平成24年度 卒業論文

        

              

  ライトノベルの研究

  ~プロット分析とキャラクター分析から~

大阪教育大学 教育学部 中学校教員養成課程 国語専攻

国語表現ゼミナール

092102 河村拓

指導教官 野浪 正隆先生               

2 目次の予定

目次

1  はじめに

1.1  研究動機

2  研究対象について

2.1  「このライトノベルがすごい!」(宝島社)の概要

2.2  研究対象となる作品

3  研究にあたって

3.1  作品紹介

3.2  研究方法

3.2.1  プロット分析

3.2.2  キャラクター分析

4  研究結果

4.1  プロット分析から

4.2  キャラクター分析から

5  まとめと今後の課題

5.1  作品ごとの考察

5.2  全体考察

5.3  今後の課題

6  おわりに

6.1  おわりに

6.2  参考文献

1 はじめに

1.1 研究動機

 

 私はライトノベルを好んで読んでいる。3回生時の「第47回大阪教育大学国語教育学会」の共同研究発表においてライトノベル研究対象にしたこともあり、卒業論文ではライトノベルの研究をしようと思った。しかし、現在ライトノベルは無数にあり、1ヶ月に100冊以上リリースされている。すべてを研究対象にはできないので、研究対象となる作品を限定しようと思った。そこでライトノベルの公式ガイドブックを参考にし対象となる作品を選出しようと考えた。選出したライトノベルを分析し、ライトノベルにみられる傾向や特徴を見出すことを目的に研究をしようと考えた。

2 研究対象について

2.1 このライトノベルがすごい!(宝島社)の概要

 

 『このライトノベルがすごい!』は、例年12月初旬に発行されるライトノベルのガイドブックである。毎年、発行に先立って「好きな作品(シリーズ)」、「好きな女性キャラクター」、「好きな男性キャラクター」、「好きなイラストレーター」を答えるアンケートが実施され、その結果がランキングとして掲載される。

アンケートによる得点による順位の発表以外にも、作品ジャンル別の詳細な紹介、ランキング1位を獲得した作品の著者へのインタビュー、その1年に起きたライトノベル関連の出来事の概観、これからのライトノベル業界の展望、作品の中での人気の高い台詞など、広範にわたる。 

200412月発行の「このライトノベルがすごい! 2005」から、年1回発行されている。

2.2 研究対象となる作品

 

 今回はこのライトノベルがすごい!(宝島社)に掲載されている、2005年度から2012年度の歴代作品部門ランキング1位の作品を研究対象とする。

[2005年度]

谷川流『涼宮ハルヒシリーズ』(角川スニーカー文庫) 

1巻『憂鬱』(初版発行日2003610日)

2巻『溜息』(2003101日)

3巻『退屈』(200411日)

4巻『消失』(20048月1日)

5巻『暴走』(2004101日)

6巻『動揺』(200541日)

7巻『陰謀』(200581日)

8巻『憤慨』(200651日)

[2006年度]

西尾維新『戯言シリーズ』(講談社ノベルズ)

1巻『クビキリサイクル』(初版発行日200225日)

2巻『クビシメロマンチスト』(200258日)

3巻『クビツリハイスクール』(200285日)

4巻『サイコロジカル(上)』(2002115日)

5巻『サイコロジカル(下)』(2002115日)

6巻『ネコソギラジカル(上)』(200525日)

7巻『ネコソギラジカル(中)』(200565日)

8巻『ネコソギラジカル(下)』(2005117日)

[2007年度]

支倉凍砂『狼と香辛料』(電撃文庫)

1巻『狼と香辛料1』(初版発行日2006210日)

2巻『狼と香辛料2』(2006610日)

3巻『狼と香辛料3』(20061010日)

4巻『狼と香辛料4』(2007210日)

5巻『狼と香辛料5』(2007810日)

6巻『狼と香辛料6』(20071210日)

7巻『狼と香辛料7』(2008210

8巻『狼と香辛料8』(2008510日)

9巻『狼と香辛料9』(2008910日)

10巻『狼と香辛料10』(2009210

11巻『狼と香辛料11』(2009510日)

12巻『狼と香辛料12』(2009810日)

13巻『狼と香辛料13』(20091110日)

14巻『狼と香辛料14』(2010210日)

15巻『狼と香辛料15』(2010910日)

16巻『狼と香辛料16』(2011210日)

17巻『狼と香辛料17』(2011710日)

[2008年度]

賀東招二『フルメタル・パニック!』(富士見ファンタジア文庫)

1巻『戦うボーイ・ミーツ・ガール』(初版発行日19989月)

2巻『疾るワン・ナイト・スタンド』(19993月)

3巻『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』(20002月)

4巻『終わるデイ・バイ・デイ(上)』(200011月)

5巻『終わるデイ・バイ・デイ』(20014月)

6巻『踊るベリー・メリー・クリスマス』(20033月)

7巻『つづくオン・マイ・ウェイ』(200410月)

8巻『燃えるワン・マン・フォース』(20061月)

9巻『つどうメイク・マイ・デイ』(2007320日)

10巻『せまるニック・オブ・タイム』(2008220日)

11巻『ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)』(20107月)

12巻『ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)』(20108月)

[2009年度]

野村美月『文学少女シリーズ』(ファミ通文庫)

1巻『文学少女と死にたがりの道化師』(初版発行日2006428日)

2巻『文学少女と飢え渇く幽霊』(2006830日)

3巻『文学少女と繋がれた愚者』(20061225日)

4巻『文学少女と穢名の天使』(2007428日)

5巻『文学少女と慟哭の巡礼者』(2007830日)

6巻『文学少女と神に臨む作家(上)』(2008428日)

7巻『文学少女と神に臨む作家(下)』(2008830日)

[2010年度]

井上堅二『バカとテストと召喚獣』(ファミ通文庫)

1巻『バカとテストと召喚獣1』(初版発行日2007129日)

2巻『バカとテストと召喚獣2』(2007428日)

3巻『バカとテストと召喚獣3』(2007830日)

4巻『バカとテストと召喚獣4』(2008530日)

5巻『バカとテストと召喚獣5』(20081129日)

6巻『バカとテストと召喚獣6』(2009430日)

7巻『バカとテストと召喚獣7』(2009829日)

8巻『バカとテストと召喚獣8』(2010830日)

9巻『バカとテストと召喚獣9』(2011129日)

10巻『バカとテストと召喚獣10』(201215日)

[2011年度]

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』(電撃文庫)

1巻『とある魔術の禁書目録1』(初版発行日2004410日)

2巻『とある魔術の禁書目録2』(2004610日)

3巻『とある魔術の禁書目録3』(2004910日)

4巻『とある魔術の禁書目録4』(20041210日)

5巻『とある魔術の禁書目録5』(2005410日)

6巻『とある魔術の禁書目録6』(2005710日)

7巻『とある魔術の禁書目録7』(20051110日)

8巻『とある魔術の禁書目録8』(2006110日)

9巻『とある魔術の禁書目録9』(2006410日)

10巻『とある魔術の禁書目録10』(2006510日)

11巻『とある魔術の禁書目録11』(20061010日)

12巻『とある魔術の禁書目録12』(2007110日)

13巻『とある魔術の禁書目録13』(2007410日)

14巻『とある魔術の禁書目録14』(2007710日)

15巻『とある魔術の禁書目録15』(2008110日)

16巻『とある魔術の禁書目録16』(2008610日)

17巻『とある魔術の禁書目録17』(2009310日)

18巻『とある魔術の禁書目録18』(2009710日)

19巻『とある魔術の禁書目録19』(20091110日)

20巻『とある魔術の禁書目録20』(2010310日)

21巻『とある魔術の禁書目録21』(2010810日)

22巻『とある魔術の禁書目録22』(20101010日)

 [2012年度]

川原礫『ソードアート・オンライン』(電撃文庫)

1巻『ソードアート・オンライン1』(初版発行日2009410日)

2巻『ソードアート・オンライン2』(2009810日)

3巻『ソードアート・オンライン3』(20091210日)

4巻『ソードアート・オンライン4』(2010410日)

5巻『ソードアート・オンライン5』(2010810日)

6巻『ソードアート・オンライン6』(20101210日)

7巻『ソードアート・オンライン7』(2011410日)

8巻『ソードアート・オンライン8』(2011810日)

9巻『ソードアート・オンライン9』(2012210日)

10巻『ソードアート・オンライン10』(2012710

3 研究にあたって

3.1 作品紹介

[2005年度]

谷川流『涼宮ハルヒシリーズ』(角川スニーカー文庫)

≪あらすじ≫

ごく普通の一般人のキョンが高校に入学し出会ったのは涼宮ハルヒという女性だった。クラスでの自己紹介で突飛な自己紹介をした涼宮ハルヒ。美少女で人から目立つ存在の彼女だが、異常に変わった性格のためクラスで孤立していた好奇心からキョンが話しかけ、ハルヒと関わりを持つようになる。キョンの助言をもとにハルヒは新しい部活をつくると言い出す。そこに長門有希(宇宙人)、朝比奈みくる(未来人)、小泉一樹(超能力者)を加入させ、SOS団を発足させる。日常に退屈し、非日常を渇望するハルヒには超常現象を引き起こす力があり、キョン以外の3人はハルヒを観察するためにハルヒに近づいた。SOS団の団員たちは、ハルヒが起こす超常現象をハルヒに悟られないように解決し、宇宙人、未来人、超能力者、の勢力に振り回され、ハルヒの気まぐれで引き起こされるトラブルにつきあう日常を過ごしていく。

≪世界観≫

現実世界のような架空の世界。SF要素がなかったら現実世界と変わらない世界。舞台は現代日本のある地域となっており、直接的な地名は明かされていない。兵庫県西宮市がモデルといわれている。

≪ジャンル≫

学園、SF、恋愛

[2006年度]

西尾維新『戯言シリーズ』(講談社ノベルズ)

「僕」こといーちゃんは19歳の大学生。彼には欠落している部分が多くあり、そして周囲に多大なる影響を与えてしまう才能の持ち主だ。彼はいろんな人と出会っていく。数々の天才達、人類最強の請負人、大学の級友、殺人鬼、殺し屋の少女、彼のことを敵とみなす者。出会う先々で彼は事件に巻き込まれて、自身の戯言で事件を解決に導く。そんな中、友人の玖渚友との関係が少しずつ変わっていき、いーちゃんは成長していく。

≪世界観≫

4つの架空の世界が存在する。

「表世界」…一般的な日常世界。凡庸ながらも最上位の力を持つ。現実の世界に近い。

「財力の世界」…表世界に一番近い世界。

「政治力の世界」…一種の結社みたいなものでその力は横向きに広い。世界中に影響する多大な力を持つ。西日本に陣取る組織で、一世界を築いている。

「暴力の世界」…異形・異端・異能こそが支配する秩序で無秩序な世界。

主人公の住んでいる場所は京都となっている。

≪ジャンル≫

ミステリー、恋愛

[2007年度]

支倉凍砂『狼と香辛料』(電撃文庫)

旅の青年行商人のロレンスは商取引のために訪れたパスロ村を後にした夜に、荷馬車で眠る狼の耳と尻尾を持った少女を見つける。彼女は「ヨイツの賢狼」ホロと名乗る。ホロは遠い故郷の「ヨイツ」を離れて放浪中に、パスエロ村の麦に宿った狼であった。ホロは神と呼ばれて村の麦の豊作に尽くしていたが、農業技術の進歩によってないがしろにされており、ロレンスの荷馬車の麦に移って、村を脱出した。ホロが狼の化身と知ったロレンスはホロを旅の道連れにした。二人は様々なトラブルにあいながらホロの故郷を目指して旅をする。

≪世界観≫

中世ヨーロッパを思わせる架空世界で、超常現象は一切無い。唯一の例外が知性を持つ獣が存在で、長寿あるいは不死であり、人に化身することもできる。また、人との間に子をなすことも可能。人間の間ではその存在は伝説となりつつある。

≪ジャンル≫

ファンタジー、経済、恋愛

[2008年度]

賀東招二『フルメタル・パニック!』(富士見ファンタジア文庫)

ミスリルの特殊部隊に所属するアフガンゲリラ出身の最年少エージェントの相良宗介は都立陣代高校に生徒として潜入し、仲間とともに千鳥かなめを秘密裏にボディガードするという特殊任務を与えられる。平和な日常になじめず、常識も皆無な宗介は失敗を繰り返す。かなめに最初は避けられていた宗介だったが、次第に打ち解けていく。かなめはアマルガムという組織に狙われており、宗介はかなめを守るためにアマルガムと戦っていく。

≪世界観≫

20世紀末の現実世界に準じた世界で、現実世界と同じ地名が出てくる。科学技術が進歩し、AS(アーム・スレイブ)という架空の兵器、ミスリル、アマルガムといった架空の組織が登場する。

≪ジャンル≫

ミリタリー、SF、アクション

[2009年度]

野村美月『文学少女シリーズ』(ファミ通文庫)

