液滴法


簡単な説明
「液下法」とも言う。垂直な管の下端より静かに落下する液滴はその重量が表面張力に打勝ったときに滴下する。滴下液の重量測定から表面張力を求める簡単な方法である。この方法は,精密度が高くないので多くの場合,比較測定に用いられる。

次に,理論的な説明です。

一滴の質量をとすれば,液滴を下に引く力はmgであって,これを上に引き上げる力は2πrγである。(γ:表面張力,:管口の外半径)したがって, 液滴の重量から表面張力が測定できる。液滴の重量を測定する代わりに,一定体積の液体が滴下する際の滴数を加え,その液滴の比重を知れば2液体の表面張力の比を求めることができる。例えば,A液の滴数を,比重をρ,またB液の滴数を比重をρとしそれぞれの表面張力をγ1,γとすれば

となる。


また,この方法はさらに工夫されて,表面張力だけでなく「粘性係数」も同時に測定するものにもなった。 その方法は・・・

液滴法を利用したもの。液滴法での垂直に立てた毛細管を少し傾け,下端を液面に接触させて固定する。上端にゴム管を接続して,注射筒で液を適当な高さまで吸い上げておき,その後管内の圧力を大気圧にし毛細管を自然に降下させる。
 毛細管の傾き
θを考慮に入れると,液適法と同じ方法で表面張力は求まる。次に,粘性係数はそのメニカスの降下にかかる時間を測定することによって求まる。


最後に・・・

粘性係数とは?
水あめや,グリースのような流体中では物体を動かすと大きな抵抗を受ける。このように実在の流体は,多少の差はあるが内部抵抗すなわち「ねばさ」という性質を持っている。この性質を「粘性」という。流体の微少体積の運動は並進, 回転,変形に分解して考察することができるが,並進と回転のような剛体的運動は粘性に関与せず,変形に対する内部抵抗として粘性が表わせる。粘性係数はその比例定数である。
メニカスとは?
液体の表面から細い管を差し込むと,液体の表面は管内の内部で,ある曲面を形成する。これを「メニカス」と言う。液面が管壁と交わる角度をメニカスの角度といい,これは接触角の一つに他ならない。

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参考文献

  • 島田昌敏 著:表面張力と粘性係数の同時測定,大阪学芸大学理科教育研究室報告 第2号別冊(1967年)
  • 井上敏 小谷正雄 玉虫文一 富山小太郎 編:理化学辞典 増訂版,岩波書店