日本産イシガイ類図鑑 | ||
近藤 高貴 (大阪教育大学) | ||
はじめに 日本に生息するイシガイ類は,17種ほどに過ぎないが,形がよく似ており,慣れないと区別が困難なグループである。また,色彩も地味で,カラスのように黒い貝という意味で「カラスガイ」と総称されることが多い。淡水真珠の養殖母貝以外に水産業的には大きな価値もなく,研究対象として注目されることもほとんどなく,分類学的にもあまり調べられていなかった。 イシガイ類は,溜池や用水路など身近な場所で普通に見られたグループであるが,近年の圃場整備等で生息環境が失われ,分布域が縮小し,また個体数も減少している。2007年に公表された環境省の新しいレッドリストでは,絶滅危惧I類に3種,絶滅危惧 II 類に5種,準絶滅危惧に5種,計13種ものイシガイ類が掲載されている。このように,絶滅が危惧されるようになってきたこと,また同じく絶滅が危惧されるコイ科魚類のタナゴ類の産卵母貝であることなどから,興味を持つ人が増えてきた。その結果,イシガイ類に関する新しい知見が集積されてきた。 この図鑑は日本のイシガイ類全般について,種の見分け方や分布,生態などの概要を,一般の人でも理解できるように解説したものである。最新の知見を随時取り入れて更新する予定であったが,著者の怠慢のため全く更新されることなく5年間も経ってしまった。この間にカワシンジュガイ属の新種コガタカワシンジュガイが記載され,ドブガイの遺伝的2型の学名も確定された。これらの新知見を含んだ総合的な日本産イシガイ目貝類図譜が日本貝類学会から出版されているので,学術的な引用文献としては,この図譜を引用していただきたい。なお,この図譜は学会本部(msj_manager@hotmail.com)に電子メールで申し込めば,定価2000円で入手することができる。 近藤高貴(2008)日本産イシガイ目貝類図譜.日本貝類学会特別出版物第3号,v + 69ページ. 日本産イシガイ目貝類図譜は研究者向けに英文主体で書かれているので,ここでは図譜の内容を踏まえて,一般向きに修正した内容を改訂版として公開する。今後は,新たな知見が得られるたびに,随時内容を更新していくつもりである。 この図鑑の作成に当たっては,淡水貝類研究会のメンバーをはじめとした多くの協力者から,未発表資料を含めて,イシガイ類に関する情報を提供していただいた。ここにお礼申し上げる。 更新履歴 02/09/28 初版を公開
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