井上心葉は高校2年生。過去に大きなトラウマを持っている少年だが、彼はひょんなことから、本を食べてしまうくらい本が大好きな文学少女の天野遠子の本を食べるという秘密を知ってしまう。そして文芸部に強制的に入部させられ、毎日毎日三題噺を書かされることになった。遠子に振り回され様々な、事件を遠子と解決していく。その中で様々な人々と関わり、トラウマのもととなった少女と再会し、心葉は成長していく。そして、天野遠子との関係も変わっていく。

≪世界観≫

現実世界と同様の世界。現実世界にある文学作品、作家が題材となっている。舞台は現代日本のある地域で、直接的な地名は出ていない。

≪ジャンル≫

ミステリー、ラブコメ

[2010年度]

井上堅二『バカとテストと召喚獣』(ファミ通文庫)

科学とオカルトによって偶然によって開発された試験召喚システムを筆頭に様々な実験的制度を行っている文月学園。そこに所属する2年生吉井明久は振り分け試験によって最低クラスであるFクラスに入る。憧れの姫路瑞樹や個性的な仲間とともに、より良い設備を目指し、上のクラスに試召戦争を挑、様々なトラブルに巻き込まれ、学園生活を送っていく。

≪世界観≫

デフォルメされた架空の世界。舞台は一風変わった日本の、科学と偶然とオカルトによって開発された「試験召喚システム」を試験的に採用し、学力低下が嘆かれる昨今に新風を巻き起こした文月学園となっている。

≪ジャンル≫

学園、ラブコメ

[2011年度]

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』(電撃文庫)

超能力が科学によって解明された世界。学園都市に住む高校生、上条当麻のもとに純白のシスターが現れた。彼女の名前はインデックスといい、魔術師に追われているという。この世界には科学とは異なる魔術の世界があるという。彼女と出会うことによって、上条当麻は戦いへと導かれる。科学サイド、魔術サイド、様々な事件を通して、しまいには世界大戦にも巻き込まれていく。

≪世界観≫

現実の世界を踏まえつつも、魔術や超能力といった超常的存在が実在する架空の世界。科学技術を基本とする「科学サイド」と、魔術を基本とする「魔術サイド」の二大勢力に分かれている。オカルト的な事象が実在する世界なので、神神々天使精霊などの神格的な高次の存在や、天界や魔界などの異世界も実在する。同時に現実世界と同じく科学的な物理法則が支配する世界でもあるので、地球、宇宙、DNAといった世界構造ももちろん存在する。

≪ジャンル≫

SF、ファンタジー、アクション

[2012年度]

川原礫『ソードアート・オンライン』(電撃文庫)

仮想空間への接続機器を開発したことで世界はついに完全なるバーチャルリアリティを実現させた。この接続機器(ナーブギア)対応の初のVRMMORPG(ソードアート・オンライン)が発売され、1万人のユーザー仮想世界を楽しむはずだったが、ゲームマスターから恐ろしいことを告げられて、仮想世界から出られなくなってしまう。「ソードアート・オンライン」で出会ったアスナや仲間とともにゲーム攻略を目指しているキリトはついに「ソードアート・オンライン」をクリアするが、その後もVRMMORPGにかかわっていく。

≪世界観≫

2020年代の進歩した世界。舞台は東京など、実際の地名がでている日本。本作の根幹を成す「NERDLES」と呼ばれるバーチャルリアリティ技術が存在する。

「NERDLES」の概要…ハードの内側に埋め込まれた無数の信号素子によって発生した多重電界でユーザーの脳と直接接続し、目や耳といった感覚器にではなく、脳に直接仮想の五感情報を与える事で仮想空間を生成する。同時に脳から体へ出力される電気信号も回収するので、仮想空間でいくら動き回っても現実世界の体は決して動かない

≪ジャンル≫

VRMMORPG、サイバーパンク

3.2 研究方法

3.2.2 プロット分析

 項目を決めて表に作品の巻毎のプロットまとめる。(1つの巻に複数の違った話がある場合は、話毎に分ける。)項目は、「時間」、「空間」、「登場人物(中心)」、「登場人物(障害)」、「冒頭」、「結末」、「事件の内容」、「事件の原因」、「事件の結果」、の9項目を設定した。

*項目の説明

「時間」

巻毎に出てくる日付や、季節などを手掛かりにして、1つの巻でどれくらいの時間が流れているのか分析する。同時に、作品の1巻を始点として、作品を通してどのくらいの時間が流れているのか分析する。

1つの巻での時間の長さを「時」、「日」、「週」、「月」で分類する。「時」は1日未満の時間。「日」は1日以上、1週間未満の時間。「週」は1週間以上、1カ月未満の時間。「月」は1カ月以上の時間。作品を通しての時間は始点(作品の1巻の始まり)から、どのくらい流れたか数字で表す。

例 1巻の内容が4月の出来事で1日未満の時間で終わり、2巻の内容が5月の出来事で1週間以上、1カ月未満の時間で終わる場合。

  

1巻

2巻

4月

時(始点)

5月

週(1カ月)

「空間

巻毎に出てくる地名や、建物を手掛かりにして、1つの巻でどれくらいの大きさの空間が使用されているのか分析する。

1つの巻での空間の大きさを「小」、「中」、「大」で分類する。「小」は建物内部や、野球場などの施設内の空間。「中」は市や、町、地域などの空間。「大」は市や、町、地域などを超える、県や、国単位の空間とする。しかし、1つの巻で、登場人物がある町、つまり「中」から、別の町、「中」に移動する内容だった場合は「大」する。   

例 1巻の内容が学校内での出来事で、2巻の内容がある町での出来事の場合。

  

1巻

2巻

学校

ある町

「登場人物(中心)」  

巻毎で起こる中心的な事件に関わる登場人物を分析する。

登場人物を、「主人公」、「ヒロイン」、「援助者」、「第3者」、で分類する。「主人公」は作品を通しての主人公とされる登場人物。「ヒロイン」は作品を通してのヒロインとされる登場人物。「援助者」は作品を通して3巻以上に登場する、主人公と協力的関係にある登場人物。「第3者」は作品を通して、2巻以下に登場する、主人公に敵意の無い登場人物。

例 1巻の事件に関わる登場人物がキョン(主人公)、ハルヒ(ヒロイン)で、       2巻の事件に関わる登場人物がキョン、小泉(援助者)、鶴屋さん(第3者)の場合。

1巻

2巻

キョン、ハルヒ

主人公、ヒロイン

キョン、小泉、鶴屋さん

主人公、援助者、第3者

「登場人物(障害)」  

巻毎に起こる中心的な事件に関わる登場人物の障害となる登場人物を分析する。

障害となる登場人物を「敵単体」、「敵複数」、「敵集団」、「ヒロイン」、「援助者」、「第

3者」、「人外」、「不在」で分類する。

「敵単体」は障害となる登場人物が主人公に対して敵意を持ち、一人だった場合に使

用する。「敵複数」は障害となる登場人物が主人公に対して敵意を持ち、複数人だった

場合に使用する。「敵集団」は主人公や主人公の集団に対して敵意を持つ組織、団体、

集団の場合使用する。「ヒロイン」、「援助者」は敵意が有っても

無くとも、それぞれが障害となる場合に使用する。「敵」と「第3者」の違いは主人公

に対して敵意が有るか、無いかの違いで判断するため、「第3者」の場合は敵意がない

ものとする。

「人外」は障害となるものが人物以外の場合に使用する。「不在」は障害となる登場人

物、ものがいなかった場合に使用する。

例  1巻の障害となる登場人物がハルヒ(ヒロイン)で、2巻の障害となる登場人物

がコンピューター研究部(敵集団)だった場合。

1巻

2巻

ハルヒ

ヒロイン

コンピューター研究部

敵集団

「冒頭」  

巻毎の冒頭部分の内容を分析する。

冒頭部分を「安堵」、「緊張」、「回想」、「予告」で分類する。「安堵」は巻毎の冒頭部分

が平和的なもの、日常的なものの場合に使用する。「緊張」は巻毎の冒頭部分が危機的

なもの、緊急的なものの場合に使用する。いわゆる、シリアスな冒頭の場合に使用す

る。「回想」は巻毎の冒頭部分が登場人物の回想の場合に使用する。「予告」は冒頭部

分が、事件の前兆を感じさせるものの場合に使用する。

例 1巻の冒頭が「キョンの過去の回想」で、2巻の冒頭が「キョンがハルヒから逃げる」だった場合。

1巻

2巻

キョンの過去の回想

回想

キョンがハルヒから逃げる

緊張

「ラスト」  

巻毎の終わり方の分析をする。

終わり方を「日常」、「発展」、「変化」、「継続」で分類する。「日常」は巻毎の終わり方

が、平和的なもの、危機的な状態になる前の日常的なものの場合に使用する。「発展」

は巻毎の終わり方が、新たな事件を予感させるものの場合に使用する。「変化」は巻毎

の終わり方が、登場人物の心情や、取り巻く環境が変化したものの場合に使用する。

例 1巻の終わり方が「キョンとハルヒが部室で会話する」終わり方で、2巻の終わり方が、「ハルヒが次は洞窟探検をしようと言いだす」終わり方の場合。

  

1巻

2巻

キョンとハルヒが部室で会話する

日常

ハルヒが次は洞窟探検をしようと言いだす

発展

「事件の全容」  

巻毎で起こる中心的な事件を分析する。「危機」、「対決」、「調査」、「協力」、「殺人」、

と分類する。「危機」は事件の中心となる人物が危機的な状況に巻き込まれた場合に使

用する。「対決」は事件の中心となる人物が戦う場合に使用する。「調査」は事件の中

心となる人物が、情報を集める場合や、人や物を探す場合に使用する。「協力」は事件

の中心となる人物が、第3者などからの依頼を受ける、第3者を助ける場合に使用す

る。「殺人」は事件の中心となる人物が殺人事件に関わる場合に使用する。

例 1巻で起こる中心的な事件が「キョンとハルヒが対決をする」で、2巻の中心的な事件が、「コンピューター研究部の部長を探しに行く」の場合。

  

1巻

2巻

キョンとハルヒが対決をする

対決

コンピューター研究部の部長を探しに行く

調査

「事件の原因」  

巻毎で起こる中心的な事件の原因を分析する。「主人公」、「ヒロイン」、「援助者」、「第

3者」、「敵」、「人外」、と分類する。「第3者」と「敵」の違いは、主人公に敵意があ

るか、ないかで判断する。「人外」は事件の原因となるものが、人物以外の場合に使用

する。

例 1巻で起こる事件の原因が「ハルヒ(ヒロイン)が世界の崩壊を望んだから」で、2巻で起こる事件の原因が、「コンピューター研究部(敵)がパソコンを取り返したいから」の場合。

  

1巻

2巻

ハルヒが世界の崩壊を望んだから

ヒロイン

コンピューター研究部がパソコンを取り返したいから

「事件の結果」

  巻毎に起こる中心的な事件の結果を分析する。「帰還」、「勝利」、「救済」、「解決」、

「継続」、「失敗」、と分類する。「帰還」は事件の結果、危機的な状況を脱して日常的

な状況に戻った場合に使用する。例えば、「主人公が無人島に漂流し、なんとか生き抜

いて、元に住んでいた場所に戻ってきた。」という場合に「帰還」とする。「勝利」は

事件の結果、事件の中心となる人物が勝利した場合に使用する。「救済」は事件の結果、

人物や、世界を守った、救った場合に使用する。「解決」は事件の結果を、事件の中心

となる人物が対決無しで、事件を解決した場合に使用する。「継続」は事件が終わらず

に、次の巻に事件が継続する場合に使用する。「失敗」は事件の結果、事件の中心とな

る人物が敗北した場合や、探していた人や物がなくなった場合などに使用する。事件

の結果が、負の方向になるものをまとめて「失敗」とする。

例  1巻の事件の結果が「キョンが閉鎖空間から戻ってくる」で、2巻の事件の結果が「コンピュータ研究部部長を助ける」の場合。

  

1巻

2巻

キョンが閉鎖空間から戻ってくる

帰還

コンピュータ研究部部長を助ける

救済

3.2.2 キャラクター分析

 「主人公」、「ヒロイン」、「主人公」と「協力関係」にある「援助者」、主人公と敵対する「敵対者」を対象に項目を決めて表にまとめる。なお、「援助者」、「敵対者」は作品を通して3巻以上登場する人物とする。したがって、作品の中には「敵対者」の項目がない作品もあり、対象となる登場人物の数は作品によって違うことになる。「援助者」だった登場人物が「敵対者」になった場合、「敵対者」だった登場人物が「援助者」になった場合は両方表記する。

表を作る際の縦軸の項目を、キャラクターの「外見」、「能力、役職」、「人間関係」、「性格(外から見える部分)」、「内面(内に秘める部分)」の5項目を設定し、横軸に「過去(登場前)」、「現在(登場時)」、「近未来(話が進むにつれての変化)」の3項目を設定した。

例 キョン(主人公)の場合

キョン(主人公)

過去(登場前)

現在(登場時)

近未来(話が進むにつれての変化)

外見

 

普通の人間

 

能力、役職

 

