2004年度業績報告

 

@発表題目 A研究者名 B使用機器 C研究内容 D発表雑誌、学会の順で、

以下に記載する。

 

物理学分野

 

[2004-01]

@ 水柱の水位変化で圧力をとらえるボイル−シャルル実験器の製作

A 土谷友利・兵井純子・藤本豊大・若月暁・細川太郎・宮前智一・前原充・西岡賢一・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      容器内に水を入れ,容器内の圧力を水柱の高さで測定するボイル−シャルル実験器を製作した。

一方,コンピュータに接続するセンサーを用いた実験器も製作した。これらの実験器を高校生や

本学学生に使用してもらい,彼らの意見を聞き,彼らの実験の様子を観察した。

D 日本物理学会講演概要集 59巻第1号第2分冊 p.418

 

[2004-02]

@ Effect of exit surface on neutral fraction in mega-electron-volt hydrogen beams transmitted

through aluminum epitaxial foils under a planar channeling condition

A Yasufumi Sususki, Ken-ich Nishioka, Mitsuru Maehara, Junko Hyoi, Takeshi Ikeda,

and Katsuhiko Katsura

B 超音波洗浄器

C      チャネリング条件で薄膜から出射するMeV陽子ビーム中の中性フラクションを測定した。

出射イオンビームと表面の間の角度が小さいとき,出射イオンは表面の影響を受けて,

電子を失いやすい。このことがチャネリングイオンのときはランダムイオンのときより

顕著に起こることを示した。

D Physical Review A 69 (2004) 032710

 

[2004-03]

@ 理科や力学の教材として作ったパチンコの玉の滑走台

A 宮前智一・細川太郎・土谷友利・前原充・西岡賢一・兵井純子・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      物体が斜面を摩擦なく落下するという設定は,理科(物理)の教科書や入試問題等でよく見かける。

プラスチック製のカーテンレールを曲げてパチンコ玉の滑走台をつくり,実験すれば本当は何が

起こるのか,転がりの摩擦力はどう効くのかなどを調べた。

D 大阪教育大学紀要 第X部門 教科教育 第53巻 第1号 (2004) p. 21

 

[2004-04]

@ 水柱の水位変化で圧力をとらえる気体の熱力学法則に関する実験教材の製作

A 土谷友利・兵井純子・藤本豊大・若月暁・細川太郎・宮前智一・前原充・西岡賢一・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      ボイル−シャルルの法則を扱う教材は少ない。容器内の圧力を水柱の高さやコンピュータで

測定するボイル−シャルル実験器を製作した。これらの実験器を高校生や本学学生に使用して

もらい,彼らの様子を観察した。また教材として,実験結果に芳しくない傾向が現れる理由を

繰り返し測定しながら考察した。

D      大阪教育大学紀要 第X部門 教科教育 第53巻 第1号 (2004) p. 33

 

 

[2004-05]

@ Surface magnetic structure of epitaxial Cr(001) films on Au(001) studied by spin-polarized scanning

 tunneling spectroscopy"

A     T. Kawagoe, Y. Iguchi, A. Yamasaki, Y. Suzuki, K. Koike, and S. Suga,.

B    超高真空STM

C    We have studied surface magnetic structures of ultrathin Cr(001) films on Au(001) at room temperature

 by using spin-polarized scanning tunneling spectroscopy. Spatially resolved maps of the magnetic differential

 conductivity signal measured with Fe-coated W tips exhibit the following features:

 (1) Topological antiferromagneticorder appears in a series of adjacent terraces.

 (2) Domains exist with different quantization axes.

 (3) Narrowdomain walls (~5 nm) are found near screw dislocations.

The feature (2) may be determined by the effectiveuniaxial anisotropy induced by the step direction.

The feature (3) can be explained by considering the shorter distance between screw dislocations than

the exchange length (~120 nm) as a result of high density dislocationsin the Cr films.

D    Phys. Rev. B71 (2005) 014427/1-7

 

 [2004-06]

@       スピン偏極トンネル分光法によるCr(001)薄膜の表面磁性

A       川越 毅

B       超高真空STM

C       Au(001)上にエピタキシャル成長させたCr(001)薄膜の表面磁気構造に関する最近のわれわれの

実験結果について紹介する。磁気イメジングはスピン偏極走査トンネル分光法を用いて、

室温で行った。成長温度が異なる2段階成長法を用いることにより、化学的にも清浄かつ原子

レベルで平坦な表面が作製できる。われわれは、WFeをコトした探針を用いた微分コンダク

スマップによって明瞭な磁気コントラストを観察した。実験結果はCr(001)薄膜表面が層状反強

磁性を示すことを確認した。さらに量子化軸が異なる反強磁性磁区の存在とらせん転位近傍での

狭い磁壁も発見した。それぞれの磁区の量子化軸がステップの方向と強い関連があること。らせ

ん転位間の距離が磁壁幅を決めているに、大きな役割を担っていることが判った。これらの実験

結果は高密度のステップおよびらせん転位密度に起因している。

D       表面科学 26 (2005) 40-46.

