ロートをのぼる膜!?の解説


Q4:なぜ,「少量」しか入れないのでしょうか?
A4:次の解説を読んで下さい。
表面張力はわずかな汚れや,油脂によって著しく減少してしまう。だから,合成洗剤を加えた石けん膜は水よりもはるかに表面張力は弱くなっている。

それは,図のように石けんの分子が一列に並んだ膜を作り,水本来の性質を妨げてるからなのです。石けん膜の表面張力の強さはその石けん液の濃度によって大きく変わる。すなわち,石けん液の濃度が高くなると然表面張力は弱まり, 逆に濃度が低いと高い時に比べてあまり弱くならない。そこで,表面張力をあまり弱くさせないために,「少量」にするのです。
 しかし,あまり少なすぎると石けん膜は割れてしまいます。それは,石けん膜ができやすく壊れにくいという性質を保てなくなるからです。なぜなら,水の表面張力が強すぎて膜にならないからです。そのため,割れずに表面張力の強い膜を必要とするこの実験では「少量」と表現しているのです。割れずに,かつ力の強い膜が最も良いのです
 混ぜる洗剤の種類よって適切な量が異なるので,自分でその「量」を探し当てましょう!
Q2:膜はどうなるでしょうか?
A5:次を,見て下さい。
これは,もう解ったかな?そう!棒と同じです。
表面張力はできるだけその表面を小さくする力である。ゆえに,ロートに膜を張ると膜自身がより小さな表面積で済むロートの上の方に膜が上っていくのです 。重力は下向きに働いているのに,それに従わずに上がっていくのは不思議ですね。その様子を下に絵で書いてみました。
さらに,その様子を実際に写真に撮ったものを載せてみました。

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参考文献

  • 小暮陽三 著:身近な教養物理,森北出版
  • 内藤卯三郎 水野国太郎 池本義夫 共著:物理学実験法講義 上巻,培風館