平成25年度卒業論文

 

研究テーマ

「顔文字の要素と構成( ´∀`)(´∀` ) 〜文に与える顔文字の効果〜」

 

 

 

大阪教育大学 学校教育教員養成課程 国語教育専攻小学校コース

国語表現ゼミナール

102125  日根野谷 衣里

指導教官 野浪正隆先生

 

 

 


 

目次

 

序章 はじめに 

第一節  研究動機

第二節  研究目的

第一章  研究にあたって

  第一節  研究対象

    第一項  顔文字について

    第二項  研究対象となる顔文字

  第二節  研究方法

    第一項  アンケート調査について

    第二項  アンケート調査対象者について

第二章  研究結果・分析・考察

  第一節 性別・顔文字使用頻度別での顔文字の特徴 

第一項 性別

第二項 顔文字の使用頻度別    

  第二節  顔文字要素と構成

第三節  文と顔文字

第三章  おわりに

  第一節  まとめ

  第二節  今後の課題

第四章  参考資料

 

 


 

序章 はじめに

 

第一節 研究動機

インターネット・電子メールを頻繁に利用する人は必ずしも顔文字を使用するのか、使用した顔文字の意味は、やり取りをしている発信者と受信者の間で必ずしも同じ意味を持っているのか等が気になり、顔文字について研究したいと考えた。

 

第二節 研究目的

本研究では、顔文字を構成している「^」や「;」などの要素の時の意味と、組み合わさり顔文字として成立した時の意味とで違いはあるのか、そしてどれくらいの人に、またどのような人にその対象の顔文字の読み取りが可能か、文に及ぼす顔文字の効果はどのようなものかを調査、研究したいと考えた。

 

 

第一章  研究にあたって

 

  第一節  研究対象

 第一項  顔文字について

 まず顔文字とはどういうものであるかだが、以下の引用のとおりである。

 

  顔文字とは、“(^_^)”や“\(^o^)/”のように表情やしぐさに似せて、文字や記号を組み合わせたシンボルであり、主に文末に付与することで、その文に意味や感情を加えるという目的で用いられるものである。(川上正浩「顔文字が表す感情と強調に関するデータベース」2008

 

 第二項  研究対象となる顔文字

 本研究で取り扱う顔文字は、川上氏の「顔文字が表す感情と強調に関するデータベース」で取り扱われた顔文字を参考にしたものとアンケート調査で回答者から得られた顔文字である。

 

 

第二節  研究方法

 第一項  アンケート調査について

 アンケートはアンケートツクレールで作成し、Webアンケート調査を行った。

 アンケートの質問内容は、回答者を判別する為の名前・年齢・性別・職業・電子メール利用歴・パソコンと携帯電話(スマートフォンも含む)それぞれの電子メールの読み書きの頻度電子メールを除くインターネット利用歴・一日の電子メールを除くインターネット利用時間・よく使用するネットサイト・顔文字の使用頻度・最近使用した顔文字は何か・こちらが設定した顔文字を見てどういう印象を抱いたか、というものである。それぞれの質問項目の詳細は分析の項で説明する。

 またアンケートは作成元のアンケートツクレールの質問数制限により、前半と後半の二つに分けている。

  

 

  第二項  アンケート調査対象者について

 大阪教育大学国語専攻の学生と漫画研究会のメーリングリスト、そしてtwitterで募集したところ99名に回答してもらうことができた。そのうちアンケート回答に不備がなかった92名を本研究の調査対象者とする。

 

 

 

第二章  研究結果・分析・考察

  第一節  性別・顔文字使用頻度別での顔文字の特徴 

以下はアンケート調査の全体的な結果である。

有効な回答は総数92

「最近使った顔文字」の項目では、一人三つまで回答を受け付けた。結果、総数237個、151種類の顔文字を獲得できた。

 

第一項  性別

92名の回答者のうち61名が女性、31名が男性であった。

 「最近使った顔文字」の総数237個のうち、女性は167個、男性は70個の顔文字を回答している。一人当たりにつき、女性は約2.7個、男性は約2.2個の顔文字を答えてもらった事になる。

 以下、男女別に電子メール利用歴・パソコンと携帯電話(スマートフォンも含む)それぞれの電子メールの読み書きの頻度電子メールを除くインターネット利用歴・一日の電子メールを除くインターネット利用時間・よく利用するネットサイト・顔文字の使用頻度を円グラフ・表にしたものである。