 

[2004-07]

@       Cr(001)上のFe超薄膜のSTM/STS観察

A       川越 毅、井口祐介、山崎篤志、菅 滋正

B       超高真空STM

C       MBEによるCr(001)上のFe超薄膜の成長とSTM/STS観察、およびLEED/Augerを用いた構造と

試料表面の評価。磁気構造と表面電子状態にかんする実験結果。

D       28回 日本応用磁気学会学術講演会 (平成169月:沖縄)

 

[2004-08]

@       スピン偏極トンネル分光法によるエピタキシャル磁性薄膜の磁気ナノ物性

A       川越 毅

B       超高真空STM

C       スピン偏極トンネル分光法によるスピンイメジングと最近得られたCr(001)薄膜の結果について

の紹介。MBE法によるCr(001)薄膜の成長とナノ構造と表面磁性の実験結果について講演した。

D       分子研研究会「表面磁性科学の最近の展開」、平成1611月(分子研)

 

[2004-09]

@       らせん状単原子ステップを有するCr(001)薄膜のスピン偏極STS観察

A       川越 毅、井口祐介、渡辺智健、菅 滋正

B       超高真空STM

C       われわれは、スピン偏極走査トンネル分光法(SP-STS)を用いて、磁性薄膜のナノ磁気構造と表面

電子状態を調べている。これまでにCr(001)薄膜が層状反強磁性を示す磁気像の観察まで成功

している。今回は、Au(001)上にナノスケルのらせん状単原子ステップを有するCr(001)薄膜の

作製を行い、SP-STSを用いて、その表面磁気構造を明瞭に観察したので報告する。

D       日本物理学会 第60回 年次大会 (平成173月:東京理科大)

 

[2004-10]

@ 人工オパールの合成と反射測定

A 柴田力、中田博保、大山忠司

B SEM

C      オパールをオルトケイ酸エチル、エチルアルコール、アンモニアから合成した。SEMで観察して直径が

380nmのシリカ小球がFCC構造で配列していることを確認した。光吸収により共鳴光散乱とブラッグ

反射のピークを観測した。

D 日本物理学会第59回年次大会、2004年3月27日

 

[2004-11]

@ Light Scattering and Transmission of Synthesized Opal

A  H. Nakata, T. Shibata and T. Ohyama

B  SEM

C      オパールを合成しSEMで構造を観察した。光吸収により共鳴光散乱とブラッグ反射のピークを観測した。

またアルゴンレーザによる散乱にストリーク光が現れた。納豆菌がオパールの成長に及ぼす影響をSEM

で観察した。

D Proc. of Materials Processing for Properties and Performance Singapore, November 24-26, p505-507,2004

 

[2004-12]

@ 人工オパールの光散乱と反射

A 中田博保、瀬川智臣、柴田力、大山忠司

B SEM

C      オパールの合成をしSEMで観察しシリカ球の直径を300400nmと求めた。反射スペクトルの角度変化は

ブラッグ反射から共鳴散乱への移り変わりを示している。アルゴンレーザによる散乱実験ではストリーク光

が観測された。

D 日本物理学会第60回年次大会、2005年3月27日、東京理科大(千葉)

 

[2004-13]

@ オパールの合成と光吸収分光

A 瀬川智臣、中田博保、柴田力

B SEM

C      オパールの合成をしSEMで観察してシリカ球の直径を300400nmと求めた。透過スペクトルの角度変化を

ブラッグ反射のモデルで説明した。

D 2005年春季第52回応用物理学関係連合講演会、埼玉大学

 

 

化 学 分 野

 

[2004-14]

@       Influence of metal ions on the formation of artificial zinc rusts

A       T. Ishikawa, K. Matsumoto, A. Yasukawa, K. Kandori, T. Nakayama, T. Tsubota

B       X線回折装置、ICP

C       Al(III)、Fe(III)、Fe(II)、Ni(II)、Co(II)および Mg(II)を含むZnCl2水溶液に濃アンモニア水を

D       添加して生じた沈殿を50℃で熟成して亜鉛さびを合成した。金属イオンの増加につれ、生成物は

ZnO—>ZnO-Zn5(OH)8Cl2.H2O(ZHC)の混合物—>ZHCへと変化した。Al(III)はZHCの生成に最も有効

であり、Fe(III)とMg(II)の添加で はZHCは生成しなかった。

また、生成粒子の形態は凝集体—>微細粒子—>シート状粒子—>不定形粒子へと変化した。添加金属

イオンは亜鉛さび層の緻密性に影響することがわかった。

E       Corrosion Sci., 46, 329-342(2004).

 

[2004-15]   

@       Influence of Metal Ions on the Transformation of -FeOOH into -FeOOH

A       T. Ishikawa, M. Minamigawa, K. Kandori, T. Nakayama, T. Tsubota

B       X線回折装置、ICP

C       FeSO4溶液中での-FeOOH-FeOOHへの転移へのTi(IV)、Cr(III)、Cu(II)、Ni(II)および

Mn(II)の影響を、溶液添加と粒子添加で調べた。TEM観察により、転移は-FeOOHの溶解と

-FeOOHの再沈殿によることがわかった。溶液中に添加したTi(IV)、Cr(III)および Cu(II)は

転移を著しく妨害したが、他のイオンは影響がなかった。一方、粒子中に添加した場合はいずれの

金属も転移を促進した。金属添加によって-FeOOH粒子が微細化し、溶解度が上昇するためである。

D       J. Electrochem. Soc., 151, B512-B518 (2004).

