一 次の文章を読んで、右の問いに答えよ。


"「いいですか、これがねこです。 この顔を見たら、すぐににげなさい。 つかまったらさい後、あっという間に食べられてしまいますよ。
子ねずみたちは、先生の話をいっしょうけんめい聞いています。
でも、あれえ。
先生の話をちっとも聞かずに、おしゃべりしている子ねずみが三びきいますよ。
しばらくして、三びきが気がつくと、みんないなくなっていました。
「あれれ、だれもいないよ。」
「それじゃあ、ぼくたちはももをとりに行こうか。」
「うん、行こう行こう。」
子ねずみたちが歩きだしたそのときです。
ニャーゴ
三びきの前に、ひげをぴんとさせた大きなねこが、手をふり上げて立っていました。
a三びきは、かたまってひそひそ声で話しはじめました。
「びっくりしたね。」
「このおじさんだれだあ。」
「きゅうに出てきて、ニャーゴだって。」
「おじさん、だあれ。」
bねこはどきっとしました。
そこで、子ねずみはもう一ど、
「おじさんだあれ。」
と、元気よく聞きました。
「だれって、だれって……たまだ。」
ねこは、言ってしまってから、少し顔を赤くしました。
「そうか、たまか。 ふうん。」
「たまおじさん、ここで何してるの。」
「何って、べつに。」
ねこは、口をとがらせてこたえました。
「じゃあ、ぼくたちといっしょに、おいしいももをとりに行かない。」
それを聞いて、ねこは思いました。
(おいしいももか。 うん、うん。 その後でこの三びきを。 ひひひひ。 cきょうは、何てついているんだ。
ねこは、子ねずみたちをせなかにのせると、ももの木のほうへ走っていきました。
三びきの子ねずみとねこは、ももを食べはじめました。
(うまい。 でも、たくさんたべたらいけないぞ。 おなかにいっぱいになったら、こいつらが食べられなくなるからな。 ひひひひひ。)
ねこは、ももを食べながら思いました。
ももを食べおわると、三びきの子ねずみとねこは、のこったももをもって、帰っていきました。
そして、あと少しのところまで来たときです。
ねこは、ぴたっととまって、
ニャーゴ
できるだけこわい顔でさけびました。
そして、
「おまえたちを食ってやる。」
と言おうとしたそのときです。
ニャーゴ
ニャーゴ
ニャーゴ
三びきがさけびました。
「へへへ、たまおじさんとはじめて会ったとき、おじさんに、ニャーゴって言ったよね。
あのとき、おじさん、こんにちはって言ったんでしょう。
そして、いまのニャーゴがさよならなんでしょ。」
「おじさん、はい、これおみやげ。」
「みんな一つずつだよ。
ぼくは、弟におみやげ。」
「ぼくは、妹に。」
「ぼくは、弟に。 たまおじさんは、弟か妹いるの。」
「おれのうちには、子どもがいる。」
ねこは、小さな声でこたえました。
「へえ、何びき。」
「四ひきだ。」
ねこがそう言うと、
「四ひきもいるなら一つじゃ足りないね。
ぼくのあげる。」
「ぼくのもあげる。」
「ぼくのももも。」
「ううん。」
dねこは、大きなためいきを一つつきました。
ねこは、ももをかかえて歩きだしました。
子ねずみたちが、手をふりながらさけんでいます。
「おじさあん、また行こうね。」
「やくそくだよう」
「きっとだよう。」
ねこは、ももをだいじそうにかかえたまま、
ニャーゴ
e小さな声でこたえました。 "