尚それぞれの選択肢の空白を置いて横にある数字は、選択した人数である。また@というように表記した数字は、頻度の度合いを示しておりまた選択肢の順番である。この表記の数字が飛んでいる場合、間の選択肢を選択した者がいないという事とする。


【女性】

メール利用歴     

@1年未満           2A1年以上5年未満        11B5年以上10年未満    36

C10年以上15年未満      11D15年以上20年未満  1

 

 

"メール頻度

【パソコン受信(読む)】"            

@全く利用しない             18A一週間に2通ほど     20B三日に2通ほど              3

C一日に2通ほど             11D一日に10通ほど       7E一日に20通ほど              2

 


【パソコン送信(書く)】             

@全く利用しない             32A一週間に2通ほど     20B三日に2通ほど              2

C一日に2通ほど             3D一日に10通ほど         4

 

 

【携帯電話・スマホ受信(読む)】                          

A一週間に2通ほど         7B三日に2通ほど           6C一日に2通ほど              28

D一日に10通ほど           17E一日に20通ほど       1F一日に20通以上              2

 

 

 

 

【携帯電話・スマホ送信(書く)】            

@全く利用しない             3A一週間に2通ほど       14B三日に2通ほど              10

C一日に2通ほど             24D一日に10通ほど       9F一日に20通以上              1

 

 

ネット利用歴     

@1年未満           1A1年以上5年未満        6B5年以上10年未満      31

C10年以上15年未満      17D15年以上20年未満  6

 

 

 

 

ネット利用時間 

@全くない          1A〜1時間         10B〜2時間       9C〜3時間         18

D〜4時間           6E〜5時間         8F5時間以上     9

 

 

 

顔文字使用頻度 

@全く使用しない             1A数回の書き込みに一回              27

B一回の書き込みに一回  11C一回の書き込みに数回            21

 

 

 

よく利用するサイト

YouTube(ユーチューブ)

51

83.60%

twitter(ツイッター)

50

82.00%

line(ライン)

44

72.10%

google(グーグル)

42

68.90%

ニコニコ動画

36

59.00%

YAHOO(ヤフー)

35

57.40%

Wikipedia(ウィキペディア)

35

57.40%

pixiv(ピクシブ)

33

54.10%

amazon(アマゾン)

25

41.00%

Facebook(フェイスブック)

21

34.40%

Skype(スカイプ)

20

32.80%

まとめサイト(ハム速など)

17

27.90%

2ちゃんねる

11

18.00%

楽天

10

16.40%

mixi(ミクシィ)

8

13.10%

自作サイト

8

13.10%

Ameba(アメーバ)

7

11.50%

価格.com

6

9.80%

その他買い物サイト

6

9.80%

その他ブログサイト

6

9.80%

その他画像サイト

5

8.20%

GREE(グリー)

4

6.60%

USTREAM(ユーストリーム)

4

6.60%

deviantARTdA

4

6.60%

tumblr(タンブラー)

4

6.60%

その他動画サイト

4

6.60%

OKWave

3

4.90%

Mobage(モバゲー)

3

4.90%

オンラインゲーム

3

4.90%

その他掲示板サイト

3

4.90%

Myspace

1

1.60%

DECOLOG(デコログ)

1

1.60%

その他

1

1.60%

 

 

【男性】

メール利用歴     

@1年未満           3A1年以上5年未満        10

B5年以上10年未満        16C10年以上15年未満  2

 

 

"メール頻度

【パソコン受信(読む)】"            

@全く利用しない             14A一週間に2通ほど     6B三日に2通ほど              4

C一日に2通ほど             2D一日に10通ほど         4F一日に20通以上              1

 

 

【パソコン送信(書く)】             

@全く利用しない             22A一週間に2通ほど     5B三日に2通ほど              1

C一日に2通ほど             2F一日に20通以上         1

 

 

【携帯電話・スマホ受信(読む)】            

A一週間に2通ほど         6B三日に2通ほど           2C一日に2通ほど              10

D一日に10通ほど           6E一日に20通ほど         2F一日に20通以上              5

【携帯電話・スマホ送信(書く)】            

@全く利用しない             2A一週間に2通ほど       9B三日に2通ほど              4

C一日に2通ほど             6D一日に10通ほど         4E一日に20通ほど              1

F一日に20通以上           5

 