 

[2004-16]

@       Influences of Metal Chlorides and Sulfates on the formation of -FeOOH Particles by Aerial

Oxidation of FeCl2 Solutions

A       T. Ishikawa, R. Isa, K. Kandori, T. Nakayama, T. Tsubota

B       X線回折装置、ICP

C       -FeOOHの生成に及ぼす金属イオンの影響を調べるため、Ti(IV)、Fe(III)、Cr(III)、Cu(II)および

Ni(II)を添加したFeCl2溶液を空気酸化し、得られた-FeOOH粒子の構造を調べた。いずれの金属

イオンも-FeOOH粒子の結晶性を低下させ、とくにTi(IV)は著しく-FeOOHの生成を妨害した。これは、

Ti(IV)の加水分解によるpHの低下 が主な原因である。また、硫酸塩は、-FeOOH粒子に取り込まれ、

粒子を多孔性にすることがわかった。

D        J. Electrochem. Soc., 151, B586-B598(2004).

 

[2004-17]

@ Study on forced hydrolysis reaction of acidic Fe2(SO4)3 solution

- Structure and properties of precipitates-

A K. Kandori, T. Shigetomi and T. Ishikawa

B  X線回折装置、ICP

C      塩酸酸性Fe2(SO4)3水溶液の加熱加水分解による粒子合成と、得られた粒子の性質について詳細な検討を

行った。HCl濃度ならびにFe2(SO4)3濃度が低くなるにつれて粒子が小さくなった。Fe2(SO4)3濃度

1.0×10-1mol/dm3と最も高い場合はジャロサイト[(H3O)Fe3(SO4)2(OH)6]生成し、それ以外はゲーサイト

[α-FeOOH]が生成することが分かった。粒子の生成に対してSO42-イオンが強い影響を及ぼしている

ことが示唆された。大きな粒子ではマイクロ孔が良く発達するのに対して、小さい粒子ではマイクロ孔は

生成せずメソ孔(220nm)が形成することが分かった。

D Colloids & Surfaces, A: Physicochem. Eng. Aspects, 232, 19-28(2004).

 

[2004-18]

@  Preparation and Microstructural Studies on Hydrothermally Prepared Hematite

A  K. Kandori and T. Ishikawa

B X線回折装置、ICP

C 0.1M FeCl3 水溶液を1.5 dm3 のステンレス製オートクレーブ中110200℃で水熱反応を行い、

ヘマタイト粒子の調製ならびにそのミクロ構造について調べた。その結果、低い水熱反応温度(115

では直径0.8nmとよく揃った細孔を有する単分散性の高い立方状粒子が得られた。一方、水熱反応温度の

上昇とともに立方状粒子の陵線は丸みを帯び形態も不均一となり、マイクロポアの大きさも不均一になった。

D Journal of Colloid and Interface Science, 272, 246-248(2004).

 

[2004-19]

@ Adsorption of immunogamma globulin onto various synthetic calcium hydroxyapatite particles

A K. Kandori, K. Miyagawa and T. Ishikawa

B X線回折装置、ICP

C      様々な大きさとリンとカルシウム(Ca/P)のモル比を有する、カルシウムヒドロキシアパタイト(Hap)粒子への

イムノガンマグロブリン(IgG)の吸着挙動を調べた。IgGの飽和吸着量(nsIgG)Ca/P比とともに小さくなり、

我々が以前報告したリゾチームに関する結果と良く似た結果となった。また、nsIgGは粒子の長さとともに増加

したが、我々が以前報告したBSAほど顕著ではなく、LSZに似たものであった。以上の結果から、IgG

塩基性タンパク質であるLSZと同じ吸着挙動を示し、Fab部で粒子表面に吸着した後フラットな吸着形態に

変化することが明らかとなった。

D Journal of Colloid and Interface Science, 273, 406-413(2004).

 

[2004-20]

@ Study on the hydrothermal reaction of FeCl3 solution in the presence of polyvinyl alcohol

A K. Kandori and T. Ishikawa

B X線回折装置、ICP

C          1 wt.% ポリビニルアルコール存在下で0.1M FeCl3 水溶液を1.5 dm3 のステンレス製オートクレーブ中

110200℃で水熱反応を行い、ヘマタイト粒子の調製ならびにそのミクロ構造について調べた。その結果、

低い水熱反応温度(115)では真ん中にくぼみのある単分散性の高い赤血球形粒子が得られた。一方、

水熱反応温度の上昇とともに赤血球形粒子とともに単分散性高いポリビニルアルコールのマイクロラテックスが

生成することを見いだした。

D Colloid and Polymer Science, 282, 1118-1125(2004).

 

[2004-21]

@       Ion-exchange property and mechanism of magnesium-calcium hydroxyapatite solid solutions

A       A. Yasukawa, T. Yokoyama, K. Kandori, T. Ishikawa

B       X線回折装置、ICP

C       Ca-Mgヒドロキシアパタイト固溶体をCa2+の溶液の浸積しイオン交換を行った。Ca2+は固溶体のMg2+

交換することがわかった。交換時間はMgアパタイトに比べ速く、15-30分であった。イオン交換はCa2+

濃度、溶液温度、pHの低下によって促進された。また、イオン交換に伴い固溶体粒子表面層での溶解析出が

見られた。

D       Colloids Surfaces, 238, 133-139(2004).

