平成二六年度卒業論文

 

造語法と使用実態からみるキャンパス言葉の研究

原稿用紙 140枚

大阪教育大学 教育学部

教員養成課程 国語専攻小学校コース

国語表現ゼミナール

102116  末谷 亮太

指導教官  野浪正隆先生

 

卒業論文目次

 

第一章 研究概要

 第一節 研究動機

 第二節 キャンパス言葉の定義

 第三節 研究方法

 第四節 研究対象・調査対象

 

第二章 キャンパス言葉の造語法

 第一節 キャンパス言葉の造語法の分類

 第二節 キャンパス言葉の造語法の分析

 第三節 造語方法のまとめ

 

第三章 キャンパス言葉の使用実態の分析

 第一節 キャンパス言葉の対象

 第二節 キャンパス言葉の使用イメージ

 第三節 アンケート結果の分析

 第四節 アンケート結果の関連性

 第五節 キャンパス言葉の使用実態の分析まとめ

 

第四章 まとめ

 第一節 造語法と使用実態からみるキャンパス言葉の研究のまとめ

 第二節 課題

 第三節 おわりに

第四節 参考文献

 

巻末資料 アンケート

 

 

 

第一章  研究概要

 

第一節 研究動機

高校時代の友人と話しをした際、ふとした話題から「五位堂バック」(河内国分で降りるところを五位堂駅まで行ってしまい、そこから大阪教育大前に戻ること。)という言葉の説明をすると、違う行為であるものの「河原町バック」(終点河原町に一駅もどり、スカスカの座席に座ること。)という言葉が同志社大学で存在した。そのまま話を進めると同じ電車通学の話で「三山木マジック」(三山木駅で降りて交通費を浮かすこと。)という言葉が同志社女子大学で存在していることがわかった。そこで大阪教育大学でも「五月マジック」(五月祭という1回生の学園祭がきっかけで恋人ができること。)という言葉があることを思い出した。このように私は全く違う大学なのに同じような言葉を作りだしていたり、同じような行為でも違う言葉が使用されていたりすることに興味を持った。

調べていくとこれらのような大学生がキャンパスで使用する言葉をキャンパス言葉ということがわかった。本研究ではどのようにキャンパス言葉が作られているのかという造語法の分析、また使用動機や言葉の対象、性差など大学生のキャンパス言葉の使用実態の分析を行う。

 

第二節 キャンパス言葉の定義

キャンパス言葉は若者語の中に属している。若者語とは

 

 

中学生から三〇歳前後の男女が、仲間内で、会話促進・娯楽・連帯・イメージ・伝達・隠蔽・緩衝・浄化などのために使う、規範からの自由と遊びを特徴に持つ特有の語や言い回しである。(『若者語を科学する』 15項  米田明彦 明治書院 1998年 3月20日)

 

 

と定義されている。その若者語の中の一つとして「キャンパス言葉」が存在している。

そのような中でキャンパス言葉については

 

 

キャンパス言葉とは学生が日常、自分達の間で使っていることばのことである。

   これらの言葉は学生により造られ、あるいは、採用されて普段の生活の中で使われている。だからキャンパス言葉は学生だけが使っている言葉とはかぎらない。もっと広く、隠語的な語や流行語、新語等が含まれている。言葉を変えれば、ある大学のキャンパスで学生諸君が日頃使っている言葉といえる。これらの言葉にはたぶんに言葉遊びの要素が含まれている。また、それを使うことにより、相互の連帯感や仲間意識を強化しあう(心理的統合の強化)という機能も持っている。その意味で、キャンパス言葉は集団語の中のスラングと考えてよい。(「キャンパス言葉の造語法」  永瀬治郎 専修大学国文学会 第50号 1項 1992年 1月13日)

 

 

と述べられているように、大学生が普段使っている言葉をキャンパス言葉ということにする。

 

第三節 研究方法

アンケートによりキャンパス言葉を集める。アンケートでは505のキャンパス言葉が集まった。しかし同じ言葉も複数ある。そのため造語法の分類やイメージ、キャンパス言葉の対象では異なり語数の381のキャンパス言葉で分析し、使用動機などのアンケート関係の分析は述べ語数の505のキャンパス言葉で分析を行う。

 

第四節 研究対象・調査対象

第一項 研究対象

本格的に研究を始める前に他大学の友人数十人に「五位堂バック」や「河原町バック」などの言葉を例示した後に、「あなたの大学でもこのような言葉はありますか。」という質問をした。すると「五位堂バック」のような行為に対する言葉から「学部」や「教授」「授業」「施設」「学生」など様々な対象にキャンパス言葉が使われていた。これらの回答をもとにアンケートを作成した。そのアンケートに記載されていた505のキャンパス言葉を研究対象とする。

 

第二項 調査対象大学

近畿の大学を中心に紙のアンケートに答えてもらった。

大阪教育大学、関西大学、近畿大学、大阪市立大学、畿央大学、天理大学、同志社大学、同志社女子大学、京都女子大学、立命館大学、武庫川女子大学、龍谷大学(滋賀)、甲南大学、関西学院大学、神戸大学、神戸女子大学、神戸学院大学、兵庫医療大学、追手門学院大学、京都府立大学、兵庫大学、京都外国語大学、摂南大学、阪南大学、京都橘大学、平安女学院大学、大阪大谷大学、帝塚山大学、関西外国語大学、四天王寺大学の30大学の学生に答えてもらった。

また同時にWEBのアンケートも友人に拡散してもらいアンケートをとった。その中には上記の他に九州(熊本大学)、四国(徳島大学)や中部(愛知学院大学)、関東(早稲田大学、立教大学、横浜国立大学)などの大学生も含まれていた。

アンケート回答者の詳細は以下の通りである。

男…178、女…327

1回生…35、2回生…60、3回生…102、4回生以降…308

 

 

 

 

 

 

第二章 キャンパス言葉の造語法

 

第一節 キャンパス言葉の造語法の分類

第一項 省略

集めた505語のキャンパス言葉を発音するときの音数(外国語学部の女子[11音]⇒バイリンガール[7音])という観点だけでみていくと約97%で音数が短くなっていた。このことからほとんどのキャンパス言葉では会話のリズム感やスピードを意識して作られていることがわかる。しかしその中で単純な省略(みんなの広場みんひろ、関大前関前)のようなものは約43%だった。米川氏が行った若者語での調査(『現代用語の基礎知識』の「若者用語」の80年版から94年版までの14年間で記載されている2145語を調査)では何らかの省略がとられていたのは21%であった。調査対象の母数が違うため単純には比較できないが、キャンパス言葉は43%だったため、キャンパス言葉の方が若者語よりも省略の割合が多いという傾向がある。若者語に省略が用いられている理由を米川氏はこのように分析している。

 

 

  なぜこんなに多く省略されるのかを考えてみると、三つの要因をあげることができる。第一の要因は現代社会のスピード化である。(中略)効率よく限られた時間内に大量  のものをこなすことを求められている社会では、話し方も速くなるのは当然である。    そのような中で、若者は話し方自体を速くするだけでなく、言葉を縮めて、会話のスピード、テンポを速めた。すなわち会話促進のために言葉の省略が進んだ。これにより会話のノリがよくなった。これと比べて戦前の学生語は省略が少ないのは時代の違いによる。

  第二の要因は言葉の浮遊化である。現代社会は自由を求めてきた。その結果、個人の自由が拡大した一方で、自己を含めてあらゆる事柄の意味が曖昧になり、あるいは価値を見失い、アイデンティティを失った。そこから事柄を言語化することが困難になった。また仮に言語化しても意味ははなはだ曖昧で、浮遊している。そういう言葉は軽く、扱い方も軽い。そこから言葉がどんどん省略されていったと考えられる。若者語の省略はまさに時代の産物と言える。

  第三の要因は言葉の娯楽である。若者語は会話を楽しむために使う。したがって既存の語だけでは会話は盛り上がらず、笑いもあまり生まれない。そこで単語を省略して従来の語とは違った語感を持たせて、おもしろさを出し、会話を盛り上げている。(『若者語を科学する』 51項  米田明彦 明治書院 1998年 3月20日)

 

 