 

ネット利用歴     

A1年以上5年未満          6B5年以上10年未満      20

C10年以上15年未満      4D15年以上20年未満    1

 

 

ネット利用時間 

@全くない          1A〜1時間         7B〜2時間         11

C〜3時間           5D〜4時間         2F5時間以上     5

 

 

顔文字使用頻度 

@全く使用しない             6A数回の書き込みに一回              16

B一回の書き込みに一回  4C一回の書き込みに数回              5

 

 

 

よく利用するサイト

google(グーグル)

28

80.00%

YouTube(ユーチューブ)

27

77.10%

twitter(ツイッター)

24

68.60%

line(ライン)

21

60.00%

Wikipedia(ウィキペディア)

20

57.10%

ニコニコ動画

18

51.40%

2ちゃんねる

16

45.70%

YAHOO(ヤフー)

15

42.90%

amazon(アマゾン)

15

42.90%

Skype(スカイプ)

9

25.70%

Facebook(フェイスブック)

8

22.90%

まとめサイト(ハム速など)

6

17.10%

楽天

5

14.30%

mixi(ミクシィ)

4

11.40%

オンラインゲーム

4

11.40%

OKWave

3

8.60%

Mobage(モバゲー)

2

5.70%

価格.com

2

5.70%

その他動画サイト

2

5.70%

その他

2

5.70%

Ameba(アメーバ)

1

2.90%

USTREAM(ユーストリーム)

1

2.90%

pixiv(ピクシブ)

1

2.90%

その他買い物サイト

1

2.90%

その他ブログサイト

1

2.90%

その他画像サイト

1

2.90%

その他掲示板サイト

1

2.90%

 

 

メール利用歴、パソコンにおけるメール頻度、携帯電話におけるメール頻度(読み)、ネット利用歴、ネット利用時間、よく利用するサイトには際立った男女差があまり見られなかった。

 しかし、携帯電話におけるメール頻度(書き)と顔文字頻度には男女差が見られた。

携帯電話におけるメール頻度(書き)で、男性では A一週間に2通ほど が最も多く選ばれ、一方女性では C一日に2通ほど が最も多く選ばれている。そして、顔文字頻度で、男性では A数回の書き込みに一回 が他に圧倒的な差を付け最も多く選ばれ、一方女性では同じく A数回の書き込みに一回 が最も多く選ばれているものの C一回の書き込みに数回 がAとほとんど差がなく二番目に多く選ばれている。メールを書き込む量と顔文字を用いる回数は比例していると考えられる。

また「最近使った顔文字」で男性ではm(_ _)m        (^_^)      (._.)        (><)といったシンプルなものが多く、女性では。・゜・(ノД`)・゜・。(((o(*゜▽゜*)o))) (:3)∋といった動きを付けたものや一風変わったものを使っているのが目立った。

 

 

第二項  顔文字の使用頻度

顔文字の使用頻度が最も高い C一回の書き込みに数回 を選択したのは26名で二番目に多い回答だった。その回答者達の「最近使った顔文字」を分析したところ、(:3) ( ~ʖ̫~)´Д `◞・w? (:3 )(7_7) ☆〜(ゝ。∂)など特に珍しい顔文字を使用している傾向が見られた。

 

 

 

 

   

  第二節  顔文字要素と構成

第二節では「最近使った顔文字」で得た顔文字と「顔文字の印象」で設定した顔文字を分析・考察していく。先述したとおり「最近使った顔文字」で得た顔文字の総数は237個、151種類である。以下がアンケートで得た151種類の顔文字である。

 

