロマンはどこだ」と言い男三人は銀行(舞台)に消える

=響野U= ギャング
銀行に入り響野がドアを手動に変えて貼り紙を貼る
響野が発砲して警報を押させないようにする
久遠はシェパード(課長)から財布を掏る
成瀬は強盗を始める時、自分たちが巻き込まれた強盗事件を分析しシンプルにやれば金は取れると言った
響野の演説が始まる(記憶について)
成瀬が現金バスの鍵を課長の嘘を見破りながら取る
成瀬と久遠が金をバッグに詰める
成瀬、久遠、響野がカウンターの上で丁寧に礼をしてドアを「自動」に戻して出ていく(ショウは終わり)
時間ぴったりに来た銀行の前に雪子の車(セダン)に乗り込む(成瀬は少し遅れて乗る)
発進した車の中で雪子の深刻な顔が響野から見える

=雪子U= 偶然
雪子が車を運転する(頭の中は時間と運転とタイミングと慎一でいっぱい)
お金の確認で四千万とわかり雪子は額が多きことを期待していた為、気分が暗くなる
響野がニュージーランドに行きたい話を聞き雪子は羨ましくなる
パトカーの音が聞こえる
示し合わせたように飛び出してきたRV車と衝突する
弁解する雪子は成瀬がすべてわかっているという声の雰囲気が恐ろしく感じる
RV車の男が発砲する
成瀬が男たちは現金輸送ジャックだと言う
雪子に銃口が当てられた為、車だけでなくかねが入ったバッグも取れらる
雪子は恐怖でも安堵でもなく虚脱感と敗北感を感じる
雪子は成瀬の「どうしようもないことが世の中にはある」の言葉が自分に言ってくれているのかもと思う
第二章
=響野V= 反省
普段はしばらく会わないが強盗の二日後に喫茶店で集まる
新聞に現金輸送車ジャックの仕業として強盗も掲載されている
現金輸送車ジャックは1億円を手に入れていたため、四千万は意味がないとことに感情的になる雪子
久遠がお金を取り返すことを提案し、掏った犯人の免許証を見せる

=成瀬V= 林
掏った免許証を見て雪子の声が上擦る
免許証が本物の可能性が高いと判断しそれぞれ考える(響野、考える時のくせでそわそわと歩き出す)
写真から成瀬は「悪人でも善人でもない」、響野は「ズルズル人」と判断する
成瀬「林はいざとなれば切り捨てられるトカゲの尻尾」と言う
雪子の「慎一は元気、試験だったから喫茶店に来ていない」を成瀬は嘘とわかる
成瀬は祥子に役割があることを言い、「分け前を独り占めしたくないか」と質問した理由を尋ねる

=久遠U= 鍵
田中の家に成瀬と久遠が行く(久遠は成瀬がついてきたことが不満)
田中について(二十代、足が悪い、母親だけ、僕が世界を閉じ込めている)
車内で赤ん坊が泣く(久遠は犬好き、赤ん坊は周りの人に敏感)
田中の部屋(パソコンや電話や配線や紙が散乱しているようで整頓されている)
田中は久遠が依頼を言うと無視するが成瀬が言うと承諾する
田中は合鍵作りや盗聴の職人(警察のデジタル無線も傍受できる)
田中は依頼した内容に関わらず値段をつける(今回は十万円)
田中はフラッシュレスカメラの返品は駄目、動物を撮影すればいいと言う
盗聴器について(植木鉢型、携帯電話型)
現金輸送車ジャックについて(荒っぽい、ヤクザ上がり、仲間を使い捨て、銀行員の家族を脅している)
田中は面白い売り物としてグルーシェ二カーを勧めてくる(外から鍵をかけると中から開けられない)
久遠はインターネットで映画館を爆破させようとした男の事件を思い出す
成瀬は「売れない」、田中は「発想は良かった」、久遠は「発想も良くない」と言う

=成瀬W= 会話
成瀬にタダシ(別れた妻の家)から電話がかかってくる
元妻は「タダシのおかげで些細なことも幸せだから得だ」とよく言い、成瀬はそれが嫌いではなかった
タダシは成瀬にテレビで見たこと(銀行強盗、お巡りです、盗聴に気をつけて)を言う
成瀬はタダシはすべてを把握しているのかもしれないと思う
元妻が電話に出てタダシは変わらないと言う
キューブリックのビデオを見て妻は未来を考えたって仕方がないと思い成瀬は妻の言葉に救われる(回想)
成瀬は元妻の再婚相手に「タダシは両親の結束が固くて幸せ」と言われたことを怒っている(笑いながら)

=雪子V= 殺人
雪子と成瀬は二人で林の家に向かう
雪子はRV車を確認した後にブレーキを踏んだことを後悔はしていないが気分は重い
雪子はセダンの車に後ろからつけられているのではないかと気づく
停車するとセダンは通り過ぎる(雪子は誰かに追われることからは無縁の人生だったと思う)
成瀬は決断力と判断力、責任を取ることに長けていると雪子は言う
雪子は初めから成瀬に相談するべきだったかもしれないと後悔する
久遠は動物の絶滅に責任感を感じる動物側の仲間の不思議な青年
成瀬は一人で林の部屋に行く(雪子は慎一と地道のことが頭をよぎり胃が痛む)
部屋で林が死んでいる
成瀬と雪子は死体を見たのは初めてではない(外国人の強盗が立てこもって人質になった事件を思い出す)
成瀬の「金を奪ったのは残りの二人」という言葉が雪子にのしかかる
林の部屋に盗聴器がしかけられてある(成瀬は田中から聞いた携帯電話型盗聴器の話をする)
成瀬が林の部屋の電話をリダイヤルすると響野につながる
第三章
=響野W= 弱肉強食
成瀬が林宅から電話をかける三時間前に響野は久遠と喫茶店にいた
祥子が喫茶店を休んで出かけるが響野は理由を教えてもらえない
慎一から来てほしいと電話がくる(慎一、誰かにつけられてる気、雪子から喫茶店には近づくな)
祥子は免許証を探していたが車には乗って行っていない為、響野は偽装ナンバーにつけ替えて出発する
慎一がヒューニズムって何なのと言い、いじめの対象である薫がパチンコに呼び出されたことを説明する
響野は、慎一のいじめを止めたい、自分がいじめられても止めるべきかもしれないという考えを察する
響野は弱肉強食の意味について説明する(食物連鎖に参加している者たちの台詞)
薫を呼び出した先輩が「人を殺してみたい」と言っていたと聞き響野と久遠は助けに行くことにする
慎一はつけられている気がしたが今はしない
最近は刃物を持っていたり暴力団と繋がっている子供も多い