米川氏が指摘した三つの理由もキャンパス言葉に省略が多い理由と重なる部分はあるだろう。しかし米川氏の研究は80年代から90年代半ばと少し古い。今現在キャンパス言葉を使っている大学生が生まれる前や幼児の時の話である。そのような点から見ると、米川氏が指摘した三つ以外にもキャンパス言葉で省略が多く使われる理由があるだろう。

一つは携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピュータの普及が大きい。総務省のデータによると携帯電話は1989年で人口普及率が0.3%、1995年で9.6%と2012年の98%に比べるととても低いことがわかる。またパーソナルコンピュータの普及率も1987年で11.7%、1995年で15。6%と2012年の77.3%に比べて低い。これらの普及率とキャンパス言葉に省略が多いということは無関係ではないだろう。携帯電話やパーソナルコンピュータで友人とメールのやりとりをする際もスピードが必要となってくる。そしてメールをうつ時にいちいち正式名称をうつより、省略語をうつ方が速くて楽である。それに話している時と同様に省略語でも理解しあえるという仲間意識も生まれるだろう。北原保雄氏もこのように述べている。

 

 

  携帯電話のメールには通信料がかかる。そして、多くの文字を使えば、それだけ料金が高くなる。それだけではない。略語を使えばたくさんの文字を打たなくてすむ。また、携帯の場合、狭いディスプレイに少ない文字で用を足すことができる。安い料金で済み、しかも打ち込むのが楽、その上仲間意識を高めることもできる。(KY式日本語』9項 北原保雄 大修館書店 2008年 2月10日)

 

 

ここで北原氏はKY式の言葉について述べているが、KY式に限らず全ての省略が使われている言葉でも言えることだろう。もちろん現在では定額制が主流なので文字数でメールの金額は決まらないが、それ以外の打ち込むのが楽で仲間意識を高めることができるといのが省略をメールで使う理由だろう。このように現在ほとんどの人が使用している携帯電話やパーソナルコンピュータがキャンパス言葉における省略の多さにも影響を与えているのではないかと考えた。

また省略という方法は昔から使われていた造語方法である。

 

 

  たとえば、省略後。明治時代の若者言葉にも見られる特色です。当時の学生たちはお金のことを「エム」と言っています。Moneyの頭文字をとった省略語ですね。あるいは、戦前の女学生が使った「とてき」。「とてもステキ」の省略語です。いずれも、現在では用いていない省略語ですが、省略語を使うということ自体は共通しています。(『若者言葉に耳をすませば』 158項  山口仲美 講談社 2007年 7月30日)

 

とあるように昔から省略は行われていた。もちろん現在に比べれば数としては多くないかもしれないが、省略をするという意識は今も昔も変わらないことがわかる。

キャンパス言葉における単純な省略が43%ということは残りの半分以上のキャンパス言葉では単なる省略だけではなく、違った方法で言葉が造られているということになる。このことから大学生はただ会話にリズム感やスピードを持たせるためだけにキャンパス言葉を使用しているのではなく、その他の様々な思惑があって、キャンパス言葉を作り、使用していることがわかる。省略以外の言葉の機能をみていくために次のように分類した。 第二項 分類の種類

集まったキャンパス言葉を「イメージ」「つけたし」「つながり」「頭文字」「動詞化」「言い替え」「名詞の派生」「特徴」「なぞらえ」の9種類に分類した。「頭文字」「動詞化」「名刺の派生」「言い替え」は米田明彦氏の「若者語を科学する」で使用されていた分類からそのまま頂いた。また「イメージ」は村田和代氏の論文「ポライトネスから見る若者ことばの機能―龍谷大学キャンパス語の分析を通して―」の分類から頂いた。それら以外のものは私が考え名前をつけ分類した。

  

 第三項 分類の定義

@「イメージ」:比喩のように「まるで〜のようだ」という観点から造語されたもの。

    例、@大阪教育大学に登校すること  登山

      Aはばをきかす4回生のこと  老害

      Bサークル2回生  2ゴミ

 

 A「つけたし」:他に異なった意味を持たせたりするため、元の言葉にはなかった言葉をつけたもの。 

    例、@錦華寮  鬼の錦華

      A大学院生活  入院生活

      B阪和線  安定の阪和線 (風や雨で遅れることが多く、それを揶揄するために使われる。)

 

 B「つながり」省略や言葉をつけたした際に言葉としてつながるもの。

    例、@法学部  あほう学部 

       A梅田までダッシュすること  うめだっしゅ

       Bモダンダンス部の男子 モ男子

 

 

C「頭文字」:「空気読めない→KY」のように日本語の頭文字をそのままアルファベットにしたり、日本語を英語に変えてから頭文字をとったりしているもの。

    例、@幼稚園課程  KG

  A小体女子4人組 STJ4

       Bミーティング  MTG

 

 D「動詞化」:名詞などに「る」をつけて動詞化したもの。

       例、 @ヤマザキ(コンビニ)に行くこと  ザキる

        Aお金を払ってポートライナーで早く帰ること  ライナる

        Bチャペルアワーにいくこと  チャペる

 

 

E「言い換え」:日本語を英語に言い換えたり、数字を日本語に言い換えたりしているもの。

    例、@肉食系女子  ハンター

       A奈良にボールが入ること  奈良イン

       B文学部の女子  文ガール

 

F「名詞の派生」:人を表す英語の接辞(erなど)をつけるもの。

    例、@内部進学組 → ナイバー

       Aトイレによくいく人 → トイラー

       Bミールカードを持っている人 → ミーラー

 

 G「特徴」:イメージとは違い事実をもとにつくられたもの。

    例、@微生物の先生 → ジャストミート(口癖から)

      A清掃員 → パープル(制服が紫色のため)

      Bラウンジ → 二億(二億円かけて作られたから)

 

 H「なぞらえ」:もともとある言葉になぞらえて作られたもの。

    例、@関大の社会学部 → 関西外大 (社会学部のみメインキャンパスの外に作られているため。関西外国語大学になぞらえている。)

A寝ていなくて逆にテンションが上がること → 寝なーずハイ(ランニングハイから)

 

   B情報メディア科の人 → メディアンヌ(パリジェンヌから)

 

もちろん一つのキャンパス言葉に対して複数の分類が当てはまることもある。例えば「文学部 → あそ文学部」では「あそ」をつけたして「遊ぶ」としているので「つけたし」と「つながり」の両方が当てはまる。また文学部の学生が全員いつも遊んでいるわけではなく、「文学部は楽そうだ。」「楽だから他の学部のやつらより遊んでいるだろう。」と勝手に想像し、揶揄するために「あそ文学部」と呼ばれている。そのため「イメージ」という分類にも当てはまる。このような複数の分類が当てはまるキャンパス言葉は全体の約28%だった。なぜ約3割でこのような複雑な造語方法を使用しているのか。そこはただ会話のリズムよくするだけに省略を用いるという単純な造語法ではなく、様々な思いからキャンパス言葉を使用しているからだろう。

 

第二節 キャンパス言葉の造語法の分析

第一項 分類の関連性

分類をした中でその関連性をみていきたい。第二章、第一節の第一項で示したような文字数での省略ではなく、「学びの広場→まなひろ」のような省略に属するものと、そうでないものをわけると、「頭文字」「動詞化」の二つが省略に属していることがわかる。もちろんその他の分類の中にも省略が含まれていることがあるが、省略をメインとして作られた造語方法はこの二つだけであると考えた。他のものはできる限り省略しようという意識があり、実際に省略されているものも多いが、批判であったり、揶揄であったりなど他の意識がメインである造語方法であると分類をしていく中で考えた。このように「頭文字」と「動詞化」は省略を第一に意識して作られた造語方法であると考えられる。

 また「イメージ」と「なぞらえ」と「つけたし」にも関連性が見られる。この三つは言葉の対象のイメージを使った造語方法である。「イメージ」はもちろんのこと「なぞらえ」でも「内部進学組→腐った甲南漬け」(甲南大学を甲南漬けになぞらえている)など「内部進学組=腐っている」というイメージから造語されている。また「つけたし」でもつけたす部分の言葉がイメージからきていることが多いという特徴がある。このようにこの三つも「イメージ」という部分で関連性のある造語方法である。

「言い替え」と「名詞の派生」も同じ造語方法であるといえる。「言い替え」は英語などに言い替えられているものの分類だが、「名詞の派生」でも-er,-eeのように英語に言い替えることをしている。もとから英語である言葉に-er,-eeをつけることが多いが、「JRを使ってる人」ではなく「ジェアラー」というのは英語を使用しようという意識があるからである。そのような観点からこの二つも関連性があるといえる。