・ω・`)(´;ω;`)   (*・ω・*)・ω・`) (・ω・)٩( 'ω' )و

__((_ ´-ω)▄┻┳══(=・ω・)/( *・ω・)ノε٩(>ω<)۶з(´ω`)( ˘ω˘ )     (´ω`)       (´͈ `͈)⁾⁾(*´ω`*)(^ω^^ω^)(^ω^)(;^ω^)( ^ω^ )ノシ(>_<)(><)        >_<  >< (> <) (><;) c(>_<)*(_<)(^^)(^^)/ ^^v(^ ^)        p(^^)q  (^_^)/  (^_^)   (^^*)   (^^)/   (^-^)/  (^-^)(^ ^)/        (^^)    (*^^*) (*^_^*)?       (*^-^*) ( ^_^)ノシm(_ _)m m(__)m m(_)m  m( )m (_ _).oO (T_T)  (TT)    ( T_T)(^-^ ) (  TДT)  (*^_^*)(*^^*)     (^o^)/(^O^)/(^O^)(^o^)(^^)(^o^)/ ^o^ ^q^(o^o^o)     (^o^)丿 (^p^)   (*^O^*)(;_;) ;; (;_:)(;;)(!_!)(゜ロ゜)Σ(゜Д゜)Σ(゜□゜)!!(゜Д゜)!      (*´∀`*)      *.(´∀`)+..*(人´∀`)...:*・゜    (ノ∀`) (´∀`) ( ´ ▽ ` )(*´▽`*) ((o(´∀`)o))☆〜(ゝ。∂)      (o)/! (・∀・)        (゜∀三゜三∀゜)(゜∀゜)!?(゜∀゜)    (・∀・)       (*゜∀゜)(((o(*゜▽゜*)o)))(`Д´)ノ。・゜・(ノД`)・゜・。´Д `        (うД`)+zZZ  (´д) _(._.)_       (._.)(_|(_)(_;)        (_- ?)(´・_`)     (_)(o)/(°O°)(。・о・。)J('_`)(´-`)oO(  )(*´`*)(´U`)<(`^´)>(`_´)(`△´)ノ⌒⊥⊥        (*^ε^*)       (*^^*)       (≧▽≦)(*≧∀≦*)(――;)        (ーー゛) (ーー゛)(-_-)(-.-)zzZ(-.-)(+.+)(-.-)(__)..zzZZ         (/--)/(((――;)))(--)y-゜゜゜(-_-;)Σ( ̄皿 ̄       ( ̄▽ ̄)     (--)(:3) (:3 )ω`)!!! ()(・Д・)ノシ        ( д) ゜ ゜(、ン、)ξ(~_~;)    ( ~ʖ̫~)<> <>(O_O)  (`)d(⌒ー⌒)!       (7_7)   (////)(*_*)  w?

 

 

 

まずこれらの顔文字を「目元(目と眉)」「口」、そして目元と口を除く「その他」で分類・分析し、要素としてどのような役割があるかを考察した。

【目元】

 `)垂れ目

怒ったり、泣いたりというマイナスの感情がほぼ見当たらない。口やその他で感情が定まっていると見られる。

 

・・`)垂れ眉

垂れ目とは違い、謝ったり心配したりする顔文字が多い。

 

(`´)釣り目

4つのうち3つが怒りを表している。残りの一つは凛々しさを表していた。

 

(・・)黒目(眉なし)

挨拶、謝罪、喜び、元気さ、気だるさなどを表す顔文字が見られた。口やその他で感情が発生しており、目自体には感情はないと考えられる。

 

(゜゜)白目

ほとんどの顔文字が口を開いており、喜び、驚き、興奮の意味を表していた。黒目に比べて感情の動きが激しい。

 

(◎◎)見開き

驚く様子、着目する様子の顔文字が見られた。相手を小馬鹿にする顔文字もあるが、これはその他の頬と手が意味付けしていると考えられる。

 

(^^)ニコニコ目

最も顔文字の個数が多かった。顔文字を付けるにあたって最も使いやすいという事が伺われる。笑顔という形が決まっており、基本喜びを表したりとプラスの感情を持っているが、中には「動揺」「鬱陶しさをアピール」といった意味があった。

 

(> <)ばってん目

主に喜び、心苦しさ、困惑の意味があった。口とその他により、様々な意味の顔文字に変更できると考えられる。意味の中には「女子っぽくすることによるうざさアピール」というものもあり、ニコニコ目と同じ現象であると考えられる。

 

(T T) (;;)涙目

悲しみ、心苦しさ、疲労など、マイナスの感情がよく見られた。感謝も一つだけあった。

 

