■北川純子(きたがわ じゅんこ)准教授
音楽学は、「<音楽>と、<音楽する行動>と、<音楽する人びと>とを対象に据え、
学問的にアプローチする」分野です。
ここで<音楽>は、いわゆる民族音楽、日本音楽、クラシック音楽、子どもたちが歌
う歌、ポピュラー音楽、映画音楽などを含む、世界の音楽(musics)を指します。
次に「学問的アプローチ」というのは、なにも本を読みこなして咀嚼することだけを
指すのではありません。足を使ってフィールドに出向き、その「場」の空気を感じとり
ながら自分のものにしていきつつ、そこでの音楽のありかたを考える、ということも含
まれます。また、聴いたり、弾いたり、歌ったり、つくったり…という背景をもった
「感じかた」を、何らかの方法で裏付けようとしたり、あるいは人と議論できるような
共通の土俵をつくろうと試みたり、ということも含まれます。さらに、音楽学は、<音楽
する行動>や<音楽する人びと>も射程に含めていることから、メディア論や社会学、美学
など、他の人文諸科学と相互乗り入れする部分も少なからず含んでいます。多彩な音楽に近
づく、多様な切り口の可能性……あなたもその一端に触れてみませんか。
学歴:国立音楽大学音楽学部楽理科卒業
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科(修士課程)修了
学位:文学修士
プロフィール:福岡在住の3歳からピアノを佐藤博子氏に師事、小学校3年から
「子どものための音楽教室」で聴音・ソルフェージュのトレーニ
ングも受ける。中学3年のときに音楽学を志し、大学受験時まで
原書講読と小論文を藤江効子氏に師事する。高校生のときに、
おおよその射程を音楽社会学とポピュラー音楽研究に定めようと
決め、現在に至る。麺類を常食、年間300日以上はジーパンで棲息。
現在の専門分野:(1)明治期以降の日本で、どのように西洋音楽が「人びと」に
移入されてきたのかを、大衆音楽の領域も視野に入れて
研究しています。
(2)ポピュラー音楽をめぐって、近年は特に映像と音楽の関
わりに視点を定めた研究に取り組んでいます。
(3)音楽を含めた諸文化領域とジェンダーの問題について、
研究を重ねています。
主要業績:<著書>
1986 『現代風俗史年表』(共著)河出書房新社
1989 『講座日本の音楽・アジアの音楽7−研究の方法』 (共著) 岩波書店
1990 『現代風俗データベース 1986-1987』(共著)河出書房新
1991 『大衆文化事典』(共著)弘文堂
1993『音のうち・そと−音楽社会学試論』(単著) 勁草書房
1996 『講座現代社会学8 −文学と芸術の社会学』(共著) 岩波書店
1996 『Musik in Japan』(共著) indicium verlag (Munchen)
1999 『鳴り響く性−日本のポピュラー音楽とジェンダー』(編著) 勁草書房
2001 『現代風俗史年表 1945-2000』(共著)河出書房新社
<訳書>
1985 『音楽行動の心理学』(共訳)音楽之友社
2000 『アーバン・ブルース』(監訳)ブルース・インターアクションズ
2001 『新訳 音楽のリズム構造』(共訳)音楽之友社
<論文など>
1991 「Some aspects of Japanese Popular Music」
『Popular
Music』 Cambridge University Press. pp.305-316
1996 「子どもの視座・大人の視座」『21世紀大阪まちづくりフォーラム1995』
(財)大阪都市協会pp.36-37
1998 「『年代別』音楽趣味と指導法を探る」 『ムジカノーヴァ別冊』 pp.137-149
2002 「ジャニーズ・モーニング娘。に見る男/女の世界」『アエラムック
ジェンダーがわかる』
朝日新聞社、pp.89-91
2003「アフリカン=アメリカン音楽から見た裏声とジェンダー」
『裏声とその活用を視点としたジェンダーの研究』
平成13〜14年度文部科学省研究費補助金基盤研究(C)(2)
研究成果報告書(研究代表者・
村尾忠廣、研究課題番号13837010) pp.42-54
<社会的活動>
・ 生涯学習音楽指導員((財)音楽文化創造)養成講座講師
・ 日本ポピュラー音楽学会理事
・ 日本音楽学会関西支部役員(2005年度〜)