 

[2004-22]

@       Influence of anions on the formation of -FeOOH rusts

A       T. Ishikawa, W. Miyamoto, K. Kandori, T. Nakayama

B       X線回折装置、ICP

C       塩化物イオン環境で生成するさび中に含まれるb-FeOOH粒子の生成に及ぼすアニオンの影響を調べた。

b-FeOOH粒子は、FeCl2の酸化とFeCl3の加水分解によって調製した。添加したアニオンは環境に起因するSO42-

 NO3-HPO42-およびSiO32-である。SO42- HPO42-の添加では、酸化と加水分解法でb-FeOOH粒子の著しい

結晶性の低下が見られたが、他のアニオンでは結晶性を高めた。SO42-の添加により、酸化法ではマイクロ孔が、

加水分解法ではメソ孔が発達した粒子が得られた。

D       International Symposium on Corrosion and Protection of Marine structures, August 29-31, 2004Muroran.

 

[2004-23]

@       Structure of Titanium-doped Goethite Rust

A       T. Nakayama, T. Ishikawa, T. Konno

B       X線回折装置、ICP

C       Ti(IV)添加-FeOOH粒子を、Ti(SO4)2を添加したFe2(SO4)3水溶液の加水分解で調製した。生成した粒子を

TEMで観察と元素分析を行ったところ、-FeOOH結晶のまわりにTi(IV)を多く含む層がコートした二層構造に

なっていた。この構造は、XRD, SR-XAFS, N2 吸着、メスバウアー分光などの結果とよく一致する。Tiが鋼材の

耐食性高める合金元素の一つであることが、この-FeOOHをコートしている非晶質物質によるものと思われる。

即ち、さび層を緻密にする働きがある。

D       International Symposium on Corrosion and Protection of Marine structures,

  August 29-31, 2004、Muroran.

 

[2004-24]

@       An Approach to Enhancement Mechanism of Resistance to Corrosion of Zinc Alloys by Artificially

 Synthesized Rusts

A       T. Ishikawa, K. Matsumoto, K. Kandori, T. Nakayama, T. Tsubota

B       X線回折装置、ICP

C       亜鉛処理鋼板の耐食性発現機構を解明するため、人工亜鉛合金さび合成し、その構造を調べた。Zn-Alおよび

Zn―Fe合金系では、シート状粒子が生成し、その配向によってさび層が緻密になること耐食性向上に繋がる

ことがわかった。また、Al合金では層状構造をもつサイモンコライトが生成したが、Al量が多くなると層状の

金属複水酸化物が生成する。この物質はサイモンコライトにくらべ安定であった。

D       6th International Conference on Zinc and Zinc Alloy coated Sheet Steels,

April 4-7, 2004, Chicago,Ill, USA.

 

[2004-25]

@       Al(III)添加層状亜鉛水酸化物の熱処理およびアニオン交換

A       石川達雄、神鳥和彦、松本久美、坪田隆之、中山武典

B       X線回折装置、ICP

C       層状亜鉛水酸化物であるサイモンコライトZn5(OH)6Cl2.H2O(ZHC)と層状亜鉛複水酸化物(LDH)を

Al(III)を添加して合成した。いずれも板状粒子で、ZHCの方は大きな六角形粒子であった。ZHCを熱処理

したところ、150℃以上で剥離しナノシート粒子が得られた。一方、LDH粒子は処理温度の上昇とともに、

やや微細化する程度で、ZHCのように剥離しなかった。したがって、ナノシートの調製によく使われるLDH粒子

よりも、ZHCの方が剥離しやすく、ナノシートの調製に有効である。

D       日本化学会第84春季年会、講演予稿集第1分冊 p.257.

 

 

[2004-25]

@       FeCl2水溶液におけるβ-FeOOHさびの生成に及ぼす金属塩の影響

A       石川達雄、伊佐隆祐、神鳥和彦、中山武典、坪田隆之

B       X線回折装置、ICP

C       塩化物イオンの存在する環境で生成するβさびの生成を種々の金属塩を含む溶液から合成し、

その構造を詳しく調べた。Ti(IV)の硫酸塩と塩化物の添加により、粒子が著しく微細化した。一方、

Ti(IV)以外の金属の硫酸塩の添加により、結晶性の悪い大きな多孔性粒子が生成した。Ti(IV)塩の

著しい妨害効果は、Ti(IV)イオンが加水分解されやすく、pH低下がおこり、Fe(III)の加水分解が

抑制されることによる。このTiの作用が、塩化物イオン環境下で耐食向上元素として働くことと

関係があると思われる。

D       材料と環境2004講演集、1-4(2004).