=久遠V= 退屈
現金輸送車ジャックに金取られゼロの割り算になったため変なことが起こるのだと慎一は言う
雪子が落ち着きがなく出歩き、慎一のことを心配(送り迎え、学校以外外出禁止)していることについて
雪子が人を轢き殺しそうになった話を慎一が知らないことから映画館での事件を久遠は思い出す

=響野X= 映画
成瀬と響野、雪子、久遠の銀行強盗たちが出会った映画館での事件を慎一に話す
○現在の車内 他は回想
響野は映画が退屈で背もたれに半身でよりかかり爆弾の音に気付く
成瀬は信じてくれないので響野は「爆弾が仕掛けられています」と大声を出す
○久遠が響野は挙動不審の狂人と思ったことを明かす
響野が逃げるように声を張ると白髪の男が映画を見たがり静かにしろと怒る
さっき出て行った男が怪しい、電話が繋がらない、避難してくれと言う係員を成瀬が押さえつける
○久遠が成瀬と響野をヤバイと思ったこと、響野も成瀬の行動には驚いたことを明かす
成瀬が嘘を見破っており映画館の係員が犯人だとわかるが犯人が逃げる
犯人を追いかけるために成瀬と響野がエレベーターに乗り込み偶然いた雪子と久遠も乗り込む
犯人(係員)が触っていたパソコンに上映が終わったら爆破することが書かれてあるのを久遠が見つける
雪子が上映が終わるまでの秒数を具体的に言い響野は驚く
犯人は車に乗って逃げるが雪子が車に乗ってすぐにやってくる(久遠は盗難車だと驚く)
○慎一の声は弾んでおり雪子の活躍を聞くのを新鮮に感じているよう
響野は犯人の尻ポケットからナイフを見つける
久遠が犯人の前にパソコンを置き響野はアヴェマリアを歌いながらパソコンコードで犯人を縛る
○響野がアヴェマリアを歌ったのは好きだから、状況にぴったりだったからだと話す
犯人が喚き、「おまえらの家族も子供もみんなただじゃおかねぇ」と言う
○雪子が息子をどうするのかと聞いた後車に乗り込んだことを聞き慎一はその後の行動を予想し苦笑する
雪子は犯人の直前で停車させ「息子に手を出したら轢く」と言った
成瀬は「また会いませんか」と言ってきた久遠に「財布を返せよ」と言う
○久遠ははじめて逃げる前に掏ったことに気付かれたことに驚いたと明かす
○映画館事件の約一ヶ月後の再上映会の時また事件に巻き込まれそれが銀行強盗をするきっかけになった
○薫が呼び出されたという目的の元パチンコ店に近づき、響野は無意識にアヴェマリアを口ずさむ

=久遠W= ボクシング
久遠たちが元パチンコ店に着くと後から追ってきたような車が近くに停車する
パチンコ店の奥で複数の人の品の悪い笑い声がし、椅子にガムテープで固定された薫がいる
金髪のリーダー格の男が他の少年に薫を殴るように指示し、怪我の箇所による得点のルールを決めて笑う
響野が慎一に「我慢しろよ」とささやき「ロマンはどこだ」と言う(久遠は開始の合図と思う)
響野が慎一の腕を捻り上げパチンコ店にいた慎一をたまたま捕まえただけのように見せかける
響野は薫の「父に頼まれた、薫には発信機がついているから場所がわかった」とデマカセを言う
金髪は即興で口答えをし、久遠はいらいらする
金髪が何もしてない青少年に暴力を奮うのはマズイでしょと言うが久遠は関係がないと一人の少年を殴る
残った少年を久遠は次々と殴る
金髪が響野に飛びかかるが響野は素早く倒し久遠が金髪の両手両足を固定する
慎一は響野がボクシングでインターハイに出たことが本当だったと知り驚く
映画館での事件の時の犯人と同じセリフ「ただじゃおかねぇぞ」を金髪が言う
響野は金髪をガムテープでぐるぐる巻きにし口も耳も塞ぐ
薫のガムテープをはずし父親や発信機のことで混乱する薫を久遠と響野はからかう
突然、銃を構えた中年男が「動くな!」と叫び久遠と響野の前に立つ

=響野Y= 以心伝心
中年男が慎一を響野たちから遠ざけ、慎一と薫に外に出るように指示を出す
中年男が慎一にこっちに来るように言う(慎一、名前を呼ばれて驚く)
パトカーの音が聞こえ出ていく男に久遠がぶつかる(響野は掏ったと分かる)
慎一が薫と口裏を合わせて警察に証言する為にパチンコ店に残ると決断する
響野は慌てて車の運転がうまくいかず、逃走中に平常心で運転する雪子の偉さを実感する
久遠が中年男から掏った携帯電話が鳴り響野が出ると成瀬の声がし、響野は可笑しさがこみ上げる

=成瀬X= 飛び入り
成瀬は響野が電話に出たことで仮説が崩れたが、響野の説明を聞きほぼもとの仮説と同じだと安心する
成瀬は慎一が男に連れて行かれたように雪子に思わせると、雪子がチーターのように部屋を出ていく
雪子が慎一を探しに行ったと聞き、響野は警察に保護されたという話を言ったではないかと成瀬に怒る
響野が今までの出来事を整理する
(成瀬らの銀行強盗して手に入れた金が現金輸送車ジャックに奪われた、現金輸送車ジャックの運転手の林のマンションに行くと林は殺されていた、林家の電話をリダイヤルするとパチンコ店の銃を持った男X氏の携帯に繋がった、林とX氏は現金輸送車ジャックの仲間である)
成瀬たちが銀行強盗を始めたきっかけ
(再上映の日に銀行に居合わせ、素人の強盗の人質になり成瀬は「俺ならもっとうまくやれる」とやり方を響野に説明すると久遠と雪子も興味津々になる)
成瀬は現金輸送車ジャックとパチンコ店での薫の救出の両方に関係しているのは雪子だと言う
雪子は打ち合わせの時からおかしくRV車も事故に見せかけただけでありX氏と知り合いだと成瀬は言う
雪子とX氏の場所は電話が教えてくれると成瀬は言い、電話がかかってきた成瀬の携帯に響野が出て驚く