 

第二項 分析

(1)まず「イメージ」について。アンケートのキャンパス言葉の中で「イメージ」に該当するものは97個あった。それらのイメージが「プラスイメージ」なのか「マイナスイメージ」なのか「どちらでもない」なのかを調べた。例えば「大阪教育大学に登校すること  登山」は大学なのに山の中ということを批判、揶揄するための言葉なのでマイナスイメージとする。「サークルの1回生  1姫」は上回生に比べて1回生は姫のようにかわいいということなのでプラスイメージとする。「屋根つきのベンチ  小屋」はベンチが小屋のように見えるだけなのでどちらでもないというようにグループ分けをした。わかりにくい言葉はできるだけアンケートの回答者に確認し判断した。もちろんどうにも自分で判断できず、誰にも聞けないものは調査から外した。すると約73%がマイナスイメージであった。「イメージ」の造語方法の特徴として悪い評価のものをこのようにイメージで造語することによって、直接マイナスイメージを表現するのではなく、遠まわしに表現できるということがある。例えば「BOX(部室)にいつもいる人  BOXの妖精」という言葉では会話の中で「あの人いつもBOXおるよなあ」「ほんまに。なにしてるんやろ。」より「あの人BOXの妖精やな。」「ほんまやな。妖精やわ。」の方が表現が柔らかい。また「授業中寝てる人  仙人モード」では「あいつまた寝てるで」「何しに学校きてるんやろな」となるが「あいつまた仙人モードや」「常に仙人やな」というようにこちらもキャンパス言葉で表現することにより柔らかく表現できるようになる。このようにイメージからの造語は遠まわしに表現できるという特徴がある。また娯楽機能も備えており、相手を批判しながら、言葉としてのおもしろさも持ち合わせている。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

イメージ

関西大学

 4

『単位の神』

社会学部の教授、橋本敬三のこと

同志社女子大学

 4

1姫

サークル1回生

同志社女子大学

 4

2ゴミ

サークル2回生

×

龍谷大学

 3

2ヨコの住人

いつも2号館横にたまっている人たち

×

同志社女子大学

 4

3ババ

サークル3回生

×

立教大学

 3

3男マジック

3年男は1年の女子からモテる。

×

大阪教育大学

 2

4ババ

4回生

×

同志社女子大学

 4

4魔女

サークル4回生

×

大阪市立大学

 4

BOXの妖精

BOX(部室)にいつもいる人

×

大阪教育大学

 4

FME(フラワーマシュマロエプロン)

家政教育学部

同志社大学

 4

Z戦士

語学の単位が足りず尋真館で受講する人

×

関西大学

 4

あそ文学部

文学部

×

近畿大学

 4

あそ文系

よく遊ぶ文系の学生

×

同志社大学

 4

アナーキー

人の言うことを聞かない人

×

甲南大学

 2

あほう学部

法学部

×

関西大学

 4

イージューライダー

旅に出る、仕事やめる

近畿大学

 4

いも法

法学部

×

同志社女子大学

 4

うた科

声楽科

大阪教育大学

 4

お遊戯室

C6-101

関西学院大学

 1

かこく(過酷)さい

国際学部

×

大阪市立大学

 1

ガチ演

文学部基礎演習

大阪教育大学

 4

カメレオン

◯◯先生

×

甲南大学

 4

ギャング

アメフト部の部員

×

大阪教育大学

 4

きわ専

B棟のとある教室

龍谷大学

 3

ござ早漏

早とちり

大阪教育大学

 4

サークル棟の住人

サークル棟によくいる人

×

大阪教育大学

 3

サエコ

だるいこと。気だるいこと。

大阪市立大学

 1

サボテン

観賞用イケメン

徳島大学

 3

サンズ

総合科学部はと工学部のキャンパスの間にある道。

×

大阪市立大学

 1

チャラバイオ

化学バイオ学科

×

近畿大学

 4

チャラ経

経済学部

×

横浜国立大学

 3

チャラ経済

経済学部

×

関西学院大学

 1

チャラ商

商学部

×

大阪教育大学

   4

ニート

バイトをしないこと

×

関西大学

   4

バイリンガール

外国語学部の女子

大阪市立大学

   4

パラダイス経済

経済学部

×

京都女子大学

   4

パラほ

法学部

×

龍谷大学

   3

パラ経

経済学部

×

立命館大学

   4

パラ産

産業社会学部

×

同志社女子大学

   4

パラ社

現代社会学部

×

関西大学

   4

パリピ

party people クラブ通いのチャラい奴

×

愛知学院大学

   4

パンク

再試験の科目の数が多すぎて、規定により再試験すら受けさせてもらえず留年が決定する事

×

大阪市立大学

1

ハンター

肉食系女子

甲南大学

3

パンドラの箱

防具道具

×

大阪市立大学

2

ハンバーグ

男女ペアで話している(あいびきから)

創価大学

院生

ピー逃げ

出席確認のicカードをタッチして、授業には出ない

×

大阪大学

4

ヒマ経

経済学部

×

大阪市立大学

4

ひま人福

人間福祉学部

×

近畿大学

4

ピ逃げ

出席カードをかざしてから授業に出ずに帰ること

×

京都女子大学

4

ぶっだん

仏教礼拝の授業

近畿大学

4

プロの院生

大学院博士後期課程の院生

同志社女子大学

4

ボス

音楽事務棟しきっている人

×

大阪教育大学

4

よさのってる

髪が乱れていること

×

大阪市立大学

4

らくしょう学部

商学部

×

龍谷大学

4

ラクブン

国際文化学部

×

龍谷大学

4

ラク文

国際文化学部

×

近畿大学

M2

リセマラ(リセットマラソン)

レアモンスターが出るまでリセットを繰り返すこと

×

同志社女子大学

4

愛人

あるピアノの先生の門下生

×

大阪市立大学

4

安定の阪和線

阪和線が雨などで遅延したりとまったりすること

×

近畿大学

4

宇宙人

よくミスや遅刻する人

×

近畿大学

4

横流し

給料が入ってからご飯をおごること

大阪教育大学

4

下界

大阪教育大のより下の世界のこと

×

大阪教育大学

4

下山

大学から家にかえること

×

大阪教育大学

2

華の教科

教育科学女子

大阪市立大学

1

楽商

商学部

×

関西大学

3

楽商学部

商学部

×

兵庫医療大学

4

看ファミ

看護学部のグループ

京都女子大学

4

鬼の錦崋

一番厳しい寮

×

同志社大学

2

興戸ジャンプ

興戸駅にいくのに普通しか停まらないので、急行で新田辺まで行き普通で興戸駅まで戻ってくること

大阪教育大学

4

五月マジック

五月祭という1回生の学祭で恋人ができること

×

大阪市立大学

1

口からマーライオン

嘔吐物をまきちらすこと

甲南大学

1

甲南の陰

日本語日本文学科

×

同志社女子大学

4

三山木マジック

三山木駅で降りて交通費を浮かすこと

関西大学

4

自然エネルギー

眠気を誘う授業

×

関西大学

3

社ギャル

社会学部2回生の女子

×

関西大学

3

社ババ

社会学部4回生の女子

×

関西大学

3

社マダム

社会学部3回生の女子

×

大阪市立大学

1

就職無理学部

理学部

×

大阪教育大学

2

小屋

グランドにある屋根つきのベンチ

関西大学

4

笑顔詐欺

愛想良いのに単位をくれない教授

×

大阪教育大学

4

浄化

鶴橋で近大生が普通に乗り、大教生が急行に乗ること

×

大阪市立大学

3

親不工学部

工学部

×

関西大学

4

盛り上げる

普段よりいいものを食べる

龍谷大学

4

石山トラップ

瀬田キャンパスは新快速が停まらないため、ひとつ前の石山駅で降りなければならないこと

×

関西大学

4

仙人モード

爆睡しているやつの状態

×

同志社大学

3

疎開

山側のキャンパスにうつること

×

大阪教育大学

4

太鼓学

部落学概論

×

大阪教育大学

4

大学における後期高齢者

大学4回生の総称

×

大阪教育大学

4

大教下

大阪教育大前駅

×

大阪教育大学

2

登山

大教に登校すること

×

同志社女子大学

4

同女のレディ・ガガ

大学の先生

大阪市立大学

4

入院生活

大学院で過ごすこと

×

近畿大学

M2

不夜城

研究室で寝泊り実験すること

×

甲南大学

2

腐った甲南づけ

内部進学組

×

兵庫医療大学

4

兵医チンゲール

看護学部4年のメンバー

関西学院大学

2

老害

サークルとかではばをきかす4回生のこと

×

甲南大学

3

六アイマジック

駅では雨が降っていても、六甲アイランドだけは雨が降っていないこと

×

 