 

[2004-26]

@       亜鉛-鉄および亜鉛—チタン合金の人工さびの合成とキャラクタリゼイション

A       石川達雄、村井 真、神鳥和彦、中山武典

B       X線回折装置、ICP

C       亜鉛処理鋼材さびのモデルとして、種々の金属塩の水溶液から人工亜鉛さびを合成し、それらの

構造を調べた。ZnCl2-FeCl2系では、Feが増えるに従い、生成物はZnOZnFe2O4、非晶質物質、

α-FeOOHへと変化した。ZnCl2-TiCl4系では、Feが少ないところではZnOが生成し、Feが増えると

すべて非晶質物質になった。またZnSO4-Ti(SO4)2系では、Fe(II)が少ないと、塩基性硫酸亜鉛の

板状粒子が生成し、Fe(II)が増えると非晶質物質になった。一方、層状化合物であるサイモン

コライトと層状亜鉛複水酸化物粒子は、ZnCl2-FeCl2系でのみ生成した。

D       51回材料と環境討論会講演集、159-162(2004).

 

[2004-27]

@       人工亜鉛さびの生成に及ぼす合金元素の影響

A       石川達雄、松本久美、神鳥和彦、中山武典

B       X線回折装置、ICP

C       亜鉛処理鋼板の耐食性機構を解明するために、種々の金属イオンの存在下で亜鉛さびを合成した。

金属無添加では、ZnO微粒子の集合体であった。金属イオン添加により、様々な形態と組成をもつ

粒子が得られた。Al(III)、Fe(II)、Co(II)の添加ではシート粒子が、Ni(II)とFe(III)添加では、

微細粒子が生成した。シート状粒子はさび層で配向し、微細粒子は充填し、さび層を緻密化する

ことが考えられ、その効果はAl(III)とFe(III)添加で顕著であることがわかった。実際に、Zn-Al,

Zn-Fe系合金が耐食性が高いことと符合する。

D       日本鉄鋼協会講演論文集、材料とプロセス、CAMP-ISIJ, 17, 1156-1159(2004).

 

[2004-28]

@ 水熱反応法によるヘマタイト粒子の調製とそのミクロ構造

A 神鳥和彦、石川達雄

B X線回折装置、UV、ICP

C 0.1M FeCl3 水溶液を1.5 dm3 のステンレス製オートクレーブ中110〜200℃で水熱反応を行い、

ヘマタイト粒子の調製ならびにそのミクロ構造について調べた。その結果、低い水熱反応温度

115℃)では直径0.8nmとよく揃った細孔を有する単分散性の高い立方状粒子が得られた。一方、

水熱反応温度の上昇とともに立方状粒子の陵線は丸みを帯び形態も不均一となり、マイクロポアの

大きさも不均一になった。

D  日本化学会第84春季年会、講演予稿集第1分冊 p. 250

 

[2004-29]

@ 塩化鉄(V)水溶液の加熱加水分解法によるヘマタイト(-Fe2O3)粒子の生成メカニズムとその機能

A 神鳥和彦、石川達雄

B X線回折装置、ICP、SEM、UV,

C FeCl3-HCl混合溶液の加熱加水分解反応により生成するヘマタイト粒子の形態ならびに構造に関する

招待講演を行った。形態、結晶構造、細孔構造に対する 様々なファクターについて総合的に内容を説明した。

D 第57回コロイドおよび界面化学討論会、講演要旨集 p.102.

 

[2004-30]

@ 合成カルシウムヒドロキシアパタイト粒子へのイムノガンマグロブリン(IgG)の吸着

A 神鳥和彦、宮川香織、石川達雄

B X線回折装置、UV、ICP

C      様々な大きさとリンとカルシウム(Ca/P)のモル比を有する、カルシウムヒドロキシアパタイト(Hap)粒子への

イムノガンマグロブリン(IgG)の吸着挙動を調べた。IgGの飽和吸着量(nsIgG)はCa/P比とともに小さくなり、

我々が以前報告したリゾチームに関する結果と良く似た結果となった。また、nsIgGは粒子の長さとともに増加

したが、我々が以前報告したBSAほど顕著ではなく、LSZに似たものであった。以上の結果から、IgG は塩基性

タンパク質であるLSZと同じ吸着挙動を示し、Fab部で粒子表面に吸着した後フラットな吸着形態に変化する

ことが明らかとなった。

D 第18回日本吸着学会研究会、講演要旨集 p. 30.

 

[2004-31]

@ New Synthetic Equivalent of Nitromalonaldehyde Treatable in Organic Media

A Nagatoshi Nishiwaki, Takuma Ogihara, Toshiko Takami, Mina Tamura, and Masahiro Ariga

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置、X線結晶構造解析装置

C      ニトロエナミンが不安定試薬であるニトロマロンアルデヒドの合成等価体として利用できることを

明らかにした。

本化合物はほとんどの有機溶媒に可溶なため、従来用いられてきた試薬とは異なり、有機系で取り

扱うことができる安全な試薬であることから、合成化学的な価値も高い。

D The Journal of Organic Chemistry, 2004, 69, 8382-8386.

 

[2004-32]

@ Novel Synthesis of Bihetaryl Compounds

A Nagatoshi Nishiwaki, Keiko Yamashita, Mayumi Azuma, Tomoko Adachi, Mina Tamura, Masahiro ArigaB 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C ニトロピリミジノンと各種芳香族ケトンとの間で2種類の環変換反応を行ない、ケトンの電子的性質が反応経路の選択に大きく影響を及ぼすことを明らかにした。また、その傾向を利用して、2つの複素環が単結合で連結したBihetaryl化合物も合成することに成功した。

D Synthesis, 2004, 1996-2000.