=響野Z= 夫婦
成瀬の携帯電話に出ると祥子の声がして響野は驚く
成瀬の憶測・慎一が人質にとられていた為、打ち合わせの日に雪子は様子が変だった
久遠が苦しそうに「誘拐」と言うのを見て響野は久遠が幼馴染が誘拐された話をしていたことを思い出す
成瀬の憶測・雪子は全額が必要でありあからさまに裏切りたくなかった為、事故を装った
祥子は雪子から「分け前を独り占めしたくないのか」と聞くように頼まれていた
成瀬の憶測・雪子は人に頼ることが苦手で相談の仕方が下手な為、祥子に頼みみんなの反応を見たかった
成瀬は現金輸送車ジャックの目的が車ではなく金であったこと、雪子が関連していることに気付いていた
成瀬は雪子と林のマンションに行けば動きがあると思い、祥子に尾行を頼んだ
成瀬の憶測・雪子は林を殺したのはX氏かもしれないと思った
成瀬はわざとX氏が慎一を連れていったように言いX氏のもとに行ったであろう雪子を祥子に尾行させた
成瀬はX氏は慎一の父親だと言う
慎一のことが絡んでいる為、雪子が発砲するかもしれないと響野は少し不安になる

=雪子W= 顛末
雪子は公園のベンチに座る地道に銃を構える
雪子は地道の謝金四千万を肩代わりする代わりに慎一には手を出さないという約束をしていた
雪子は強盗の下見中に地道を見つけ声をかけ、借金のことを言われ「力になれるかもしれない」と言った
雪子は見栄や自尊心で大金を用意できると言ってしまった
地道は借金元である神埼に雪子との段取りを全て話した為に慎一を脅しの材料に使われ全額を要求された
地道が慎一は神埼の張った「予防線」と言うと雪子は地面に発砲する
地道は神埼から現金輸送車ジャックの仕事を手伝わされていたがその報酬では借金は消えなかった
雪子が成瀬たちのことを「仲間」と言うと地道は訝しげな顔をする
雪子は他人に相談や弱音を言うのにもコツがいるのだと今回のことで知ったが雪子はできなかった
父親ぶる地道に雪子はもう一度発砲する(当たってはいない)
地道はハンカチを取り出し汗をふき、ハンカチをしまうと次は銃を取り出し雪子に向ける
雪子が林が死んでいたことを言うと地道は怯える
何でも神埼に報告しないと不安な地道を雪子は魂のランクが下がったと言う
地道の背後から数人の男が飛びかかり地道を羽交い締めにし、口をおさえる
雪子に「奇遇だなぁ」と久遠が笑いかけてくる

=成瀬Y= 約束
久遠と響野が地道をガムテープで縛り、祥子が雪子に手を振り、成瀬が雪子の銃をもらい地道に向ける
地道がパチンコ屋で会ったX氏であることを確認
雪子は成瀬が全て分かっていたと知り雪子は言葉に詰まる
地道は林を殺していないと言い、雪子が神崎が殺したのだと言う
成瀬たちは地道と神崎がどこまで知っているか聞く
(地道は雪子のアパートは知っている、神崎には何も喋っていない、成瀬たちの名前は知らない)
現金輸送車ジャックと成瀬たちから奪った金を神崎は銀行の貸し金庫に入れている
響野が貸し金庫から金を奪うことを提案するが成瀬は神崎は無視すると言う
成瀬が前回襲った銀行に近い横浜勧業銀行を襲うことを提案するが皆反対する
成瀬は地道が神崎に内緒にしていれば上手くいくと言う
神崎から電話がき、地道は林の死体運びを引き受ける
成瀬は地道裏切らない為に、地道を仲間にすることを提案する

=雪子X= 信頼
雪子は地道を監禁か射殺する案を聞き、地道が死んでも悲しまないだろうという不思議な感覚を感じる
地道が林の死体処理に行かなければ神崎が怪しむ可能性がある為、地道を解放すると成瀬は説得する
仲間を入れることに反対されるが、成瀬は方針を変えない
成瀬が響野に何かを言い、響野が「巻き戻せないビデオデッキ?」と驚くが雪子は意味が分からない
地道を解放する
第四章
=久遠X= やり直し
地道に素顔を完璧に晒さないように帽子や眼鏡などをして打ち合わせをする
成瀬が響野にフラッシュレスカメラで林の死体を埋める地道を撮影させていた(地道が裏切らない保険)
「それでも地道は裏切る」と雪子は言うと、久遠は「それでも地球は回るというのと似ている」と言う
久遠は、「大丈夫だ」と言う成瀬の喋り方が誤りを指摘されて意地になる人に似ているのを感じ不安になる
久遠は響野の「成瀬は(世の中の)解説書を読んでいる」という話を思い出す
打ち合わせはいつも通り進み、久遠は漠然とした不信で仲間から抜けるつもりはない
雪子は逃走ルートを確認していないが成瀬は「大丈夫だ」と言い久遠はより不安になる
久遠は響野に演説は何の話をするか尋ね、いつもと変わらない・きっとうまくいくと自分に言い聞かせる
成瀬が響野に田中にナンバープレートをもらうように言うと久遠は息苦しくなる
慎一のことを雪子に聞き薫が慎一を庇ってくれたと聞くが、金髪はどうなったのか雪子も知らない
地道は成瀬から頼まれた携帯電話を皆に配るが、雪子に渡す地道の顔が綻んでいるのを久遠は見逃す

=響野[= 裏
響野は祥子にドストエフスキーの悪霊に出てくる台詞がぴったりだと言われる「生涯嘘をついてきました」
祥子がもし神崎が情報を得たらどう動くかを聞かれ響野は警察に通報するなど邪魔をしてくると予想する
成瀬は地道が裏切るのを前提に嘘の打ち合わせをしていたことを響野は祥子に話す
本当の打ち合わせを行う
雪子の地道から配布された電話に非通知で電話がかかってきていたが、誰も気にせずに終わる

=雪子Y= 裏切る
銀行再襲撃当日に雪子は成瀬から車を渡された為、運転に少し不安
車のトランクで音が鳴るが成瀬は何が入っているか教えてくれない
雪子は今度こそ成功させれば罪悪感が取り除かれると思う
逃走のイメージをし「問題ない」と呟くと発砲音が二度し、雪子はいつもと違う様子を感じる
雪子の車に男が飛び込んでき、雪子に銃が向けられる
男は神崎