(2)「つけたし」は29個あった。つけたされて完成する言葉をみていくと批判的な言葉がそのうち27個もあった。「商学部 → 楽商学部」や「すぐ遅れる阪和線のこと → 安定の阪和線」などは「楽勝」「安定」と言葉の意味としては悪くないが、揶揄をこめての表現なので批判的な言葉として分類した。批判的でない言葉としては「健康科学学科 → 華の健科」だけであった。ここでも「イメージ」と同様に批判的な、マイナスイメージな言葉が多くなっていた。

言葉を省略してスピード感やテンポを出したがるキャンパス言葉にとって言葉をつけたすというのはその傾向に反している。しかしつけたしのキャンパス言葉を見てみると「商学部 → 楽商」と「学部」の部分を省略したり、「経済学部 → チャラ経済」や「経済学部 → チャラ経」というようにつけたしの後にどんどん省略が起こっていることがわかった。つけたしの中で省略の形をとったのは29個の内17個と半分以上だった。このことからも大学生がどのような言葉でも、省略できるものは省略しようという意識があることがわかる。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

省略

近畿大学

4

ヒズミン

人間関係の歪み

大阪市立大学

4

入院生活

大学院で過ごすこと

×

甲南大学

2

あほう学部

法学部

×

近畿大学

4

いも法

法学部

大阪教育大学

2

ジャマフト

アメフト部

×

大阪市立大学

1

チャラバイオ

化学バイオ学科

近畿大学

4

チャラ経

経済学部

横浜国立大学

3

チャラ経済

経済学部

関西学院大学

1

チャラ商

商学部

大阪市立大学

4

パラダイス経済

経済学部

京都女子大学

4

パラほ

法学部

龍谷大学

3

パラ経

経済学部

立命館大学

4

パラ産

産業社会学部

同志社女子大学

4

パラ社

現代社会学部

大阪大学

4

ヒマ経

経済学部

大阪市立大学

4

ひま人福

人間福祉学部

大阪市立大学

4

らくしょう学部

商学部

×

龍谷大学

4

ラクブン

国際文化学部

龍谷大学

4

ラク文

国際文化学部

大阪市立大学

4

安定の阪和線

阪和線が雨などで遅延したりとまったりすること

×

大阪教育大学

2

華の健科

健康科学女子

大阪市立大学

1

楽商

商学部

関西大学

3

楽商学部

商学部

×

京都女子大学

4

鬼の錦崋

一番厳しい寮

×

関西学院大学

1

かこく(過酷)さい

国際学部

関西大学

4

あそ文学部

文学部

×

近畿大学

4

あそ文系

よく遊ぶ文系の学生

×

大阪市立大学

1

就職無理学部

理学部

×

大阪市立大学

3

親不工学部

工学部

×

 

⑶「つながり」は18個あった。つながりができるパターンとしては二つある。一つは上記にあるような「つけたし」によってである。「法学部 → あほう学部」のように「あ」つけたした結果、「ほう」とつながり「あほう」になるというパターンである。もう一つは省略のパターンである。「モダンダンス部の男子 → モ男子」は省略することにより「モ」と「男」がつながり「モダン」と読むことができるようになる。他にも「美術専攻の女子 → 美女」や「梅田までダッシュ → うめだっしゅ」などがそのパターンである。

流行語としては1989年に流行した「オバタリアン」という言葉が「つけたし」「つながり」に属している。「バタリアン」という映画に「おばさん」がつけたされてつながっている。また1984年の流行語でもある「オシンドローム」(おしん+シンドローム)も同じ造語法である。

 このような方法で作られるキャンパス言葉は娯楽機能として働くことが多い。特に省略を伴う言葉は言いやすく、会話のリズムを良くするのに最適である。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

種類

大阪教育大学

4

LSBreaker

LSBのサークルに属してるブレイクダンスを踊る人

省略

関西大学

4

あそ文学部

文学部

つけたし

近畿大学

4

あそ文系

よく遊ぶ文系の学生

つけたし

甲南大学

2

あほう学部

法学部

つけたし

関西学院大学

3

うめだっしゅ

梅田までダッシュすること

省略

関西学院大学

1

かこく(過酷)さい

国際学部

つけたし

大阪教育大学

4

チャラクロス

ちゃらいラクロッサー

省略

関西大学

3

ひとりんぷう

一人で凛風館で過ごすこと

省略

大阪市立大学

4

ひま人福

人間福祉学部

つけたし

大阪教育大学

2

モ男子

モダンダンス部の男子

省略

大阪市立大学

4

らくしょう学部

商学部

つけたし

龍谷大学

4

らびゅーさー

いびゅーさーというサークル内で付き合う事

省略

大阪市立大学

1

楽商

商学部

つけたし

関西大学

3

楽商学部

商学部

つけたし

大阪市立大学

1

就職無理学部

理学部

つけたし

大阪市立大学

3

親不工学部

工学部

つけたし

大阪教育大学

3

美女

美術専攻女子

省略

大阪教育大学

3

美男子

美術専攻男子

省略

 

⑷「頭文字」は12個あった。頭文字化といえば少し前ではKY言葉というものが流行し全国に広まった。そしてつい最近「秋葉原→AKB」などと使用され再び流行した。このような頭文字化というのは最近のブームであるように思うが、実はもっと前から使用されていた。

 

 

    KY言葉は最近の若い人たちの間で流行しているが、決して新しいものではない。「NHK(=日本放送協会)」「SKD(=松竹歌劇団)」「KK(=株式会社)」などは昔から使われているものだが、れっきとしたKY語である。(KY式日本語』3項 北原保雄 大修館書店 2008年 2月10日)

 

 

というように頭文字化は昭和の時代から使われていた造語法である。今回のデータでは英字2字構成が4つ、三字構成が4つ、数字1字と英字2字、数字1字と英字3字がそれぞれ一つ、漢字との併用が二つ(英字は1字と2字)のようになっていた。このことからなんでも頭文字にするというのではなく、二字から三字くらいにできるものを頭文字化している。またAKBのように日本語をそのまま頭文字にしているのは4つ、残りの8つは英語をそのまま頭文字にしていた。

頭文字化の特徴は知らない人には全く意味がわからない隠語になるということである。そのためか今回のデータでも「CM」「KG」「Z戦士」以外は身内の言葉である友達や部活の中でしか使用していないとアンケートに記載されていた。

頭文字化は昔からあったが最近になって流行し、認められるようになった要因としてパーソナルコンピュータなどで使用するローマ字打ちが一つにあげられる。ネット用語などでみられる「kwsk→詳しく」や「ry→略」などは頭文字化と同じ造語方法である。

 

 

 

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

龍谷大学

4

CM

社会学部コミュニティマネジメント学科

大阪教育大学

4

FME(フラワーマシュマロエプロン)

家政教育学部

大阪教育大学

4

KG

幼稚園教員養成課程

大阪教育大学

4

MTG

ミーティング

関西大学

4

NR

not リア充 彼氏彼女がいない人たち

関西大学

4

NTR(寝取る)

恋人がいる人の相手を肉体的に奪うこと

兵庫医療大学

4

NU

看護学部のグループ

大阪教育大学

4

STG

スカウティング

大阪教育大学

4

STJ4

小体女子4人組

同志社大学

4

Z戦士

語学の単位が足りず尋真館で受講する人

京都女子大学

4

沖縄DJ

沖縄に行きたい女子大生のグループ→沖縄に行きたいJD

大阪教育大学

3

DR

ダンスルーム

 

⑸動詞化は11個あった。データを見ると「場所」に「る」をつけてそこに「行く」という意味で使っているのが5個あった。「バーミヤンに行く」ではなく「バミる」というように表現する。効果として会話のテンポがよくなるということがある。また省略にもなっている。

