活性炭とシリカゲルによる色素の吸着
−液体の色を消す−

はじめに
 活性炭やシリカゲルは冷蔵庫の脱臭剤、お菓子等の乾燥剤として広く利用されています。
これらの固体は表面積が大きく、コロイド粒子の代表的なものです。その大きな表面積
(1グラムあたり500〜1000m2/g)のために、これらは気体中からにおいの元になる
分子や、湿気の原因となる水分を表面に集めて取り除く性質を持っています。
溶液中でも色素や有害物質を取り除く同様な作用があります。この固 体表面への分子の
濃縮現象を”吸着”と呼びます。
 土壌も90%は無機物であり、水酸化鉄、水和酸化物、粘土等の表面積の広い固体を
多く含むため、活性炭やシリカゲルと同様に色素や有害物質を良く吸着します。この
性質を利用して河川の浄化を行い、水道水を作っています。雨水が地下水となって
飲めるようになるのも、この土壌のろ過・吸着作用によるものです。図1は、昔の時代と
現代の浄水器の仕組みを比較して示したものです。
 今回は、溶液中での活性炭やシリカゲルへの色素(メチレンブルー)の吸着実験を行い、
このような物質が溶液中から除去されることを体験してみましょう。

図1




実験

色素溶液を作る
 (1) 用意されている0.01wt%メチレンブルー水溶液を100mlのメスフラスコ中 で4倍に希釈する。
   希釈した溶液を試験管3本にそれぞれ10mlずつ入れます。
 (2) 調製したメチレンブルー溶液の紫外分光(UV)スペクトルを紫外分光光度計で測定します。
   290nm付近に大きな吸収があることを確認します。

色素の吸着
 (1) 上記のようにして作った溶液に、活性炭とシリカゲルをそれぞれ2gずつ加 えます。
   同様に、キャンパス内の土を2g取ってきて入れます。
 (2) 約5分間おきによく振とうしてかき混ぜます。1時間おいてから上澄み溶液5mlの
   UVスペクトルを測定します。290nmの吸収が小さくなっていることを確認します。
 (3) 上澄み溶液の色の濃さを最初の溶液の色と比較し、色が薄くなったことを確認します。
 (4) 吸着後のシリカゲルの色の変化を確認しましょう。(メチレンブルーが吸着して青色に
   着色していることを確認します)。

色素による染色(溶液の脱色)
 (1) 上記のメチレンブルー溶液に木綿とポリエステルの布(5x5cm四方)を入れて布の染色を行い、
布の染まる違いと溶液の色の変化を観察します。

図2


解説
 分子が付着する現象を持つ固体(活性炭やシリカゲル)を吸着剤と呼びます。これらは、
我々の身のまわりで様々なところで使われています。吸着は固体表面で起こるので、表面積が
広いものほど吸着量が多くなります。活性炭やシリカゲルの表面積は、1グラムあたり
500〜1000m2と非常に広いです。表面積が広いのは、これらの吸着剤が原子の数倍から
20倍位という非常に小さな孔(直径が1〜20nm*)を持つためです。この孔への吸着が
全吸着量の大部分を占めます。このため、孔の大きさと吸着する分子の大きさの関係が、吸着性に
大きく影響します。すなわち、小さい孔への吸着は大変遅くなるし、孔直径より大きな分子は
当然吸着されません。
 活性炭は有機物の吸着に優れており、砂糖の精製や冷蔵庫の脱臭などに用いられています。
シリカゲルは、水分子の吸着に優れており、乾燥剤として用いられています。
 土壌も粘土、砂等の表面積の広い固体を多く含むため、活性炭やシリカゲルと同様にメチレン
ブルーを良く吸着します。この性質を利用して河川の浄化を行い、水道水を作っています。
 メチレンブルーは青色染料で木綿に強く吸着される性質があります。
----------------------------------------------------------------------------
 * nmは1x10-9m、すなわち10億分の1メートルのことである。

参考文献
 1.新訂理科 1分野上、啓林館。
 2.化学を楽しくする5分間、化学同人、日本化学会編



担当:教員養成課程理科教育講座化学専修 神鳥和彦

実験に関するご質問・ご意見は、実験名を明記の上
こちら(nishi@cc.osaka-kyoiku.ac.jp) までお願いいたします。



目次へ

大阪教育大学
:子と親の楽しいか がく教室・一日体験入学の案内へ
:大学のホ−ムペ−ジへ