最近の発表論文等 近藤高貴・南佐知子(2011)マツカサガイ幼生の放出時間. Venus, 69: 218-220. マツカサガイが幼生を放出する時間を室内観察で調べた。その結果,幼生は夜間,主として日没後数時間以内に放出され,放出された幼生は塊を形成することが分かった。 近藤高貴・田部雅昭・福原修一(2011)ヌマガイとタガイの殻形態による判別. ちりぼたん,41:85-89. アイソザイム分析で同定したヌマガイとタガイを用いて,2種の殻形態による判別を試みた。2種が混生する滋賀県木之本町の計測値から判別式を求め,その判別式を各地の標本に適用したところ,かなり高い判別率で2種を同定できることが明らかになった。 Shirai, A., Kondo, T. & Kajita, T. (2010) Molecular markers revealed genetic contamination of endangered freshwater pearl mussels in pearl culture farms in Japan. Venus, 68: 151-163. 淡水真珠養殖に用いられている真珠母貝の遺伝子解析を行い,琵琶湖固有のイケチョウガイと中国からの移入種ヒレイケチョウガイが交雑していることを明らかにした。 小林収・近藤高貴(2009)コガタカワシンジュガイの繁殖生態.Venus, 67: 189-197. 戸隠の逆さ川において,コガタカワシンジュガイの繁殖期を6年間にわたって調べた。その結果,水温が4℃を超えると産卵が始まり,その後の積算温度が180日度になると幼生を放出することが分かった。また,幼生は日の出前後と日中に放出され,夜間には全く放出されなかった。 Kondo, T. (2008) Monograph of Unionoida in Japan (Mollusca: Bivalvia). Special Publication of the Malacological Society of Japan, No. 3, v + 69 pp. 日本に分布するイシガイ類18種類(亜種を含む)のこれまでの知見をまとめた総説的な図鑑。 小林収・近藤高貴(2008)長野県中部農具川におけるカワシンジュガイの年齢査定.Venus, 67: 61-71. カワシンジュガイの稚貝を用いて,殻表面と靱帯の年輪を比較した。その結果,殻表面の年輪は実際の年齢を示していたが,靱帯の年輪は最初の数年間は形成されないため,過小評価になることを明らかにした。 Kondo, T., Hyun, Y. and Seung-Ho, C. (2007) Two new species of unionid mussels (Bivalvia: Unionidae) from Korea. Venus, 66: 69-73. マツカサガイ属とオトコタテボシガイ属は日本固有属と見なされてきたが,韓国でこれらの属の新種が見つかったので,それぞれホソタテボシガイPronodularia seomjinensis とコウライシジラガイInversiunio verrucosus として新種記載した。 小林収・近藤高貴(2007)日本産カワシンジュガイ2種のグロキディウム幼生と稚貝の形態比較.Venus, 65: 355-363. カワシンジュガイとコガタカワシンジュガイの幼生と稚貝の形態を調べた。幼生は外形では区別できなかったが,走査電顕でみた殻表面はカワシンジュガイでは滑らかであったが,コガタカワシンジュガイでは明瞭な皺状の凸凹が見られた。一方,カワシンジュガイ稚貝は細長い卵形で膨らみが弱く,コガタカワシンジュガイ稚貝は丸みを帯びて膨らみが強いというように,2種で外形が異なり,殻長ー殻高および殻長ー殻幅の判別関数でほぼ分けることができた。 近藤高貴・田部雅昭・福原修一(2006)ドブガイに見られる遺伝的2型のグロキディウム幼生の形態.Venus, 65: 241-245. ドブガイ2型の幼生の形態を比較し,刺状突起上の大きな歯の数で2型が区別できることを明らかにした。また,この幼生の形態に基づいて,2型の学名をA型はヌマガイ Anodonta lauta,B型はタガイ Anodonta japonica とした。 Kondo, T. and Kobayashi, O. (2005) Revision of the genus Margaritifera (Bivalvia: Margaritiferidae) of Japan, with description of a new species. Venus, 64: 135-140. 日本産カワシンジュガイ属の分類学的再検討を行い,新種コガタカワシンジュガイを記載した。カワシンジュガイでは背縁は前方に傾斜し,前閉殻筋痕は丸い耳形状であったが,コガタカワシンジュガイでは背縁は丸くて前方へ傾斜せず,前閉殻筋痕は尖った耳形状であった。 Kobayashi, O. and Kondo, T. (2005) Difference in host preference between two populations of the freshwater pearl mussel Margaritifera laevis (Bivalvia: Margaritiferidae) in the Shinano River system, Japan. Venus, 64: 63-70. 信濃川水系の逆さ川(戸隠)と中部農具川(大町)のカワシンジュガイの寄主を調べたところ,イワナは逆さ川では宿主となるが,中部農具川では宿主にならなかった。一方,ヤマメは逆さ川では宿主にならず,中部農具川では宿主であった。このように寄主が異なることから,カワシンジュガイには2種が存在する可能性を示唆した。 近藤高貴(2005) 魚類・貝類・甲殻類からみた里やま自然.「生態学からみた里やまの自然と保護」(石井実監修),pp. 68-73,講談社サイエンティフィク. 里やまの農業用水系における水生生物の生活環境について,簡潔に解説した。 近藤高貴・松田征也(2005) 用水路のイシガイ類.「生態学からみた里やまの自然と保護」(石井実監修),pp. 78-81,講談社サイエンティフィク. 小さな用水路に生息するイシガイ類を対象として行った標識再捕調査の結果を事例報告し,毎年1割強の個体が流出している可能性を指摘した。 田中寛子・出野卓也・近藤高貴(2004)カワヒバリガイの成長と繁殖に及ぼす腹口類の寄生の影響.大阪教育大学紀要第3部門,53: 1-7. 野外におけるカワヒバリガイの成長および生殖腺の発達状況を経時的に調べ,腹口類の寄生は第一中間宿主であるカワヒバリガイの成長には影響を与えていないが,生殖腺における配偶子形成を阻害していることを明らかにした。 近藤高貴(2003)農業土木技術者のための生き物調査(その5)ー淡水産貝類調査法ー.農業土木学会誌,71:43-48. 農業用水系における淡水産貝類について,定性調査,定量調査および生態調査の方法を具体的に紹介し,標本作成法やその保存の仕方と種の同定方法についても簡潔に解説した。さらに,個々の調査事例について,資料の解析上の注意点や評価の仕方に関して解説した。 |