今回のデータと米川氏の著書『新語と流行語』、『若者言葉を科学する』に出てきた動詞化の言葉を見ると外来語に「る」をつけるといった形が多いことがわかった。例、「テロる→暴力行為、コピる→コピーする、パニクる→パニックになる」などである。この二つの本で紹介されていた動詞化された言葉69個の内59個が外来語プラス「る」であった。これは外来語が長いので短くするという省略のためということと、外来語だけでは動詞としての役割が果たせないためである。例えば「私は紙をコピー」だけでは意味は通じず「私は紙をコピーする」と言わなければならない。そこで「私は紙をコピる」というように表現できれば省略もでき会話にリズムもうまれやすくなる。そのような点からこの動詞化というものは造語されてきた。となると外来語が入ってきた時代からこのような動詞化というものが始まったのではないか。米川氏によるとやはり明治の後期から使われていたということである。一番古いものでは1903年(明治36年)小杉天外の『魔風恋風』に「エンビる」「バイオる」がある。これらも「envy」「violet」という外来語に「る」をつけている。動詞化は最近できた造語ではなく明治時代から使われていて、最初は外来語から造語されていたことがわかった。

 

 

 

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

大阪教育大学

4

キャボる

キャッチボールする

同志社大学

2

コモる

同志社大学のラーニングコモンズというスペースに勉強等でいること

畿央大学

4

ザキる

ヤマザキ(コンビニ)に行くこと

関西学院大学

1

チャペる

チャペルアワーにいくこと

近畿大学

4

でぶる

たくさんカロリーをとること

関西学院大学

4

バミる

ファミレスのバーミャンにいくこと

畿央大学

4

マミる

エコマミに行くこと

阪南大学

3

ミオる

Mioで買い物すること

同志社大学

4

むこる

夢告館でうんこする

甲南大学

2

ライナる

お金を払ってポートライナーで早く帰ること

近畿大学

4

レポる

レポート書くこと

 

⑹言い換えは53個あった。今回のデータではほとんどが日本語から英語であった。ここには山口仲美氏が『若者言葉に耳をすませば』のなかで「今の若者たちが使う外来語は、ほとんど英語。フランス語やドイツ語、ロシア語などからのものは、見られません。アメリカ文化だけが、突出して若者たちに深く浸透していることがわかります。」と述べているようにアメリカ文化、英語への執着がみられる。

また会話のテンポというよりは娯楽的な効果を狙って造語されている。「青木先生」といえばいいものを「blue tree」と表現するのは面倒であるし、わかりにくい。そこをあえて表現するのは、そう表現した方がおもしろいという理由があるからだろう。もちろん英語に変えた方が言いやすい言葉もあるが、普通の省略ではなく英語に言い換えるのは柔らかくしたり、軽くするという効果がある。仲良しグループのことを「家族」と表現すれば少し重いが「ファミリー」と表現すれば適度に仲の良さが伝わる。「無視する」より「スルーする」と表現することで柔らかくなる。このように英語で表現することによって、軽く柔らかく表現することができる。このような意識から言い換えという方法が造語されたのではないかと考えた。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

関西大学

3

5飯会

女友達5人でパーティすること

同志社女子大学

4

blue tree

青木先生

関西学院大学

4

C(ちぇーねん)

軽音部の1回生

関西学院大学

4

D(でーねん)

軽音部の2回生

関西学院大学

4

E(いーねん)

軽音部の3回生

関西学院大学

4

F(えふねん)

軽音部の4回生

大阪教育大学

1

japanese eightjeight

国語科女子8人組

大阪教育大学

4

KG

幼稚園教員養成課程

近畿大学

2

November

11月ホール

兵庫医療大学

4

NU

看護学部のグループ

同志社大学

4

アナーキー

殺伐とした空気

関西学院大学

3

うめだっしゅ

梅田までダッシュすること

天理大学

3

エモい

ひどく感傷的になること。

大阪教育大学

4

オール

一晩中起きていること

大阪教育大学

4

オール練

徹夜で練習すること

近畿大学

4

サンパチ

38号館

京都外国語大学

2

ジャパ語

日本語学科

帝塚山大学

2

スルーひがいこ

一度生駒で降りて普通か準急に乗り換えて次の東生駒で降りないとダメなんですが通り越して学園前まで行くこと

近畿大学

4

チェックアップ

電車に乗る際に座りたいところをあらかじめ決めておき、ドアが開いたらダッシュですわること

関西大学

4

チャイ語

中国語の授業

大阪教育大学

4

ノーマネー会

お金を使わないで遊ぶ会

関西大学

4

バイリンガール

外国語学部の女子

関西大学

4

パリピ

party people クラブ通いのチャラい奴

大阪市立大学

1

ハンター

肉食系女子

大阪市立大学

3

フルタン

学期の単位を全て取得すること

愛知学院大学

4

ペリオ

歯周学講座

龍谷大学

4

らびゅーさー

いびゅーさーというサークル内で付き合う事

近畿大学

4

リア充

現実の生活が充実していること

大阪教育大学

4

安堂ダッシュ

安堂ー柏原南口をダッシュすること

立命館大学

4

以学ダッシュ

定期レポート提出期限ギリギリに、以学館まで走って出しに行くこと

同志社大学

3

河原町バック

終点河原町に一駅もどり、スカスカの座席に座る。

兵庫医療大学

4

看ガール

看護学部のグループ

兵庫医療大学

4

看ファミ

看護学部のグループ

同志社大学

2

興戸ジャンプ

興戸駅にいくのに普通しか停まらないので、急行で新田辺まで行き普通で興戸駅まで戻ってくること

関西大学

4

経ボーイ

経済学部の男子

大阪教育大学

2

五位堂バック

五位堂まで寝過ごしてから大教に戻ること

大阪教育大学

4

五月マジック

五月祭という1回生の学祭で恋人ができること

甲南大学

3

甲南ボーイ

甲南大学の男子

同志社女子大学

4

三山木マジック

三山木駅で降りて交通費を浮かすこと

関西大学

3

社ガール

社会学部1回生の女子

関西大学

3

社ギャル

社会学部2回生の女子

関西大学

3

社マダム

社会学部3回生の女子

関西学院大学

1

社学ガール

社会学部の女の子

関西大学

4

寝なーずハイ

寝ていなくて疲れているはずが、限界を超えて逆にテンションが上がる(high)になること

龍谷大学

4

石山トラップ

瀬田キャンパスは新快速が停まらないため、ひとつ前の石山駅で降りなければならないこと

大阪市立大学

2

茶ガール

茶道部女子

大阪教育大学

3

昼ピ

飲食店等が昼時に混むこと

近畿大学

4

長瀬ダッシュ

学祭後、長瀬駅から近大の道のりを実委がダッシュでゴミ拾いすること

大阪教育大学

2

奈良イン

奈良にボールが入ること

関西大学

3

文ガール

文学部の女子(1〜4回)

武庫川女子大学

4

鳴尾ダッシュ

鳴尾駅から大学まで走ること

甲南大学

3

六アイマジック

駅では雨が降っていても、六甲アイランドだけは雨が降っていないこと

 

⑺名詞の派生は6個あった。今回のデータでは全て「er」をつけてある人を表現するというふうになっていたが、他にも「ing」をつけるなどがこの造語方法の種類としてある。英語のように聞こえることから会話のリズムもよくなる。近年では安室奈美恵の真似をする人のことを「アムラー」と呼んだり、マヨネーズが好きな人を「マヨラー」と呼んだりするなどこの造語法が流行していた。人に対して使う言葉であるのでアンケートでも言葉の対象は全て人であった。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

大阪教育大学

4

ジェアラー

JRで登校する人のこと

大阪教育大学

2

チャージャー

チャージの人

同志社女子大学

4

トイラー

トイレによくいくやつ

武庫川女子大学

4

ナイバー

内部進学組

大阪教育大学

2

ミーラー

ミールカードを持っている人

甲南大学

2

内バー

内部進学組

 

⑻特徴は27個あった。色や音、場所などのある特徴から造語するので比較的作りやすく、素直な造語方法である。意味を隠したりするという効果はないため批判的な、マイナスイメージの言葉は27個中8個と割合としては少なかった。

 

 

