理論

 任意の二金属を取り、その両端を電気的に接続し、接合部を異なる温度に保つと回路内に起電力を生じ電流が流れる。その熱電対の起電力は、

であらわせる。このとき、下図の1,Tそれぞれ両接点の温度とする。

 導体の熱起電力を特徴づけるe(T)という量を、この物質の熱電能と呼ぶ。任意の二金属をA,Bとすれば、それぞれの熱電能は、eA(T),eB(T)とおくことができ、この量は通常、温度の一次式であらわされることが知られている。

 e(T)=π/3・k/e・kT/ζO(1+dlnl0/dlnζ0

ζは電子一個当りの自由エントロピー,lは電子の平均自由行路の値で、ζO,0とはFermi境界でのζ,lとの値である。しかし、上式は、理論式であり必ずしも正確な値が得られるとは限らない。よって、工業的に用いられている熱電対は、実験によって得られた値から熱起電力が求められている。

 図は、Peltier効果が最小なPbに対する多種金属の熱電能を示す。そして、任意の二金属A,B間の熱起電力をA*Bで表せば、A*B=−B*A,A*B+B*C=A*Cであるから、A*B−C*B=A*Cとなり、図から、たとえばPbに対するFeまたはCuの熱電図をみれば、Fe-Cu熱電対の性質がわかる。

モクジニモドル