次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

 お母さんのおちち(ミルク)を飲んで大きくなる動物のことを、ほにゅう動物といいます。イヌ。ネコ。ウシ。ウマ。クジラなど、たくさんいます。わたしたち人間も、同じなか間です。 ほにゅう動物の赤ちゃんは、ほかの動物からミルクをもらうことは、めったにありません。ところが人間の赤ちゃんは、お母さんのミルクを飲んだり、牛にゅうというウシのミルクを飲んだりしています。大きくなってからも牛にゅうを飲みます。 人間にミルクをくれる動物には、ヤギ。ラクダ。ウマ。ウシ。トナカイなどがいます。その中でも、人間にミルクをくれる動物の代表は、ウシです。ウシのミルクは、動物のミルクの中でいちばん多く利用されています。これは、一回にとれるミルクのりょうが、ほかの動物にくらべてとても多いからです。 ところで、みなさんは、動物のミルクがミラクル(ふしぎなこと)を起こして、さまざまな物に変身することを知っていますか。 まず、一つめのミラクルは(ア)です。動物のミルクを利用し始めたのは、今のエジプトの近くに住む人たちです。この地方では、暑いときには日中の気温が五十度近くにもなります。ここにミルクをおきっぱなしにすると、いろいろな菌(きん)が空気中からとびこんできて、どんどんふえていきます。このとき、ミルクの中に、にゅうさん菌という菌が入ると、ミルクの変身が起きます。それまで水のようにさらっとしていたミルクが、だんだんどろっとしてきて、食べてみると少しすっぱい味になります。これが(ア)で、人間がミルクから作り出したさいしょの食べ物です。にゅうさん菌のおかげで、ミルクがくさらずに(ア)にかわりました。これがーつめのミラクルです。 二つめのミラクルは、(イ)です。ミルクをかき回すと、白いかたまりができます。これは、ミルクの中のしぼう(油)がかたまった物です。こうしてできたかたまりが(イ)です。(イ)は、ほかの油にくらべて味やかおりがよく、料理に使うと、とてもおいしくなります。また、ケーキなどのおかし作りにも使います。 三つめのミラクルは、(ウ)です。ある時、遊ぼく生活をしている人たちが肉を食べようとして、まだミルクを飲んでいる子ヒツジをころしました。そして、そのおなかを開いてみると、胃の中に白くかたまった物がありました。食べてみると、とてもおいしいのです。それは、ミルクが胃の中で変化した物だと分かりました。これが、(ウ)の始まりです。 (ウ)は、ミルクの中のたんぱくしつがかたまった物です。子ヒツジの胃には、ミルクの中のたんぱくしつをかためるはたらきをする物があったのです。そこで、人々はくふうして、自分たちの手で、それができるようにしました。(ウ)はえいようがあり、とてもおいしいので、今では世界じゅうの人々が食べています。 このように、動物のミルクは、(ア)・(イ)・(ウ)に変身し、おいしくてとてもえいようのある食べ物を、わたしたちにあたえてくれます。これらの食べ物には、大切な動物のミルクを大事に使いたいという、人々の気持ちとくふうが表れているのではないでしょうか。
(学校図書3年上「ミラクルミルク」)