=雪子Z= 袋
雪子は恐怖ではなく焦りを感じ、またしてもわたしのせいではないかと思う
地道から渡された携帯電話が盗聴器だった
神崎は成瀬たちが雪子がおらず困る姿を見て、雪子を撃ってから帰ると言う
パトカーが数台やってきて雪子と神崎は警報装置を押されたのだと思う、テレビ局もいる
警察官の動きは滑らかで、カメラマンも長閑な表情をしており腹立たしくなる
神崎の声のトーンが変わり銃が頭から腹に押しつけられ、雪子は警察が近づいてきたことに気付く
警察から車を降りるよう言われ、神崎が拒否する間に計画のタイムオーバーいなり雪子は叫びそうになる
警察は物腰は柔らかいが強引に雪子と神崎を車外に出し、キーも渡すよう言われる
雪子は警察はすぐに発砲しないと思い車を発進することを考えるが成瀬たちの救い方がわからない
神崎が警察に暴言「警察は腰が引けてるから発砲できない」を吐くと警察が銃を神崎に向ける
警察が引き金を引くのが雪子に見えて警察が簡単に発砲する時代になったのかと呆然とし、音が鳴る

=久遠Y= 質問
久遠は自分の持った銃から紙テープが飛び出すのが可笑しくて仕方がない
響野がぼうっとしている神崎を車内に蹴り込み外からカギをかける
久遠が警察マニアから掏った免許証で連絡を取り警察の制服を用意してもらった
神崎を閉じ込めたのは中から出られないグル―シェ二カーだと久遠は雪子に説明する
拳銃でもガラスは割れないことを響野が神崎にメモ書きで説明すると、神崎はさらに顔を赤くして怒る
成瀬が盗聴に気付いていたことを雪子は知り、響野は雪子に「質問は三つまで受けつける」と言う
警察は防犯訓練、神崎は警察に通報しトランクには死体の林が入っていることを雪子と神崎に説明する
響野は「ボスが消えれば臆病者も冷静になるため地道は自分たちのことは喋らない」と言う
防犯訓練を見てショーみたいだと久遠は思い、古くさいギャング映画だと響野が言う
成瀬と久遠は人は制服でどれくらい騙されるかを賭けていた
成瀬は雪子の電話が盗聴されていただけでなく、雪子を驚かせたかった為、雪子に計画を教えなかった

=成瀬Z= 赤ん坊
成瀬は助手席から雪子の顔を窺うと、目は落ち着き自信も浮かんでおり、信号にも一度も止まらない
地道は逃げ回っており、雪子に手紙を送ってきた(慎一に会いたい、雪子たちのことは喋らない)
慎一は薫と友情を深めた
響野が頬にテープを貼る、雪子以外の三人が車から降り銀行に向かう
強盗するのだとわかる、強盗の時のいつものやり方
成瀬はタダシの電話は地道が盗聴すること、警察の制服を着ることの助言だったのかもしれないと思う
響野に「子供の過大評価は人間の欠点」、久遠に「深読みするなとタダシは思っている」と言われる
成瀬はタダシは「強盗に賛同する気はないが応援している、ドジらないで」と言いたいのだと思う
公園のベンチで赤ん坊が泣き、響野は警報装置のようだと言う
響野が「ロマンはどこだ」と言い拳銃を取り出して銀行に入る
赤ん坊の横を通り過ぎた後、赤ん坊がぴたりと泣きやんだが成瀬は気付かない
急に泣きやんだ赤ん坊を不思議そうに母親たちが眺め始めたころ、成瀬たちの強盗は始まっている