成績が悪い
高校生

ハルヒを動かす鍵

人間関係

佐々木と仲が良かった

クラスに数人男友達がいる

SOS団で行動することが多い
SOS団メンバー全員と仲が良い

性格(外から見える部分)

「変な女」を好む

変な女を好む
変人
人付き合いが良い

 

内面(内に秘める部分)

宇宙人や未来人、超能力者、幽霊、妖怪、悪の組織などの非日常に憧れていた

非日常なことを信じていない
厄介ごとにはかかわりたくない

非日常を受け入れるようになる
今までの暮らしが実は好きだった
非日常な世界に楽しんでいる

表を参考にし、対象となるキャラクターを分類する。分類は新城カズマ氏著「物語工学論」を参考にし、7つのキャラクターの類型を設定した。研究対象となるキャラクターをこの7つの類型に分類する。類型の名前は

《さまよえる跛行者》

満たされぬなにかを求めて、あるいは欠けているものを探し求めるキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」11ページから引用もっとも典型的・根源的・本質的なヒーロー像。特徴として、「なにかが欠如している」、「なにかが偏っている」。そして、その欠如、偏り故に、放浪する(移動する、変化する)キャラクター。その欠如、偏りを「非対称性」という。「非対称性」とはマイナスの要素だけではなくプラスの要素も含まれる。非常に明確な偏りが、主人公の成長にしたがって次第に薄まっていく、というパターン。(新城カズマ氏著「物語工学論」13ページから引用さらに「探索型」と「彷徨型」の2つのパターンに分けることができる。「探索型」は目的、目標、試練、課題などが非常に明確な場合の型である。「彷徨型」は旅自体が目的である場合、そうした傾向を秘めた場合の型である。(新城カズマ氏著「物語工学論」19ページから引用

(非対称性の例)

欠如・不足(病気、怪我、運動能力の不足、知識不足、感情に乏しい、記憶喪失、経済的困窮、家族や友人の欠如、地位や身分が低い)、偏り・過剰(容姿の非対称、四肢の非対称、特定の感情が強くあらわれる、事実に反する記憶がある、過剰な運動能力、過剰な記憶力、極端な知性、地位や身分が高い、財産が多い)、超常(超能力、異界の住人)(新城カズマ氏著「物語工学論」15ページから引用

《塔の中の姫君》

自ら解決するのが難しく、助けを求めているキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」25ページから引用もっとも古典的で、もっとも理解しやすく、同時にもっとも現代的。閉じ込められている、囚われている、最後には解放される、自力で脱出する、居座り続ける。それがこの類型の基本的なパターン。塔とは物理的なものから、精神的なものまで多岐にわたる。(新城カズマ氏著「物語工学論」26ページから引用

(塔の例)

《内面・心理》性格、感情(内向的性格、怒り、悲しみ、不安、責任感、復讐心)、遺伝的性質、生存本能、事故承認の欠如、記憶や知識(過去の秘密、何気無い一言、ネットの書き込み)、容姿、拘束(首輪、腕輪、足輪、指輪)、鎖や紐や縄、身体的ハンディキャップ、病気、眠り、仮死状態、建築物(塔、迷宮、屋敷、監獄)、特殊な施設(修道院、病院、学校)、乗り物(船、車、飛行機)、一般常識、伝統、信仰心、思考、洞窟、島、惑星、天国や地獄)(新城カズマ氏著「物語工学論」28ページ、29ページ、30ページから引用

※姫君と表記したが、女性で無くともよい

《二つの顔を持つ男》

対立する二つの概念の間で悩んだりうまく立ち回ったりしているキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」39ページから引用二つの次元(パラメーター)を同時に包容している。その二つは何らかの意味で葛藤、対立、相克し、あるいは危ないバランスを保ちながら共存している。正義、法秩序という究極の選択に主として立ち向かうキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」40ページから引用

(二つの顔の例)

善と悪、魂の自由と強制された善、光と闇、文明と野蛮、自然と退廃した文明、正義と腐敗した法秩序、法秩序と独善的な正義、人間と異性物、王侯貴族と庶民や奴隷、王と貧乏貴族、紳士と悪党、高潔な貴族と無知な平民、誇り高い義賊と高慢な貴族、優秀な軍人と敗北主義者、平和主義者と愚かな軍人、探偵と容疑者、真面目な市民と遊び人、社交的な性格と内向的な性格、実力があると実力を隠している)

※男と表記したが、男性で無くともよい(新城カズマ氏著「物語工学論」43ページ、44ページから引用

《武闘戦闘美女》

大切なものを守るなど、苦境から脱却するために戦う女性キャラクター。狭義においては、戦う女性キャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」57ページから引用広義においては、政治的な権力をふるうなど、男性中心の職業に進出していく女性像も含む。(新城カズマ氏著「物語工学論」58ページから引用

(A)自らの性別や社会における立場に悩む、苦悩を超越した武器をもつ女性として行動する。

という典型的なパターンがまず一方にあり、その対極には

(B)男性的なものをすべて拒絶した「超女性が、自衛のために武装する、「超女性独自の社会を構成し、なんらかの方法で「子孫を残す。

というパターンがある。

それとは別に、

(X)男性の服装、特に制服をまとい、その権能を借用する。

というパターンがある。(新城カズマ氏著「物語工学論」63ページから引用

(武装戦闘美女の例)

(A)「戦闘する女性」

命じられて戦闘する、己のアイデンティティに悩みつつ戦う(男として育てられた、しとやかな女性に憧れつつ叶わない、しとやかな女性だが必要に迫られて、男性である自己と女性である自己の二つの意識や記憶がある)、必要に迫られて戦う(なにかを守るため、復讐するため、自己保身)、好んで戦う、戦闘能力が高い、男性的な性格をしている、男性を見下す)

(B)「男性を必要としない女性」

男性なしでも子孫を残せる、子孫を残す必要がない、一時的な集団、男性が役に立てない、男性よりも優秀、男性を好まない

(X)「男性的服装(能力)を借用する女性」

男性と立場を交換する、男性と服装を交換する、一時的に男装する、常に男装する

(新城カズマ氏著「物語工学論」64ページから引用

《危ない賢者》

強い自我と高い知性を持ち、欲望のみを追い求めるキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」95ページから引用わかりやすく言えば、マッドサイエンティストとなる。知識に偏っているだけではなく、知識と、幸福や愛などそれ以外の秩序とをうまく両立できず、そのことを善とするキャラクター。一方を目指すことで他方を切り捨てる。(新城カズマ氏著「物語工学論」96ページから引用

《危ない賢者が希求する対象》

知識(未来の知識、過去の知識、世界や全宇宙に関する知識)、物理現象(災害、ブラックホール等の特異な天体、銀河系の制御、分子や原子レベルの制御、時間の制御、別次元への移動)、超自然的存在等(神を支配、悪魔を支配、天使を支配、死者の魂を支配)、ヒトの感情、事物(乗り物、機械、兵器)、生命(動物、植物、普遍的な生命の制御)人間(具体的人物、人工人間、人類全体)(新城カズマ氏著「物語工学論」106ページ、107ページ、108ページ、109ページから引用

《造物主を亡ぼすもの》

自分を生み出した者に自由や愛などを求める等、復讐や乗り越えようとするキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」111ページから引用《危ない賢者》の対をなすキャラクター。(新城カズマ氏著「物語工学論」112ページから引用

(造物主を亡ぼすものの例)

人工的(人造人間、ロボット、アンドロイド、人工生命、クローン人間、進化した人間、キメラ、人工知能、コンピューター)、自然現象(異常気象、新しい地殻変動、新種の生命、悪魔、妖精)、生物学的(人間、次の人類)社会的(次世代、文明、若者、子ども)、個人的(息子、娘、弟、妹、孫)(新城カズマ氏著「物語工学論」114ページ、115ページから引用

(造物主をほろぼすものの代表的な動機)

造物主に反抗し超克するように運命づけられている、邪悪な造物主を倒すため、造物主を排除し自身が新たな造物主となるため、世界や人類や大事なものを救うため、造物主の希望、造物主のミス、生来の邪悪さ、造物主というより世界を滅ぼすことが目的、反抗自体が目的で造物主を滅ぼす明確な理由や意識がない、自信の生存のため。

(新城カズマ氏著「物語工学論」121ページから引用

《時空を超える恋人たち》

時間や空間やその他の障壁によって妨げられる二人。あるいは、強く結びついた双子や兄弟や仲間たち。古今東西の恋人たち。(新城カズマ氏著「物語工学論」75ページから引用

どちらか一人が欠けてしまうと不完全になるキャラクターたち。障壁を乗り越えて二人が一つになるという特徴をもつ。(新城カズマ氏著「物語工学論」79ページから引用

(恋人たちを妨げる障壁)

属する集団、集合の違い(構成要素が違う、種族等が違う、民族等が違う、身分が違う、経済、政治的立場が違う、社会常識や規範が違う)、属するスケールが違う(一方が素粒子規模、原子規模、分子規模、一方が千分の一、百分の一、十分の一、十倍、百倍、千倍、一方が惑星規模、一方が銀河規模)、属する時空間の違い(空間、時間、次元の隔たり)、不確実性(生死や消息が不明、記憶が不明確、意識や自我が不明確)

(新城カズマ氏著「物語工学論」80ページ、81ページ、82ページ、83ページから引用

*対象となる登場人物

『涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ』 キョン(男、主人公)、涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)、朝比奈みくる(女、援助者)、長門有希(女、援助者)、小泉一樹(男、援助者)合計5人

『戯言シリーズ』 いーちゃん(男、主人公)、玖渚友(女、ヒロイン)、哀川潤(女、援助者)、零崎人識(男、援助者)、想影真心(不明、敵対者)、西東天(男、敵対者)合計6人

『狼と香辛料』 ロレンス(男、主人公)、ホロ(女、ヒロイン)、コル(男、援助者)、エーブ(女、敵対者、援助者)合計4人

『フルメタル・パニック!』 相良宗介(男、主人公)、千鳥かなめ(女、ヒロイン)、テレサ・テスタロッサ(女、援助者)、クルツ・ウェーバー(男、援助者)、メリッサ・マオ(女、援助者)、アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン(男、援助者、敵対者)レナード・テスタロッサ(男、敵対者)、ガウルン(男、敵対者)合計8人

『文学少女シリーズ』 井上心葉(男、主人公)、天野遠子(女、ヒロイン)、朝倉美羽(女、敵対者、援助者)、琴吹ななせ(女、援助者)、芥川一詩(男、援助者)、桜井流人(男、援助者、敵対者)、竹田千愛(女、援助者、敵対者)、桜井叶子(女、敵対者)合計8人

『バカとテストと召喚獣』 吉井明久(男、主人公)、姫路瑞樹(女、ヒロイン)、島田美波(女、ヒロイン)、坂本雄二(男、援助者)、木下秀吉(男、援助者)、土屋康太(男、援助者)、霧島翔子(女、敵対者、援助者)、工藤愛子(女、敵対者、援助者)、久保利光(男、敵対者、援助者)、木下優子(女、敵対者、援助者)、西村教諭(男、敵対者)合計11人

『とある魔術の禁書目録』 上条当麻(男、主人公)、禁書目録(女、ヒロイン)、御坂美琴(女、ヒロイン)、一方通行(男、敵対者、主人公)、打ち止め(女、ヒロイン)、浜面仕上(男、敵対者、主人公)、滝壺理后(女、ヒロイン)、ステイル=マグヌス(男、敵対者、援助者)、土御門元春(男、援助者)、アックア(男、敵対者、援助者)、フィアンマ(男、敵対者)合計11人

『ソードアート・オンライン』 キリト(男、主人公)、アスナ(女、ヒロイン)、リーファ(女、援助者)、クライン(男、援助者)、シノン(女、援助者)、ヒースクリフ(男、敵対者)、須郷信之(男、敵対者)合計7人

合計:60人(男32人:女27人:性別不明1人)

4.研究結果

4.1 プロット分析から

≪時間≫

 作品全体から見ると、総数108中54で「日」が1番多い。全体の50パーセントを占めている。次に、108中37で「週」が多い。全体の34パーセントを占める。次に、108中14で「月」が多い。全体の13パーセントを占める。最後に、108中3で「時」である。全体の3パーセントを占める。

 作品ごとに見ていく。

 『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中8で「日」が1番多い。次に、17中5で「週」が多い。次に、17中4で「月」が多い。最後に、17中1で「時」となる。作品を通して、8巻で「10カ月」進んでいる。

 『戯言シリーズ』では、8中4で「週」が1番多い。次に、8中3で「月」が多い。次に8中1で「日」となり、「時」は0である。作品を通して、8巻で「7カ月」進んでいる。

 『狼と香辛料』では、17中13で「日」が1番多い。次に、17中4で「週」が多い。「月」と「時」は0である。作品を通して、17巻で「6年」進んでいる。

 『フルメタル・パニック!』では、12中7で「週」が1番多い。次に、12中4で「月」が多い。次に、12中1で「日」となる。「時」は0である。作品を通して、12巻で「21カ月」進んでいる。