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

イメージ

同志社女子大学

4

パープル

清掃の人

京都橘大学

4

ピーする

出席カードをかざすこと 

創価大学

M1

ピー逃げ

出席確認のicカードをタッチして、授業には出ない

×

武庫川女子大学

4

ピッ

学生証で出席をとる

兵庫医療大学

4

ピッする

学生証で出席をとる

近畿大学

M2

ピンク教授

全身ピンクの教授

×

近畿大学

4

ピ逃げ

出席カードをかざしてから授業に出ずに帰ること

×

龍谷大学

4

よっ友

あいさつしかしない友達

×

大阪教育大学

2

リハホ

K201

大阪教育大学

4

一郎のやつ

高橋一郎先生の教採の講義

大阪教育大学

2

音棟

K

関西大学

3

外大

社会学部

×

熊本大学

4

市内の繁華街

関西大学

4

関西外大(学舎がメインキャンパスより外にあるから)

社会学部

×

武庫川女子大学

4

旧校

中学校から武庫川女子の子

近畿大学

3

近大通り

学びや通り(商店街) 

関西大学

2

経商

第2学舎 

京都橘大学

4

言語のとこ

清心館

大阪大学

4

再履バス

再履修のためにキャンパス間バスを利用すること

同志社女子大学

4

出せばいい、それが同志社女子大学

レポートを提出する際、適当な文章で書くこと

×

畿央大学

4

小学校

学校教育コース

同志社女子大学

4

新たな返し

興戸駅にいくのに普通しか停まらないので、急行で新田辺まで行き普通で興戸駅まで戻ってくること

武庫川女子大学

4

新校

高校から武庫川女子の子

大阪教育大学

3

生協の声のいい人

生協で働いてるとある人

武庫川女子大学

4

矢沢

門の前にたまにいてトラックの中で矢沢永吉の曲を流しながらめちゃにらんでくるおっさん

×

畿央大学

4

幼保

幼児教育コース

畿央大学

4

養護

心理教育コース

 

⑼なぞらえは12個あった。特徴などと比べると造るのが難しい造語方法である。元になっている言葉の意味やイメージと実際の意味とのギャップにおもしろさがある。

 

大学名

回生

性別

キャンパス言葉

意味

京都府立大学

3

キラ分(キラルな分子というものがあったから)

生命分子化学科

龍谷大学

3

ござ早漏

早とちり

同志社大学

2

コモる

同志社大学のラーニングコモンズというスペースに勉強等でいること

関西学院大学

1

チャペる

チャペルアワーにいくこと

関西大学

4

バイリンガール

外国語学部の女子

関西学院大学

3

ママ上

BIGMAMAという食堂の上のホール

同志社女子大学

4

メディアンヌ

情報メディア科の人

関西大学

3

外大

社会学部

関西大学

4

関西外大(学舎がメインキャンパスより外にあるから)

社会学部

関西大学

4

寝なーずハイ

寝ていなくて疲れているはずが、限界を超えて逆にテンションが上がる(high)になること

同志社大学

4

田辺返し

今出川キャンパスから田辺キャンパスへ授業を受けに行くこと

甲南大学

2

腐った甲南づけ

内部進学組

 

第三節 造語方法のまとめ

大きな特徴としてやはり省略が占める割合が多いということがある。どのような言葉でも省略をしようという意識がみられる。もちろん大学生だけでなく主婦が「関西スーパー」を「関スー」と言うなど、様々な年代の人が様々な言葉を省略して使っている。しかし大学生ほど省略をしようとする年代はいないのではないか。今回集めたキャンパス言葉の97%で語数が短くなっていたという結果からもその傾向がうかがえる。

しかしキャンパス言葉の造語法の特徴は省略だけではない。様々な思いから、暗に批判したり、褒めたりするために様々な造語法が使われていた。仲間意識を高めるために隠語のような形にしたり、おもしろさを出すために何かになぞらえたり、言葉をくっつけたり、直接的な表現を嫌って間接的に表現したりと様々な造語法がみられた。

今回集まったキャンパス言葉自体は最近造られたものかもしれないが、造語方法としては昔からあまり変わっていないことが分かった。「動詞化」や「頭文字」などは明治や昭和からずっと使われている。キャンパス言葉は若者語の中の一つと言われるが、現在の若者だけでなく昔の若者も現在と同じような造語方法を使用している部分があるということがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三章 キャンパス言葉の使用実態の分析

 

第一節 キャンパス言葉の対象

 第3章ではキャンパス言葉の使用実態の分析を行う。まずどのようなものに対してキャンパス言葉が使われているかというキャンパス言葉の対象を見ていきたい。大学生が使用する言葉なので私は「人」に対する言葉が多いのではないかという仮説を立てた。大学生になるとクラスなどもないので義務教育や高等学校とは違い一人一人との関係は薄くなる。その代わりより多くの人々、しかも年齢がバラバラな人々と関係を構築していかなければならない。そのような大学生活の中で仲間意識を強めたり、グループへの帰属意識を強めたりするために「人」を対象としたキャンパス言葉を使用するのではないか。そのため私はキャンパス言葉の対象として「人」が多くなるのではないかと考えた。キャンパス言葉を大きな分類として「人」に対する言葉なのか「ものなど人以外」に対する言葉なのかをみていくと、私の考えとは違い「人」が約46%、「ものなど人以外」が約54%という結果になった。このように「人」と「ものなど人以外」では「ものなど人以外」の方が多いということがわかった。この「人」の中には「学部・学科」を指す言葉も入っている。なぜかというと学部・学科についてのキャンパス言葉はその学部・学科に所属している人に対して使われているので対象としては「人」に分類した。

そして細かくキャンパス言葉の対象を分類していくと「学部・学科」「学生」「施設」「授業」「通学」「街」「サークル・部活」「職員・教授」「気持ち」「大学」「生活」「その他」の12に分けることができた。それぞれ例をあげて示すと、「学部・学科」は「文学部あそ文学部」のような学部や学科が対象となっている言葉。「学生」は「文学部の女子文ガール」など学生に対して、「施設」は「ラウンジ二億」のような学校の施設が対象となっている。「授業」は授業名そのものから「出席カードをかざすピッする」やレポート関係などの授業に関連するもの。「通学」は「登校すること登山」などの通学に関すること。「街」は「布施のマクド布施まく」など学外のお店などについて。「サークル・部活」ではサークル名から「徹夜で練習オール練」など練習について、「職員・教授」は「清掃員パープル」などの職員や先生までを対象とする。「気持ち」では「感傷的になるエモい」などの気持ちについて。「大学」はキャンパス名や大学名についてである。「生活」は「女友達5人でパーティすること→5飯会」「ヤマザキにいく→ザキる」など部活動やサークル、授業以外の学校生活全般についてである。

まとめると次のようなグラフになった。

全体でみると「人」と「ものなど人以外」は同じようなパーセンテージだったが、細かくみると1、2位が「学部・学科」「学生」というように「人」に対する言葉が上位にあることがわかる。全体ではわからなかったが、このようにみると前述したように仲間意識を強めるために「人」を対象とするキャンパス言葉が大学生にとって重要なものだということがわかる。

 

第二節 キャンパス言葉の使用イメージ

キャンパス言葉を造り、使用するにあたって言葉のイメージというものがある。良いイメージで使っているのか、悪いイメージで使っているのか、どちらでもないのか。造語法の分析の「イメージ」の項でイメージを分類したように、全てのキャンパス言葉を分類してみると次のような結果になった。プラスイメージ約3.6%、マイナスイメージは約23.7%、どちらでもないが72.7%。この結果から圧倒的にどちらでもない言葉が多く、やはり大抵の場合省略することや会話のリズムをよくするためにキャンパス言葉が使われていることがわかる。しかしプラスイメージとマイナスイメージを比べると同じような数字ではなくマイナスイメージが多いことがわかった。このことからキャンパス言葉は比較的批判的な意味をこめて造られているものが多いということがわかる。これは何かを批判、揶揄することによって仲間意識を高めるという効果があるからではないかと考えた。

第1節の言葉の対象と今回調査した言葉のイメージを組み合わせてみると以下のような結果になった。(○→プラスイメージで使用、△→どちらでもない、×→マイナスイメージで使用)

 

 

 

 