『ランウェイ☆ビート』原田マハ

[プロローグ]
うんめいのであいについて
運命の出会いが油断しまくっている今日やってきた
[うんめいのであい]
おしゃれして得したことがない
ママが芽衣にイケメンの男子をつかまえるよう自分の夢を押しつける
芽衣・キャップをかぶった男の子が目に入る
[ミントの風]
芽衣・男の子の服装などからほかの男の子と違うと思う
芽衣がどんな子なんだろうと身を乗り出すとママに話しかけられる
男の子について(メガネ、ビート)
オレンジ色の車椅子に中学生くらいの女の子
男の子について(背が小さい、服装)
芽衣・追いかけてしまいそうだった
[転入生]
芽衣・きのう見かけた男の子を思いもやもやする
転入生が来ると聞きマンガなら運命の再会を果たすがそんなわけはないと思う
転入生が遅刻して「ビートです」と入ってくる
芽衣・男の子を見てやっぱりなにかが違うと思う
ビートはいなかで仕立て屋をしているじいちゃんがつけた本名
[熱い視線]
芽衣が望んだとおりの展開
クラスの三分の二以上の女子がビートに熱い視線(クラス内カワイイランキング二位のアンナも)
芽衣は誰よりも熱い視線をビーム
ゴウダとアラカワがビートに消しゴムを次々に投げつける
授業が終わりビートがゴウダに「消しゴムを20個くらくれたお礼」と真新しい消しゴムを渡す
ビートが消しゴムを渡している瞬間、芽衣の特別な男の子になった
[直観力]
休み時間ビートはクラスのみんなに囲まれていたため、放課後メイとアンナはビートを急いでつかまえる
ビートはメイとアンナに髪型やスカート丈をアドバイスする
次の日、メイとアンナはアドバイス通りにし、ビートがめちゃくちゃセンスがいいと感じる
メイは自分の直観力に感動
[いじめ]
教室に入るといつもと雰囲気が違う
立花美姫について(モデル、家庭環境、女王様、あまり登校しない)
ミキにメイとアンナは髪型やスカート丈を笑われる
犬田悟(ワンダ)がミキに授業のデータを渡そうとする
ワンダについて(イジメ軍団の犬、パソコンが得意)
アラカワがワンダを足で突き飛ばすと同時に、ビートが入ってくる
[告白?]
ビートがミキに近づきメイは告白するのかと思うが、ミキの服装についてダメ出しをする
驚くミキたちを気にもとめずひっくり返ったままのワンダを引っ張り上げる
ミキは一度席に座るがすぐに立ち上がり帰る
ビートは涼しい顔で教科書を広げていた
[ゆかた選び]
おしゃれに目覚めたメイをママが喜びゆかたを買ってあげると言い店(かせや)に連れて行く
店にビートがおり、きららにゆかたを選んでいる
きららとはかせやの主人の姪で、ビートのもとクラスメイトで、入院している
メイはビートと出会った日を思い出し車椅子の女の子と白いユニフォームの男の人を思い出す
ママがゆかた選びに熱中すると、ビートがメイを抜けようと誘う
[屋上]
ロマンチックなセッティングにメイは心臓がバクバクする
ビートの言葉は人生を変えちゃうのではと思い、メイはビートをもっと知りたいと思う
ビートのじいちゃんはすごい腕があるが、山梨に帰りテーラーを開いた
ビートの父とは家を飛び出しじいちゃんと未だに確執がある
ビートはモードが心底好きなのだとメイは思う
ビートの母はビートを産んですぐ死に、三歳頃からじいちゃんばあちゃんに育てられた
(テーラーは世界中でいちばん好きな場所だった)
父の仕事が忙しくなり、じいちゃんに言われてビートが東京に家事などを助けにきた
[不登校]
メイ・ビートと特別な仲になった気がする
ワンダが不登校(いままでにも何度もある)
ビートがメイにワンダがターゲットにされていることを聞き、放課後つきあってほしいと言う
ビートはワンダを救ういいアイデアがあるらしくワンダの家に二人で行く
[急展開]
何度呼びかけてもワンダは部屋のドアを開けない
ビートがノートになにか書き破ってドアの下のすきまから入れるとドアが開く
ワンダの部屋はパソコンだらけ
ノートの切れ端にはパソコンソフトである「三次元CAD使える?」と書いてあった
ビートはソフトの使い方を教えてもらうかわりにワンダをクラスいちカッコいい男子にすると言う
[ポテンシャル]
ビートは誰だってポテンシャルがあるからカッコよくカワイくなれると言う
ポテンシャルはビートがじいちゃんから教えてもらったいちばん好きで信じてる言葉
おじいちゃんとイギリス人紳士のやりとり、ポテンシャルは潜在能力という意味
[魔法]
ポテンシャルは命あるもの、ほんものには必ず潜んでいるパワー
紳士は強調すればもっといいものになるものを見極めていないと言いたかった
おじいちゃんは紳士のポテンシャルも見抜き紳士に気に入られる
そわそわし、ミキがきたことをビートにメールするメイ
ビートがギリギリに教室に入ってきて、教室の外にいるワンダを呼ぶ
[変身]
超イケてる男の子になったワンダの登場
ワンダに注目が集まりクラスの雰囲気が熱気に包まれているようになっている
メイが作戦大成功とメールするとビートが振り向いて親指を突き立てて見せる
一晩かかってワンダをスタイリングし、登場の演出も考えていた
メイがビートに好きな人がいるかどうか聞くと、届きそうで届かないところにいると答える
オレンジ色の車椅子の女の子を思い出し立ち止まるメイのおでこに前髪を整えるビートの指先が触れる
メイはビートの背中を夢中で追いかけた
[いちばん星]
ワンダに対するミキの態度が変わる(ミキがタイプな俳優Aにワンダが似ている)
メイはいちばんポテンシャルを秘めているのはビートだと思う
メイはこのさきずっとビートを追いかけると決める(ビートは星、ハートのビートを感じる)
[うんめいのであい?]
(ミキ視点)自分自身や、ママについて
「運命の出会い」は教室でやってきた
スタイリストの二階堂(ニカさん)はミキも一目おいている
ミキはアラカワにビートとワンダの写メを撮らせていた
ミキはビートとワンダ(ワンダービート)のどっちを狙うか決めれない
ニカさんが写メを見てかっこいいと言う
[クギづけ]
写メを見るニカさんは真剣な顔つきになりビートのことをそうとうポテンシャルが高いと言う
ビートの私服は全部手作りであることをニカさんは見抜き、大物デザイナーに服が近いと言う
ニカさんはミキにおとすんだったら将来大物になるからビートの方がいいと言う
[墓穴……]
ミキママが「最近登校しすぎ、目指すのは世界一のモデル」であることをミキに言うがミキは暗い気分
メイとアンナが話しかけてくるようになったがテキトーに対応し、ワンダービートへと走る
ワンダの肩にさりげなく触れるとワンダはどぎまぎする
ビートにニカさんの話をするとなぜ私服を知っているのかと聞かれる(墓穴を掘る、地雷を踏む)
[放課後]
手作り服がもっと見たいとせがみミキはビートの家に行くが、ワンダとメイとアンナも一緒
ビートの父の会社はスタイルジャパン(ミキ・安物ブランドだと地雷を踏む)
ビートの父の会社はかなりヤバイ(ミキ・イケてないの?とまた地雷を踏む)