 『文学少女シリーズ』では、7中5で「週」が1番多い。次に、7中2で「月」が多い。「時」と「日」は0である。作品を通して、7巻で「10カ月」進んでいる。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中6で「日」が1番多い。次に、10中4で「週」が多い。「時」と「月」は0である。作品を通して、10巻で「7カ月」進んでいる。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中19で「日」が1番多い。次に、22中2で「時」が多い。次に、22中1で「週」である。「月」は0である。作品を通して、22巻で「4カ月」進んでいる。

 『ソードアート・オンライン』では、15中7で「日」と「週」が同数となっている。次に、15中1で「月」である。「時」は0である。作品を通して、10巻で「21カ月」進んでいる。

 全体の半分以上が「日」で、8作品中5作品が「日」が1番多いという結果になった。ライトノベルの多くが、1つの巻での期間が、「1日以上、1週間未満」ということがわかる。

しかし、『ソードアート・オンライン』を除く、「週」が1番多い3作品(『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『文学少女シリーズ』)の「日」の数はほとんどない。これらの作品の2番目に多いのは「月」となっている。そして、『とある魔術の禁書目録』を除いた、「日」が1番多い作品の2番目に多いのは「週」となっている(『ソードアート・オンライン』のみ同数)。それらの作品は「月」の数がほとんどない。

このことから、「日-週」型の作品と「週-月」型の作品の二つに分けることができる。『とある魔術の禁書目録』は「日」型の作品と呼べる。

「日-週」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『狼と香辛料』、『バカとテストと召喚獣』、『ソードアート・オンライン』

「週-月」型の作品…『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『文学少女シリーズ』

「日」型の作品…『とある魔術の禁書目録』

作品を通しての時間の進み具合を、巻数の少ない『文学少女シリーズ』の7巻に合わせて比較してみる。

『涼宮ハルヒシリーズ』…9カ月 「始点」…春 「進み具合」…早い

『戯言シリーズ』…6カ月 「始点」…春 「進み具合」…普通

 『狼と香辛料』…2カ月 「始点」…秋 「進み具合」…遅い

 『フルメタル・パニック!』…9カ月 「始点」…春 「進み具合」…早い

 『文学少女シリーズ』…9カ月 「始点」…春 「進み具合」…早い

 『バカとテストと召喚獣』…5カ月 「始点」…春 「進み具合」…普通

 『とある魔術の禁書目録』…3カ月 「始点」…夏 「進み具合」…遅い

 『ソードアート・オンライン』…15カ月 「始点」…夏 「進み具合」…早い

 

「2カ月」から「15カ月」と幅広い結果になった。

 作品の「始点」は8作品中5作品が「春」となっている。「始点」が「春」の作品が多いと言える。

≪空間≫

 作品全体から見ると、総数108中46で「中」が1番多い。全体の43パーセントを占める。次に、108中37で「大」が多い。全体の34パーセントを占める。最後に、108中25で「小」となる。全体の23パーセントである。

 作品ごとに見ていく。

 『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中8で「小」と「中」が同数となっている。次に、17中1で「小」となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中4で「小」が1番多い。次に、8中2で「大」と「中」が同数となっている。

 『狼と香辛料』では、17中14で「中」が1番多い。次に、17中3で「大」が多い。「小」は0である。

 『フルメタル・パニック!』では、12中8で「大」が1番多い。次に、12中3で「小」が多い。最後に、12中1で「中」となっている。

 『文学少女シリーズ』では、10中5で「中」1番が多い。次に、7中2で「小」が多い。「大」は0である。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中8で「小」が1番多い。次に、10中2で「中」が多い。「大」は0である。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中13で「中」が1番多い。次に、22中9で「大」が多い。「小」は0である。

『ソードアート・オンライン』では、15中13で「大」が1番多い。次に、15中2で「中」が多い。「小」は0である。

 「小」と「中」が多い、『涼宮ハルヒシリーズ』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』の3作品は「大」が少ない。これらの3作品「小-中」型の作品と言える。そして、これらの3作品はジャンルが「学園」という共通点がある。「学園」の作品は舞台が、学校や、学校周辺の地域に限定されるから「小」と「中」の数が多くなったのだと考えられる。「学園」の作品の空間は比較的小さくなる傾向があると言える。

 「中」と「大」が多い、『フルメタル・パニック!』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』、『狼と香辛料』の4作品は「小」が少ない。これらの4作品は「中-大」型の作品と言える。そしてこれらの4作品のうち『狼と香辛料』を除いた3作品はジャンルが「バトル」という共通点がある。「バトル」の作品の空間は比較的大きくなる傾向があると言える。『フルメタル・パニック!』と『とある魔術の禁書目録』はジャンルに「学園」要素も含まれているが、「バトル」に比重が置かれているので、空間を大きく設定されている。

 『狼と香辛料』は、ロレンス(主人公)とホロ(ヒロイン)が旅をする話で、1つの巻で1つの町に訪れる、というパターンが出来上がっている。よって、空間は町単位のものが多くなると言える。

 『戯言シリーズ』は、「小」4、「中」2、「大」2となっている。「戯言シリーズ」は作品の前半は、ジャンルが「ミステリー」だったが後半になるにつれ「バトル」に変化している。前半部分は、空間が屋敷(小)や学校(小)研究所(小)だったのだが、後半部分は京都県や福岡県など空間が一気に広がった。「ミステリー」から「バトル」へのこのような結果を生んだのだと考えられる。

 ここから、「小-中」型の作品と「中-大」型の作品と「小-中-大」型の作品に分けることができる。

 「小-中」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』

 「中-大」型の作品…『狼と香辛料』、『フルメタル・パニック!』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

 「小-中-大」型の作品…『戯言シリーズ』

≪登場人物(中心)≫

 作品全体で見ると、総数108中35で「主人公、援助者」の組み合わせが1番多い。全体の32パーセントを占める。次に、108中29で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせが多い。全体の27パーセントを占める。次に、108中14で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせが多い。全体の13パーセントを占める。次に、108中12で「主人公、ヒロイン」の組み合わせが多い。全体の11パーセントを占める。次に、108中10で「主人公」が多い。全体の10パーセントを占める。最後に、108中8で「その他」の組み合わせとなる。「その他」の内容は「主人公、ヒロイン、第3者」、「主人公、援助者、第3者」、「ヒロイン、第3者」、「援助者」、「主人公、第3者」となっている。

作品ごとに見ていく。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中6で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、17中5で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせと「主人公、援助者」の組み合わせが同数となっている。最後に、17中1で「主人公」となる。

 『戯言シリーズ』では、8中3で「主人公、援助者」が1番多い。次に、8中2で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせが多い。最後に、8中1で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせと「主人公」と「その他」が同数となっている。「その他」は「主人公、ヒロイン、第3者」の組み合わせである。

 『狼と香辛料』では、17中7で「主人公、ヒロイン」の組み合わせが1番多い。次に、17中4で「主人公、ヒロイン、援助者」が多い。次に17中3で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせが多い。次に、17中2で「その他(この作品では「援助者」)」、17中1で「主人公」となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中6で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、12中5で「主人公、援助者」の組み合わせが多い。最後に、12中1で「主人公」となっている。

 『文学少女シリーズ』では、7中4で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、7中1で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせと「主人公、援助者」の組み合わせと「主人公」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中5で「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、10中3で「主人公、援助者」の組み合わせが多い。最後に、10中1で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせと「主人公」が同数となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中10で「主人公、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、22中3で「主人公、ヒロイン」の組み合わせと「主人公」が同数となっている。最後に、22中1で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせと、「その他」の「主人公、援助者、第3者」の組み合わせと「主人公、ヒロイン、第3者」の組み合わせと「主人公、第3者」となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中8で「主人公、援助者」の組み合わせが1番多い。次に、15中2で「主人公、ヒロイン」と「その他(この作品では「ヒロインと第3者」の組み合わせ)」が同数となっている。最後に、15中1で「主人公、ヒロイン、援助者、第3者」の組み合わせと「主人公、ヒロイン、援助者」の組み合わせと「主人公」が同数となっている。

『主人公、ヒロイン、援助者』の組み合わせが最も多い、『涼宮ハルヒシリーズ』、『フルメタル・パニック』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』、4作品の共通点は、主人公がヒロインと同じ集団に所属していることである。『涼宮ハルヒシリーズ』では「SOS団」、『フルメタル・パニック!』では「2年4組、ミスリル」、『文学少女シリーズ』では「文芸部」、『バカとテストと召喚獣』では「Fクラス」。この4作品は主人公とヒロインの所属している集団が事件に多く関わるのである。よって、この4作品は「集団」型と言える。

「主人公、援助者」の組み合わせが最も多い、『戯言シリーズ』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』、3作品の共通点は、前述の「集団」型とは違い、主人公とヒロインは同じ集団に所属していない。ヒロインはある集団に属しているが、主人公がどこの集団にも所属していない。よってこの3作品は「無所属」型と言える。

 『狼と香辛料』はロレンス(主人公)とホロ(ヒロイン)が二人で旅をする話である。二人が中心となり旅先でいろんな人々に関わっていく話なので、『狼と香辛料』は「主人公ヒロイン型」と言える。

 ここから、「集団」型の作品と、「無所属」型の作品と、「主人公ヒロイン」型の作品に分けることができる。

 「集団」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』

 「無所属」型の作品…『戯言シリーズ』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

 「主人公ヒロイン」型の作品…『狼と香辛料』

《登場人物(障害)》

作品全体から見ると、108中39で「敵集団」が1番多い。全体の36パーセントを占める。次に、108中26で「敵単体」が多い。全体の24パーセントを占める。次に、108中9で「人外」と「不在」が多い。全体の8パーセントを占める。次に、108中8で「敵複数」、「第3者」、が同数となっている。108中5で「援助者」、108中4で「ヒロイン」となっている。

作品ごとに見ていく。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中4で「敵集団」が1番多い。次に、17中3で「ヒロイン」と「援助者」と「人外」が同数となっている。次に、17中2で「不在」となり、最後に17中1で「第3者」となる。

 『戯言シリーズ』では、8中3で「敵単体」と「敵集団」が同数で1番多い。次に、8中1で「敵複数」と「第3者」が同数となっている。

『狼と香辛料』では、17中5で「敵集団」と「不在」が同数1番多い。次に17中4で「敵単体」が多い。次に、17中2で「人外」となり、最後に、17中1で「第3者」となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中10で「敵集団」が1番多い。次に、12中1で「敵単体」と「援助者」が同数となっている。

 『文学少女シリーズ』では、7中3で「第3者」が1番多い。次に、7中2で「敵単体」となっており、最後に、7中1で「敵集団」と「ヒロイン」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中8で「敵集団」が1番多い。次に、10中1「敵複数」と「援助者」が同数となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中10で「敵単体」が1番多い。次に、22中6で「敵集団」が多い。次に、22中4で「敵複数」が多い。最後に22中1で「第3者」と「人外」が同数となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中5で「敵単体」が1番多い。次に、15中3で「人外」が多い。次に、15中2で「敵複数」と「敵集団」と「不在」が同数となっている。最後に、15中1で「第3者」となっている。

 

8作品中4作品が「敵集団」が最も多い。『涼宮ハルヒシリーズ』は17中4が「敵集団」で、4つの巻に敵意を持った集団が障害となるが、残りの巻の障害は、全部敵意の無いものになっている。『狼と香辛料』は17中5が「敵集団」で、17中4が「敵単体」となっている。残りは17中5で「不在」と17中2で「人外」、17中1で「援助者」となっている。敵意のある障害と敵意の無い障害が半分ずつとなっている。『フルメタル・パニック!』12中10で「敵集団」となっている。ほとんどの巻で敵意を持った集団が障害となっている。12中1で「敵単体」と「援助者」なっており、ほとんどの巻の障害が敵意をもっている。同様に『バカとテストと召喚獣』も10中8で「敵集団」となっており、この作品もほとんどの巻で敵意を持った集団が障害となっている。12中1で「敵複数」と「援助者」になっており、ほとんどの巻の障害が敵意をもっている。

8作品中2作品が「敵単体」が最も多い。『とある魔術の禁書目録』は22中10で「敵単体」、22中6で「敵集団」、22中4で「敵複数」となっており、22中1で「第3者」と「人外」となっている。この作品もほとんどの巻で敵意をもったものが障害となる。『ソードアート・オンライン』は15中5で「敵単体」、15中2で「敵複数」と「敵集団」となっており、15中3で「人外」15中2で「不在」、15中1で「第3者」となっている。ソードアート・オンラインの「人外」とはゲーム内での敵キャラクターなので、敵意のある設定になっている。この作品もほとんどの巻で敵意をもったものが障害となる。

『戯言シリーズ』は8中3で「敵集団」と「敵単体」が同率で最も多い。8中1が「敵複数」となっており、8中1で「第3者」が障害となっている。この作品もほとんどの巻の障害が敵意をもったものになっている。

『文学少女シリーズ』は7中3で「第3者」が1番多い。7中1で「ヒロイン」となっており、7中2で「敵単体」となっており、7中1で「敵集団」なっている。敵意のある障害と敵意の無い障害が半分ずつとなっている。