 

[2004-33]

@ New Reactivity of Nitropyrimidinone: Ring Transformation and N-C Transfer Reactions

A Nagatoshi Nishiwaki, Kazuo Matsushima, Miki Chatani, Mina Tamura, and Masahiro Ariga  

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      ニトロピリミジノンの多官能性を利用し、新規な環変換反応を見い出すとともに、C-Nユニットの

導入試薬として利用できることを明らかにした。さらに官能化されたピラゾ−ルやジアゼピンへの

誘導も行なった。

D Synlett, 2004, 703-707.

 

[2004-34]

@ Synthesis of Unnatural 1-Methyl-2-quinolone Derivatives

A Motoki Asahara, Taku Katayama, Yasuo Tohda, Nagatoshi Nishiwaki, and Masahiro Ariga

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      トリニトロキノロンの高い親電子性を利用してエナミンとの反応を行い、位置選択的な炭素−炭素結合

形成を行ない、4位にアシルメチル基を導入した。また、エナミンの替わりにケトン類も用いることが

できることを見出し、種々の骨格への変換することにも成功した。

D Chemical & Pharamceutical Bulletin, 2004, 52, 1334-1338.

 

[2004-35]

@ Reaction of 3,5-Dicyanoisoxazoles with Nucleophiles

A Mina Tamura, Tae Nishimura, Nagatoshi Nishiwaki, and Masahiro Ariga

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      新規な骨格である3,5-ジシアノイソオキサゾ−ルの反応性について検討を行なった結果、シアノ基の

求電子性が一般のニトリル類に比べて非常に高いことを見いだした。また、その特徴を活かして、

新たな複素環骨格を置換基上で構築することにも成功した。

D Heterocycles, 2004, 63, 1659-1665.

 

[2004-36]

@ Diels-Alder Reaction of 1-Methyl-3,6,8-trinitro-2-quinolone

A Motoki Asahara, Moriaki Nagamatsu, Yasuo Tohda, Nagatoshi Nishiwaki, and Masahiro Ariga

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      トリニトロキノロンの3位と4位がニトロアルケン性を有することに着目し、ジエン類との間で

Diels-Alder反応を行なった。キノロンは電子不足アルケンとして挙動して、シクロペンタジエンや

クロトンアルデヒドのヒドラゾンなどと反応し、多環系複素環化合物を与えた。

D Journal of Heterocyclic Chemistry, 2004, 41, 803-805.

 

[2004-37]

@ 多官能1,2,4-オキサジアゾ−ルとイソオキサゾ−ルの合成

A 西脇永敏・伊勢友美子・田村美奈・有賀正裕

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      ニトロイソオキサゾロンの多様な反応性を活用し、2つの経路による官能化1,2,4-オキサジアゾ−ル

誘導体の合成、および多官能イソオキサゾ−ルの合成について検討を行なった。こうして合成した骨格は

いずれも新規なものであり、新たな機能発現が期待される。

D 第34回複素環化学討論会

 

[2004-38]

@ 官能化ニトリルオキシドを利用した多官能イソオキサゾ−ルの合成

A 西脇永敏・伊勢友美子・田村美奈・堀一繁・任田康夫・有賀正裕

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      ニトリルオキシドと活性メチレン化合物との間で環化付加反応を行ない、従来合成が困難であった

多官能イソオキサゾ−ルを簡便に合成した。

D 日本化学会第84春期年会

 

[2004-39]

@ 3,5-ジシアノイソオキサゾ−ルの化学変換

A 田村美奈・西村多恵・堀一繁・任田康夫・西脇永敏・有賀正裕

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      新規な骨格であるジシアノイソオキサゾ−ルの反応性について調べるとともに、その結果を

基にして、ピラゾリニル基をシアノ基上で構築することに成功した。

D 日本化学会第84春期年会

 

[2004-40]

@ アセトンジカルボン酸ジエチルを前駆体とする多官能フェノ−ルの合成

A 西脇永敏・田村美奈・有賀正裕

B 核磁気共鳴装置、赤外分光光度計、CHN 元素分析装置、質量分析装置

C      アセトンジカルボン酸を、ピリジン中、ジニトロピリドン共存下で水酸化ナトリウムと加熱する

ことにより、他官能フェノ−ルが生成することを見出した。本反応はピリドンの替わりにp-ニトロ

フェノ−ルを同様に進行し、適度な酸性度を有する化合物の存在が本反応を活性化していることを

明らかにした。

E       43回日本油化学会年会

 

[2004-41]

@ N,N'-Bis(5-chlorosalicylidene)etnane-1,2-diamine
A Koji Kubono, Kazumasa Kushida and Kunihiko Yokoi
B 単結晶自動X線構造解析装置
C Schiff base 化合物であるN,N'-Bis(5-chlorosalicylidene)etnane-1,2-
  diamineのX線構造解析を行った。この分子のヒドロキシル基とイミノ基の窒素元素

との間に、分子内水素結語が確認された。さらにsalicylidene基は平面であり、分子間での

π-π相互作用が確認された。

D Acta Crystallographica,  E60, o1083-o1084,  (2004).