[大人の世界]
スタイルジャパンとビート父について(リアルクローズを作りたかった、看板デザイナーが引き抜かれた)
引き抜かれた看板デザイナーは韓国を代表する超人気イケメンデザイナー、パク・ジュンファ
[悲しい知らせ]
ミキは全校集会で自分のおかげで生徒が集まっている学校は卒業したらどうなるんだろうと漠然と考える
ビート父は無名だったパク・ジュンファを見つけ出しタダモノではないが引き抜いたヤツはさらに上
『PARK』はスタイルジャパンが立ち上げて韓国の会社が買収
パクジュンは日本アパレル最大手『WM』の中のブランド(『ジュンパク』)のデザイナーもしている
パクジュンを引き抜いたのはギョーカイ大御所の安良岡覧
校長が学校が今年限りで廃校になると言う
[大切な場所]
学校は都市開発のために開発業者に買収された
メイまじには落ち込んでいる
ミキのブラウスのそでを引っ張り連れ出すワンダ
ミキは人間って背をしゃんと伸ばすとカッコよく見えるものだと思う
ミキは廃校になってみんなに会えなくなることに胸の奥がうずく
ワンダが学校を存続させるためのいいアイデアがあると言い、おもしろいことが始まるとミキは思う
[始まり]
ワンダの提案はファッションショー
学校の土地を買収しようとしているのは『街中開発』、ビルなどを作り外資系の会社に売る気
ファッションショーでマスコミを味方につける¥
ビートがデザイナーになる
ミキとメイとアンナは一緒に飛び上がりビートとワンダはそれを見て楽しそうに笑う
ミキは今までのファッションショーの中で一番ドキドキする
ファッションショーは二か月後の学園祭と言うワンダの目はキラリ
恋の始まりのようにものすっごいドキドキするミキ
Vサインを5人で合わせた☆のかたちを作りかけ声
[みんなの力]
校長に全員でぶつかり説得する(ワンダは大人と交渉するのが上手い)
担任・ヤマサキはテレビ局就職希望だった
クラス全員がモデルになる
[裁縫道場]
ビートはすごい勢いでデザイン画を描く
コレクションのテーマは「ユナイッテド・エナジー(団結するエネルギー)」
ワンダはCADだけでなく電動ミシンの使い方習得も高速
ワンダが女子に裁縫指導するたび気が気じゃないミキ
ビートの家は裁縫道場化
ビート父が最新型のミシンを送ってくれる
ビートのじいちゃんの登場で完全に道場化
[学園祭]
ミキママが学園祭のファッションショーにミキが出ると知り取り乱す
ミキはビートのじいちゃん・師匠の針テクにも魅せられた
ママが招待状を叩き付け、ミキは家を出る
ママへの感謝を素直に本当は言いたい
校門でマスコミが押し寄せている
ワンダがミキの肩を抱き寄せて助ける
[開幕!]
ミキが話を持ちかけヘアメイクアーティストのテツオさんがショーのヘアメイク担当
テツオさんがビートの服を作品と呼び鳥肌が立ったと言う
ミキはショーの前いつもさっさと終わるようにと思っていたが何かを変えるきっかけになるようにと祈る
ミキはみんなに遠くまで連れてって、ママ見ててと願う
ショーの最後に出るマリエ(ウェディングドレス)をビートが演出しミキが着る
最後にミキは泣き、ミキママも今まででいちばんきれいと泣いてミキを抱きしめる
ミキはクラスのみんなに拍手され、拍手はみんなのもの、ビートのものだと思う
[コール]
デザイナーコールがかかるがビートが行方不明
ミキはノリで悲劇のヒロインのように一人屋上にいるビートを抱き締める
ビート父とじいちゃんが一緒に来てると聞きビートの肩がぴくりと動く
屋上から校庭に全身黒ずくめの女性が見える
ビートがランウェイをかけぬけ校庭に走るが黒ずくめの女性は黒ベンツで走り去る
[奇跡]
学校は有名になりマスコミが殺到
ミキママはおだやかな笑顔、ビートを息子にほしいから落とせと言う
ゴウダとアラカワが告白されていた(アラカワはテツオさんに)
廃校が中止になる(マスコミの他にすごい奇跡が起こった)
クラス全員喜ぶ
ほんとうの奇跡はショー当日に巨額の寄付が届いた(ミキたちは誰によるものか知ることはなかった)
[オファー]
ミキとママが事務所の社長に呼ばれクビを覚悟
ミキはママに素直にあやまれるようになりショーで自分も学校もみんな変わったと思う
マスコミの騒動でミキの株は上がり社長は仕事がたくさん入ってきていることを告げる
ミキママが気持ちを代弁して学校を優先したいことを言う
WM(ワールドモード)の新しいブランドの専属モデルに安良岡がミキを指名
さらに新ブランドのデザイナーにビートを指名
[会いたい]
ミキは安良岡に仕事を断りお金や権力にびくともしないとわざと地雷を踏んで言う
『街中開発』は安良岡の弟の経営、ビートの将来をつぶすことも簡単だと安良岡が言う
ミキはコワくなってワンダに会いたいとメールするとワンダが走ってミキの家に来る
ミキはワンダのことが好きだと気付く
[運命の出会い]
(ワンダ視点)運命の出会いは男(ビート)
ビートに出会う前(ハッキング、いじめ軍団の通信簿書き換え、ミキのおむつ時代ヌード)
ビートのおかげでクラスじゅうが変わった
(ヤマサキはテレビ局転職、ゴウダとアラカワにカノジョ、女の子はみんな綺麗ななった)
ミキ(タチバナさん)は特に綺麗になり、これ以上の接近はヤバいかもしれないとワンダは思う
ミキから会いたいとメールが来てすっ飛んで行ったが何もできず顔を見ただけでワンダはかえってきた
ビート父は背の高いイケメンおやじ
ビートは頑固もので、山梨から東京に来るのもそうとう嫌がっていた
ワンダが来たくなかった理由を聞くとビートと父は黙り込む(地雷)
[衝突]
ビートの部屋はショーの服でいっぱい
ビートは、父とじいちゃんに一緒にショーには来ていないと言われた
ビートが父と山梨に帰れば二人の仲はどうにかなると言いワンダは焦る
ビートが最後は山梨でテーラーを手伝うのが自然だと言いワンダは気にくわない
ワンダはビートにショーが終わってからずっと言いたかったファッションブランドの立ち上げを言う
[決意]
ワンダはビートに気持ちを打ち明ける(ビートと行くとこまでいってみたい)
ワンダは目指すは宇宙一と思うがビートはワンダと違って慎重
ショーで興味を持つ企業がコンタクトしてきた中にWMがあり、ビートはすごい反応をする
ビートは暗い表情をしていて、どことも組まずおれらだけでやってみたいと言う
[始動]
ビートのまずじいちゃんに教えをさずかるところから始めようという考えにワンダはすごいと思う
ワンダはじいちゃん(師匠)がヨーダに見える
じいちゃんは話を聞き怒ってビートに霧吹きを吹きかける(きびしくも愛情あふれるお決まりの教育)
ワンダも霧吹きを吹き付けられる
[友だち]
のろのろとランビー計画(ワンダ命名)が進み、ワンダは焦りを感じる
ブランド名を「ランウェイ☆ビート」に決める
ミキが教室に現れなくなる
ミキの意志を尊重すべきとミキのことをわかっているようなビートの発言にワンダはもしかして?と思う
