最近の研究や取り組み2015.4〜の著作物

草原和博・溝口和宏・桑原敏典『社会科教育学研究法ハンドブック』明治図書,2015
現実の複雑な学校現場で適用可能なデザインベースの研究を
  学会発表や論文に示される研究は興味深い。国内外の新奇なカリキュラム、教材、単元構成、学習方法や内容、最先端の機器の使用など様々な側面に焦点をあてた研究成果が紹介される。しかし、実際には到底実践できそうもない提案に留まる研究が少なくない。現実の学校現場で適用可能な理論と実践が示されてこその研究である。若手研究者へのメッセージとして執筆した。
全国社会科教育学会『新社会科授業づくりハンドブック 小学校編』明治図書,2015年
教科書・副読本とどう付き合う?

 教科書を教えるのか、教科書で教えるのか。教師に教科書を読みこなす力がなければ、教科書で教えることはできない。副読本の利用が場当たり的な指導にならないよう教科書における内容とを比較し、位置付け方や効果的な利用が望まれる。丸野副校長も執筆している。

指導と評価12月号
 学習指導要領に期待する

 社会科の改訂への期待  峯 明秀
★教育課程企画特別部会において、次期学習指導要領の論点整理が示された。注目すべきは高等学校社会系教科の仮称科目、歴史総合、地理総合、公共である。各科目の内容に関する課題として、(1)近現代史における見方・考え方の中立をどのように保障するのか、(2)社会認識と社会参加の技能・態度の関係はどのようになるのか、(3)「18歳選挙権」政治参加にどのように関与するのか、(4)地理を学ぶことの意味・意義は何か、学問体系の中で作られた既存の教科の枠組みの見直しと教科再編の中での教員養成について意見を述べた。

社会科教育 2015年12月号
 ICT×アクティブ・ラーニング

1 ICTは強力なツールである。アクティブラーニングは、「能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称(2012中教審用語集)」であり、ICTはそれを可能にする強力なツールである。具体的な活用例を多数紹介している。

社会科教育 2015年10月号
 わが県の情報 ここに「この授業あり」(第211回)

 1.ICTを推進する附属学校教員,2.公立学校を巻き込む中核教員,3.三 教育研究サークルを支える教員,4.わが研究室を巣立ち大阪で活躍する中堅・若手教員を紹介した。

日本教科教育学会第41回全国大会(広島大学)10/24・25日 
ユニバーサルデザイン(UDL)に基づく社会科学習の理論と実際

 ユニーバーサルデザイン(UDL)の学習が求められている。教師が指導の方法や内容を個々に工夫する必要があるのは,障害のある子どものためだけでなく,すべての子どもに必要であること,学校で使われる教材は,単なる教科書に止まらず多様であるべきこと,ひとつのカリキュラムに合わせるのではなく,学習者のニーズに応じた多様なカリキュラムの集合体を用意することなどが考えられる。すべての子どもが「わかる・できる」社会科学習は,どのような教え方によって実現するのか。さらに,それぞれの子どものニーズに応える学習はどのように計画されるのか。大阪教育大学附属平野小学校の滝沢知之・安野雄一先生と発表を行った。             

社会科教育 2015年7月号 
教科書にない“魅力の主張・コンセプト”紹介 (第4回)

南方熊楠による「民俗学の周辺」が研究に語りかけるもの,民俗学と言えば、『遠野物語』『石神信仰』の柳田國男が草創者と言われる。しかし、もう一人の草創者、植物・粘菌(変形菌)研究で有名な南方熊楠をご存知だろうか。

社会科教育 2015年7月号
 「もう一歩」学びを深めたいときの発問

 何のために分析するのか 集めた情報をもとに、データの意味を考え、※問題解決に向けて情報を分析する。※は目的を意味する。情報を大量に集め、眺めているだけでは知りたい本質は見えてこない。つまり、何が知りたいのか、目的に沿って情報を整理する着眼点が必要である。

社会科教育 2015年5月号
特集 “社会”を面白がる!はてな?授業ネタ百科

 大名行列,1 大名行列はとにかく急いでいた! 問1…大名行列は何時ごろに出発したでしょう。 答え(七ツ立ち、午前四時) 「お江戸日本橋七ツ立ち」といわれるように、日がまだ明けない午前四時に出発し、「夜五ツ」午後八時ごろ宿に入った。                                          

   
『社会認識教育学研究』30号,鳴門社会科教育学会
社会科の授業づくりを支援するための教科専門科目の内容構成

 社会科教員を目指す学生のための教科専門「社会」の授業の多くは,人文・社会諸科学の学問の成果としての内容や方法などの知識の教授や探究の仕方を教授・習得することが行われている。そのことは学問の成果である内容・方法と,教科の目標・内容・方法と教育実践とをどのように関連付けるのかを履修者に委ねることになる。そして,履修者の多くは人文・社会諸科学の学問の成果を教科内容として教えることが「社会」科の内容と受け止める。結果,学校現場における教育実習や模擬授業のための教材研究は,教科書の内容をどのように教えるかについてに注意を払い,指導方法や学習形態の工夫・改善を行う。その際,授業者は個々の社会事象をどのように学習者に解説すればよいかに終始していることが観察される。pp.201-210                                            

梅津正美・原田智仁『教育実践学としての社会科授業研究の探求』風間書房
アクションリサーチにによる社会科授業改善研究のプロセス 

 社会科における評価研究は,授業改善のための評価研究と学習結果の測定を目的とする評価研究の2つに大別できよう。さらに,前者はある理念から導かれるカリキュラムや授業構成・展開のすべて,あるいはその一部を示し,その成果を授業の事実として提出する仮説検証の評価研究と,学習成果の解釈を通して,目標とする授業それ自体を再構成する仮説生成の評価研究に分けられる。後者は,評価問題の開発・分析や資質・能力についての一般的な学力論から見取られる評価研究などがある。それらは,学習成果の測定を目的にするため,社会科としての具体的な授業実践と固有の評価要素を示すことができない。それゆえ,日々,実践される授業の何をどのように改善すればよいのかについては検討できないものとなっている。本節は授業改善のためにはどのような評価研究をするべきか,研究者・実践者(授業者)の評価プロセスに着目した授業研究のあり方について提案した。pp.136-151