解熱剤を作ろう
−アセトアニリドの合成−

はじめに
 アセトアニリドとは昔アンチフェブリンという名で使われていた解熱剤の一つです。
意外と簡単な構造をしています。

 少し難しいですが、大学で習う知識で簡単に説明しますと、この反応は求核置換反応と
いいます。アニリンの窒素上にある非共有電子対が無水酢酸の電子不足なカルボニル基を
攻撃した後、酢酸イオンが脱離することにより進行します。ただ、アニリンは塩酸中では塩に
なっていますので、無水酢酸と反応をさせるためには塩基を加えてアニリンを遊離(弱塩基遊離)
させなければなりません。そのために、酢酸ナトリウムを加えているのです。酢酸イオンならば
無水酢酸を攻撃しても、そのままで変化が起こらないからです。

実験

1)アニリン5.0gを135 mL の水と4.5 mL の濃塩酸に溶かす。

2)別の容器に酢酸ナトリウム5.3gを30 mL の水に溶かした溶液を用意する。

3)無水酢酸6.2 mL を1)で作った溶液に、撹拌しながら少しずつ滴下する。
  滴下をし終えると、即座に2)で用意した溶液を加え、しばらく撹拌する。

4)反応混合物を氷で冷却し、析出した固体を吸引ろ過により採取する。

5)ろ別した固体を水(熱水)で再結晶し、精製する。

6)得られた結晶について、分析機器による測定を行ない、目的とする化合物が得られたか
  どうかを確認する。

(再結晶)

アセトアニリドは融点113-115 ℃の無色の結晶で、1gを溶解させるのに、185 mL の水が必要ですが、熱水だと20 mL で充分です。高校で習った溶解度曲線を考えれば、水が再結晶の溶媒として最適であることが分かります。

作ったアセトアニリドをできるだけ少ない量の熱水に溶かして、ゆっくり放冷して室温まで 下げますと、右図の斜線部分の量に相当する結晶が溶けきらなくなって析出してきます。

(NMR)

こうして精製した化合物の構造を調べるのがNMR(核磁気共鳴装置)です。最近、病院の検査を
する機械でMRI というのがありますが、同じ原理で見ています。

強力な磁石の間にサンプルを置いてラジオ波を照射することによって、主に水素核がどのような
環境にあるのかということを調べて、構造を決めます。化合物の構造を決定することが意外と
難しいということを実感してみて下さい。




担当:教員養成課程理科教育講座化学専修 西脇永敏

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