(― ―)線目

眠たさ、悲しみ、怒り、喜び、驚きと非常に様々な感情が見られた。目自体に感情や意味はなく、その他要素や文そのものに依るところがある。

m(_ _)mでは謝罪、依頼、感謝を表していたが、これは目の効果というよりも顔文字の形そのものに意味が付与していると考えられる。

 

( ˘ ˘ )閉じる

全て寝ている様を表していた。目を閉じていることから感情が表しにくく、意味の種類が

限定されていると考えられる。

 

(~ ~)波目

目の形としては線目に似ているが、心配、面倒くさいといった感情が見られ、線目に比べマイナスの感情を含んでいると考えられる。

 

(7 7) (* *)その他

(7 7)は文から格好を付けた意味が含まれており、(* *)は困惑の意味があり、ばってん目に近い印象を受けた。

 

目なし

目がない顔文字は二種類あり、m( )m(////)である。m( )mは土下座という顔文字の形態状見えなくなっている、もしくは左右のmにより基本の形はとられているので、目がなくとも相手が意味を察してくれるだろうと考え略したという見方ができる。これは(////)にも同じことが考えられる。頬の//により目がなくとも相手が察してくれると考え、目を略したと考えられる。

 

【口】

ω

喜び、悲しみ、驚きなど、ほとんどの感情を問わずに万遍なく使用されている。この口そのものに感情や意味はないと考えられる。

 

喜び、興奮、照れ、驚きなどプラスの感情が多く見られた。また喜びの感情はその度合いが大きい。

 

主に喜びを表す感情が見られたが、∀と比べると喜びの度合いが小さい。しかしその他の要素により喜びの度合いが大きくなる。

 

O

喜び、驚き、ふざけなどの感情が多く見られた。ニコニコ目との組み合わせが多い。

 

-(線)

対応する目の種類が多く、それに合わせて感情も様々あった。この口そのものには感情がないと考えられる。

 

.(点)

謝罪と眠さの意味が見られた。また線目との組み合わせが多く、感情をほとんど発生させないと考えられる。

 

Д

悲しみ、驚き、喜び、怒り、眠気とほぼ感情を問わず用いられている。が -(線)とは違い、感情や意味をより大きく発している。

 

感情は驚きのみ。また組み合せている目は白目のみで、驚きの度合いはДと違いは見られなかった。

 

^ △

どちらも釣り目と組み合せられ、怒りの感情を表している。

 

q  p

どちらもニコニコ目と組み合せられている。しかし意味は「疲労」と「知的障害者」と述べられており、あまりよいイメージが湧くものではない。

 

口なし

「目なし」の分析と同じく、簡略化の為なくなったと考えられるものもある。また口がない顔文字は感情問わず見られた。

 

 

【その他】

*(*の小型)

主に頬にあたる部分に置かれている。喜び、興奮、感謝などプラスの感情・意味のみを表している。

他に頬に当たるものとしては、//o=が挙げられる。ほぼ喜び、照れ、可愛らしさとプラスの感情が込められているが、中にはただの寝ぐせ跡を示すものであったり、組み合わせる目によっては涙の役割を持つこともある。

 

/ ノ ノシ 等で手を表すもの(片手のみ)

挨拶を表す顔文字が多く見られた(14個)。激しい動きはない。

 

/ ノ ノシ 等で手を表すもの(両手)

片手の時と比べ挨拶に用いられることが少ない(3個)。大きく感情を表している所が見られる。

 

焦りや気まずさ、悲しみを表している。汗の役割を持っている。

 

(^ω^^ω^)という使い方をされ、俊敏な動きを表している。

 

苛ついたり、疑い持つ時に用いられている。不快感を表している。

 

+..*.oOやΣや・゜・。や(((())))などの顔文字の顔の外に位置するもの

対象の顔文字と文の全体的な雰囲気を決定づけているものが多い。また顔文字の感情の度合いを増幅させる働きも持つ。

 

以上が「最近使った顔文字」の分析及び考察である。

 

 

次に「顔文字の印象」で設定した顔文字から分析・考察していく。

設定した顔文字は以下のとおりである。

(・∀・) (´・ω・`) (><)(;_;)(;;) (^^;)(_・、) (`Д´) (´ω`) (´Д`)(^O^)(///´ω`) (*´∀`)(・ω・) (゚д゚) (^q^)

 