[急接近]
ミキが一ヶ月ぶりに学校に来る
ワンダは一度だけメールしていたが返事はこなかった
ミキは思いつめた表情をし、寝不足?と話しかけたビートをにらみ無言で教室を出る
ミキを追いかけたワンダがもう少しいてくださいと言う
ワンダがミキにキスしそうになったところでヤマサキが来てミキは走り去る
[いら立ち]
ワンダはテーラー修行をさぼり、ビートとも口をききたくない
ワンダはビートもミキもおれがいようといないと関係ないのだと思う
気が付くと、CADでデザインをパターンに起こしてしまっている
メイとアンナから相談があるから原宿に行かないかとメールが入る
相談とはビートと喧嘩していることについて
メイとアンナにランビー計画を話すとふたりの顔がキラキラする
ビートはワンダを尊重して誰にも計画を話していなかったことをワンダは思う
美人のお姉さんに突然着ている服はどこのブランドのものか聞かれる
[デザイナー]
ワンダはおしゃれスナップなようなものでビートの服の宣伝になると思い積極的にお姉さんと話す
お姉さんはビートを知っているデザイナーでありワンダたちは本物のデザイナーに会い緊張する
お姉さんは南水面、名刺を渡しビートが話してみたいと思ったら連絡するように言う
ミナモは他人じゃなくビートのことをとっくに知ってると言う
ミナモはショーに来ていてビートの服を分析したためワンダたちの服がビートのだとすぐに気付いた
ミナモは日本を代表する若手デザイナー
カフェで男の人からミナモと同じ質問をされる
[イケメンデザイナー]
男の人はパク・ジュンファ
パクジュンはメイとアンナの服やキャップを広げたりなでなでしたりする
タグのRUNWAY☆BEATを見てどこのブランドか聞いてくる
ワンダはメイがビートの名前を出しかけるのを、パクに邪悪なものを感じて止める
[不安]
パクジュンも連絡がほしいと名刺を渡す
ワンダはパクジュンがビート父の会社から引き抜かれたデザイナーだと思い出す
ワンダは悩んだ結果ミキに電話をかける
ミキはミナモはわからないがパクジュンには絶対に連絡しちゃダメだと言う
ミキがこの前のキスしかけたことを聞くがワンダは言葉を失い電話が切れる
[戦略]
メイとアンナとワンダとビートで会議
ワンダはパクジュンに会わないように言うがビートは会ってみたいと言う
ビートはミナモにも会うがパクジュンに会うのが先で、いただきたいモノがあると言う
WMの本社にミキの巨大パネルが貼ってあるのを見てワンダたちは驚く
パクジュンが現れる
[交換条件]
WM本社の中(最新パソコン、大きな仕立て台、すごい数のスタッフ、全員若くて美人)
パクジュンはビート父を覚えていないと言う
ビートの目配せでメイとアンナはパクジュンの写メを撮りその隙にワンダがパソコンからファイルをとる
パクジュンがビートに組もうと誘う
ビートは交換条件としてミキの解放を言う
パネルの写真の目が訴えていたとビートが言いワンダは助けてと言っていたんじゃないかと気付く
パクジュンがWMとの契約を破棄すればミキのモデル生命は終わりだと言う
ビートは見たこともない強い目で言い返す
[誘い]
ワンダはパクジュンのコレクションのデータや顧客名簿を盗んだ
メイとアンナは作りかけの服やパクジュンの生え際を写メで撮っていた
ミナモの本物のデザイナーらしい言葉(素の状態、目も心も開いていたい)がワンダたちの心にしみこむ
ミナモはビート父から新ブランドの立ち上げに誘われていた
メイはビートとミナモのやり取りに不安そう
断るつもりだったが学園祭のショーを見てビートに組むことを提案する
[恋、してる?]
ワンダはミナモの提案に喜ぶがビートは断る
ミナモがビートに好きな女の子がいるんでしょと聞くがビートはうまく切り返す(メイはほっとしている)
ミナモはビートのデザインを見て誰かに思いを伝えたくてデザインしているのだと思った
ミナモの学生時代からのライバルはいいやつで才能があったがSJから大金で大手に引き抜かれていき、ミナモは人間不信になったという話からパクジュンだとワンダたちはわかる
ミナモはワンダたちに会う前にビート父とじいちゃんに会っていた
じいちゃんはミナモのビートと組みたいという提案にビートを「よろしく頼みます」と言った
ワンダたちはみんな感動し、ビートはミキも含めたみんなと一緒に、やらせてくださいとミナモに言う
[好きだ]
ワンダはミキの家でミキが学校に行きたいと言っていると聞きWMはミキの意志に反していると思う
ミキが帰宅するが無視して部屋に入ってしまう
ワンダはビートがしてくれたようにノートを破いてドアの下から入れるとミキが出てくる
ワンダは『助けたい。WM+パクジュンから。』と書いた
ワンダは今までの話をすべてミキにして、隠していることを教えてほしいと言う
ワンダはミキに告白しようとすると同時にキスしてしまい、二人は抱き合う
[運命の出会い]
(ミナモ視点)ミナモにとってビートとの出会いは運命の出会い
ミナモはビートに会い、お洋服が大好きなただの女の子という大切な真実を思い出した
ミナモはビートと組んで作る新ブランドに本気で取り組もうとしている
ミナモのアトリエにメイとアンナが来てじいちゃん(ヨーダ)の裁縫道場の地図を渡す
ビートがじいちゃんのテーラーから始めたがっていると聞きミナモは微笑む
[初めての……]
ミナモがテーラーに行くとワンダとビートは霧吹き攻撃で濡れている
パクジュン新ブランドの秋冬コレクションのテーマは『初めてのえっち?』でミキが餌食になる
[ライバル]
ビートはこのブランドをあやつっているのは安良岡と言う
ミナモのアトリエに安良岡のスパイがいてもおかしくないためビートたちはアトリエに行かなかった
ビートの負けたくないという言葉にミナモはパクジュンの言葉を思い出す
ビートとワンダの目にミナモはゾクゾクする
新ブランドを東京コレクションで『初めての恋』というテーマでいきなりデビューする計画
[初恋]
東コレに出るためにはビート父の協力がいるが弱気になるビート
ミナモは初恋をテーマにすることでビートのポテンシャルが全開になると思う
ワンダは誰かを好きになるのはパワーになると言い、ビートもやってみせると決意する
ビートがミナモたちを病院に連れて行く
ミナモはきららに会い、ビートは彼女を好きな気持ちをコレクションにぶつけるつもりなんだと思う
[信念]
ミナモは熱心にビート父を説得するが三秒で断られる
ミナモはギャラ辞退、師匠の家に住む
パクジュンのテーマを聞き、リアルクローズの話をされ、ビート父も承諾する
ミキに関してはどうにもならないと言うがミナモがなんとかすると言う
[せかいで、いちばん]
極秘で準備し安良岡とパクジュンを出し抜く作戦
メイがミナモにファッション業界に入る相談をすると、恋をしなさいと言う
メイがきららのことをミナモに聞き、ビートにきららがいて良かったと言う
ビートが好きだと泣くメイ、ミナモはパクジュンにせかいで、いちばん好きと告げたことを思い出す