分類

×

学生

7

37

28

学部

2

62

21

気持ち

2

1

4

サークル・部活動

0

1

施設

0

41

2

授業

1

28

10

職員・教授

1

3

5

大学

0

10

1

通学

0

22

5

0

18

2

生活

1

36

9

 

この表から読み取れることとして人に対してはプラスイメージ、マイナスイメージというなんらかの評価が多いが、ものなどに対してはどちらでもないが多いということである。人である学生、学部・学科、職員・教授では約39%がプラスかマイナスというイメージをしている言葉なのに対し、サークル・部活動、施設、大学、授業、街、通学のものなどに対する言葉のグループでは約19%がプラスかマイナスのイメージをしている言葉であった。このことからやはり大学生は人に対する評価には敏感であり、他人を評価し、しかもキャンパス言葉にすることで仲間意識を高めたり、やわらかく表現したりしていると考えられる。

 

第三節 アンケート結果の分析

第一項 キャンパス言葉の使用動機

アンケート調査の際に「なぜキャンパス言葉を使用するのか」ということを聞いた。回答項目としては「みんながそう呼んでいるから」「言いやすい・楽だから」「おもしろいから」「揶揄するため」「その他」をあげ、選んでもらった。複数回答ありのため割合ではなく数で出した。すると以下のような結果になった。

理由

みんながそう呼んでいるから

384

言いやすい・楽だから

194

おもしろいから

103

揶揄するため

56

その他

14

 

この結果からキャンパス言葉を使用する際にまわりを気にして、仲間に同調しようとする気持ちがうかがえる。造語方法の章でも述べていたが、仲間意識を高めるためにキャンパス言葉を使用するということがこのデータから明らかになった。そのキャンパス言葉が揶揄するためであっても、使用者である学生に揶揄するためという意識はなく、ただみんなが使っているからというだけで使用されていることもあるのではないか。そして「言いやすい・楽だから」という理由も194と2番目に多い。これは省略などをすることで会話のリズムをよくしているということである。

 

第二項 キャンパス言葉の使用開始時期

いつそのキャンパス言葉を使用し始めたのかを聞くとこのような結果になった。

 

 

このように1回生からという結果が圧倒的な割合を占めた。やはりここからも仲間意識を強くしたい、連帯を強めたいという気持ちがうかがえる。大学生活一年目という友達作りなどに不安を覚える時期にキャンパス言葉を使用することで連帯意識を強くすることができる。友人が使用していたキャンパス言葉を自分も使用し、自分も仲間であることを内外にアピールすることができるからだ。もちろん一回生なのでキャンパス言葉が新しく聞こえ、仲間意識関係なく一回生から使用していることもあるだろう。しかしそのような場合でも友人関係だけの仲間意識ではなく、その大学に所属しているという大学の連帯意識からキャンパス言葉を使用しているのではないだろうか。このような傾向は現在だけのものではなく、昔からの傾向である。

 

 

旧制高等学校の生徒や大学生などの間では好んでドイツ語が借用された。旧制 中学でドイツ語を教科として生徒に教えていたところはきわめて少なかった。旧制高校の生徒たちは、ドイツ語を自分たちの話しことばの中にとりいれることによって、外部に対する自分たちの仲間意識と優越意識、いわば一種のエリート意識を確認していたのであろう。(『隠語の世界』 180項 渡辺友左 南雲堂 1981年 6月15日)

 

 

とあるように昔から仲間意識などを高めるために隠語であったり、特別に造られた言葉が使われていたのである。

また1回生から4回生まで割合が減ってきていることから1回生のうちにキャンパス言葉とはほぼ出会い尽くすということがわかる。ここから多くの学生に使われる新しいキャンパス言葉というものは頻繁にうまれるものではなく、代々残り続けているキャンパス言葉が新入生に伝わるという流れになっていると考えられる。ではどのような流れでキャンパス言葉が伝えられているのかアンケートをもとに考えていきたい。

 

第三項 キャンパス言葉を誰から聞いたか

以上のように「友達」と「先輩」で約83%を占めた。この結果から先輩から聞いたキャンパス言葉を友達が使用し、それを聞いた人が自分も乗り遅れないよう、そのキャンパス言葉を使うという流れが主流なのではないかと考えた。また「友達」と「先輩」の割合を比較した場合約20%「友達」が多いことがわかる。これは先輩と関わるより友達と関わることが多いためと考えられるが、他にもキャンパス言葉を使って、友達との仲間意識を強めたいという学生の思いもみえる。

そして6%ながらも「教員・職員」から聞いたという人がいた。キャンパス言葉とは学生がキャンパス内で使用する言葉と定義したが、学生だけでなく教員や職員も使用していることがわかった。これは学生から聞いて使用し始めたというケースと自分がその大学の卒業生であるため、自分の学生時代から使用していたという二つのケースが考えられるだろう。データでは「教員・職員」から聞いた言葉としてほとんどが授業名や施設名、学部・学科名の略称であり、プラスイメージやマイナスイメージのものはなかった。

 

 

第四項 キャンパス言葉の使用相手

キャンパス言葉を誰に対して使用しているのかを調べた。「友達」「先輩」「後輩」「他大の友達」「教員・職員」「親」「誰にでも」の中から複数回答ありで選択してもらった。すると「友達」が455、「先輩」が236、「後輩」が205、「他大の友達」が52、「教員・職員」が45、「親」が38、「誰にでも」が40であった。やはり「友達」「先輩」「後輩」という大学での関わりが上位を占めた。またアンケート回答者の約90%が友達に対してキャンパス言葉を使っていることがわかった。このことからも友達への仲間意識をアピールするためにキャンパス言葉を使用していることがわかる。しかしながら少数ではあるものの「他大の友達」や「親」などに使用するという回答があった。これはキャンパス言葉という一定の集団の中でしか使用できない言葉を、その集団以外でも使用しているということである。これは意識している、いないに関わらず、使い慣れたことからキャンパス言葉としてではなく、普通の言葉として扱っていることがわかる。

 

第四節 アンケート結果の関連性

キャンパス言葉を使用し始める時期が1回生に多く、学年が上がるごとに減っていっていることや、親や教員・職員、他大の友人にキャンパス言葉を使用することから、回生によって使用理由の傾向が違うのではないかと考え、回生ごとの割合を出してみた。

 

 

 

 

 

アンケート回答者は3、4回生が多いため数ではなく、比率で出した。するとこのような結果になった。一つの特徴としては「みんながそう呼んでいるから」という理由が1回生では比率として多く、3、4回生では全体に半分以下になるということが明らかになった。このことからも1回生はやはり友達との人間関係を作る際に仲間意識を強めたいために友達の真似をしてキャンパス言葉を使用していることがわかる。

次は男女差について調べてみた。

 

 

 

このように男女で大きな違いはあらわれなかった。キャンパス言葉を使用する理由については回生で多少の違いがあるものの、性別ではあまり違いがないということが明らかになった。

 

第五節 キャンパス言葉の使用実態の分析のまとめ

第3章の大きなまとめとしてキャンパス言葉は仲間意識や集団への帰属を強くするという目的があることがアンケートやキャンパス言葉の対象、イメージから明らかになった。その特徴が一番顕著に現れているのが「なぜキャンパス言葉を使うのか」という質問に対する回答である。2番目の「言いやすい・楽だから」の数の二倍以上の数で圧倒的に「みんながそう呼んでいるから」が1番であった。他人に同調し、乗り遅れないようにキャンパス言葉を使用しているのである。もちろん揶揄するために使ったり、表現をやわらかくするために使用したりとキャンパス言葉を使用する理由は様々にある。キャンパス言葉の対象が「人」である場合、何かしらのイメージを与えるキャンパス言葉が多いことから、しかもマイナスイメージが多いということから揶揄をしたり、批判したりなどの効果を狙ってキャンパス言葉を使用していることは明らかである。しかし上回生に比べ1回生に「みんながそう呼んでいるから」という理由が多いことからも、キャンパス言葉を使用する一番の目的は仲間意識や集団への帰属意識を高めるということがわかる。

 

 

 

 

 

 

第四章 まとめ

 

第一節 造語法と使用実態からみるキャンパス言葉の研究のまとめ

 キャンパス言葉について造語法という視点とアンケート調査をふまえた使用実態という二つの視点から分析をした。造語法ではやはり省略が多いという結果が出た。しかし省略だけにとどまらないで、省略+様々な造語法が使用されていた。そこでは批判するためや表現を柔らかくするため、会話のリズムをよくするためなど様々な効果を期待されて造語されていた。また造語方法としては昔からあるものが多く、流行語などの影響もみられた。