これらの顔文字は川上氏の「顔文字が表す感情と強調に関するデータベース」で取り扱われた顔文字を参考にし、また私自身が気になるものを選択した。ここでのアンケートの質問は「これから示す顔文字はどういう感情・表情を表していると思いますか。また、これらの顔文字を見てどういう印象を受けましたか。組み合わせて答えていただいて結構です。複数回答可です。」という内容である。

 

以下、アンケートの結果を表及び円グラフで表したものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の結果より、分析及び考察をする。

 

(・∀・)

・上位三位(にやにや、にこにこ、へらへら)までで半数以上。四位以下を大きく離している。

・口だけ違う(・ω・)と比べて

∀の記号は笑いを表すものと考えられる。

(・ω・)にも(にやにや、にこにこ、へらへら)に票が入っているものの総計17票。対して(・∀・)は総計148票。

この事から(・∀・)は口の部分を重要視されていると考えられる。

しかし、(・ω・)の投票数一位は(無感情)なので口を重要視というよりかは∀という感情付きの記号が加わったことにより、無感情から笑いの顔文字へ変化を遂げたとも考えられる。

・6位に9票だが(無感情)の選択肢がランクイン。(・ω・)の結果を踏まえると、これは目を表す・・(黒目)が要因と考えられる。

 

(´・ω・`)

・上位四位(しょんぼり、おろおろ、うじうじ、おずおず)合わせて約半数を占める。トップだけで約25%と二位以下を引き離す。二位以下になると大差はない。選ばれた選択肢の種類が最も多い顔文字の一つ。

・無感情の票が一位の(・ω・)との違いは、´`(垂れ眉)のあるなし。´`は恐らくハの字眉と認識されているのではないだろうか。´`はマイナスの感情を持つ記号と考えられる。

 

(><)

・非常に均等に分かれている。同率一位が三つある(しくしく、あたふた、びくびく)。それ以下とも12票差であり、大差がない。

・顔文字要素が><の目の部分しかない。要素が少ないから大差がそんなに出なかったとも考えられる。

・泣いたり、慌てたり、驚いたりの選択肢が上位である。

 

(;_;)

・一位(めそめそ)と二位(しくしく)が大きく占め、合わせると半数を超える。

三位(しょんぼり)以下を大きく引き離している。三位から五位までほぼ均等。

;の記号は(;;)(^^;)でも用いられている。選択肢の結果から目の位置にある場合は涙、頬の場合は汗と多くの人に液体を表す記号だと思われていることが分かる。配置される場所により要素の意味が少しだが変わってくる事が分かる。

 

(;;)

・上位三つ(わあわあ、しくしく、めそめそ)がほぼ均等、少し差があり、四位以下も暫く均等である。パッと見、大きな差が見当たらない円グラフである。また、笑っている様子を表す選択肢が初めて挙がるのが9位であり、目の記号が重要視されていることが伺われる。

(;_;)と同じく(しくしく、めそめそ)が上位、しかし(;_;)と違って(わあわあ)が一位に。∀の記号が笑いの他に「何かしらの発音、やかましさ」の要素も含まれていると考えられる。

 

(^^;)

(;;)の結果と似た円グラフになっている。上位二つ(たじたじ、ぎくり)が同じ位、少し差を付け、三位以下(あたふた、どきっ、ぎょっ、びくびく、おろおろ…)が大差なく続く。しかし、笑っている様子を表す選択肢が初めて挙がるのが11位であり、目の重要視で言うと(;;)と真逆である。

・二桁票を獲得した選択肢を見ると、驚きや焦りを感じるものばかりである。目よりも;を重要視しているように感じられる。

しかし笑いを表す選択肢(へらへら、にこにこ、にやにや)は合わせて19票獲得しているので、軽視されているという訳ではない。

 

(_・、)

・一位二位(しくしく、めそめそ)がほぼ同じ、三位四位五位(しょんぼり、わからない、うじうじ)がほぼ同じである。上位三位合わせて約半数を占める。(わからない)が四位と上位に食い込んでいるのが特徴である。

・(しくしく、めそめそ)が上位二つであることから「、」がこの場合涙を表していると考えられる。

・口が同じ記号で同じく(めそめそ、しくしく)が上位二つを占めた(;_;)と比べて、(;_;)より票差が圧倒的に小さい。

これは涙の量が起因していると考えられる。

・涙が流れていない方の目「・」は、(・ω・)から(無感情)であると判断されている。これが(わからない)を四位にまで押し上げた原因と考えられる。

 