 ここから、「敵意多」型の作品と、「敵意半」型の作品と、「敵意少」型の作品に分けることができる。

「敵意多」型の作品…『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『バカとテストと召喚獣』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

「敵意半」型の作品…『狼と香辛料』、『文学少女シリーズ』

「敵意少」型の作品…『涼宮ハルヒの憂鬱』

《冒頭》

作品全体から見ると、108中36で「予告」が1番多い。全体の33パーセントを占める。次に、108中25で「安堵」と「回想」が同数となっている。全体の23パーセントずつを占める。最後に、108中22で「緊張」となる。全体の21パーセントを占める。

 作品ごとに見ていく。

 『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中15で「回想」が1番多い。次に、17中1で「安堵」と「予告」が同数となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中3で、「緊張」が1番多い。次に、8中2で「回想」と「予告」が同数となっている。最後に、8中1で「安堵」となっている。

 『狼と香辛料』では、17中8で「安堵」が1番多い。次に、17中5で「予告」が多い。最後に、17中2で「緊張」と「回想」が同数となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中5で「安堵」が1番多い。次に、12中4で「緊張」が多い。次に、12中2で「予告」となり、最後に、12中1で「回想」はとなっている。

 『文学少女シリーズ」では、7中7で「予告」だけである。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中7で「予告」が1番多い。次に、10中2で「安堵」が多い。最後に、10中1で「緊張」となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中9で「緊張」が1番多い。次に、22中8で「予告」が多い。次に、22中3で「安堵」となり、最後に、22中2で「回想」となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中5で「安堵」が1番多い。次に、15中4で「予告」が多い。最後に、15中3で「緊張」と「回想」が同数となっている。

 

『涼宮ハルヒシリーズ』の冒頭はほとんどが「回想」である。これは主人公の回想であり、自信の考えや、ハルヒ(ヒロイン)の事、ハルヒ関連の出来事のことなどを主人公が回想しているのである。いわばパターン化された冒頭になっている。パターン化された冒頭は、『狼と香辛料』と『文学少女シリーズ』と『バカとテストと召喚獣』もそうである。『狼と香辛料』の冒頭は半分が「安堵」で残りに「予告」、「緊張」、「回想」とある。この作品の冒頭は、ロレンス(主人公)とホロ(ヒロイン)が次の町に向かう様子が描かれている。その多くはゆったりとしたもので、まれに早々としたものがある。『文学少女シリーズ』の冒頭の全部は「予告」となっている。これは、登場人物の1人称の言葉であり、事件のキーマンになる登場人物の心の声になっている。この作品の特徴として、1つの巻に、必ず1つの文学小説が事件に絡んでくるのである(例、太宰治著『人間失格』、ジッド著『狭き門』など)。そして、冒頭の言葉は文学作品に絡ませたもので、事件の前兆となっている。『バカとテストと召喚獣』の冒頭はほとんどが「予告」になっている。これは、登場人物同士の会話であり、その巻で起こる事件に関連した会話を登場人物同士がしているのである。

『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』の冒頭はパターン化されていない。笑いを起こすものから、いきなり戦闘に入るものまで幅広い。

 ここから、「冒頭規則」型の作品と、「冒頭不規則」型の作品に分けることができる。

 「冒頭規則」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『狼と香辛料』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』

 「冒頭不規則」型の作品…『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

《ラスト》

作品全体から見ると、108中53で「発展」が1番多い。全体の49パーセントを占める。次に、108中31で「日常」が多い。全体の29パーセントを占める。最後に、108中24で「変化」となる。全体の22パーセントを占める。

 作品ごとに見てみる。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中10で「日常」が1番多い。次に、17中5で「発展」が多い。最後に、17中2で「変化」となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中4で、「発展」が1番多い。次に、8中2で「日常」と「変化」が同数となっている。

 『狼と香辛料』では、17中8で「日常」が1番多い。次に、17中6で「発展」が多い。最後に、17中3で「変化」となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中7で「発展」が1番多い。次に、12中3で「変化」が多い。次に、12中2で「日常」となっている。

 『文学少女シリーズ』では、7中5で「発展」が1番多い。次に、7中1で「日常」と「変化」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中6で「発展」が1番多い。次に、10中3で「変化」が多い。最後に、10中1で「日常」となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中11で「発展」が1番多い。次に、22中6で「変化」が多い。最後に、22中5で「日常」となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中9で「発展」が1番多い。次に、15中4で「変化」が多い。最後に、15中2で「日常」となっている。

 8作品中6作品が「発展」が最も多い。「変化」が2番目に多くなっている。これらの作品は、終わり方であからさまな次巻への誘発をしていると考えられる。次の事件への前兆や、登場人物の変化で、次はどうなるのか読者の購買意欲を掻き立てている。次回予告のような終わり方である。

 8作品中2作品は「日常」が最も多い。『涼宮ハルヒシリーズ』も『狼と香辛料』も「日常」が多くを占めている。この2つの作品はあまり、次の巻の展開を予測させにくい仕様となっている。1話完結のような終わり方である。

 ここから、「次回予告」型の作品と、「1巻完結」型の作品分けることができる。

 「次回予告」型の作品…『戯言シリーズ』、『フルメタル・パニック!』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

 「1巻完結」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『狼と香辛料』

《事件の全容》

作品全体から見ると、108中45で「危機」が1番多い。全体の41パーセントを占める。次に、108中23で「対決」が多い。全体の21パーセントを占める。次に、108中17で「調査」が多い。全体の16パーセントを占める。次に、108中15で「協力」が多い。全体の14パーセントを占める。最後に、108中8で「殺人」となる。全体の7パーセントを占める。

作品ごとに見てみる。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中10で「危機」が1番多い。次に、17中4で「協力」が多い。最後に、17中1で「対決」と「調査」と「殺人」が同数となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中4で、「殺人」が1番多い。次に、8中2で「対決」が多い。最後に、8中1で「危機」と「調査」が同数となっている。

 『狼と香辛料』では、17中8で「危機」が1番多い。次に、17中5で「協力」が多い。次に、17中4で「調査」が多い。最後に、17中1で「対決」となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中6で「危機」が1番多い。次に、12中3で「対決」と「調査」が同数となっている。

 『文学少女シリーズ』では、7中4で「危機」が1番多い。次に、7中1で「調査」と「殺人」と「協力」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中5で「対決」が1番多い。次に、10中4で「危機」が多い。最後に、10中1で「調査」となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中11で「危機」が1番多い。次に、22中9で「対決」が多い。最後に、22中2で「調査」となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中5で「協力」が1番多い。次に、15中4で「調査」が多い。最後に、15中2で「危機」と「対決」と「殺人」が同数となっている。

 

ここから、「事件5種」型の作品と、「事件4種」型の作品と、「事件3種」型の作品に分けることができる。

 「事件5種」型…『涼宮ハルヒシリーズ』、『ソードアート・オンライン』

 「事件4種」型…『戯言シリーズ』、『狼と香辛料』、『文学少女シリーズ』

 「事件3種」型…『フルメタル・パニック!』、『バカとテストと召喚獣』、『とある魔術の禁書目録』

《事件の原因》

 作品全体から見ると、108中57で「敵」が1番多い。全体の53パーセントを占める。次に、108中17で「ヒロイン」が多い。全体の16パーセントを占める。次に、108中12で「主人公」と「第3者」が同数となっている。全体の11パーセントずつを占める。次に、108中7で「援助者」となり、最後に108中3で「人外」となる。

作品ごとに見てみる。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中6で「ヒロイン」が1番多い。次に、17中4で「敵」と「援助者」が同数となっている。次に、17中2で「第3者」となり、最後に、17中1で「人外」となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中6で「敵」が1番多い。次に、8中1で「ヒロイン」と「第3者」が同数となっている。

 『狼と香辛料』では、17中9で「敵」が1番多い。次に、17中4で「ヒロイン」が多い。最後に、17中2で「第三者」と「人外」が同数となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中6で「敵」が1番多い。次に、12中5で「主人公」が多い。最後に、12中1「援助者」となっている。

 『文学少女シリーズ』では、7中3で「第3者」が1番多い。次に、7中2で「敵」が多い。最後に、7中1で「主人公」と「ヒロイン」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中4で「敵」が1番多い。次に、10中3で「ヒロイン」と「主人公」が同数となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中19で「敵」が1番多い。次に、22中1で「ヒロイン」と「援助者」と「第3者」が同数となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中7で「敵」が1番多い。次に、15中3で「主人公」と「第3者」が多い。最後に、15中1で「ヒロイン」と「援助者」が同数となっている。

 全体の半分以上が「敵」で、8作品中6作品で「敵」が1番多いという結果になった。ライトノベルの多くの事件の原因が「敵意のある登場人物」ということがわかった。

 ここで、主人公の身内じゃない「敵」、「第3者」、「人外」を「外的原因」とし、主人公とその身内、「主人公」、「ヒロイン」、「援助者」を「内的原因」とわける。

 『涼宮ハルヒシリーズ』の「外的原因」は17中6となり、「内的原因」は17中11となる。

 『戯言シリーズ』の「外的原因」は8中7となり、「内的原因」は8中1となる。

 『狼と香辛料』の「外的原因」は17中13となり、「内的原因」は17中7となる。

 『フルメタル・パニック!』の「外的原因」は12中6となり、「内的原因」は12中6となる。

 『文学少女シリーズ』の「外的原因」は7中5となり、「内的原因」は7中2となる。

 『バカとテストと召喚獣』の「外的原因」は10中4となり、「内的原因」は10中6となる。

 『とある魔術の禁書目録」の「外的原因」は22中20となり、「内的原因」は22中2となる。

 『ソードアート・オンライン』の「外的原因」は15中10となり、「内的原因」は15中5となる。

 ここから、「外的原因」型の作品と「内的原因」の作品と「両的原因」の作品に分けることができる。

 「外的原因」型の作品…『戯言シリーズ』、『狼と香辛料』、『文学少女シリーズ』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

 「内的原因」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』、『バカとテストと召喚獣』

 「両的原因」型の作品…『フルメタル・パニック!」

《事件の結果》

 作品全体から見ると、108中32で「解決」が1番多い。全体の30パーセントを占める。次に、108中23で「勝利」が多い。全体の21パーセントを占める。次に、108中18で「救済」が多い。全体の17パーセントを占める。次に、108中16で「継続」が多い。全体の15パーセントを占める。次に、108中14で「失敗」が多い。全体の13パーセントを占める。最後に、108中5で「帰還」となる。全体の4パーセントを占める。

作品ごとに見てみる。

『涼宮ハルヒシリーズ』では、17中7で「解決」が1番多い。次に、17中5で「救済」が多い。次に、17中3で「帰還」が多い。最後に、17中2で「勝利」となっている。

 『戯言シリーズ』では、8中2で、「救済」と「解決」と「勝利」と「継続」が同数となっている。

 『狼と香辛料』では、17中7で「解決」が1番多い。次に、17中4で「失敗」が多い。次に、17中3「救済」が多い。次に、17中2で「勝利」となり、最後に、17中1で「継続」となっている。

 『フルメタル・パニック!』では、12中5で「勝利」が1番多い。次に、12中3で「失敗」が多い。次に、12中2で「継続」が多い。最後に、12中1で「帰還」と「救済」が同数となっている。

 『文学少女シリーズ」では、7中5で「解決」が1番多い。次に、7中1で「継続」と「失敗」が同数となっている。

 『バカとテストと召喚獣』では、10中4で「勝利」と「失敗」が同数で1番多い。次に、10中1で「調査」と「継続」が同数となっている。

 『とある魔術の禁書目録』では、22中8で「勝利」が1番多い。次に、22中6で「救済」が多い。次に、17中4で「継続」が多い。次に、17中3で「解決」となり、最後に17中1で「失敗」となっている。

 『ソードアート・オンライン』では、15中7で「解決」が1番多い。次に、15中5で「継続」が多い。最後に、15中1で「帰還」と「救済」と「失敗」が同数となっている。

 ここで事件の結果を、「解決」、「勝利」、「救済」、「帰還」のプラス要素と「失敗」、「継続」のマイナス要素でわける。

 『涼宮ハルヒシリーズ』は17中17でプラス要素のみとなる。

 『戯言シリーズ』は8中6がプラス要素となり、8中2がマイナス要素となる。

 『狼と香辛料』は17中12がプラス要素となり、17中5がマイナス要素となる。

 『フルメタル・パニック!』は12中7がプラス要素になり、12中5がマイナス要素となる。

 『文学少女シリーズ』は7中5がプラス要素になり、7中2がマイナス要素になる。

 『バカとテストと召喚獣』は10中5がプラス要素になり、10中5がマイナス要素になる。

 『とある魔術の禁書目録」は22中17がプラス要素になり、22中5がマイナス要素になる。

 『ソードアート・オンライン』は15中9がプラス要素になり、15中6がマイナス要素になる。

 『涼宮ハルヒシリーズ』以外の作品には、結果がマイナスになる巻が含まれる。結果がマイナスになれば話は円滑に進まない。作品を通しての「困難」の巻があると言える。

 ここから、「円滑」型の作品と、「困難」型の作品に分けることができる。

 「円滑」型の作品…『涼宮ハルヒシリーズ』

 「難儀」型の作品…『戯言シリーズ』、『狼と香辛料』、『フルメタル・パニック!』、『文学少女シリーズ』、『バカとテストと召喚獣』、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』

