水面上の目に見えない膜
はじめに
液体の表面張力を低下させる、せっけん、油、ショウノウ等の界面活性物質は、水面上に広がり
目に見えない膜を形成し、水面上に2次元的な圧力(拡張力)が生じます。
今回は、様々な界面活性物質が水面上に膜(単分子膜という)を形成させる性質を観察し
体験して頂きます。
実験1 ステアリン酸の水面上の目に見えない膜
(1) ステアリン酸を約0.01gはかり取り、ベンゼン50mlに溶かします。
(2) バット(水槽)を水平に置き、縁の上端近くまで水を入れます。
タルク粉末をふるいに入れ、バット中央の水面上で軽くたたき、水面が
見えなくなるまでタルク粉末を水面上に落とします。この時、バットの
四隅に水面を残しておきます。
(3) 水面上のタルクの中央部に、メスピペットでステアリン酸溶液0.1ml程度落とします。
ステアリン酸溶液はタルクを押おし広げ、ベンゼンが蒸発すると、タルクの動きが
止まります。中央の開水面に、ステアリン酸の単分子膜ができます。
油脂のように水になじみやすい部分(親水部)と油になじみやすい部分(疎水部)をもつ分子は、
水面で疎水部を空気中に親水部を水中に向け、水面にほぼ垂直に立った状態になります。
この実験条件では、ステアリン酸分子は水面上で密につまった状態であると思われます。
ステアリン酸分子はうまく広がりましたか?
実験2 ショウノウ舟
(1) ペットボトルを使って図1のような舟型を切り出し、片面の後部にペットボトル板の
小片の一端をホッチキスで取付けます。すきまに小粒のショウノウをはさみ
バットの水面上に静かに置くと、舟のように動き出します。かなり長時間にわたって動きます。

ショウノウは水に溶けにくいですが、その分子構造中に親水部があります。ショウノウの
表面に広がる際の反作用を受けてプラスチックの舟が動きます。
ショウノウ船はうまく動きましたか?
実験3 表面膜砲
(1) 薄いプラスチック板を図2のように切り出し、砲台と砲弾をつくります。
(2) 図2のようにバットの水面上に砲台と砲弾を静かに浮かべます。ガラス棒の先などに
ごく少量の天ぷら油などをつけ、図3のA部分の水面に少し触ふれると、油は水面上に
薄い膜となり瞬間的に広がります。その拡張力で砲弾が打ち出されます。
(3) 天ぷら油の代わりに、他の油や中性洗剤などでも行ってみましょう。
砲弾はうまく飛び出しましたか?どの界面活性物質が最もよく飛び出しましたか?

実験4 墨流しとマーブリング
(1) よく水洗したバットに水を満たします。墨汁うを含ふくんだ筆の先を、この水面に
ごくわずかにふれさせると、墨汁が水面に円形に広がって、水面上に墨汁膜を形成します。
(2) 少量の油を筆の先に付けて墨汁膜の中心部に触れると、墨汁膜に丸い穴があきます。
この穴の中心部にまた墨を含んだ筆の先をつけ墨汁膜を広げます。この操作を
繰くり返して行うと、図4のような環状の縞模様が出来ます。
(3) 画用紙を水面に平行にして落とすと、縞模様が紙に写し取れます。乾燥したら、
持ち帰って下さい。
(4) 墨汁の代わりに油絵の具を使って、色々な色を持ったきれいな模様を描いてください。(図5)
きれいな絵はできましたか?

参考文献
1.化学を楽しくする5分間、化学同人、日本化学会編。
2.わたしのマ−ブリング、神沢利子 文、金子良一 写真、福音館書店刊。