[2004-42]

@      3架橋系[3.3.6](3,6,9)カルバゾロファン類の合成と性質

A      作本直樹・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C      3架橋系カルバゾロファンの中で最も上下のカルバゾール環の傾きの大きい誘導体を合成し、

その構造や性質を各種スペクトルで検討した結果、[3.3.6]系でもエキシマーを生成することが

わかった。

D      日本化学会第84春季年会、講演予稿集U、p1347.

 

[2004-43]

@ [n.5](3,9)クラウノカルバゾロファン類の合成と性質

A 山本辰弥・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C    カルバゾールの3位と9位で架橋したクラウンエーテル型シクロファンを合成し、その光物性を

各種金属イオン存在下でどのように変化するのかを各種スペクトルから検討した。

D    日本化学会第84春季年会、講演予稿集U、p1347.

 

[2004-44]

@       酸素架橋した1,3,4-オキサジアゾール系シクロファンの合成と性質

A       谷 敬太・川端志津香・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B       核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C       酸素で架橋した1,3,4-オキサジアゾール系シクロファンを合成し、その性質を各種スペクトルから

検討した。

D       日本化学会第84春季年会、講演予稿集U、p1347.

 

[2004-45]

@       完全重なり型および部分重なり型ニ架橋系アザ[3.3](3,9)カルバゾロファン誘導体の合成と性質

A       山本辰弥・作本直樹・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B       核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C       NPS基で保護した[3.3](3,9)カルバゾロファンから、種々のアミン誘導体の合成を行った。

カルバゾールとNPSとの相互作用を各種スペクトルで検討した。

D       17回基礎有機化学連合討論会(仙台)、p268.

 

[2004-46]

@       部分重なり型[3.3](3,9)カルバゾロファン―テレフタレート連結系の合成と性質

A       迫 邦彦・山本辰弥・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B       核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C       [3.3](3,9)部分重なり型カルバゾロファンとテレフタレートをアミド結合で連結したシクロファンを

合成し、その性質を各種スペクトルから検討した。

D       17回基礎有機化学連合討論会(仙台)、p269.

 

[2004-47]

@ 酸素架橋した2,5-ビス(3置換フェニル)-1,3,4-オキサジアゾロファンの合成と性質

A      志賀 豪士・山本辰弥・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C      3-置換-2,5-ジフェニルー1,3,4-オキサジアゾール系シクロファンを合成し、吸収と発光スペクトルを

測定した。

D      17回基礎有機化学連合討論会(仙台)、p270.

 

[2004-48]

@ [3.3](3,9)カルバゾロファンアミン体とその誘導体の合成と性質

A 山本辰弥・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B 核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C これまでにシアンアミド架橋した2架橋系[3.3](3,9)カルバゾロファン類の合成を行ってきたが、

そのアミン体の合成に始めて成功した。

D 光化学討論会講演要旨集、p.320.

 

 

[2004-49]

@ 部分重なり型[3.3](3,9)カルバゾロファン―フラーレン連結系の合成と性質

A 山本辰弥・谷 敬太・堀 一繁・任田康夫・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C 部分重なり型[3.3](3,9)カルバゾロファンーアミン体とフラーレンとをアルキレン鎖

 -(CH2)6- を介して連結したdyad を合成し、その光物性を検討した。

D 光化学討論会講演要旨集、p321.

 

[2004-50]

@      カルバゾロファン―アクセプター(DDA)三元分子の光物理特性

A      榊山 智文・辨天宏明・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英・山本辰弥・谷 敬太・

堀 一繁・任田 康夫

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C      部分重なり型カルバゾロファンとテレフタレートをアミド結合で連結したDDA型三元分子を合成し、

エキシタ−プレックス型発光について検討した

D      光化学討論会講演要旨集、p322.

 

[2004-51]

@      3架橋系[3.3.n](3,6,9)カルバゾロファンの分子内エキシマー発光

A      辨天宏明・大北英生・伊藤紳三郎・山本雅英・作本直樹・谷 敬太・堀 一繁・任田 康夫

B      核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C    [3.3.n](3,6,9)カルバゾロファン ( n = 3〜6 )を合成し、分子内完全重なり型エキシマー発光が

上下のカルバゾール環の角度に依存することを明らかにした。

D    光化学討論会講演要旨集、p21.

 

[2004-52]

@       時間分解ESRによるカルバゾール励起二量体の電子構造の解析

A       サイフル イスラム、大庭裕範、山本雅英、任田康夫、谷 敬太、山内清語

B       核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C       完全重なり型および部分重なり型[3.3](3,9)カルバゾロファンーシアンアミド体の時間分解ESRを

測定から、ゼロ磁場分裂定数を測定し、三重項エキシマーの存在する可能性を初めて示した。

D       光化学討論会講演要旨集、p417.

 

[2004-53]

@    Photoinduced Intramolecular Charge Separation in Poly(alkyl methacrylate) Solids Studied

by Using a Fluorescent Polarity Probe

A    H. Benten, H. Ohkita, S. Ito, M. Yamamoto, Y. Tohda, and K. Tani,

B    核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C    カルバゾールーテレフタレート系シクロファンがポリ(メタクレート)中の分子内光誘起電荷分離状態を調べる蛍光プローブになることを示した。

D    J. Phys.Chem. B, 108, 16457-16462(2004)

 

[2004-54]

@    Syntheses and electronic properties of the nickel and palladium complexes of the

octaethylporphyrin (M1) (dihexylbithiophene)n- octaethylporphyrin(M2) system [OEP(M1)-

(DHBTh)n-OEP(M2)] connected with the diacetylene linkage. A methodology for molecular

design ofthe particular electronic structure.