・キャラクター分析から

 

《さまよえる跛行者》

『涼宮ハルヒシリーズ』…キョン(男、主人公)、涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)、長門有希(女、援助者)

『戯言シリーズ』いーちゃん(男、主人公)零崎人識(男、援助者)

『狼と香辛料』コル(男、援助者)

『フルメタル・パニック!』…なし

『文学少女シリーズ』井上心葉(男、主人公)、天野遠子(女、ヒロイン)、桜井流人(男、援助者、敵対者)、竹田千愛(女、援助者)

『バカとテストと召喚獣』吉井明久(男、主人公)、坂本雄二(男、援助者)、木下秀吉(男、援助者)、土屋康太(男、援助者)、霧島翔子(女、敵対者、援助者)

『とある魔術の禁書目録』上条当麻(男、主人公)一方通行(男、敵対者、援助者)

『ソードアート・オンライン』キリト(男、主人公)シノン(女、援助者)、クライン(男、援助者)

対象となるキャラクター60人中20人のキャラクターがこの類型にあてはまる。8作品中6作品の主人公がこの類型にあてはまっている。主人公に多い類型だと言える。男女比をみると、18人中12人が男性キャラクターで、18人中6人が女性キャラクターとなっている。男性に多い類型だと言える。『バカとテストと召喚獣』から多くのキャラクターがあてはまる。この作品のキは欠如している部分、偏っている部分があるキャラクターが多いと言える。

・欠如…いーちゃん(男、主人公)、長門有希(女、援助者)竹田千愛(女、援助者)

・偏り(正)…涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)、零崎人識(男、援助者)井上心葉(男、主人公)木下秀吉(男、援助者)坂本雄二(男、援助者)一方通行(男、敵対者、援助者)キリト(男、主人公)、クライン(男、援助者)

・偏り(負)…コル(男、援助者)、吉井明久(男、主人公)

・偏り(感情)…桜井流人(男、援助者、敵対者)、土屋康太(男、援助者)霧島翔子(女、敵対者、援助者)シノン(女、援助者)

・偏り(特殊)…キョン(男、主人公)、天野遠子(女、ヒロイン)、上条当麻(男、主人公)

 キャラクターの欠如、偏りを5つに分類してみた。「欠如」は欠如している部分があるキャラクター。「偏り(正)」偏っているは部分が優れているキャラクター。「偏り(負)」は偏っている部分が劣っているキャラクター。「偏り(感情)」は偏った感情をもっているキャラクター。「偏り(特殊)」は特殊な能力を持っているキャラクター。

 18人中8人が「偏り(正)」に分類される。この類型にあてはまるキャラクターの多くが優れた能力をもっていることがわかる。

《塔の中の姫君》

『涼宮ハルヒシリーズ』…なし

『戯言シリーズ』玖渚友(女、ヒロイン、想影真心(不明、敵対者、援助者

『狼と香辛料』…なし

『フルメタル・パニック!』千鳥かなめ(女、ヒロイン)、テレサ・テスタロッサ(女、援助者)

『文学少女シリーズ』井上心葉(男、主人公)、天野遠子(女、ヒロイン)琴吹ななせ(女、援助者)、芥川一詩(男、援助者)、朝倉美羽(女、敵対者、援助者)、竹田千愛(女、援助者、敵対者)

『バカとテストと召喚獣』姫路瑞樹(女、ヒロイン)

『とある魔術の禁書目録』禁書目録(女、ヒロイン)、美坂美琴(女、ヒロイン)、打ち止め(女、ヒロイン)滝壺理后(女、ヒロイン)

『ソードアート・オンライン』アスナ(女、ヒロイン)、シノン(女、援助者)

対象となるキャラクター60人中17人のキャラクターがこの類型にあてはまる。8作品中6作品のヒロインにこの類型があてはまっている。ヒロインに多い類型と言える。男女比を見ると、17人中13人が女性キャラクターで、17人中2人が男性キャラクターで、17人中1人が性別不明なキャラクターとなっている。この類型は女性に多い類型と言える。この類型があてはまる男性キャラクター2人が登場する『文学少女シリーズ』からは多くのキャラクターが選ばれている。この作品は救済されるキャラクターが多いと言える。

 

《二つの顔を持つ男》

『涼宮ハルヒシリーズ』…涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)、朝比奈みくる(女、援助者)、長門有希(女、援助者)、小泉一樹(男、援助者)

『戯言シリーズ』…玖渚友(女、ヒロイン)、零崎人識(男、援助者)

『狼と香辛料』…なし

『フルメタル・パニック!』相良宗介(男、主人公)、千鳥かなめ(女、ヒロイン)アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン(男、援助者、敵対者)

『文学少女シリーズ』…琴吹ななせ(女、援助者)、桜井叶子(女、敵対者)

『バカとテストと召喚獣』…島田美波(女、援助者)久保利光(男、敵対者、援助者)、西村教諭(男、敵対者)

『とある魔術の禁書目録』ステイル=マグヌス(男、敵対者、援助者)、土御門元春(男、援助者)、アックア(男、敵対者、援助者)

『ソードアート・オンライン』…なし

 対象となるキャラクター60人中17人のキャラクターがこの類型にあてはまる。主人公、ヒロイン、援助者、敵対者すべてにあてはまる類型とわかる。男女比をみると、17人中9人が男性キャラクターで、15人中8人が女性キャラクターとなっている。どの立場にいるキャラクターにもあてはまる類型といえる。特に援助者に多い類型となっている。主人公をサポートする立場のキャラクターが対立する二つの概念を持っていることが多いと言える。

《武闘戦闘美女》

『涼宮ハルヒシリーズ』…なし

『戯言シリーズ』哀川潤(女、援助者)

『狼と香辛料』…エーブ(女、敵対者、援助者)

『文学少女シリーズ』…桜井叶子(女、敵対者)

『フルメタル・パニック!』…テレサ・テスタロッサ(女、援助者)、メリッサ・マオ(女、援助者)

『バカとテストと召還獣』…姫路瑞樹(女、ヒロイン)、島田美波(女、援助者)、霧島翔子(女、敵対者、援助者)、工藤愛子(女、敵対者、援助者)、木下優子(女、敵対者、援助者)

『とある魔術の禁書目録』…御坂美琴(女、ヒロイン)神裂火織(女、敵対者、援助者)

『ソードアート・オンライン』…アスナ(女、ヒロイン)、リーファ(女、援助者)、シノン(女、援助者)

 

対象となるキャラクター60人中15人のキャラクターがこの類型にあてはまるといえる。この類型は女性キャラクターにしかあてはまらない。ヒロイン、援助者、敵対者すべてにあてはまるキャラクターといえる。

(A)「戦闘する女性」にあてはまるキャラクターは、哀川潤(女、援助者)テレサ・テスタロッサ(女、援助者)メリッサ・マオ(女、援助者)、姫路瑞樹(女、ヒロイン)、島田美波(女、援助者)、霧島翔子(女、敵対者、援助者)、工藤愛子(女、敵対者、援助者)、木下優子(女、敵対者、援助者)御坂美琴(女、ヒロイン)神裂火織(女、敵対者、援助者)アスナ(女、ヒロイン)、リーファ(女、援助者)、シノン(女、援助者)で、(B)「男性を必要としない女性」にあてはまるキャラクターは、桜井叶子(女、敵対者)で、(X)「男性的服装(能力)を借用する女性」にあてはまるキャラクターはエーブ(女、敵対者、援助者)となっており、(A)タイプが多いと言える。このタイプのキャラクターが登場する作品は戦闘要素が含まれるので必然的結果と言える。

《危ない賢者》

『涼宮ハルヒシリーズ』…なし

『戯言シリーズ』…西東天(男、敵対者)

『狼と香辛料』…なし

『フルメタル・パニック!』…アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン(男、援助者、敵対者)、レナード・テスタロッサ(男、敵対者)、ガウルン(男、敵対者)

『文学少女シリーズ』…なし

『バカとテストと召喚獣』…なし

『とある魔術の禁書目録』…フィアンマ(男、敵対者)

『ソードアート・オンライン』…ヒースクリフ(男、敵対者)、須卿信之(男、敵対者)

対象となるキャラクター60人中5人がこの類型にあてはまる。この類型にあてはまるキャラクターは非常に少ないと言える。敵対者にしかあてはまらないキャラクターとわかる。この類型があてはまるキャラクターが登場する作品は戦闘要素を含むものである。戦闘要素を含む作品には、過剰な知識をもち、欲望のみを追い求め、いずれは破滅を導くキャラクターが登場すると言える。

《造物主を亡ぼすもの》

『涼宮ハルヒシリーズ』…なし

『戯言シリーズ』…哀川潤(女、援助者)、想影真心(不明、敵対者、援助者)

『狼と香辛料』…なし

『フルメタル・パニック!』…相良宗介(男、主人公)

『文学少女シリーズ』…なし

『バカとテストと召喚獣』…なし

『とある魔術の禁書目録』…なし

『ソードアート・オンライン』…キリト(男、主人公)

対象となるキャラクター60人中4人がこの類型にあてはまる。この類型にあてはまるキャラクターは非常に少ないとわかる。造った側と造られる側の関係のキャラクターたちが登場する作品は少ないと言える。もしくは、親や師弟関係のキャラクターたちが対立する構図は非常にまれであると言える。

《時空を超える恋人たち》

『涼宮ハルヒシリーズ』…なし

『戯言シリーズ』…いーちゃん(男、主人公)、玖渚友(女、ヒロイン)

『狼と香辛料』…ロレンス(男、主人公)、ホロ(女、ヒロイン)

『フルメタル・パニック!』…相良宗介(男、主人公)、千鳥かなめ(女、ヒロイン)、メリッサ・マオ(女、援助者)、クルツ・ウェーバー(男、援助者)

『文学少女シリーズ』…井上心葉(男、主人公)、天野遠子(女、ヒロイン)

『とある魔術の禁書目録』…上条当麻(男、主人公)、禁書目録(女、ヒロイン)、一方通行(男、敵対者、主人公)、打ち止め(女、ヒロイン)浜面仕上(男、敵対者、主人公)、滝壺理后(女、ヒロイン)

『ソードアート・オンライン』…キリト(男、主人公)、アスナ(女、ヒロイン)

 

 対象となるキャラクター60人中18人がこの類型にあてはまる。8作品中7作品の主人公とヒロインにこの類型があてはまる。多くの作品に、障害をのりこえて、互いを求め合うキャラクターが登場することが分かる。

 

 

《複数の類型をもつキャラクター》

 キャラクターを分類する過程で、複数の類型を持つキャラクターが多いことが分かった。類型が複数あるということは、多面的なキャラクターになっていると言える。

『涼宮ハルヒシリーズ』

涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)《さまよえる跛行者》《二つの顔を持つ男》

長門有希(女、援助者)《さまよえる跛行者》《二つの顔を持つ男》

『戯言シリーズ』

いーちゃん(男、主人公)《さまよえる跛行者》《時空を超える恋人たち》

玖渚友(女、ヒロイン)《塔の中の姫君》《二つの顔を持つ男》《時空を超える恋人たち》

零崎人識(男、援助者)《さまよえる跛行者》《二つの顔を持つ男》

哀川潤(女、援助者)《武闘戦闘美女》《造物主を亡ぼすもの》

想影真心(不明、敵対者《塔の中の姫君》《造物主を亡ぼすもの》

『狼と香辛料』…なし

『フルメタル・パニック!』

相良宗介(男、主人公)《二つの顔を持つ男》《造物主を亡ぼすもの》《時空を超える恋人たち》

千鳥かなめ(ヒロイン)《塔の中の姫君》《二つの顔を持つ男》《時空を超える恋人たち》

テレサ・テスタロッサ援助者)《塔の中の姫君》《武闘戦闘美女》

メリッサ・マオ(援助者)《武闘戦闘美女》《時空を超える恋人たち》

アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン(援助者、敵対者)《二つの顔を持つ男》《危ない賢者》