(`Д´)

・選ばれた選択肢が最も少なく、偏っている。これはほぼ意味が共通して使われているという結果とも見られる。上位四つ(ぷんぷん、むかむか、むかっ、つんつん)で8割は占めている。

・(ぷんぷん)は87票、二位の(むかむか)(むかっ)は53票。大差が付いている。(ぷんぷん)は不満・怒りを外に向けており、(むかむか)(むかっ)は不満・怒りを内に向けている選択肢である。

そして、(;;)の分析で出された考察から口を開いていると見られる記号は「発音している、やかましい」という意味を含んでいることが分かった。その事からДもその意味を含み、多くの人が外へ感情を発していると捉えた要因であると考えられる。

 

(´ω`)

・上位三つ(おっとり、しみじみ、にこにこ)合わせて約半数を占める。全体的にあまり目立った大差という大差はない。あえて差に触れるなら一位(おっとり)が二位に差をつけている。

・二位から七位までは大差なく続いているが、七位と八位には12票差ある。上位七つを見るとおよそマイナスの感情を表す選択肢は見られない。

(´・ω・`)では「´`」は眉毛扱いだったが、(´ω`)では「´`」は目にあたる。

 

(´Д`)

・均等さが目立つ円グラフに。(その他)の選択肢が一位であるところが特徴だが、以下が1,2票の差なので大きな事項ではないかもしれない。(その他、おろおろ、たじたじ、わあわあ、しょんぼり…)と続く。選ばれた選択肢の種類が最も多い顔文字の一つ。

・(その他)がトップ、選択がばらけていることから色々意味を変化させやすい顔文字という可能性がある。

 

(^O^)

・一位(にこにこ)が非常に大きく占め、一位だけで6割ほどを占めている。以下(へらへら、にやにや、わあわあ)が同じ位。

・上位三つが笑いの選択肢が多いことから目に注意が行っている様が伺われる。

・四位の(わあわあ)は「O(オー)」で開口している様から選ばれた理由と考えられる。

・選ばれた選択肢は(`Д´)に次いで少なく、偏っている。

 

(///´ω`)

・これまた一位(てれてれ)が大きく占めている。だが(^O^)程ではなく、一位だけだと半数に若干届かない。大分差を置き二位(どきどき)が。ちょっと差を置き三位以下(にやにや、へらへら、にこにこ…)がほぼ差がない状態で続く。

・(てれてれ)が一位であることから「///」の記号が最も効果を発揮していると分かる。

(´ω`)と比べて

(´ω`)で選ばれた(おっとり、しみじみ、にこにこ)も選ばれているが圧倒的に数は少ない。

(´ω`)の票差にあまり大差がないことから、(´ω`)は色々と場面に応じて意味を変えることができる顔文字だと考えられる。よって(///´ω`)では「///」で顔文字の意味の方向性が定まり、「///」の記号が最も影響が出ている物と考えられる。

 

(*´∀`)

・上位二つ(にこにこ、てれてれ)合わせて約半数を占める。二位から七位までは約10票ずつ減っている。(てれてれ)が二位に入っていることから頬の記号*が起因していると考えられる。

・(てれてれ)が二位に入っているのは(///´ω`)と同じく頬に記号が入っているから。

・笑いを表す選択肢が全て入っていることから口の記号が大きな効果をもたらしていることが分かる。

・(おっとり)が18票獲得で五位に。これは目の様子から選ばれたようだ。

 

(・ω・)

・上位二つ(無感情、きょとん)が大きく占め、二つ合わせて六割ほど占める結果に。一位と二位には25票の差がある。三位以下(にこにこ、その他、おっとり…)は小粒(8票以下)で大きな差がない。

・二桁票を獲得した上位二つ(無感情、きょとん)から、要素として「・・」と「ω」は基本感情の動きがないという考察が出来る。

 

(゚д゚)

・上位四つ(ぎょっ、どきっ、ぎくり、きょとん)で七割以上を占める。一位と二位には16票差があるが、二位から四位までには大きな差がない。四位五位の間には大きな差がある。