A     N. Hayashi, M. Murayama, K. Mori, A. Matsuda, E. Chikamatsu, K. Tani, K. Miyabayashi,

M. Miyake,

 and H. Higuchi,

B    核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

C    単結晶自動解析装置

D    ジアセチレンで連結したオクタエチルポルフィリンージヘキシルビチオフェン系の特異な電子物性を

各種吸収スペクトルで検討した。

E    Tetrahedron, 60, 6363-6383(2004).

 

[2004-55]

@       Evaluation of Local Polarity of Polymer Solids by a Rigid Fluorescent Probe of

Carbazole-Terephthalate Cyclophane

A       H. Benten, H. Ohkita, S. Ito, M. Yamamoto Y. Tohda, and K. Tani

B       核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・

単結晶自動解析装置

C       [2.2]カルバゾールーテレフタレート系シクロファンの発光波長から、ポリマー固体中の局所誘電率を

評価することができることを報告した。

D       Polymer, 45, 2831-2836 (2004).

 

[2004-56]

@    Orientation effect of dihexyl-2,2’-bithiophene(DHBTh) constituents in the diacetylene-group

connected DHBTh derivatives on their electronic absorption spectra.  The parameterized

evaluation of orientation effects of DHBTh in the structure-property relationship.

A    N. Hayashi, H. Nishi, K. Morizumi, I. Kobayashi, H. Sakai, R. Akaike, K. Tani, H. Higuchi

B    核磁気共鳴装置・CHN自動分析装置・質量分析装置・分取液体クロマトグラフ装置・単結晶自動解析装置

C    ジアセチレンで連結したジヘキシル-2,2’-ビチオフェン系の電子物性を各種吸収スペクトルで検討し、

置換基の種類、位置による物性変化を定量的に取り扱えることを報告した。

D    Recent Research on Development in Organic Chemistry, ed. by S. G. Pandalai,

Transworld Research Network, 8, Chapter 16. pp401-424 (2004).

 

[2004-57]
@ β-ジケトンと芳香族アルコールを配位子とする集積型錯体の結晶構造
A 久保埜公二、横井邦彦
B CHN元素分析装置、単結晶自動X線構造解析装置
C β-ジケトン及びベンジルアルコール誘導体を配位子とするMn(II)錯体を合成し、
  単結晶X線回折を行い、錯体構造について解析した。錯体は八面体構造であり、ベン
  ジルアルコールの水酸基とβ-ジケトン内の複素環窒素原子が分子間水素結合により
  ネットワーク化し、1次元ポリマーを形成している。
D 日本化学会第84春季年会講演要旨集 (2004).

 

技 術 学 分 野

 

[2004-58]

@ 標準塗膜試験片を用いたDCB試験片の試作と破壊じん性試験
A 原圭介、今中誠
B 引張圧縮試験機
C 塗膜界面における密着性について検討を行った。
D(社)日本鉄鋼協会、材料の組織と特性部会
 「表面処理皮膜の密着機構1」シンポジュウム講演予稿集
  pp.37−44(2004)
                                     
 

 

             補遺: 物 理 学 分 野

[2004-59]

@ 角度広がりを抑えた5keV陽子ビームの気体分子との衝突

A 細川太郎・宮前智一・深澤優子・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      加速器からのイオンビームを用いる放射線物理学分野では,チャネリング実験等できわめて

角度広がりのないビームを用いる。小型イオン源からの低エネルギーのイオンビームを用いる原子・

分子物理学分野では,標的は気体のことが多いが,あまり絞ったビームを用いない代わり,散乱イオンも標的も全てをコインシデンス計測するのが一般的である。原子・分子分野で扱われる5keV陽子ビームとメタンとの反応を,放射線物理学的手法で探った。

D 日本物理学会講演概要集 59巻第2号第2分冊 p.92

 

[2004-60]

@ 弦を伝わる波の物理教材の開発

A 若月暁・深澤優子・藤本豊大・細川太郎・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      メルデの実験に代表される弦を伝わる波の物理教材の開発を行った。メルデの実験との

違いは,弦と音源の振動のなす角度を自由に,しかも振動させながら変化させることが

できるようにしたことである。この教材について教育的意義も念頭に置いて解説した。

D 日本物理学会講演概要集 59巻第2号第2分冊 p.317

 

[2004-61]
@ チャネリングイオンのエネルギー損失測定を目的とするエピタキシャル薄膜の作製

A 深澤優子・藤本豊大・前原充・若月暁・細川太郎・鈴木康文

B 超音波洗浄器

C      真空劈開したKCl単結晶表面に電子線照射し,真空蒸着法でAg薄膜を成長させた。

この方法で作製したエピタキシャル薄膜をチャネリング実験に用いる予定である。

ここでは,電子線の照射量やエネルギーと成長させた薄膜の結晶性や下地に用いた

KCl表面の点欠陥や形状変化との関係について,多岐にわたる総合報告及び議論を行った。

D      フォーラム21 イオンビームを用いた物理とその応用 (2005/1 研究会) 奈良女子大学