『文学少女シリーズ』

井上心葉(主人公)《さまよえる跛行者》《塔の中の姫君》《時空を超える恋人たち》

天野遠子(ヒロイン)《さまよえる跛行者》《塔の中の姫君》《時空を超える恋人たち》

桜井流人(男、援助者、敵対者)《さまよえる跛行者》《塔の中の姫君》

竹田千愛(女、援助者)《さまよえる跛行者》《塔の中の姫君》

桜井叶子(敵対者)《二つの顔を持つ男》《武闘戦闘美女》

『バカとテストと召喚獣』

姫路瑞樹(ヒロイン)《塔の中の姫君》《武闘戦闘美女》

島田美波(ヒロイン)《二つの顔を持つ男》《武闘戦闘美女》

霧島翔子(女、敵対者、援助者)《さまよえる跛行者》《武闘戦闘美女》

『とある魔術の禁書目録』

上条当麻(男、主人公)《さまよえる跛行者》《時空を超える恋人たち》

禁書目録(女、ヒロイン)《塔の中の姫君》《時空を超える恋人たち》

御坂美琴(女、ヒロイン)《塔の中の姫君》《武闘戦闘美女》

一方通行(男、敵対者、主人公)《さまよえる跛行者》《時空を超える恋人たち》

打ち止め(女、ヒロイン)《塔の中の姫君》《時空を超える恋人たち》

滝壺理后(女、ヒロイン)《塔の中の姫君》《時空を超える恋人たち》

『ソードアート・オンライン』

キリト(主人公)《さまよえる跛行者》《造物主を亡ぼすもの》《時空を超える恋人たち》

アスナ(ヒロイン)《塔の中の姫君》《武闘戦闘美女》《時空を超える恋人たち》

シノン(女、援助者)《さまよえる跛行者》《武闘戦闘美女》

 対象となるキャラクター60人中28人のキャラクターが複数の類型をもっていることが分かった。男女比をみると、28人中18人が女性キャラクターとなり、28人中10人が男性キャラクターとなっている。「主人公」が28人中5人、「敵対者、主人公」が28人中1人「ヒロイン」が28人中10人、「援助者」が28人中7人、「援助者、敵対者(男)」28人中2人、「敵対者」が28人中2人、「敵対者、援助者」が28人中1人となっており、多くの「ヒロイン」が複数の類型を持っていることが多いとわかった。「ヒロイン」は多面的なキャラクターになりがちと言える。

5  まとめと今後の課題

5.1  作品ごとのまとめ

『涼宮ハルヒシリーズ』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

日-週

小-中

集団

敵意小

冒頭規則

1話完結

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件5種

内的原因

円滑

(始点)…4月(春) (作品を通しての進み具合)…9ヶ月(7巻)

《キャラクター》

キョン(男、主人公)…「さまよえる跛行者

涼宮ハルヒ(女、ヒロイン)…「さまよえる跛行者」「二つの顔をもつもの」

朝比奈みくる(女、援助者)…「二つの顔をもつもの」

長門有希(女、援助者)…「さまよえる跛行者」「二つの顔をもつもの」

小泉一樹(女、援助者)…「二つの顔をもつもの」

・この作品の特徴

 

 この作品は高校が舞台となる、SF要素を含む作品である。、1つの巻での時間の長さは比較的短いながらも、作品を通して進む時間は7巻で9ヶ月であるから比較的早い。主人公たちが生活する日常から非日常な事件を切り取った形となっているの作品といえる。登場人物は高校生がメインとなっているので、移動手段も少ないので巻内の空間も学校とその周辺ということになり比較的小さい。

 事件は大規模なもの(世界の崩壊)から小規模なもの(野球大会等)まで様々となっている。事件の原因は主にヒロインで、主人公が所属する集団内の人物が多く、主人公と集団内の登場人物が必ず1つの巻内に処理する形となっている。身内が起こした事件、非日常を身内が解決し、巻の最後には日常に戻り、次の巻の冒頭で主人公の回想から始まり、再び事件が起こるという安定した形をもった作品と言える。

 主人公は一般的な高校生として描かれ、読者も感情移入がしやすい。それでいて、特殊なヒロイン、援助者がいる集団に属し、特殊な事件を中心的に解決するという、特別な存在として描かれている。1種のヒーロー像として描かれ読者にとっても魅力的なものになっていると言える。加えて、巻が進み事件を乗り越えることによって、集団内の絆が深まっていき、集団的にも成長をしていることから、魅力的な集団になっているといえる。明確に敵と呼ばれる存在はあまり登場せず、世界の崩壊を招きかねない非日常なことでも、安心して読める作品だといえる。

 

『戯言シリーズ』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

週-月

小-中-大

無所属

敵意多

冒頭不規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件4種

外的原因

難儀

始点4月( (作品を通しての進み具合6ヶ月(7巻)

《キャラクター》

いーちゃん(主人公)…「さまよえる跛行者」「時空を超える恋人たち

玖渚友(ヒロイン)…「塔の中の姫君」「二つの顔を持つ男」「時空を越える恋人」

零崎人識(援助者)…「さまよえる跛行者」「二つの顔を持つ男」

哀川潤(援助者)…「武装戦闘美女」「造物主を亡ぼすもの」

西東天(敵対者)…「危ない科学者」

想影真心(敵対者)…「塔の中の美女」「造物主を亡ぼすもの」

・この作品の特徴

 この作品はミステリー要素を含むものから徐々にバトル要素を含むものに変わっていく作品である。1つの巻での時間の長さは比較的長く、事件の内容が複雑で濃いものになっていると言える。主人公は大学生なので、移動に自由が利き、巻内の空間も広く、様々なものになる。

 事件は作品の前半は主に殺人事件で、後半は主に敵と対決するものになっている。事件の原因は主に主人公に対し敵意のある者で、主人公が事件に巻き込まれ、処理していく形になる。冒頭は不規則なで、事件は1巻内に処理されない場合もあり、不安定な形をした作品と言える。

 主人公は欠けている部分が多く、対した能力もないため、あまり魅力的なキャラクターではなかった。しかし、不安定な関係のヒロインや、超常的な存在、主人公に似ている殺人鬼、主人公を敵とみなす者、世界を滅ぼす者など、特殊な登場人物との関わりで、主人公は作品最後の巻で別人のように成長した。それとともに不安定な関係だったヒロインとも最後は結ばれることになる。全体的に不安定で安心できないが、最後にはきれいにまとまり、ハッピーエンドにおさまる形の作品となっている。この浄化がこの作品の特徴と言える。

『狼と香辛料』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

日-週

中-大

主人公

ヒロイン

敵意半

冒頭規則

1話完結

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件4種

外的原因

難儀

(始点)…秋 (作品を通しての進み具合)…2ヶ月(7巻)

《キャラクター》

ロレンス(男、主人公)…「時空を越える恋人」

ホロ(女、ヒロイン)…「時空を越える恋人」

コル(男、援助者)…「さまよえる跛行者

エーブ(女、敵対者、援助者)…「武装戦闘美女」

・この作品の特徴

 この作品は主人公とヒロインが目的地に向けて旅をする作品である。1つの作品で進む時間の長さは比較的短く、作品を通しての時間は7巻で2ヶ月と比較的遅い。2人の旅を細かく描いている作品といえる。街から街への移動となるので、巻内での空間は比較的大きい。

 事件は旅の通過点として訪れる街々で起き、前半は主に商売関係の事件に巻き込まれ、後半は目的地の手がかりを探す中で事件に遭う形になる。基本的には冒頭で街を目指し、事件に遭い、ラストで街を出る状態になるという安定した形を持っているが、事件が続く場合もあり、2人の旅が終わりそうになる事件もあり、危機感も感じさせる形の作品と言える。旅を通して主人公とヒロインの関係が深まっていくことが魅力的な特徴となっている作品と言える。

『フルメタル・パニック!』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

週-月

中-大

集団

敵意多

冒頭不規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件3種

両的

難儀

(始点)…4月(春) (事件の進み具合)…9ヶ月(7巻)

《キャラクター》

相良宗介(男、主人公)…「さまよえる跛行者」「造物主を亡ぼすもの」「時空を越える恋人」

千鳥かなめ(女、ヒロイン)…「塔の中の姫君」「二つの顔を持つ男」「時空を越える恋人」

テレサ・テスタロッサ(女、援助者)…「塔の中の姫君」「武装戦闘美女」

クルツ・ウェーバー(男、援助者)…「時空を越える恋人」

メリッサ・マオ(女、援助者)…「武装戦闘美女」「時空を超える恋人」

アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン(男、援助者、敵対者)…「二つの顔を持つ男」「危ない賢者」

レナード・テスタロッサ(男、敵対者)…「危ない賢者」

ガウルン(男、敵対者)…「危ない賢者」

・この作品の特徴

 

 この作品は軍人である主人公が任務のためヒロインのいる高校に潜入し、高校生活を送りながらも、敵と戦うバトル要素を含む作品である。主人公が高校生として高校生活を送りながらも、軍人として戦場に赴くため、1つの巻での時間の長さは比較的長い。空間も比較的大きく、平和と戦争の二面性を持った作品であると言える。

 事件は大規模なものが多い。基本的に敵の集団と戦うため、戦争規模になる。ダイナミックな作品と言える。作品の前半では任務のためヒロインや都市を守る戦いが多く、連勝するが、後半にはヒロインを助けるための戦いに変わり、失敗が多くなる。冒頭も不規則なので、なにが起こるかわからない予測不能な作品と言える。

 主人公は凄腕の軍人でありながら常識をあまり持ち合わせていない高校生として描かれ、二面性をもつ魅力的なキャラクターとなっている。ヒロインも普通の高校生でありながら、敵に狙われる存在として描かれ、二面性をもつ。任務で始まった2人の関係は険悪なものから徐々に良好になっていき最終的に結ばれる。主人公の所属する組織は一度壊滅するが、復活をし最終決戦で勝利する。主人公、ヒロイン、集団が成長する特徴を持つ作品であると言える。

 敵集団の強大さも特徴的である。世界崩壊を目的とし、1度は主人公組織を壊滅にまで追い込み、主人公とヒロインの高校までも破壊する。強力な敵が、より魅力的な作品にしていると言える。

『文学少女シリーズ』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

週-月

小-中

集団

敵意半

冒頭規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件4種

外的原因

難儀

(始点)…5月(春) (作品を通しての時間の進み具合)

《キャラクター》

井上心葉(男、主人公)…「さまよえる跛行者」「塔の中の姫君」「時空を越える恋人」

天野遠子(女、ヒロイン)…「さまよえる跛行者」「塔の中の美女」「時空を越える恋人」

朝倉美羽(女、敵対者、援助者)…「塔の中の姫君」

琴吹ななせ(女、援助者)…「二つの顔をもつ男」

芥川一詩(男、援助者)…「塔の中の姫君」

桜井流人(男、援助者、敵対者)…「さまよえる跛行者

竹田千愛(女、援助者、敵対者)…「さまよえる跛行者

桜井叶子(女、敵対者)…「二つの顔をもつ男」「武装戦闘美女」

・この作品の特徴

 

 この作品は高校が舞台となる、ミステリー要素を含む作品である。1つの巻での時間の長さは比較的短いながらも、作品を通して進む時間は7巻で9ヶ月であるから比較的早い。主人公たちが生活する日常から非日常な事件を切り取った形となっているの作品といえる。登場人物は高校生がメインとなっているので、移動手段も少ないので巻内の空間も学校とその周辺ということになり比較的小さい。

 事件は複雑ながらも毎巻人物を救う形で終わっている。登場人物を救うのは主にヒロインが行っている。ヒロインは、過去にトラウマを持ち塞ぎこんでいる主人公も作品を通して救っている。そんなヒロインも救われる存在であり、二面性を持っている。ヒロインは最後に作品を通して成長した主人公に救われる。「救い」がこの作品の特徴と言える。登場人物のほとんどが救われ、みんなが幸せになっているので、温かさを感じる作品と言える。

『バカとテストと召喚獣』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

日-週

小-中

集団

敵意多

冒頭規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件3種

内的原因

難儀

(始点)…4月(春) (時間の進み具合)…6ヶ月(7巻)

《キャラクター》

吉井明久(男、主人公)…「さまよえる跛行者

姫路瑞樹(女、ヒロイン)…「塔の中の姫君」「武装戦闘美女」

島田美波(女、ヒロイン)…「二つの顔をもつ男」「武装戦闘美女」

坂本雄二(男、援助者)…「さまよえる跛行者

木下秀吉(男、援助者)…「さまよえる跛行者

土屋康太(男、援助者)…「さまよえる跛行者

霧島翔子(女、敵対者、援助者)…「さまよえる跛行者」「武装戦闘美女」

工藤愛子(女、敵対者、援助者)…「武装戦闘美女」

久保利光(男、敵対者、援助者)…「二つの顔をもつ男」

木下優子(女、敵対者、援助者)…「武装戦闘美女」

西村教諭(男、敵対者)…「二つの顔をもつ男」

・この作品の特徴

 

 この作品は高校が舞台となる、ラブコメ要素を含む作品である。1つの巻での時間の長さは比較的短い。作品を通して進む時間は7巻で6ヶ月である。1ヶ月内の出来事が巻毎に描かれる。1ヶ月ごとの規則性をもっている。登場人物は高校生がメインとなっているので、移動手段も少ないので作品内の空間も学校とその周辺ということになり比較的小さい。

 事件は対決がメインとなっている。この作品の対決は特殊なものとなっている。試験の点数に比例しての強さをもつ召還獣を使い、クラス間で戦う、という設定である。主人公の所属するクラスは最底辺のクラスで、そのクラスが自分たちより上のクラスと戦う、そして勝利する、時には敗北する作品となっている。弱い立場の人間が強い立場の人間を負かす、いわば下克上がこの作品の特徴と言える。巻が進むごとに主人公たちの集団は困難を乗り越え、成長し、魅力的な集団になっていると言える。 