[守りたい。]
チーム全員でミキの家に行くが、ワンダが挙動不審
初めてのえっち?にミキが心なしか頬を染める
ミキは学校を守るために契約破棄できない
ミキとワンダは付き合っている
[ひとこと]
ミキママがワンダと付き合っていることに取り乱す
ビートは「ビートは頼りがいがある、好きってなかなか言えない」と言うメイを見てくすっと笑う
好きのひとことで世界が変わる
ビートとメイはぐずぐずしてちゃだめだよなとつぶやく
[約束]
ミナモは東京コレクションで生徒たちにもう一度モデルになってもらために学校に来る
メイがきららに会いたいとミナモに言いに来る
病院に行くときららはあきらかに弱っていた
きららはノートに『あたしは元気だと、ビートに伝えてください』と書く
メイはきららとショーを必ず見に来るという約束をする
[ハスキーボイス]
ヨーダの裁縫道場にSJのパタンナー、ビートのデザインに息が止まる
ビートはきららにショーが成功するまで会わないと言われている
ミナモはメイがきららに会いに行ったことをビートに話す
制作の拠点をテーラーから東京のビートの家に移す
ミナモはパクジュンを出し抜くことに後ろめたくなるが安良岡に打ち勝つためだと思う
ミナモが忘れ物を取りに帰ると黒ずくめでハスキーボイスの女性が師匠と話している
[流れ星]
ビート宅でのヨーダの裁縫道場は連日フル稼働
メイがきららにメールしても返事が返ってこない
きららに会いにいかないビートにメイは怒るが、ビートはふてくされてしまう
師匠がビートにきららが危ないから病院に行けと言う
ビートがきららの前で泣く
きららが待てなくてごめん、だいすきとビートに伝える
[絆]
ビートの時計は止まる
棺のきららが着ているのはショーの服づくりの中こっそり手縫いしていたマリエ
メイは代わりに私が死ねばよかったと言い、みんな泣く
ビート父が妻を亡くしたとき安良岡の言葉にはげまされる(いつまで泣いてるんだ、ミゾロギ。世界を変えるんだろ?おれたちの手で。さあ、いくぞ―一緒に。)
ビートをはげますつもりで見つけたがだれも声をかけられない
みんな知らず知らず手をつなぎ、絆とビートの心をつなぎとめなければと必死
[闘い]
準備が淡々と進められる
ミナモはなんとかしなければと焦る
ショーの会場に押さえていた会場をいきなり契約破棄される
ミナモはWMに気付かれたのだと思う
会場を探そうとするが銭湯までも押さえられているとビート父に言われる
ミナモはパクジュンを思い出の店に呼び出す
ミナモがパクジュンに怒り、自分から東京コレクションの準備をしていることを白状してしまう
ミナモはいまのパクは好きだったパクじゃないと言い泣いてしまい店を飛び出す
[メッセージ]
ワンダが見つけたショーができそうな廃ビル
ビルの所有者の名前を見てミナモはこの勝負いただき、所有者はおそらく師匠の友人だと言う
ビートの部屋が静かすぎることに不安になりミナモたちはドアを叩くがメイだけはたたずんでいる
メイはノートを1ページ破いてドアの下から入れる
部屋から出てきたビートにみんな抱きつく
メイが入れたノートはきららが書いた文字
[ジャック] (メイ視点)
東京コレクション当日、ひとり残らずビートとビートのデザインとの運命の出会いを感じさせると思う
メイとアンナはランビーではなくWMの会場に潜入している
パクと安良岡はミキが来なくて青くなっている
会場客にいっせいにミキはササクラビルにいるとメールがくる
ゴウダがササクラビルに移動する客をバスに誘導
アンナがパクと安良岡をスタッフのふりをしてバスに誘導
メイとアンナはバイクで会場に向かい,メイは空を飛んでる気分になる
[Ready?]
にぎやかなササクラビルの楽屋
テツオとアラカワのメイクアップコンビ,スタイリストの二階堂(ニカさん)も来てくれた
ビルのオーナーは笹倉散華でいつも黒ずくめ
メイはビートに手を引っ張られる
ビートがみんなに確認を行う,ビート父とじいちゃんが並んで立っている
メイが屋上に出るとものすごい人がうごめいている
アンナの指差した先に不安そうなパクと安良岡
渋谷駅前のいくつもの巨大スクリーンすべてにミキのアップが映し出される
会場が別世界に変わり,ミキ,A組のみんなが次々ランウェイに現れる
リポーターがブランド名(ランウェイ☆ビート)とデザイナーの名前(ビート)を言うと熱い歓声
最後にマリエ姿のミキとワンダがランウェイを歩く
メイは最前列に微笑する黒ずくめの女性と空っぽのオレンジ色の車椅子を見つける
[ランウェイ]
デザイナーコールが起こる
パクと安良岡はボーゼンとしている
黒ずくめの女性=笹倉散華が微笑しながら立ち去り,きららの両親は車椅子にさわり泣く
ランウェイにミナモが出て会場が驚く
ビートが出てこずみんなが口ぐちに叫ぶ
メイがビート出てきてとお願いした瞬間,ビートがランウェイに登場する
近づけないくらいまぶしいと感じているメイにビートが迎えに来る
メイとアンナもランウェイに上がりみんなで手をつないで頭を下げる
楽屋は騒ぎになっていて,師匠の霧吹き攻撃で笑いが起こり,ビート父も楽しそう
楽屋にパクと安良岡が来て静まり返る
安良岡は完敗だと言い,パクも感動している
安良岡とビート父は握手し,パクとミナモはハグし楽屋は拍手でいっぱいになる
[行かないで]
メイは東京コレクションを通してクラスはほんとうにひとつになれたと感じる
メイママはメイがおしゃれにきれいになって嬉しそうにする
ミキとワンダが朝からアツい
教室は明るいムードでみんなビートを心待ちにしているのがわかる
メイが廊下でぶつかった相手は笹倉散華でビートを行かせてあげてねと言われ胸騒ぎがする
始業時間になってもビートは来ずみんなはそわそわする
担任・ヤマサキがビートは引っ越すことになったと言われる
笹倉は日本初パリコレに参加した伝説のデザイナー、ベルギーの学校にビートを留学させたいと言った
ビートからいっせいにクラスみんなにメールがくる
メイは教室を飛び出す
[ビート!!!]
笹倉散華は師匠のよきライバルでまえからビートの才能を見抜いていた
学校への寄付金も一年生を終えたらビートを留学させるという約束で笹倉散華が出した
メイがビートにすごい勢いで電話し駅にむかう
メイが好きだと言おうとするとビートから好きだと言われる
ビートはメイが気になりだし,きららからもメイのことでメールがくるようになっていた
メイは大好きだと叫ぶ
ビートのくちびるがメイのおでこをかすめた次の瞬間ビートは電車に飛び乗る
5番線甲府行きに乗ったビートは笑って親指を突き出す
5番線はヨーダの裁縫道場に行くときに乗っている電車のホーム
ワンダからのメールで留学は断り甲府から学校に通うことが教えられる
メイは泣いて笑って,好きのひとことで世界は変わったと思う
メイはハートのビートがやばいくらいに高まっている

大阪教育大学 国語教育講座 野浪研究室 △ ページTop ←戻る