 使用実態からは多くの学生が「みんながそう呼んでいるから」という理由でキャンパス言葉を使用しているということがわかった。「いつからキャンパス言葉を使用しているのか」では1回生からが圧倒的に多く、回生を重ねることに少なくなっていた。このようにアンケートからわかったのは、キャンパス言葉を使用することによって学生が仲間意識を高めようとしていることである。どのような意図で造られたキャンパス言葉かなどは関係なく、ただみんなが使っているからという理由でキャンパス言葉を使っているのである。1回生からの使用が多いのも入学して乗り遅れないようにするためだと考えられる。また理由として2番目に多かったのは「言いやすい・楽だから」である。これは会話のリズムをよくするためということだろう。

 以上のように造語法ではキャンパス言葉の様々な思惑が見られたが、アンケートでは仲間意識を強めるためにキャンパス言葉を使うということが結果としてでてきた。もちろんアンケートでも揶揄するためと答えてくれた人もいた。そして実際造語法から見るにキャンパス言葉は様々な効果を持っている。しかし今回の調査では学生がキャンパス言葉を使用するのは@仲間意識を強くするためA会話のリズムをよくするための二つが大きい理由として明らかになった。キャンパス言葉は様々な造語法があるが、実際利用する学生は上記の二つを主眼に置いているということがわかった。

 

第二節 課題

9月から11月の2ヶ月間でデータを取ったが、回生や男女に偏りが出てしまった。もう少し時間をかけ、丁寧にアンケートを取るべきだったと思う。

また様々な国語科の先生に言われたアンケートの信用性という部分をしっかりとクリアできているのかが少し不安である。一つの大学に絞ってアンケートを丁寧に何度もとるという作業があってもよかったのではないかと思う。

 またアンケートで他にも聞いておけばよかったと後々後悔したことがあった。もう少し質問を考えていれば違った見方もできていたのかもしれない。

 

第三節 おわりに

 大学に入ったときから文学などよりは言葉に興味があり、野浪先生のゼミを志望した。そして卒業論文のテーマを決める際に入学当時に興味があった何かしらの「言葉」を論文にしたいと考え、一番身近にあるキャンパス言葉をテーマにした。

 アンケートの作成や処理の仕方などは他のゼミ生に協力してもらい本当に感謝している。またアンケートに答えてくれた約200人の友達とその知り合いには感謝してもしきれない。そのアンケートがなければこの卒業論文は書けなかった。そして何よりもあたたかく見守ってくれた野浪先生に一番お礼を言いたい。必要最低限しかやってこない私でも指導してくれ、最後まで書ききることができた。

 この卒業論文は自分だけの力では絶対にできなかった。関わってくださった全ての人に感謝している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四節 参考文献

)「ブログからみえる若者言葉の「ってゆうか」 : 社会言語学的研究への示唆」 林千賀 国際文化研究所紀要   2007年3月10日 

) 「若者言葉と男性語・女性語」 谷光忠彦 武蔵野学院大学日本総合研究所研究紀要  3号 50〜57項 2006年3月15日 

) 「キャンパス内において大学生が謝る場面で使用する言葉とその選択基準 -日本語教育で提示する言葉「すみません」を考える」 皆川晶 崇城大学紀要  38号  85〜103項 2013年 3月1日 

)『ことばとジェンダー』 中村桃子 勁草書房 2001年 2月10日

)『はじめて学ぶ社会言語学ことばのバリエーションを考える14章』 日比谷潤子 ミネルヴァ書房 2012年 2月29日

)「キャンパス言葉の造語法」 永瀬治郎 専修大学国文学会 第50号 1〜11項 1992年 1月13日

)『若者言葉に耳をすませば』 山口仲美 講談社 2007年 7月30日

)『若者語を科学する』 米田明彦 明治書院 1998年 3月20日

)「ポライトネスから見る若者ことばの機能―龍谷大学キャンパス語の分析を通して―」村田和代 龍谷大学国際センター研究年表第14号、pp.2537、2005年

10)総務省ホームページ

(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a/h24doukou.html)

11)KY式日本語』 北原保雄 大修館書店 2008年 2月10日

12)『新語と流行語』 米川明彦 南雲堂 1989年 12月5日

13)『現代青年の心理学 若者の心の虚像と実像』 岡田努 世界思想社 2007年 10月20日

14)『大学生論 戦後大学生論の系譜をふまえて』 溝上慎一 ナカニシヤ出版 2002年 10月10日

15)『隠語の世界 集団語へのいざない』 渡辺友左 南雲堂 1981年 6月15日

16)『現代青年心理学』 鈴木康平 有斐閣 1987年 4月20日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巻末資料 アンケート用紙

大阪教育大学国語専攻小学校コース4回生の末谷亮太と申します。

卒業論文「キャンパス言葉」についてのアンケートです。よろしくお願いいたします。

問Bと問Gには言葉を一つだけお答えください。複数答えたい方は声をかけてください。

 

問@ あなたの大学名と学部は何ですか              大学            学部

問A 学年と性別はなんですか      男・女        回生    

問B 大学内外に問わず、何か行為に呼称がついているものがある場合があればその呼称を教えてください。

サークル内や友人など一部の人しかしらない身内の言葉でもかまいません。

例、レポート提出最終日に以学館に走って提出しに行くこと → 以学ダッシュ

五位堂まで寝過ごし帰ってくること → 五位堂バック

4年間田辺キャンパスで過ごすこと  → 4タナ

 

また以下のように答えてください。

意味→言葉→使用例

例、五位堂まで寝過ごし帰ってくること → 五位堂バック → 今日五位堂バックやったわ

  一つの箱に対して一つの言葉を答えてください。

 

(自由記述)

 

 

問C なぜそのように呼ぶのか理由を教えてください。(複数回答可)

   1、みんながそう呼んでいるから

2、言いやすいから・楽だから

3、揶揄するため

4、おもしろいから

5、その他(自由記述へ)

 

(自由記述)

問D 誰から聞いてそう呼び始めたのか教えてください。(複数回答可)

1、友達

2、先輩

3、後輩

4、教員・職員

5、わからない

6、その他

 

問E いつからそう呼び始めたのか教えてください。

1、1回生

2、2回生

3、3回生

4、4回生以降

 

問F どのような人との会話中にその言葉を使用しますか。(複数回答可)

    1、友達

2、友達(他大)

3、先輩

4、後輩

5、教員・職員

6、親

7、誰にでも

問G 学部や特定の人物について特別な言葉があれば教えてください。

サークル内や友人など一部の人しかしらない身内の言葉でもかまいません。

例、社会学部の一回生女子 → 社ガール 

産業社会学部 → パラ産(パラダイス産社)

アンケートの都合上一つでお願いします。複数ある方は複数回アンケートを行ってください。しかし

社会学部一回生 → 社ガール

社会学部二回生 → 社ギャル

社会学部三回生 → 社マダム

社会学部四回生 → 社ババ

のような同じ種類のものは複数書いてくださっても大丈夫です。

 

(自由記述)

問C なぜそのように呼ぶのか理由を教えてください。(複数回答可)

   1、みんながそう呼んでいるから

2、言いやすいから・楽だから

3、揶揄するため

4、おもしろいから

5、その他(自由記述へ)

 

(自由記述)

 

問D 誰から聞いてそう呼び始めたのか教えてください。(複数回答可)

1、友達

2、先輩

3、後輩

4、教員・職員

5、わからない

6、その他

 

問E いつからそう呼び始めたのか教えてください。

1、1回生

2、2回生

3、3回生

4、4回生以降

 

問F どのような人との会話中にその言葉を使用しますか。(複数回答可)

    1、友達

2、友達(他大)

3、先輩

4、後輩

5、教員・職員

6、親

7、誰にでも

 

アンケートにお答えいただき、ありがとうございました。「他にもこんな言葉があるよ。」という方がいれば何枚でもアンケートに答えてくれてかまいません。またwebアンケートもありますので興味がある方はhttp://enq-maker.com/82hI4kiまで。皆様の協力を無にしないよう、よい卒論にしたいと思っています。ありがとうございました。