 

『とある魔術の禁書目録』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

中-大

無所属

敵意多

冒頭不規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件3種

外的原因

難儀

(始点)…7月(夏) (時間の進み具合)…3ヶ月(7巻)

《キャラクター》

上条当麻(男、主人公)…「さまよえる跛行者」「時空を超える恋人」

禁書目録(女、ヒロイン)…「塔の中の姫君」「時空を越える恋人」

御坂美琴(女、ヒロイン)…「塔の中の姫君」「武装戦闘美女」

一方通行(男、敵対者、主人公)…「さまよえる跛行者」「時空を越える恋人」

打ち止め(女、ヒロイン)…「塔の中の姫君」「時空を越える恋人」

浜面仕上(男、敵対者、主人公)…「時空を越える恋人」

滝壺理后(女、ヒロイン)…「さまよえる跛行者」「時空を越える恋人」

ステイル=マグヌス(男、敵対者、援助者)…「二つの顔をもつ男」

土御門元春(男、援助者)…「二つの顔をもつ男」

アックア(男、敵対者、援助者)…「二つの顔をもつ男」

フィアンマ(男、敵対者)…「危ない賢者」

・この作品の特徴

 

 この作品はSF要素とファンタジー要素を含む作品である。相反する二つの要素が含まれる特長的な作品である。1つの巻で進む時間は比較的短い。作品を通しての進む時間は3ヶ月であるから比較的遅い。主人公が短い期間で多くの事件に関わる作品と言える。戦闘をメインとする作品なので巻内の空間は比較的大きくなっている。

 事件は基本的に対決となっている。危機に巻き込まれ、対決し、勝利する。付随として人物を救うと言う形になる場合もある。事件は型にはまっていると言える。冒頭は不規則で、巻の最後では新たな敵が示唆される場合が多く、次巻の購買意欲を刺激する作品となっている。

 登場人物が特徴的で主人公が3人いる。1巻から出てくる主人公と対決し、負けて、主人公になる登場人物が2人いる。それぞれの主人公には守るべきヒロインがいて、ヒロインは危険な目に遭うも主人公が救うと言う形となっている。1巻から出てくる主人公と戦った敵が援助者になるというパターンもこの作品の特徴と言える。悪が善になる姿が読者にとって魅力的な作品と言える。

 

『ソードアート・オンライン』

《プロット》

時間

空間

登場人物(中心)

登場人物(障害)

冒頭

ラスト

日-週

中-大

無所属

敵意多

冒頭不規則

次回予告

事件の全容

事件の原因

事件の結果

事件5種

外的原因

難儀

(始点)…9月(夏) (時間の進み具合)…15ヶ月(7巻)

《キャラクター》

キリト(主人公)…「さまよえる跛行者」「造物主を亡ぼすもの」「時空を越える恋人」

アスナ(ヒロイン)…「塔の中の恋人」「武装戦闘美女」「時空を超える恋人」

リーファ(援助者)…「武装戦闘美女」

クライン(援助者)…「さまよえる跛行者

シノン(援助者)…「さまよえる跛行者」「塔の中の美女」「武装戦闘美女」

ヒースクリフ(敵対者)…「危ない賢者」

須郷信之(敵対者)…「危ない賢者」

・この作品の特徴

 

 この作品はゲーム内の世界での行動を主としたサイバーパンクを含む作品である。1つの巻での時間の長さは比較的短い。ゲーム内の世界が舞台となっていて、ゲームの機能で世界内を自由に周ることができるので、空間の大きさは比較的大きい。

 事件はゲームに関わる、様々なものになっている。ゲーム世界からの脱出、ゲーム世界からの救済、ゲーム内と現実世界が関わる殺人事件、などゲームから派生して大きな事件になる特徴がある。主人公が1人で奔走しながらも、仲間ができ、仲間に助けられて、最終的には主人公が事件を解決する、パターンが決まった作品となっている。主人公のゲーム内での強さゆえに、安心しながらもスリルを味わうことができる作品となっている。

 主人公は現実世界では弱い存在でもゲーム内では強い存在として描かれる。現実の人間に近い存在でありながら、特別な強さをもつ魅力的な主人公と言える。そんな主人公ありながら、他人との距離感に悩む一面もあり、それがヒロインとの出会いによって変化する。主人公とヒロインは恋人関係になり、お互いを高めあう関係になる。援助者も事件を通して、自身の悩み、トラウマを解消する。その浄化が作品の特徴と言える。

5.2  全体考察

 

 ・プロット

 

 「時間」…作品の始点が「春」になる傾向が多い。巻内での時間の経過に特徴、傾向は見られない。

 「空間」…学園を舞台にしている作品は空間が小さい。戦闘の要素を含む作品は空間が大きい。

「登場人物(中心)」…主人公とヒロインが同じ集団に所属している作品では集団が中心となって事件に関わる傾向がある。主人公が集団に所属していない場合は、主人公と援助者が中心となって事件に関わる。

 

「登場人物(障害)」…戦闘の要素を含むものは敵意を持つ集団が障害になる傾向がある。

「冒頭」…冒頭が規則的なものと不規則なものに分かれる。

「ラスト」…終わり方が次の巻の予告となるものが多い傾向がある。

「事件の全容」…危機的な状況に巻き込まれる傾向がある。

「事件の原因」…主人公に敵対する立場の登場人物が原因になる傾向が多い。

「事件の結果」…結果は悪くなることが少ない。多くの作品に次の巻に事件が続く場合が少なからずある。

 

・キャラクター

 

 作品の主人公には、欠如している部分、偏っている部分がある傾向が多い。ヒロインは多面的な人物像を描かれている傾向が多い。

 ライトノベルのキャラクターに共通することは「変化」だと言える。キャラクター個人、キャラクター同士の関係、キャラクターが所属する集団が作品を通して「変化」する。その「変化」はマイナスなものはなく、プラスの方向で必ず「変化」し、「成長」とも言える。最初の巻と巻が進んだ後の登場人物では大きな成長が見られることが、ライトノベルのキャラクターに共通して言える。

5.3  今後の課題

 今回の研究では『このライトノベルがすごい!』(宝島社)から選ばれた歴代1位の作品を研究対象としたが、作品数が非常に少なく、明確なライトノベルの傾向や特徴を明かすことはできなかった。作品数を増やし緒、人気となったライトノベルとそうでないライトノベルを比較しての分析も必要になる。加えて、ライトノベルにはキャラクターの絵が付随されている。キャラクターを分析する上ではキャラクターの絵は必要である。分析項目も不十分であるため、より多くの分析の観点が必要だと感じた。調べることの数を増やすことが必要であると思う。

6  おわりに

6.1  おわりに

 

 今回の研究で私はライトノベルが好きだからという不純な動機で研究しようと思った。8作品しか分析していないが、全部で100冊近くのライトノベルを私は繰り返し読んだ。研究中はライトノベルを楽しむと言う気持ちは一切無くなった。研究とは苦しいことだと身にしみることができ、自身の成長に繋がったと感じる。そして、私は卒業論文に取り掛かる時間が遅かったと自覚している。研究には時間をかけなくてはいけない、そうでなければいいものなど生まれない。卒業論文を書き終え真っ先にそう思えた。

 最後になりましたが、中間発表で指導してくださった先生方、野浪先生、ありがとうございました。

6.2  参考文献

 

新城カズマ「物語工学論」角川学芸出版

谷川流『涼宮ハルヒシリーズ』(角川スニーカー文庫) 

1巻『憂鬱』(初版発行日2003610日)

2巻『溜息』(2003101日)

3巻『退屈』(200411日)

4巻『消失』(20048月1日)

5巻『暴走』(2004101日)

6巻『動揺』(200541日)

7巻『陰謀』(200581日)

8巻『憤慨』(200651日)

西尾維新『戯言シリーズ』(講談社ノベルズ)

1巻『クビキリサイクル』(初版発行日200225日)

2巻『クビシメロマンチスト』(200258日)

3巻『クビツリハイスクール』(200285日)

4巻『サイコロジカル(上)』(2002115日)

5巻『サイコロジカル(下)』(2002115日)

6巻『ネコソギラジカル(上)』(200525日)

7巻『ネコソギラジカル(中)』(200565日)

8巻『ネコソギラジカル(下)』(2005117日)

支倉凍砂『狼と香辛料』(電撃文庫)

1巻『狼と香辛料1』(初版発行日2006210日)

2巻『狼と香辛料2』(2006610日)

3巻『狼と香辛料3』(20061010日)

4巻『狼と香辛料4』(2007210日)

5巻『狼と香辛料5』(2007810日)

6巻『狼と香辛料6』(20071210日)

7巻『狼と香辛料7』(2008210

8巻『狼と香辛料8』(2008510日)

9巻『狼と香辛料9』(2008910日)

10巻『狼と香辛料10』(2009210

11巻『狼と香辛料11』(2009510日)

12巻『狼と香辛料12』(2009810日)

13巻『狼と香辛料13』(20091110日)

14巻『狼と香辛料14』(2010210日)

15巻『狼と香辛料15』(2010910日)

16巻『狼と香辛料16』(2011210日)

17巻『狼と香辛料17』(2011710日)

賀東招二『フルメタル・パニック!』(富士見ファンタジア文庫)

1巻『戦うボーイ・ミーツ・ガール』(初版発行日19989月)

2巻『疾るワン・ナイト・スタンド』(19993月)

3巻『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』(20002月)

4巻『終わるデイ・バイ・デイ(上)』(200011月)

5巻『終わるデイ・バイ・デイ』(20014月)

6巻『踊るベリー・メリー・クリスマス』(20033月)

7巻『つづくオン・マイ・ウェイ』(200410月)

8巻『燃えるワン・マン・フォース』(20061月)

9巻『つどうメイク・マイ・デイ』(2007320日)

10巻『せまるニック・オブ・タイム』(2008220日)

11巻『ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)』(20107月)

12巻『ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)』(20108月)

野村美月『文学少女シリーズ』(ファミ通文庫)

1巻『文学少女と死にたがりの道化師』(初版発行日2006428日)

2巻『文学少女と飢え渇く幽霊』(2006830日)

3巻『文学少女と繋がれた愚者』(20061225日)

4巻『文学少女と穢名の天使』(2007428日)

5巻『文学少女と慟哭の巡礼者』(2007830日)

6巻『文学少女と神に臨む作家(上)』(2008428日)

7巻『文学少女と神に臨む作家(下)』(2008830日)

[2010年度]

井上堅二『バカとテストと召喚獣』(ファミ通文庫)

1巻『バカとテストと召喚獣1』(初版発行日2007129日)

2巻『バカとテストと召喚獣2』(2007428日)

3巻『バカとテストと召喚獣3』(2007830日)

4巻『バカとテストと召喚獣4』(2008530日)

5巻『バカとテストと召喚獣5』(20081129日)

6巻『バカとテストと召喚獣6』(2009430日)

7巻『バカとテストと召喚獣7』(2009829日)

8巻『バカとテストと召喚獣8』(2010830日)

9巻『バカとテストと召喚獣9』(2011129日)

10巻『バカとテストと召喚獣10』(201215日)

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』(電撃文庫)

1巻『とある魔術の禁書目録1』(初版発行日2004410日)

2巻『とある魔術の禁書目録2』(2004610日)

3巻『とある魔術の禁書目録3』(2004910日)

4巻『とある魔術の禁書目録4』(20041210日)

5巻『とある魔術の禁書目録5』(2005410日)

6巻『とある魔術の禁書目録6』(2005710日)

7巻『とある魔術の禁書目録7』(20051110日)

8巻『とある魔術の禁書目録8』(2006110日)

9巻『とある魔術の禁書目録9』(2006410日)

10巻『とある魔術の禁書目録10』(2006510日)

11巻『とある魔術の禁書目録11』(20061010日)

12巻『とある魔術の禁書目録12』(2007110日)

13巻『とある魔術の禁書目録13』(2007410日)

14巻『とある魔術の禁書目録14』(2007710日)

15巻『とある魔術の禁書目録15』(2008110日)

16巻『とある魔術の禁書目録16』(2008610日)

17巻『とある魔術の禁書目録17』(2009310日)

18巻『とある魔術の禁書目録18』(2009710日)

19巻『とある魔術の禁書目録19』(20091110日)

20巻『とある魔術の禁書目録20』(2010310日)

21巻『とある魔術の禁書目録21』(2010810日)

22巻『とある魔術の禁書目録22』(20101010日)

川原礫『ソードアート・オンライン』(電撃文庫)

1巻『ソードアート・オンライン1』(初版発行日2009410日)

2巻『ソードアート・オンライン2』(2009810日)

3巻『ソードアート・オンライン3』(20091210日)

4巻『ソードアート・オンライン4』(2010410日)

5巻『ソードアート・オンライン5』(2010810日)

6巻『ソードアート・オンライン6』(20101210日)

7巻『ソードアート・オンライン7』(2011410日)

8巻『ソードアート・オンライン8』(2011810日)

9巻『ソードアート・オンライン9』(2012210日)

10巻『ソードアート・オンライン10』(2012710