・上位に単発的な驚きを表す選択肢が偏っていることから「゚゚」は「(驚いて)目が皿になっている様子」と考えられる。「・・」と違い「゚゚」は見開いている、白目の割合が大きいのだ。

 

(^q^)

・上位二つ(へらへら、にやにや)はほぼ差がない。11票離して三位(その他)があり、上位に(その他)が食い込んだのが特徴。一位、二位、四位(にこにこ)に笑っている様子を表す選択肢があることから、目が重要視されていると考えられ、qには様々な意味が含められていると考えられる。

・(その他)が三位にあることから、色々な意味を含めやすい顔文字と考えられる。

 

 

以上の「最近使った顔文字」と「顔文字の印象で設定した顔文字」の分析及び考察から、目の要素は顔文字において最も重要な位置であり、ある程度の感情のあるなしを決定すると考えられる。しかし「必ずこの感情・意味でなくてはならない」というようなものは少ない。

口の要素は、省略されている数の多さから目の要素よりも重要な要素ではないことが分かった。また、口の要素で∀や▽は口角が上がっている様と捉えられ、喜びなどのプラスの感情に偏ったが、その他の口の要素はほぼどの感情にも対応している。

目と口を除くその他の要素は、顔文字に動きを与えたり、感情・意味を増幅させる役割を持っている。その他の要素は、組み合わさった目口や用いられる場所によってその時にふさわしい意味に変わることができる。

これらの要素が組み合わさり一つの顔文字となった際、基本的に優先される感情の順位は目>口>その他であるが、例えば目の要素が黒目「・・」で口が「∀」だった場合、感情のある「∀」が優先されることがある。

 

 

 

第三節  文と顔文字

 

「最近使った顔文字」を答えて頂くにあたり、「顔文字を用いた文」「顔文字」「顔文字に込めた意味、顔文字を用いた狙い」を答えて頂いた。

そこで特に数が多かった文と意味、そして他のものに比べ珍しい文と意味を持った顔文字を抜き出してみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの文・顔文字・意味を第二節で分析及び考察したことを照らし合わせると、ほぼ顔文字単体での感情・意味と文と組み合わさった時の感情・意味とがほぼ一致しており、違和感がないことが分かる。しかし、少数の所を見てみると笑顔を表す顔文字を使っているもののふざけたような言い方をし「うざさ」を相手にアピールしていたり、ただ単に困った様子を表さず、文の語尾に「ぅ〜」を付け、これもまた「うざさ」を相手にアピールしている。このようにわざと顔文字単体の意味そのままに使うのではなく、少し違和感のある使い方をすると、元々の文の面白味を増幅させることができると考えられる。

 

 

第三章  おわりに

 

  第一節  まとめ

以下、本研究で分かった事である。

・顔文字はわずかに男女差が見られる。

・顔文字を多用する人は、凝った顔文字を使う事が多い。

・要素が組み合わさり一つの顔文字となった際、基本的に優先される感情の順位は目>口>その他であるが、要素の持つ感情・意味によっては優先順位がかわることがある。

・文と組み合せた時、わざと顔文字単体の意味そのままに使うのではなく、少し違和感のある使い方をすると、元々の文の面白味を増幅させることができる。

 

 

  第二節  今後の課題

 今回の研究では、顔文字の要素の分析に時間をかけ過ぎてしまい、他がおろそかになってしまった所があり、その点を反省している。

今後の課題としては年代と職業に偏りがあり比較ができなかったことが大きかったので、

次の機会があればまずそこを改善したい。そして__((_ ´-ω)▄┻┳══━や J('_`)し といったキャラクター性が強いものにあまり触れられなかったのが残念だった。こちらも次の機会があれば、そのあたりも研究したいと考えている。

 

 

 

 

第四章  参考資料

川上正浩「顔文字が表す感情と強調に関するデータベース」2008

原田登美「『顔文字』による日本語の円滑なコミュニケーション ―『配慮』と『ポライトネス』の表現機能―」2004

 

使用したアンケートURL・バーコード(※回答結果だけ閲覧可能)

顔文字についてのアンケート【前半】http://enq-maker.com/4U0QqLN

QRコード前半

 

 

顔文字についてのアンケート【後半】http://enq-maker.com/3bvyHzW

QRコード後半

「最近使った顔文字」文・意味付き